ライオン株式会社

コモディティ化する市場であるがゆえに問われるマーケティングの実行力

Q. 担当業務を教えて下さい

永井様:ファブリックケア事業部という、洗剤、柔軟剤の開発、育成を担う部署に所属しています。私たちはビルディングスタッフという職務で、主にブランドの損益管理・販売戦略策定・製品育成などを行っています。私は柔軟剤ブランドの「ソフラン」を担当しており、新井は洗剤ブランドの「NANOX」を担当しています。

Q. 市場の特徴を教えて下さい

永井様:私たちが扱っている商品はいわゆる日用品です。市場に商品が非常に多く、お客様にとって商品の機能の差異性がわかりにくいという特徴があります。その中でいかに自社のブランドに価値を感じていただき、選んでいただけるかが重要となっています。コモディティ化する市場がゆえに、マーケティングの実行力が問われると考えています。そこがこの業界のマーケティングの難しさであり、またおもしろいところでもあると思っています。

プロモーション施策が多様化する中、各施策の効果が正しくわからなかった

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

永井様:各プロモーション施策の効果を正確に把握することに課題を抱えていました。近年、お客様の価値観や行動は多様化しています。従来は圧倒的にテレビCMの影響が大きかったのですが、デジタルネイティブな生活者も増えており、近年はテレビCMだけでは成果につながらなくなってきています。そのため、現在はオンライン広告など様々な媒体を使いながら統合的にお客様にアプローチしています。しかし、施策が多様化する中、各施策がどのくらい成果につながっているのかを可視化できずにいました。

新井様:マーケティングの4P分析でいうと、店頭の配荷率(Place)や価格(Price)でコンバージョンが上がるというのは現状のデータソースでも入手できます。ただ、プロモーション(Promotion)がどのように寄与しているかがわかっていませんでした。これまでは、各施策の評価は各担当者の経験値や感覚値に委ねられていました。予算配分においても過去の踏襲で判断している点が多く、これで正しいのか不安な状態でした。MAGELLAN(マゼラン)によって効果を可視化でき、予算配分も根拠を持って判断することができるようになったので、とても助かっています。

数値的根拠を持って判断・説明ができるようになった

Q. MAGELLANをどのようにご活用されているのでしょうか?

永井様:MAGELLANによる分析を開始して3期経ちますが、出てくるアウトプットに関して非常に高く評価しています。プロモーションの効果を可視化できないという、これまで抱えてきた悩みが解決でき、有効な取り組みになっています。特に、オンライン広告への予算の投じ方に関するMAGELLANの示唆はとても参考になりました。我々としても経験や知見が浅い部分だったので、そこに対する示唆が得られたことは非常に大きかったですね。

新井様:MAGELLANの分析結果は大きく2つの場面で活用しています。1つは3カ月に1度の効果可視化分析です。いわゆる販売データは我々も随時確認できますが、この定期報告がマーケティングの健康診断のようになっています。そして2つ目が先々の施策の予算配分策定のための分析です。限られた予算を効果的・効率的に運用する上で、MAGELLANの示唆を判断材料として活用しています。ちょうど現在は、来期の予算策定のための分析を実施しているところです。

※ 2020年9月現在

Q. その他、MAGELLANによる示唆を活用した事例はありますか?

新井様:MAGELLANの本来の使い方とは異なるかもしれませんが、予算変更時のトップライン変化のシミュレーションとして活用したこともあります。期中においても、損益の着地見込みに応じて予算が変更になることは往々にしてあると思います。その際、変更した場合としなかった場合で、生まれる利益に対してトップラインがどれだけ変わるのかをシミュレーションすることで、最終的にどちらがリスクとして大きいのかを数値的根拠を持って上長に説明することができました。

永井様:あのときは、概算予算が決まったタイミングでスピーディーに対応でき、結果として正しい判断をすることができて本当に良かったと思っています。

顧客洞察を続け、ユーザードリブンなマーケティングを目指す

Q. 今後、MAGELLANをどのように活用していきたいと考えていますか?

永井様:今後はMAGELLANの分析スパンをもっと短くし、日常的に活用できるようにしていきたいと考えています。競争環境が激しいため、競合の動きに対する打ち手をスピーディーに講じていけるようにしていきたいですね。

新井様:統合コミュニケーションにおいて、現在はテレビCMを基軸としてお客様の購買ファネルごとに適切な施策を行っていますが、コミュニケーション同士の関連性をもう少し構造化して見ていきたいと考えています。ファネルの横連携の関係性で相乗効果が出るようなものもあるはずなので、その関係性を明らかにしていきたいですね。

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

永井様:常にお客様を見ながら、あるべき商品・サービスを考えていくことです。顧客洞察を続け、そこから得られた仮説やあるいは世の中の潮流を鑑みて「こういう商品・サービスが必要なのではないか?」という発見を大事にしていきたいと考えています。その仮説の精度を上げるためには、従来の調査ももちろんですが、MAGELLANを使って仮説を定量的に実証することが重要です。そうすることで、マーケティングの理想像に近づくことができると思っています。

新井様:私の考えるマーケティングの理想像は、専門性を高めるという意味ではデータドリブンであることだと考えています。データドリブンはユーザードリブンだと解釈しています。最も起点となるのはエンドユーザーであり、そのエンドユーザーが商品購入・継続購入するまでに影響した興味関心・価値観などを明らかにしていきたいです。MAGELLANを使ってこれを洞察し、仮説を立てていきたいと考えています。お客様を包括的に理解するためにも、MAGELLANを活用してより理想のマーケティングができればと考えています。

