データドリブンな意思決定方法|データドリブン・マーケティング
経営層やマーケティング責任者は、難しい決断を下す場面が多く存在します。これらの決断の結果によって、企業の成功や自身のキャリアが大きく左右されるため、意思決定においてはその成功確率が最も重視されます。もちろん、間違った意思決定をゼロにすることは現実的には不可能ですが、意思決定支援のツールキットを上手く活用すれば、正しい決断を下す確率を高めることができます。
急速に変化する現代社会において、データはビジネスの中心となっており、データドリブンな(データに基づく)意思決定は成功する戦略の基盤となっています。データサイエンスとマーケティングの融合よって、企業は顧客をよりよく理解することができ、キャンペーンが成功する要因を特定することで不確実性を減らし、より正しい意思決定行うことが可能となります。
この記事では、データサイエンスの革新的な領域に深く入り込み、データを活用したより正しい意思決定をする方法に焦点を当てていきます。
目次
データドリブン・マーケティングの進化
従来のマーケティングでは、デモグラフィック変数によるセグメンテーション、適切なメッセージングとマスメディアによるコミュニケーションを中心とした活動がよくとられていました。このアプローチはある程度の成果をもたらすことができますが、精度に欠けるという欠点がありました。従来の方法では、顧客の行動や嗜好に関する大まかな仮説に基づいて意思決定が行われており、その仮説を検証する手段も限られていました。
データドリブン・マーケティングでは、データサイエンス(数学、統計学、機械学習、プログラミングなどを網羅している学問)を用いて現在のデジタル時代で生成されるは膨大なデータを分析・解析し、実用的な示唆を抽出することができます。
データドリブン・マーケティングは、マーケティング戦略やマーケティング責任者の意思決定方法に変革をもたらしています。
データドリブンな意思決定のメリット
メリット①:データに基づいた戦略
データドリブン・マーケティングは、データに基づいて戦略を策定することができます。市場のトレンド、競合の状況、顧客の行動パターンや嗜好などを詳細に分析し、そのデータをもとに的確な戦略を立てることができます。
メリット②:予測とシミュレーション
データドリブン・マーケティングは、将来のトレンドやマーケティング施策の成果を予測し、シミュレーションすることにも役立ちます。マーケティング施策のもたらす成果を事前に予測することで、最適な戦術を選定することができます。これにより、効率の悪い施策の費用を削減し、利益を最大化させる決断をすることができます。
メリット③:透明性と説明力
データドリブン・マーケティングは透明性が高いというメリットもあります。経営層、株主などのステークホルダー対して、なぜこの戦略を選んだのか、マーケティングへの投資が事業成果にどれぐらい貢献しているのか、その根拠を明確に説明することができます。これにより、ステークホルダーとのコミュニケーションが円滑となり、マーケティング戦略や取り組みが理解され、部門や会社としての意思決定を通しやすくすることができます。
メリット④:問題解決と機会の発見
データドリブン・マーケティングは、目標達成に向けた問題・課題とそれらを解決する打ち手を明確化することにも役立ちます。データ分析を通じて顧客のニーズや市場の動向を把握し、新たな戦略を展開したり、迅速な対策を講じることができるようになります。これにより競争力高め、競合他社に先駆けて成功するチャンスを増やすことができます。
データドリブンな意思決定のポイント
マーケティング担当とデータ分析担当の協力体制
マーケティング担当とデータ分析担当(社内のデータ分析チームや外注先)との間で、最適なコミュニケーションとチームワークが築けていれば、データと実用的な示唆に裏打ちされた信頼性の高い意思決定を行うことが可能となります。また、両者のシナジーは企業の価値向上にも寄与することができます。
データの収集方法
データの質は、その収集方法により大きな差が出てきます。例えば、入力や取り扱い時のヒューマンエラーによるものや、収集プロセスが自動化されている場合でも、データの重複、非構造化データからのデータの結合などで、エラーの要因が存在します。
また、分析の目的を明確にしないまま手当たり次第にデータを収集した場合、分析に適したデータの形式になっておらず、データを収集し直すことになってしまったり、あるいは意図した分析が行えず、分析結果をアクションに活かせないといったことにもなり得ます。
データを分析する際は、データの収集方法を確認する必要があります。
データの分析方法
データが適切に収集・管理されていても、有効に活用するには分析モデルの質が重要です。分析モデルが複雑になり、より多くのデータを組み込むにつれて、モデルの質に関する問題が発生します。
よくある問題としては過学習があります。過学習とは、学習用の過去データに対しては精度高く予測できるが、新しいデータに対しては同様の精度を出せないモデルが構築されてしまうというもので、この場合モデルの実用的な運用が難しくなります。
データと同様に、モデルの質が問題ないかも確認する必要があります。
データの不足を意識する
データモデリングにおいて注意すべき点として、必要なデータが不足していないかということが挙げられます。特定のデータの不在は、利用できるデータと同様に意思決定に影響を与えることがあります。
たとえば、金融業界ではクレジットヒストリー(カードやローンの利用履歴に基づく信用情報)が豊富な人にお金を貸しやすいという傾向があります。しかし、履歴(データ)が少ないことが必ずしもリスクが高いことを示すわけではありません。データの不足は利益をもたらす可能性のある顧客を逃してしまう要因となるのです。
意思決定を行う際は、モデルに不足してているデータがないかを意識することが非常に重要です。
結論:マーケティングの意思決定をもっとデータドリブンに
データサイエンスの有効活用は、マーケティングの意思決定を一変させることができます。データを戦略策定や予測・シミュレーション、施策の効果説明や問題の発見・解決のために活用することで、マーケターはより正しい決断を下し、競争の激しい状況でも勝率を高めることができます。
マーケティングの意思決定を含む、データドリブン・マーケティングのメリットにご興味のある方は、ぜひ弊社サイカにご相談ください。
サイカは、マーケティングにおけるデータサイエンス領域で10年以上、コンサルティングおよびサービス提供を行っています。自社開発のMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)といった高度なマーケティング効果分析ソリューションの提供を始め、国内エンタープライズ企業250社以上のデータドリブン・マーケティングの実現に向けた支援実績があります。
多岐にわたる業界における豊富で深い専門知識をもつデータサイエンティストとコンサルタントが、データドリブンな戦略の策定から、顧客理解、クリエティブ分析・制作、メディアプランニング、効果検証と予算の最適化まで、より良い意思決定を支えるためのデータ活用をサポートします。