いまさら聞けないTRPの定義、計算方法、GRPとの違い
TRPとは、Target Rating Pointの略語で、「ターゲットの延べ視聴率」を意味しています。一般的にはTRPですが、TARP (Target Audience Rating Point) と表現する人もいます。TRPとTARPは同じ意味の単語です。
GRPが「世帯」を算出基準にしているのと異なり、TRPは算出基準が個人で、かつ、広告主のターゲットに限定されています。 2018年4月より、関東地域においてスポットCMの買い付けがGRP単位でなくTRP単位で実施されることになりました。今後、段階を経て全国に広まっていくため、GRPよりむしろ重要な概念となってくる可能性が高いでしょう。
そもそもTRPが何かわからない!という方から、今までと何が変わって、何が変わらないのかを知りたい!という方まで、TRPについてあるあるなあらゆる疑問に回答できるよう、記載していきたいと思います。
忙しい人のためのTRP
TRPとは、Target Rating Pointの略語で、「ターゲットの延べ視聴率」を意味しています。個人視聴率を元にしたデータのため、GRPとは異なります。各「ターゲット」毎に下記の通りの呼称があります。
12歳以下 | 19歳以下 | 34歳以下 | 49歳以下 | 50歳以上 | |
---|---|---|---|---|---|
男性 | C(child)層 | T(teen)層 | M1層 | M2層 | M3層 |
女性 | C(child)層 | T(teen)層 | F1層 | F2層 | F3層 |
TRPとGRPでは数字が異なりますので、買い付けの基準がGRPからTRPになった場合、テレビCM出稿の総費用が伸びるかと言うとそうではありません。結論としては、総費用は変わらず、単価が変わります。M1、F1層をターゲットとしている企業においては単価は上がり、M3、F3層をターゲットとしている企業においては単価が下がります。これは、世帯におけるテレビ視聴の担い手が、比較的高齢者層であることが主要因となっています。
TRPの定義
TRPとは、Target Rating Pointの略語で、「ターゲットの延べ視聴率」を意味しています。「ターゲット」は、年齢別、性別で8つに分類されており、下記の表の通りになります。
12歳以下 | 19歳以下 | 34歳以下 | 49歳以下 | 50歳以上 | |
---|---|---|---|---|---|
男性 | C(child)層 | T(teen)層 | M1層 | M2層 | M3層 |
女性 | C(child)層 | T(teen)層 | F1層 | F2層 | F3層 |
元々はタイム枠の購入の際に重視される指標であり、スポット枠の購入の際には重視されていませんでした。スポット枠の取引量の方が多く、その買い付けがGRPベースで行われていたこれまでは、それほど重視しない企業も多かったのですが、2018年4月から関東でのスポット枠の買い付けがTRPベースに変更となり、今後すべてのテレビCM実施企業、検討企業において重要な指標になってきます。
TRPの計算方法
TRPはターゲット層の個人視聴率の合計です。一定期間内に放送したCMの分視聴率を足し算すればGRPを算出できます。 例えば、下記のような場面を想定してみましょう。
月曜日から金曜日まで、1日1回CMを放送する
それぞれのCM放送時間帯(分)のターゲット層個人視聴率は
5%、5%、10%、10%、8%であった。
この期間中のTRPは28%です(5% + 5% + 10% + 10% + 8%)。
GRPとTRPの違い
定義としての違いは既に述べているとおり、GRPが世帯視聴率、TRPが個人視聴率を計算のベースにしていることが違います。それでは、何が異なるのでしょうか? これを知る鍵は「人口構成比」です。総務省が調査した人口推計によると、男女の人口は下記の通りになります。(単位:千人)
女性 | 男性 | |
---|---|---|
20~34歳 | 9,588 | 10,043 |
35~49歳 | 13,226 | 13,557 |
50歳以上 | 31,713 | 26,993 |
これは全国の数値ですが、構成比に大きな違いがあることは変わりません。F3層はF1層の約3倍存在しているといえます。
このとき、1世帯に含まれるF1~M3層も同様の比率であると仮定すると、相対的に視聴者数も同様の比率になります。 1GRPを10万円で買い付けた場合、F3層がターゲットの企業にとっては、10万円で50歳以上人口の1%に視聴されたことになります。
一方、1GRPを同じ10万円で買い付けたとしても、F1層がターゲットの企業にとっては、10万円で20~34歳人口の1%に視聴されたことになります。 よって、若年層をターゲットにしている企業にとっては、ターゲット1人に視聴されるための(見た目上の)単価が上昇し、老年層をターゲットにしている企業にとっては単価が下落します。
ただ、実際のところ、最終的に支払う金額は同額のため、その点においてはこれまでと何か変化があるわけではありません。
タイムシフト視聴率のせいで総額は上昇!?
とはいえ、2018年4月からはこれまでのリアルタイム視聴率だけでなく、録画機等で番組(テレビCM)を視聴された際のタイムシフト視聴率もテレビ局の「在庫」になりますので、買い付けたTRPのうちの一部が消化されてしまうという現実はあります。
よって、タイムシフト視聴率の部分における広告効果がないと仮定すると、これまでと同等の広告効果を得るためには大きな出稿額が必要となり、タイムシフト視聴率の部分における広告効果が大きいと仮定すると、これまでと同等のテレビCMによる広告効果を得るためには小さな出稿額で済むようになります。
ここは実際にふたを開けてみないとわかりませんが、いち視聴者の立場としては、前者になるような気がします(個人の感想です)。
まとめ
TRPについて、その定義、計算式、GRPとの違いについて触れてきました。
スポットCMのみを買い付ける場合はそれほど重要でなかったTRPですが、2018年4月からは関東で、今後は全国的にスポットCMの買い付けがTRPで行われるようになるのは間違いありませんので、その定義や変換式を正しく抑えておくことが重要になると思います。
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