費用対効果が最大となるメディアと広告媒体の選び方

コラム
マーケティング広告

マーケティング活動におけるメディアプランニングでは、費用対効果が最大となるメディアと広告媒体の組み合わせを選択することが重要です。

あるメディアに費やされた投資金額当たりの売上が高ければ高いほど、そのメディアのROIが高いということになります。一般的なマーケティング・ミックス・モデリング(MMM)による効果分析では、分析期間中に広告出稿したメディアの平均ROIを評価し、各メディアの効果・効率の良し悪しを明らかにすることができます。ここでは「どの」メディアが最も効果があるのかを知るのももちろんですが、「なぜ」他より効果があるのかを知るために深掘りすることが重要です。

本記事では、メディアと広告媒体の定義の違いと、メディアのROIの説明に役立つポイントを紹介します。

はじめに:「メディア」と「広告媒体」について

まず、混同しやすい「メディア」と「広告媒体」という言葉の定義を整理します。

メディアとは、広告主と消費者をつなぐ、情報や広告を配信する経路や手段のことです。テレビ、OOH(屋外広告、交通広告)新聞、雑誌、ラジオ、インターネット、メールなど、様々な媒体がメディアとして活用できます。広告媒体とは、メディアの中の、広告を掲載する具体的な媒体とのことです。

例えば、テレビというメディアの中には、スポットCMやタイムCMなどの広告媒体が存在します。またインターネットメディアやソーシャルメディアの中には、ディスプレイ広告やSNS広告(バナーや動画)などといった広告媒体があります。

関連資料の無料ダウンロード

テレビCMは「タイム」と「スポット」どちらが効果的?
~マーケティング施策と事業成果の相関が理解できる~

メディアと広告媒体のROIを説明する際に役立つポイント

メディアのリーチ

メディアによって、広告施策が獲得できるリーチ*(視聴者数やインプレッション数など)が異なります。オーディエンスが広く、大規模なチャネルを利用することで、多くの消費者に広告が届く可能性が高まります。一方、より限定的なメディアでは利用する消費者が少ないため、広告が届く範囲は狭くなりますが、ターゲットとする消費者に効率良く広告を届けることが可能になります。

*ここで説明する「リーチ」とはデジタルマーケティングに閉じたものではなく、マーケティング全般における内容です

メディアのターゲティング機能

ターゲティング機能とは、選択したメディアを利用してどのくらい貴社のターゲット層にリーチできるかということです。オンライン広告媒体は、特定の層に広告を出稿することができるため、オフライン広告媒体よりもターゲティング機能が高い傾向にあります。対象の商品やサービスを購入する可能性が低い人への無駄な出稿費が減るため、原則としてターゲティング機能が高ければROIは向上します。

メディアによる広告媒体の特徴

メディアによっては広告媒体の特徴(出稿される枠や特性など)が変わります。また、広告の目的や消費者のコンテクスト(時間帯、場所、状況、気分など)に応じて、広告の効果が変わることもあります。

例えば、テレビでのCMは音のある動画が使われるため、印刷物のような静止画像よりも伝えられる情報量が多く、また比較的感情に訴えやすいという特徴があります。これは、広告の訴求力や反応率に影響すると考えられます。しかし、一概に静止画より動画の方が良いということではなく、例えばOOHの場合は、場所によってはデジタルサイネージの動画広告よりも看板広告の静止画広告の方が効果的なこともあります。通りがけで一瞬だけ目にする広告の場合、その一瞬でメッセージを伝えるには動画よりも静止画の方が適している場合もあります。

このような特徴を理解した上で、広告の目的や消費者のコンテクストに沿った広告媒体を選ぶことが重要です。また、これらの特徴の違いは、広告のROIの「なぜ」を説明する際の仮説立てのヒントにもなります。

関連資料の無料ダウンロード

クリエイティブ効果を飛躍させる無意識へのアプローチ
~マーケターが知るべき、目に見えない感情の正体と活用方法~

メディアと広告媒体の残存効果(Ad Stock)

広告に接触したあと消費者の記憶に残り、行動に影響を及ぼす効果である「残存(Ad Stock)効果」は、メディアによって効果の大きさが異なります。例えば、テレビCMは、ディスプレイのような広告媒体に比べて広告が記憶に残りやすく、接触後の残存効果が大きい傾向にあります。

メディアの接触頻度

一般的には広告の接触頻度が高いほど広告の印象が強くなり、前述の残存効果とも関連して、記憶に残りやすくなります。例えば、テレビで繰り返しCMを見たり、毎日利用する駅や電車で何度も同じ広告を見たりすることで、その商品やサービスが記憶に残ることが多くあります。一方で、特にインターネット広告においては、同じ広告に何度も接触することが、人によっては不快に感じることもあり、興味を持つどころか逆に不信感につながることもあります。媒体の特性とコンテンツに合わせて、適切な接触頻度を見極めることが重要です。

メディアの波及効果(間接効果)

メディアの波及効果とは、ある広告施策との接触によって、他の施策の効果を間接的に高める効果のことです。よくある例としては、テレビCMでその商品やサービスを認知したことが、インターネット広告による行動喚起を相乗的に(テレビCMとの接触がなかった場合よりも高く)高めることが挙げられます。メディアを選定する際に、それらの波及効果を考慮することが重要です。

関連資料の無料ダウンロード

オフライン広告における効果可視化の成功事例
見えにくかったROIや波及効果を定量化

終わりに

これらのポイントは、さまざまなメディアと広告媒体を通じたマーケティング施策の効果を比較する際に、それらの費用対効果を説明する際に役立ちます。これらを理解して意識することは、事業成果に繋げるための最適なメディアミックスを決定する上で重要となります。

サイカでは統計学とデータサイエンスを駆使し、各メディアや施策の事業成果への効果を、間接効果や残存効果を含めて測定し、マーケティングのROIを評価できるソリューションを提供しています。これにより、マーケティング活動において、最大のROIをもたらすメディアと広告媒体の特定、および最適な投資配分をシミュレーションすることができます。

この記事を読んだ方におすすめの記事