株式会社エウレカ

広告規制が厳しい中、メディアアロケーション最適化に限界があった

Q. 中村様とMAGELLAN(マゼラン)をご導入いただいた部署の役割を教えて下さい

私はCMOとして事業のマーケティング全体を見る立場となります。今回MAGELLANを導入したのは、マーケティング組織の中でも主に広告出稿や、メディアのアロケーションを考えるチームです。今回はマッチングアプリ「Pairs」の分析においてMAGELLANを導入しました。

取締役CMO 中村 裕一 様

Q. 市場の特徴やマーケティングにおける難しさを教えて下さい

マッチングアプリ業界は、広告の規制が非常に厳しいです。昔は「出会い系」という言葉をよく耳にしたように、特に参入当初はマイナスイメージを持たれることが多く、広告出稿がかなり制限されていました。そのため、マーケティングにおいては、広告出稿を拡大しようにもメディアが限られているため限定的な打ち手しか実行できない、という難しさがありました。具体的には、テレビCMはもちろん、交通広告やYouTubeにも出稿できませんでした。「デジタル以外にも広告出稿を拡大しようとも、今できるのは一部の看板広告のみ」という状態からスタートしました。

「出会い系」というマイナスのイメージから、「使っても大丈夫」「使うことは普通なんだ」という空気感を醸成するためには、獲得型のダイレクトレスポンス広告だけではそれができません。ターゲットではない方にも認知・理解してもらわなければならないため、ブランディング広告は非常に重要視していました。

ブランディングの効果を最大化するためには、通常は効果の大きいメディアからアロケーションしていくことが当然だと思いますが、当社の場合はそれができませんでした。一番難しかったのは、ボリュームを出すという意味では最も効果が良いと思われるテレビCMや交通広告が実施できなかったことです。限定的なメディアで出稿をしていても、「果たしてブランディング効果があるのだろうか?」という不安がありました。

このような厳しい状況下で、試行錯誤しながらもブランディング活動に意志を持って着手してきました。明確な最適化はできていないものの、意志を持ってやってきたからこそ、現在リーディングカンパニーとしての地位が築けているのかなと思っています。今では少しずつ広告の規制が緩和してきており、ようやくメディアを選べるまで手札が増えてきました。

広告効果を最大化するための最適なメディアアロケーションを明らかにしたい

Q. MAGELLANを導入された理由を教えて下さい

広告規制がある中、これまでは規制が解除された順に広告予算を積んできました。現在、ようやく打ち手が増えたので、選べる手札をもとに優先順位の高いものから実施することができるようになりました。効果を最大化させるための、最適なメディアアロケーションを明らかにしたい、というのがMAGELLAN導入のきっかけです。

Q. メディアアロケーション最適化を検討する上で、すぐにMAGELLANの話が上がったのでしょうか?

実は、最初は社内でのアロケーション最適化を試みました。当社はMatch Groupというグループ会社に所属しているので、予算を決定する際にはグループ会社と統一基準で会話をした方が早いという場合が多いです。そのため、自社で開発した方が良いと考えていました。しかし、親会社のある米国では、日本のマッチングアプリ市場と成熟度が異なるため、統一基準をそのまま日本で適用することは難しいということがわかりました。そこで、当社としてはレポート方法と検討方法を分けることにしました。レポートは社内で作成し、検討においては日本の外部ツールを使う方が良いと考え、その結果、MAGELLAN導入に至りました。日本の市場に即した、最適なメディアアロケーション分析をMAGELLANで実施し、出稿内容を検討するという使い方になります。

短期的な刈り取りと中長期的なブランディングのバランスを最適化したい

Q. MAGELLANの分析において、特に期待していることを教えて下さい

「効率的な出稿」を考えると、どうしても目に見える数字だけを見てしまいがちですが、そうではなく、目に見えていない(数値化できていない)広告を含めて最適化していきたいというのがMAGELLANに期待していることです。

マッチングアプリ業界はもともと悪いイメージを持たれていた業界で、今でもそのように感じている方々もいます。潜在顧客はたくさんいるものの、顕在顧客はそこまでいない業界だと感じています。マーケティングにおいては、直近のユーザー獲得だけを目的とすれば、ダイレクトレスポンス広告で刈り取りをしていれば良いのですが、それだけではその先が続きません。信頼性の高いメディアで広告を見て、複数箇所で何度も広告を見て、あるいは友人から紹介されたことによって、「使ってみようかな」と少しずつ思い始めるものだと考えています。つまり、ダイレクトレスポンス広告だけでは不十分であり、看板広告や交通広告など、数字で見えにくいブランディング広告が非常に重要だと考えています。 一方で、いくらブランディング広告が重要だと言っても、もちろん意味のない場所や意味のない量というのはあると思っているので、そこも最適化したいと考えています。

短期の売上を目的とした広告と中長期の売上を見据えた広告(ブランディング)、そのバランスは事業経営上非常に重要だと考えています。MAGELLANによって、そのバランスをうまく最適化できれば良いと考えています。

