株式会社BookLive

国内最大級の総合電子書籍ストア「ブックライブ」を運営。電⼦書籍・電子コミックを販売するストア事業を主軸に、オリジナル作品のコンテンツ開発・アプリ展開にも力を入れている。

事業成長へつながる施策判断を、より迅速・妥当に行える方法を探していた

差別化が難しい業界でのポジショニング

Q. 担当業務を教えて下さい

私は電子書籍販売事業を担当しており、データ分析の力で施策の改善点を発見し、関係部門に共有するという立場におります。広告施策やサービス運営に関わる意思決定を迅速・的確に実行し、施策に移せるようにするという役割を担っています。広告施策を実行するマーケティング部と並走し、各施策の影響試算や目標設定を行うこともあれば、事業全体に関わる数字をまとめることもあり、横断的かつ総合的に事業全体に関与しています。定量・定性含め、事業成長にインパクトを与えられるような最適な意思決定を導くことがミッションです。

Q. 市場の特徴や貴社の状況を教えて下さい

電子書籍市場は出版科学研究所の調査によれば、20年度は前年比28%増の3,931億円と、「電子書籍元年」と呼ばれた約10年前から拡大の一途をたどっています。特に今年度は、コロナ禍により家で過ごす時間が増えたことや特定作品の爆発的なヒット、人気作家の電子化解禁などにより、高い伸長率となりました。 そのため新規参入する企業も多く、コモディティ化が進む中でいかに差別化を行い、事業拡大をしていくかが各社の課題でもあります。

その中で、ブックライブの特徴としては大きく3つあります。 1つ目は、代表の淡野がガラケー時代から約20年電子書籍に携わっており、可読性や機能向上など、デジタルデバイス上での読書について、使いやすさを追求し続けているサービスだという点です。直近では第3者機関から、顧客満足度の高いストアとして高評価もいただきました。

2つ目は、オリジナルコミックの制作にも力を入れている点です。ストア独自の作品を配信するという差別化はもとより、今人気のテーマやニーズの高いトピックスをストーリーに反映し、読者の反響を今後の展開に活かすなど、書店としての販売データやユーザーの声を取り入れた作品作りを行っています。

3つ目は、出版業界全体の拡大を目指し、リアル書店との連携も行っている点です。三省堂書店では店頭で電子書籍を購入することができ、また特定の紙本を購入すると同タイトルの電子版がもらえるサービスなどを展開しています。このように、紙と電子の垣根を越えて、ユーザーが読書を楽しめる環境づくりを積極的に推進しています。

時間がかかる仮説立て、結果検証をより迅速に行いたい

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

各広告施策への投資の妥当性を、より迅速に判断できる方法を探していました。Web上のサービスということもあり、これまでもオンライン広告の効果は立証がしやすく、数字を突き詰めることができていました。

一方で、効果可視化が難しいオフライン広告などの施策に関しては、相対的に意思決定が難しく、仮説立てから実行までに時間がかかっておりました。仮説立てから判断までのプロセスに問題があるとは思っていないのですが、どうしても仮説立て、結果の検証に時間がかかり、不確実性もはらむため、より迅速・妥当に施策の判断ができる方法を求めていました。

また、サイト内の施策は数字として結果が表れやすいため力を入れているのですが、それ以外の施策にどう力を入れていくべきか、判断しかねていたという課題もありました。

Q. MAGELLAN(マゼラン)を導入された理由を教えて下さい

オフラインの広告施策検証だけでなく、使い方によっては既存のお客様の維持定着の分析にも使えると思ったのが導入の決め手です。

業界の成長スピードよりも速いスピードで成長を目指す

Q. MAGELLANの分析結果に対する印象を教えて下さい

施策間の関係性がしっかりと形としてあらわれている印象を受けます。オンライン広告などの刈り取り施策は、直接の成果が数字で見えるのは当たり前ですが、それが自然検索やアプリのインストールにも波及していたことが明確化できたのは発見でした。

また、仮説に近い納得感のある結果だったため、ツールとしての確からしさも感じています。イメージしていたものを、今後しっかりと形にして解像度を上げてくれるのではと感じています。

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

まずは、できるところから投資配分の最適化を行っていき、年単位での投資配分の最適化についても上層部に提案していきたいと考えています。

また、現在は広告施策の分析が中心ですが、今後は既存のお客様のリピートや定着についての示唆を抽出するといった活用もしていきたいと思っています。カスタマージャーニーの設計は行っていますが、どういう体験をすると記憶に残してもらえるのかをロジカルに、また定量的に見ることができていません。施策間の関係性を見ることで、サイト内外でどういう体験をすると維持率や定着率が上がるのかを検証していきたいです。

とはいえ、まだまだ成長中の業界のため、その中でいかに速いペースで成長できるかが重要であり、この成長ペースを上げるためにも業界内のシェアを取っていく必要があります。そういう意味では、新規のお客様にどれだけ選んでいただけるかにもこだわっていきたいです。

誰もがやってこなかったことを実行する

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

事業視点だと、業界の成長スピードよりも速いスピードで成長していくことが目標です。その途上で、ブックライブを電子書籍の中で誰もが思い浮かべてくれるサービスにしたいと思っています。

担当業務の視点だと、投資や施策の実行を効率的、かつ迅速に行っていきたいです。これまでは、歴史の浅い業界ということで、他の業界をお手本にマーケティング戦略を考えてきました。これからは、他の業界もやっていないことや業界的な慣習でやってこなかったことを、いかに実行できるかが勝負の分かれ目になると思っています。そのためにも、数字を扱うだけの作業などはできるだけ自動化することで時間を短縮し、ロジカルな考えが必要とされる部分にもっと時間をかけていきたいと考えています。

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消費者意識と事業成果の構造を解明し、コミュニケーションの最適化を図る

渉外・コミュニケーション統括本部 ブランド・コミュニケーション本部長
馬場 剛史 氏

事業概要
スマートフォン・携帯電話など従来の通信サービスを中心に、幅広い事業を展開。基盤となる通信を核に、コマース・金融・エネルギー・エンターテインメント・教育などのライフデザインサービスを連携しながら拡充することで、新たな体験価値の提供を目指しています。