企業の経済的価値向上のためのマーケティング効果分析

「広告に使っているお金の半分は無駄になっている。
ジョン・ワナメーカー氏
問題は、どちらの半分かが分からないことだ」
ジョン・ワナメーカーが示した広告界の課題は100年以上経っても解決していないようです。
競争が激化する現代のビジネス環境において、企業は自社の経済的な価値を向上させるために、マーケティング効果の最大化を図っています。これを実現するためには、マーケティング効果を適切に分析するケイパビリティが不可欠です。
本記事での「マーケティング」は、冒頭のジョン・ワナメーカー氏の名言にあるように「広告」あるいは「プロモーション」に焦点を当てます。これらのマーケティング要素の効果分析が、実際の企業の経済的価値の向上につながるためのポイントをご紹介します。
目次
経済的価値向上におけるマーケティングの役割
マーケティングによって創造される経済的価値は、売上の増加、顧客ロイヤルティの構築、市場シェアの拡大などによって形成されます。マーケティング活動は企業の経済的価値を最大化するために不可欠な要素であり、経営戦略の重要な一部です。
企業が収益性を向上させ、経済的な成長をするためには、マーケティングをいかに効果的かつ効率的に実行できるかが重要です。そのためにも、マーケティング効果(費用対効果)を適切に分析することが必要です。
マーケティング効果分析で経済的価値を向上させるために意識すべき点

近年はマーケティングチャネルの多様化により消費者との接触ポイントが複雑化しており、データも膨大になり、マーケティング効果を適正に分析するのが難しくなってきています。そのような中で、マーケティング効果分析を通じて企業の経済的価値を向上させるためには、意識すべき点がいくつかあります。
1. 広告効果測定ツールだけでは不十分
広告効果測定ツールは、中にはデータの収集から分析まで実行でき、使いやすくて便利なものもありますが、マーケティング効果を適正に分析にするという点においてはいくつか不足があります。
限定的な視点
多くの広告効果測定ツールは、特定のプロモーションチャネル(例えば、デジタル施策のみ、あるいはGoogleやFacebookなどの広告プラットフォームに組み込まれているツール)の効果を測定するために設計されています。しかし、マーケティングの成果は単一のチャネルによるものであることは少なく、複数のチャネルの要因や相互作用によってもたらされることがほとんどです。また、分析対象としては広告などのプロモーションだけでなく、価格や競合要因といった要素も分析する必要があります。広告効果測定ツールだけでは、広範な視点や総合的なマーケティングの評価には不十分です。
コンテキストの欠如
広告効果測定ツールはデータや数値に基づいて広告施策を評価しますが、それらの結果がどのような背景やコンテキストで生まれたのかを理解することが困難です。マーケティングの効果を適正に測定するためには、消費者のニーズや行動、競合他社の状況、またその他の外的要因などの要素を考慮する必要があります。広告効果測定ツールだけでは、このようなコンテキストを十分に捉えることはできません。
意思決定支援の欠如
広告効果測定ツールではデータに基づいた結果が確認できますが、これらの結果が将来のマーケティング方針に対する意思決定にそのまま活用できるわけではありません。マーケティングの効果を最大化するためには、データ分析に加えて結果に対する洞察や創造的な判断が必要です。広告効果測定ツールを活用するだけでは、適正な意思決定はできません。
2. 社内における他部門との連携の重要性
同じ社内でも、各部門やチームで異なるデータシステムが使われていたり、各データを共有し合えていないということがよくあります。マーケティング部や広告宣伝部以外で、他部門との連携がなぜ必要なのか、以下にいくつか理由を説明します。
データ共有と協力
マーケティング効果を分析するためには、複数のデータソースや情報を活用する必要があります。社内連携が上手く取れていれば、異なる部門やチームが持つデータや情報を共有して活用することが可能となります。例えば、営業部門と広告宣伝部門との連携により、広告施策や営業施策の成果を売上データと紐づけて分析することが可能となります。
目標の共有と透明性
他部門との連携を通じて、マーケティング効果分析の目標や重要な指標を他部門にも共有することができます。進捗状況や結果を共有しながら、社内の全ての関係者が同じ目標に向かって業務をすることで、意思決定や戦略の改善を行いやすくなります。会社全体が共通の目標に向かって協力すれば、経済的価値の向上に繋がる可能性を高めます。
社内における実験文化の醸成
マーケティング効果分析が上手くいくかどうかは、多くの場合、経営層や上層部からのトップダウンの指示か、または会社の文化に依存します。社内において実験文化が強い場合は、仮説検証アプローチで何を実験するかを設定し、検証したいことに応じて統計的に適正な測定方法を採用します。また、実験文化の強い会社は、仮説検証で実証したことを確実に行動に移す傾向があります。
3. 適正なKPI設定による、マーケティング結果に対する責任の確保
結果に対する説明責任を明確にすることで、効果分析のサイクルが推進されやすいです。また、マーケティングのKPIとしては「リーチ」「ブランド認知度」「検索数」に留まらず、しっかりと「ROI(費用対効果)」まで追っていくことが重要です。このように結果をしっかりと把握し、評価することで、組織内外の関係者との透明性を確保することができます。マーケティングの結果にコミットすることで、正確な情報の共有や説明責任を果たすことができ、信頼性の高い意思決定を行うことができます。
4. 成果の収穫までは時間がかかる
上記のように適正なマーケティング効果分析と社内連携を推進したとしても、すぐには会社に経済的価値をもたらすことはできません。
マーケティング効果分析方法を構築できたとしても、洞察を改善アクションに活かし、その効果を検証するまでには時間がかかります。こうして実際に改善した結果を通じて、組織内外での信頼を築き、マーケティング分析への取り組みやデータドリブンな意思決定を浸透させることで、徐々に成果が積み重なり経済的価値の向上につながるのです。
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まとめ
会社にとって経済的価値の向上につながるマーケティング効果分析を成功させるためには、単に効果測定ツールの活用だけでは不十分です。組織全体の理解、協力とチームワーク、明確なKPIの設定、時間と努力が必要です。マーケティング効果分析は組織全体の取り組みであり、継続的な努力が求められます。この取り組みにより、最適な戦略や戦術の設計、効率的なリソース配分、データドリブンな意思決定などのメリットを通じて、会社の収益性や成果を向上させることができます。
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