Q. その他、MAGELLANで分析したいことはありますか?

同じメディア内で目的の違う広告を複数実施している場合、それが良く働く場合と悪く働く場合と両方あると思っています。例えば弊社の場合だと、YouTubeでブランディング広告とダイレクトレスポンス広告を両方実施しています。それがどのように影響しているのか、将来的にはその点も明らかにしていきたいと考えています。少しずつ分析論点を変えながら、仮説を立案・検証していきたいです。

究極の理想は「広告出稿をしないこと」

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

究極の理想は、広告出稿をしないことです。すべてオーガニックでユーザー獲得ができる状態が理想だと考えています。そのためには、ブランディングが重要です。当たり前のように第一想起に「Pairs」があり、一人ひとりのタイミングで使いたいと思った瞬間に思い出し、使い始め、周りの人に紹介するという流れを作りたいと思っています。

そのためにも、短期的な目標としては、より潜在層に近い方にも選ばれるようになりたいと考えています。今までは恋活・婚活に対して比較的積極的な方に選ばれてきました。これからはそこからさらに、「結婚はまだ考えていないけど恋人は欲しい」「結婚したいと思っているけど積極的になれない」という方たちにも選んでいただけるようになりたいと考えています。

株式会社BookLive

差別化が難しい業界でのポジショニング

Q. 担当業務を教えて下さい

私は電子書籍販売事業を担当しており、データ分析の力で施策の改善点を発見し、関係部門に共有するという立場におります。広告施策やサービス運営に関わる意思決定を迅速・的確に実行し、施策に移せるようにするという役割を担っています。広告施策を実行するマーケティング部と並走し、各施策の影響試算や目標設定を行うこともあれば、事業全体に関わる数字をまとめることもあり、横断的かつ総合的に事業全体に関与しています。定量・定性含め、事業成長にインパクトを与えられるような最適な意思決定を導くことがミッションです。

Q. 市場の特徴や貴社の状況を教えて下さい

電子書籍市場は出版科学研究所の調査によれば、20年度は前年比28%増の3,931億円と、「電子書籍元年」と呼ばれた約10年前から拡大の一途をたどっています。特に今年度は、コロナ禍により家で過ごす時間が増えたことや特定作品の爆発的なヒット、人気作家の電子化解禁などにより、高い伸長率となりました。 そのため新規参入する企業も多く、コモディティ化が進む中でいかに差別化を行い、事業拡大をしていくかが各社の課題でもあります。

その中で、ブックライブの特徴としては大きく3つあります。 1つ目は、代表の淡野がガラケー時代から約20年電子書籍に携わっており、可読性や機能向上など、デジタルデバイス上での読書について、使いやすさを追求し続けているサービスだという点です。直近では第3者機関から、顧客満足度の高いストアとして高評価もいただきました。

2つ目は、オリジナルコミックの制作にも力を入れている点です。ストア独自の作品を配信するという差別化はもとより、今人気のテーマやニーズの高いトピックスをストーリーに反映し、読者の反響を今後の展開に活かすなど、書店としての販売データやユーザーの声を取り入れた作品作りを行っています。

3つ目は、出版業界全体の拡大を目指し、リアル書店との連携も行っている点です。三省堂書店では店頭で電子書籍を購入することができ、また特定の紙本を購入すると同タイトルの電子版がもらえるサービスなどを展開しています。このように、紙と電子の垣根を越えて、ユーザーが読書を楽しめる環境づくりを積極的に推進しています。

時間がかかる仮説立て、結果検証をより迅速に行いたい

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

各広告施策への投資の妥当性を、より迅速に判断できる方法を探していました。Web上のサービスということもあり、これまでもオンライン広告の効果は立証がしやすく、数字を突き詰めることができていました。

一方で、効果可視化が難しいオフライン広告などの施策に関しては、相対的に意思決定が難しく、仮説立てから実行までに時間がかかっておりました。仮説立てから判断までのプロセスに問題があるとは思っていないのですが、どうしても仮説立て、結果の検証に時間がかかり、不確実性もはらむため、より迅速・妥当に施策の判断ができる方法を求めていました。

また、サイト内の施策は数字として結果が表れやすいため力を入れているのですが、それ以外の施策にどう力を入れていくべきか、判断しかねていたという課題もありました。

Q. MAGELLAN(マゼラン)を導入された理由を教えて下さい

オフラインの広告施策検証だけでなく、使い方によっては既存のお客様の維持定着の分析にも使えると思ったのが導入の決め手です。

業界の成長スピードよりも速いスピードで成長を目指す

Q. MAGELLANの分析結果に対する印象を教えて下さい

施策間の関係性がしっかりと形としてあらわれている印象を受けます。オンライン広告などの刈り取り施策は、直接の成果が数字で見えるのは当たり前ですが、それが自然検索やアプリのインストールにも波及していたことが明確化できたのは発見でした。

また、仮説に近い納得感のある結果だったため、ツールとしての確からしさも感じています。イメージしていたものを、今後しっかりと形にして解像度を上げてくれるのではと感じています。

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

まずは、できるところから投資配分の最適化を行っていき、年単位での投資配分の最適化についても上層部に提案していきたいと考えています。

また、現在は広告施策の分析が中心ですが、今後は既存のお客様のリピートや定着についての示唆を抽出するといった活用もしていきたいと思っています。カスタマージャーニーの設計は行っていますが、どういう体験をすると記憶に残してもらえるのかをロジカルに、また定量的に見ることができていません。施策間の関係性を見ることで、サイト内外でどういう体験をすると維持率や定着率が上がるのかを検証していきたいです。

とはいえ、まだまだ成長中の業界のため、その中でいかに速いペースで成長できるかが重要であり、この成長ペースを上げるためにも業界内のシェアを取っていく必要があります。そういう意味では、新規のお客様にどれだけ選んでいただけるかにもこだわっていきたいです。

誰もがやってこなかったことを実行する

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

事業視点だと、業界の成長スピードよりも速いスピードで成長していくことが目標です。その途上で、ブックライブを電子書籍の中で誰もが思い浮かべてくれるサービスにしたいと思っています。

担当業務の視点だと、投資や施策の実行を効率的、かつ迅速に行っていきたいです。これまでは、歴史の浅い業界ということで、他の業界をお手本にマーケティング戦略を考えてきました。これからは、他の業界もやっていないことや業界的な慣習でやってこなかったことを、いかに実行できるかが勝負の分かれ目になると思っています。そのためにも、数字を扱うだけの作業などはできるだけ自動化することで時間を短縮し、ロジカルな考えが必要とされる部分にもっと時間をかけていきたいと考えています。

株式会社NTTドコモ

熾烈な競争環境におけるドコモの強みとは

Q. 担当業務を教えて下さい

スマートライフビジネス本部では、動画配信や電子書籍をはじめとしたコンテンツサービスや、成長分野である金融・決済サービスなど、通信事業以外のサービスを運営しております。

私たちは、その中でもマーケティング推進担当として、サービス全体におけるマーケティング戦略・プロモーション戦略の立案・策定を行っています。全体を横串で捉え、どこに課題があるのか、またどこに成長の可能性があるのかを見極め、事業成長につながる投資の最適化を行っています。

Q. スマートライフ事業に関わる市場の特徴や、貴社の状況を教えて下さい

市場の特徴として、大手競合が多数存在することが挙げられます。競合が多い分、市場の成長スピードが速いため、しっかりと投資をし、差別化を図っていくことでポジションを確立していく必要があります。

競合との差別化において、ドコモの強みは3つあると考えています。 1つ目は、これまで築き上げてきた「顧客基盤」です。ドコモの回線をご利用いただいているお客様や、dポイントクラブなどの会員基盤を軸とすることで、マーケティング活動をさらに強化していきたいと考えています。

2つ目は、様々な事業を展開する「グループ各社のアセット」です。このアセットを活用することで、ドコモだけに閉じることなくグループ間のシナジーが期待できます。

そして3つ目は、蓄積された「膨大なデータ」です。お客様がどのような行動をされてサービスをお使いいただいているのかという、膨大なデータがドコモには蓄積されています。このデータの活用についてはまだ発展途上ではありますが、今後有効活用することで大きな強みになっていくと考えています。

役割ごとに担当部署が分かれており、全体最適が難しいと感じていた

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

サービスごと、さらには運用や発注などの役割ごとに担当部署が分かれており、全体最適が難しいと感じていました。目の前の目標を追求するあまり、それぞれのサービスや各々の役割に閉じた戦略や打ち手になっていることも少なくありませんでした。私たちの部署は、各部署を横串で捉え、全体の成果最大化へ導く役割となりますが、その判断をする上で最適な指標も探していました。

Q. MAGELLAN(マゼラン)を導入された理由を教えて下さい

MAGELLANを導入した理由は、主に2つありました。 1つ目は、オンオフ限らずメディアごとの効果が可視化できることです。特に、認知施策で活用することが多いオフライン広告の効果可視化に課題感を感じていました。例えば、テレビCMの場合、テレビCMの出稿期間や放映時間などをベースに効果を推計することは可能です。しかし、同時にオンライン広告も出稿しているため、純粋なテレビCMだけの効果を見ることは難しく、オンオフ統合した分析が必要だと考えていました。

2つ目は、最適な予算配分が算出可能なことです。これまでは、効果がわかるものに対して優先的に予算を配分することがほとんどでした。そのため、テレビCMなどの効果が可視化しにくい施策は、感覚としては効果があると思っていてもコスト効率化の流れの中では真っ先に予算の削減対象に挙がりやすいということもありました。MAGELLANによってメディアごとの正しい効果が可視化できれば、どのメディアにどのくらい投資をすべきかを、数値的根拠を持って判断できるようになると考えました。

MAGELLANの分析指標が、社内の共通指標に

Q. MAGELLANの分析結果に対する印象を教えて下さい

各施策の効果について、細かいところまでレポートで確認できる印象です。オンオフ含めたメディアごとの効果可視化以外にも、成果に対するCPAを比較し、どのメディアが最も効率が良かったのかも把握することができました。

また、各担当部署と意識のすり合わせをする上で、MAGELLANの分析指標が1つの共通指標になり始めていると感じています。もちろん、MAGELLANだけが正解ではなく、あくまで指標の1つとして捉えていますが、MAGELLANの分析指標を用いて各部署と話をする機会が増えつつあります。

Q. 今後、MAGELLANをどのように活用していきたいと考えていますか?

分析結果をもとに、具体的なアクションに落とし込むところまでやっていきたいと考えています。さらに、MAGELLANの分析結果だけではなく、他の判断材料も加味したプランニングを行っていきたいです。

また、属人的な運用にならないよう、他の担当者でもMAGELLANを活用できるような状態にしたいと思っています。

ドコモならではの強みを活かしたマーケティングを実現する

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

PDCAをさらに加速させていきたいと考えています。施策をやりっぱなしにするのではなく、振り返りをして次のアクションにつなげるまでのスピード感を大切にしていきたいです。

また、効率的なマーケティング手法はまだまだ模索中です。例えば、ドコモが所有するデータを活用したデータマーケティングを推進していくなど、ドコモの強みを活かしたマーケティングで事業成長を目指していきたいと考えています。

株式会社エイチームブライズ

最も大切にしている「相談力」が独自の強みに

Q. 担当業務を教えて下さい

サービスのブランド戦略を担当しています。当社では、ブランド戦略は経営戦略を考える上で、とても大切なものだと考えています。私たちのミッションは、結婚式をご検討されているカップルやパートナーである式場様に対し、理念を体現することです。

具体的にはテレビCM、交通広告、SNSなどの施策を通じ、ブランドの認知拡大やイメージの浸透を図っています。また、お客様との接点となるWebサイトや店舗におけるブランドイメージの統一化も行っています。

Q. 市場の特徴や貴社の状況を教えて下さい

市場の特徴としては、結婚式を挙げるカップルが年々減少傾向にあるということです。背景には入籍しても結婚式を挙げない「なし婚」を選択されるカップルの増加があるのですが、その要因は「金銭的な理由」や「準備が大変」「セレモニーが苦手」など多岐にわたります。悩みや不安の解決方法はカップルごとに異なるため、自分達だけでその悩みを解決するのはなかなか難しいもの。そこで、私たちハナユメはサービス開始当初からアドバイザーの「相談力」に力を入れ、「なし婚」の解消を目指しています。

例えばアドバイザーが結婚式の相談を受ける際には、おふたりの悩みや不安だけでなく、馴れ初めや週末の過ごし方までじっくりとヒアリングを行っています。こうした相談により、“理想の結婚式“が実現すると考えています。

この「相談力」を大切にし続けた結果、「結婚式場相談カウンターランキング」では4年連続No.1をいただくなど、業界内でも高い評価をいただいています。

※2017年~2020年 オリコン顧客満足度®ランキング 結婚式場相談カウンター 第1位

オフライン広告の効果可視化に課題を感じていた

Q. マーケティングにおける難しさを教えて下さい

実は、多くのカップルはご自身が結婚式に対して悩みを抱えていることに気づいていません。悩みが顕在化しない限り、相談しようという気持ちにはならないため、まずは悩みに気づいていただくことが必要です。そのため、ご自身の悩みに気づいていただくためのコミュニケーションに難しさを感じています。

そこで、テレビCMなどのクリエイティブでは、多くのカップルが抱えている悩みをわかりやすく訴求するように心掛けています。これにより、ご自身が潜在的に抱えていた悩みに気づいていただき、「ハナユメに相談することでその悩みを解決できる」ということを理解していただきたいと考えています。

Q. MAGELLAN(マゼラン)を導入された理由を教えて下さい

テレビCMや交通広告などのオフライン広告の出稿量が増える中、各媒体の効率をしっかりと見極め、最適な投資配分を行う必要があると考えたためです。

ハナユメはサイトを運営していることもあり、もともとはオンライン広告に注力していました。しかし、獲得施策を中心としたオンライン広告だけでは、悩みや不安を抱えるカップルへのアプローチに限界があるため、認知施策となるオフライン広告にも重きを置くようになりました。

オフライン広告は、オンライン広告のようにコンバージョン数やCPAなどで効果を測定することができません。これまでは、主に認知度調査による定点観測でオフライン広告の良し悪しを評価していました。また、過去の実績を通して、それぞれの媒体にどの程度投資をするべきかという肌感も持っていました。しかし、それが本当に適切な投資配分なのかと問われると、明確な数値的根拠を持って各媒体の効果を説明することが難しいため、課題を感じていました。そこで、オフライン広告を含めた各媒体の最適な投資配分を明らかにし、投資の効率を上げることを目的にMAGELLANの導入を決めました。

広告だけでなく、あらゆる経営資源の最適な投資配分を実現したい

Q. MAGELLANの分析結果に対する印象や、今後の活用方針を教えて下さい

MAGELLANの分析結果では、肌感通りの影響力を持つ媒体もあれば、想像を超えて成果に貢献している媒体もあったことが驚きでした。これからは、MAGELLANの示唆をもとに最適な広告投資配分を行い、結果を検証しながら効率改善を図っていきたいと考えています。

また、MAGELLANは広告だけでなく、売上を構成するすべての変数の定量化が可能です。例えば、コールセンターの数やサイトに掲載している式場数など、売上を構成する変数は広告以外にも複数存在します。将来的には広告だけでなく、あらゆる経営資源の最適な投資配分を検証し、全体最適を実現していきたいと考えています。

理念の体現に向けて、サービスの理解促進を目指す

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

一番に目指しているのは、「一組でも多くのカップルに“理想の結婚式”のきっかけを」という理念を体現することです。その上で、まずはカップルそれぞれに合った理想の結婚式をご提案できる体制を整え、ハナユメに相談したら絶対に解決してくれるという認知を定着させたいと考えています。今後はさらに認知を拡大し、悩みや不安を抱えた際は一人で抱えこまず、どんな些細なことでも悩みや不安をご相談いただける状態にすることを目指しています。

イオンクレジットサービス株式会社

さらに幅広い顧客層の獲得を目指し、広告施策を展開

Q. 担当業務を教えて下さい

営業本部はクレジットカードにおける新規入会者数の最大化をミッションとしています。 クレジットカードへの入会は店頭とネットの2つのチャネルから可能となっており、ネット会員推進部はネットにおける新規会員の獲得をミッションとしています。現状は店頭からの新規入会が多いのですが、ネット経由での新規入会も強化したいと考えています。

Q. 市場の特徴を教えて下さい

クレジットカード業界の特徴は2つあります。 1つ目は、多くのお客さまが一人複数枚のクレジットカードを所有し、買い物をする場所によって使い分けているということです。様々な決済手段が増える中で、各社がメインカードとして利用してもらう施策を行っています。

2つ目は、クレジットカード会社ごとに会員属性が異なるということです。お客さまは買い物をする場所において一番お得なクレジットカードを選択されるため、属性の違いが根強く現れます。例えば私たちの場合、イオングループの店舗にご来店いただいたお客さまにその場でご入会いただくことが多いため、家族のいる女性層の割合が高いです。一方、男性層やクレジットカードを初めて持ち始める若年層の割合はまだまだ低いため、今よりもさらに幅広い顧客層の獲得を目指し、広告施策を展開しています。

各広告施策の費用対効果が可視化できず、最適な予算配分が難しかった

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

各広告施策の費用対効果をしっかりと可視化できていないことが課題でした。オンライン広告は入会1件あたりいくら費用をかけているのかが明確です。一方で、テレビCMなどのオフライン広告は、かけた費用に対してどれくらいのリターンがあるのかを明確化することが難しく、そのため、的確な予算配分も難しいと感じていました。

Q. MAGELLAN(マゼラン)を導入された理由を教えて下さい

テレビCMなどのオフライン広告の費用対効果が可視化できるためです。年間の広告予算をどう効率的に活用していくかは常に議論していたところでした。また、決まった予算の中で成果最大化を目指したい中で、どのようにテレビCMを活用していくべきかを模索していました。

また、私たちの部署では新規会員の獲得に向けた広告施策を展開していますが、別の部署では既存会員向けに、利用促進を図る広告施策を展開しています。目的の異なる広告施策ですが、それぞれが相互に影響しあっている可能性があるのではないかという仮説があります。MAGELLANでこの相乗効果も深掘りし、最終的な成果最大化のための最適な予算配分を行いたいと考えました。

キャンペーンごとに細かく分析し、最適化を図る

Q. MAGELLANの分析結果に対する印象を教えて下さい

予想通りの結果でした。例えば、テレビCMを出稿することで検索などのオンライン広告の効果が高まり、入会につながると感じていましたが、実際にテレビCMにより新規入会者数が伸びていることが数字で明らかとなりました。一方で、テレビCM出稿にかかる費用が増加することよって、効率が下がる期間があることもわかりました。予算配分を最適化することで、新規入会者数を拡大しつつ、費用対効果も改善したいと考えています。

Q. 今後、MAGELLANをどのように活用していきたいと考えていますか?

今回は年単位のデータを用いて分析したため、大枠の傾向を見ることができました。次はキャンペーン単位で細かく分析する必要があると考えています。また、クレジットカードの需要は春に高まる傾向があるため、キャンペーン内容だけではなく、季節要因などでも効果が変わると考えています。今回の分析結果だけを今後すべての広告施策に当てはめるのではなく、より細かい単位で分析し、分析結果を蓄積していくことで、さらに最適化をしていきたいです。

また、クレジットカード業界でどういった傾向があるのかも確認したいと思っています。業界トレンドと自社で、有効な広告施策に違いがあるのかを見てみたいです。両方の分析結果をもとに、次回以降の最適な攻め方がわかるとおもしろいと思っています。

一番に投資すべきところを見極め、効率の最大化を目指す

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

新規会員の獲得効率を改善し続けたいです。2020年より拡大したコロナ禍で改めて痛感したのは、効率最大化がいかに鍵となるかということでした。一番に投資すべきところを見極め、効率最大化を目指したいです。

また、私たちの強みは店頭などのリアル領域ですが、その反面ネットなどのデジタル領域が弱い傾向にあります。この領域はまだまだ成長できる部分が多いため、ネット経由の新規入会者数を増やし、いかにお客さまにご利用いただき喜んでいただけるかを追求していきたいです。

株式会社コーセー

認知・興味関心・購入意向を指標に、購入の後押しを図る

Q. 担当業務を教えて下さい

私たちの部署は、各ブランドの宣伝・コミュニケーションを担当しています。ブランドの認知獲得から興味喚起・購入意向の促進をミッションとしており、購入の後押しを図る役目を担っています。

数あるブランドの中、今回MAGELLAN(マゼラン)を導入したブランドは「雪肌精」になります。

宣伝部 宣伝企画・PR二課 課長 千葉 拓也様

Q. 市場の特徴やマーケティングにおける難しさを教えて下さい

まず、市場の特徴は大きく2つあります。 1つ目は、商品種類が豊富で販売チャネルが多様化していることです。ひとえに化粧品・スキンケア商品と言いましても、比較的低価格帯で、ドラッグストアなどの量販店で販売する商品もあれば、高価格帯で、百貨店などでカウンセリングを実施して販売する商品もあります。また、ECでの販売も一定あり、販売チャネルの多様化が進んでいます。

2つ目は、トレンドの影響を受けやすく、市場の変化が速いことです。以前と比べると、お客様の趣味嗜好が多様化しており、トレンドの変化も速くなっていると感じています。そのため、昨年成功した宣伝・コミュニケーションが今年は通用しないなど、市場特有のマーケティングの難しさがあります。

また、昨今はコロナにより市場全体が大きな影響を受けました。外出自粛に伴う店頭で商品をお試しいただく機会の減少や、お客様が情報を得る手段の変化があったため、この変化をすばやく捉えることは大変でした。

変化の時代に実現した「雪肌精」のリブランディング

Q. 変化の激しい時代の中、貴社のマーケティング戦略にも変化はありましたか?

コロナ禍でマスク生活が続き、お肌のお悩みを抱えるようになった方が増えたことや、自宅でゆっくりとケアできる商品へのニーズが高まったこともあり、スキンケア商品は伸びを見せています。そのため、全体最適の一環として、スキンケア商品への予算アロケーションを行いました。

「雪肌精」は、さらなるグローバル化の加速と、新しいお客さまとの接点拡大を目指して2020年9月に誕生35周年で初のリブランディングを実施しました。

雪肌精を長年愛用してくださっているお客様は、年月とともに少しずつ世代が上がってきているため、20~30代を中心とした新しい顧客層に向けたブランディングが必要だと考えています。そのため、新たなミューズ起用やデジタル施策の強化を図りました。

さらに、「Gift from the Earth~SEKKISEI Clarity~」をブランドの新しい価値とし、肌だけでなく、地球環境にも、より優しいブランドとして生まれ変わりました。これまでも「SAVE the BLUE」プロジェクトという、サンゴの保全活動等を行ってきましたが、更に地球環境へ配慮した容器設計に変更するなど、今まで以上にサステナビリティを考慮した取り組みを行っています。

宣伝部 宣伝企画・PR一課 山内 鞠那様

新たに「売上」を指標に、プロモーションの効果可視化を図る

Q. MAGELLANを導入された理由を教えて下さい

認知・興味関心・購入意向という指標以外に、新たに「売上」という指標のもと、プロモーションの効果を可視化したいと考えたためです。これまでの調査において、認知・興味関心・購入意向に対するプロモーションの効果は把握できていました。しかし、実際に売上に対してどのプロモーションが貢献していて、どこに課題があるのかまではなかなか見出すことができていませんでした。 また、リブランディングの結果についても、売上と紐づけてみることで改めて成果を可視化したいと考えました。

加えて、ECなどオンラインの売上に対する効果はある程度可視化できていますが、大半を占める店頭などのオフラインの売上に対する効果可視化は難しいと感じていたため、MAGELLANで分析したいと考えました。 もちろん、プロモーションを展開する上で、認知などのアッパーファネルが大切なことは理解しています。ただ、売上に対する貢献度を可視化することで、今後どのようなプロモーションが最適なのかやどのように予算をアロケーションすべきかなど、より具体的な改善点を見出すことができると考えています。

プロモーションだけが売上に影響を与えるわけではありません。コロナや店頭販促・競合の出稿など、様々な要因が影響しています。これまでの調査は、どちらかというとプロモーションに閉じたものが中心でしたが、プロモーション以外の外部要因も含め、より広い視野を持って調査を行いたいと考え、今回、MAGELLANの導入を決めました。

また、今後はスポットではなく定常的に調査を行うことで、プロモーションにおける高速PDCAを回していきたいと考えています。費用面やアウトプットまでのスピード感といったところも、MAGELLANは私たちの課題に対するソリューションとしてマッチしていると考えています。

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

まずは、これまでの調査では可視化できなかったプロモーションと売上との相関性を可視化したいです。過去の調査結果や経験値をもとに設計してきたプロモーションがどれだけ売上に貢献していたのか、その良し悪しを明らかにしたいと考えています。

また、外部要因の影響も可視化することで、プロモーションの効率化を図りたいと考えています。例えば新商品に関して、これまでは棚取りを考慮し、発売日に合わせたプロモーションを展開してきましたが、実は発売日に合わせるよりも効果的なプロモーションタイミングがあるかもしれません。時期の最適設計はあくまで一例ですが、このように次につながるアウトプットを得られることを期待しています。ブランドがどこに進んでいくべきか、その方向性を見極める材料を得られたら嬉しいです。今は雪肌精でMAGELLANを導入していますが、今後は他のブランドにも展開していけたらいいですね。

データを正しく扱い、理解することで、 変化の先をいく新しい宣伝・コミュニケーションを実現したい

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

デジタルシフトが進み、様々なデータが手に入るようになりましたが、「どのデータをどのように扱うか」が重要だと考えています。データ自体は嘘をつきません。ですので、収集できるデータはきちんと収集すべきです。ただし、データがすべての正解を出すわけではないということは、肝に銘じておく必要があります。どのデータをどのように扱い、どのように理解するかが大事だと考えています。 データをうまく活用することで、世の中の変化に正確についていくだけでなく、スピード感をもって対応していくことで、変化の先をいくような新しい宣伝・コミュニケーションを目指していきたいです。

株式会社秀英予備校

少子化の進行や地域特性、商圏エリアの狭さといった 市場特有のマーケティング課題

Q. 担当業務を教えて下さい

私が所属する広告宣伝課は、戦略策定から企画・制作、そのディレクションまで、広告出稿に関する業務全般を担当しています。チラシやパンフレット、テレビCMやWeb広告などの施策を実施していますが、私はその中でも主にWeb広告を担当しています。

Q. 市場特有のマーケティングにおける難しさを教えて下さい

大きく3つあります。 1つ目は、少子化によりターゲットの母数が少なくなりつつあることです。首都圏に関しては、まだそこまで大きな影響はないのですが、特に地方都市は少子化が進んでいる印象があります。

2つ目は、地域ごとに選ばれる学習塾が異なることです。地域によって競合も異なれば、弊社のブランド力も異なります。その地域ごとに特色があるため、同じプロモーションを展開したとしても、効果がまったく異なることがあるのです。そのため、現場のスタッフと話し合いながら、地域の特色に合わせた訴求を行うことを徹底し、対策を強化しています。

3つ目は、商圏エリアが限られてしまうことです。前提として、通いやすさが重要視されるため、自宅から通える距離の学習塾という点が重視されます。Web検索で見つけていただいたとしても、自宅から通えないと判断された場合は、お申込みいただけないケースも多々あるのです。そのため、私たちの業界では、特定エリアに配布ができるチラシが長らく重宝されてきたのですが、時代の移り変わりとともに、そのチラシの効果も薄れつつあると感じています。

テレビCMなど各施策の “正しい” 広告効果を可視化し、 最適な予算配分を実現したい

Q. MAGELLANを導入いただく前のプロモーションの課題を教えて下さい

まずはチラシについて、効果が薄れつつあると感じながらも、次の一手をどう打つべきか見極めきれていないという課題がありました。チラシには、施策ごとに個別のIP電話番号を付与しているため、直接お問い合わせにつながった効果は計測が可能です。そのため、徐々に購読率が下がり、チラシの効果も薄れてきていることは把握できていたのですが、以前は広告費のほとんどをチラシに投資する時期もあったほどチラシを活用してきたため、チラシへの投資を本当に削るべきかの判断が難しいと感じていました。また、削るにしてもどれくらい削るべきなのかを見極めきれていなく、最適な予算配分を実現するためのロジックが足りていない状況でした。

さらに、テレビCMについては効果の把握が難しく、どう評価すべきか長年悩んでいる状況でした。これまでの経験値やエリアコストを見比べるなどして予算配分を行っていましたが、チラシ同様、ロジックに基づいた予算配分ができていないという課題を抱えていました。

Q. MAGELLANを導入された理由を教えて下さい

先ほどご説明した課題にもつながることですが、まずはテレビCMを含む各施策の “正しい” 広告効果を可視化したいと考えたからです。“正しい” というのは、直接効果だけでなく、他施策へのアシスト効果までを含めた広告効果という意味です。チラシやWeb広告などは効果を計測できているものの、直接効果しか把握できていません。そのため、アシスト効果も含めて、各施策が一体どれくらいお問い合わせ件数に影響を与えているのかを把握したいと思っていました。

その結果をもとに、最適予算配分のシミュレーションができるというのも導入の決め手の1つです。広告効果を可視化できるサービスは他にもありますが、そのほとんどが可視化に終始したものばかりです。一方、MAGELLANであれば予算配分の最適化、さらには、その結果、売上がどれくらい拡大するのかの予測シミュレーションも可能という点が魅力的でした。数値的根拠をもとに、今後のプロモーションについての示唆を得たいと考えました。

また、専属のコンサルタントが分析結果をレポーティングしてくれる点も良いですね。

季節性を加味した分析など、 より細かな粒度で広告効果を可視化していきたい

Q. MAGELLANの分析結果に対する印象を教えて下さい

まず、アシスト効果など、これまで可視化できなかった部分が可視化できたことには驚きました。基本的には肌感に合う分析結果でしたが、例えばテレビCMは想像したよりも効果があったため、この結果は今後のプロモーションに反映できたらと考えています。

他にも、各施策から自社サイトだけでなく、学習塾検索サイトへ流入する割合を可視化できたのも興味深かったです。各施策の効果だけでなく、その因果関係までをずっと把握したいと思っていました。

もちろん、分析結果をすべて鵜吞みにしているわけではありません。本当にそうなのかと疑念を抱いている部分もありますので、一度アクションしてみることで、今後検証していきたいと考えています。

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

今後は、まだ可視化できていないことを、より粒度を細かくして可視化していきたいです。例えば、市場の特徴として、春・夏・冬の講習の時期にお申込みが増えるのですが、季節によって各施策の効果が異なるのではないかという仮説があります。弊社は、特に夏期講習のお申込みが多いのですが、こうした季節性による効果の差分も明らかにしていくことで、春・夏・冬それぞれに最適なプロモーションを展開したいと考えています。

また、Web広告に関しては、今は刈り取り施策が中心となっているため、認知獲得につながるような施策も実施し、その直接効果・アシスト効果を可視化していきたいです。

説明責任を果たし、 全員が納得した上でプロモーションを実施する

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

当たり前のことではありますが、現場スタッフや経営層に対して、どういうプロモーションを展開することで売上拡大が見込めるのか、しっかりと説明できることが理想です。そのためにも、これまで可視化できなかったものはすべて可視化し、全員が納得した上でプロモーションを実施したいです。プロとして、ロジックをきちんと提示できるというのが理想ですね。