青山商事株式会社

社内外のリブランディングやブランド認知・売上の拡大を図る

Q. 担当業務を教えて下さい

平松様:2019年10月に新設したリブランディング推進室において、洋服の青山のリブランディング業務を担当しています。具体的には、新しいブランドパーパスである「ビジネスのパフォーマンスを上げるパーツを提供する会社になる」を軸に、マーケティング施策やPR施策を行っています。また、社内における組織風土改革なども一貫して行い、ビジネスウェア事業の再構築を目指しています。

薮田様:マーケティング部のデジタルマーケティンググループに所属しており、オンライン広告を活用したブランド認知や売上の拡大をミッションとしています。バナー広告や検索広告、SNSを活用したプロモーションなどを実施して新規顧客の獲得を目指すだけではなく、アプリやメルマガなどを活用した既存顧客の購入率やLTVの向上も図っています。

自分ごと化されるブランドになるために ――お客様とのコミュニケーションを活性化する様々なキャンペーンを実施

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

洋服の青山のブランド認知は99%を超えており、ブランド名も、スーツを扱っている企業だということも広く知られています。一方で、多くのお客様に「自分には関係のないブランドだ」と思われている点が課題として挙げられます。自分ごと化されていないため、全国に707店舗、全都道府県に店舗があるにもかかわらず、近所にある店舗の存在に気づいてもらえないことがあるのです。「自分に関係のあるブランド」「買いたいものがあるブランド」だといかに認識していただくか、ここにマーケティングの難しさを感じています。

この課題に対する打ち手として着目したのが、SNSです。20代~40代といった最もボリュームのあるビジネスパーソン層にリーチできることから、リブランディング推進室が立ち上がってすぐにTwitterキャンペーンを実施しました。もともと、当社のSNSではスーツばかりを打ち出してきたのですが、市場調査の結果、実はスーツは2年に1回ほどしかご購入いただけないことがわかりました。そこで、購入率やLTVの向上を図るべく、比較的購入頻度の高いワイシャツを全面に打ち出すことにしました。その取組みの一例が、ノンアイロンワイシャツを10円で販売するキャンペーンです。綿100%のノンアイロンワイシャツで皺になりにくいものはめずらしく、一度商品を体験いただければリピーターになるはずだと考えました。キャンペーン実施後は、Twitterから着心地などの感想コメントを集め、店頭POPに反映することでPR施策にも活かすことができました。いかに多くのお客様に商品を体験いただけるタイミングを提供できるかを意識し、また持っているアセットを最大限活用することで、自分ごと化していただくための施策が実施できたと感じています。

※ 2021年6月末時点

「ノンアイロンワイシャツ10円キャンペーン」のTwitter投稿画像

また現在、リブランディング推進室のもと、改めてお客様に向き合うべく様々な施策に取り組んでいます。例えば、先日も新たな施策として、思わず悩みを打ち明けてしまうような聞き上手なチャットボット「AIチャットボット スナックママ よしこ」を導入しました。これまでの常識に囚われず、いかにお客様とのコミュニケーションを常時取り続けられるようにするかという観点で、施策を企画・実施しています。

一方で、リーディングカンパニーとして成功してきたからこそ、このようなこれまでにはない新しい施策や考え方に対して、社内のハードルは高くなる傾向にあります。そのため、会社を中からも変えていき、社内外のリブランディングを同時並行で進めていきたいと考えています。

お客様との新たなコミュニケーション強化施策「AIチャットボット スナックママ よしこ」

オフライン広告の効果を可視化し、数値をもとに最適な予算配分を実現したい

Q. MAGELLAN(マゼラン)を導入された理由を教えて下さい

導入理由は2つあります。 1つ目は、テレビCMやチラシなど、オフライン広告の効果を数値で可視化するためです。オンライン広告は分析ツールもいろいろとあり、ある程度は効果分析ができています。一方で、オフライン広告は効果の可視化ができず、費用対効果の分析が難しいため、前年踏襲型の予算配分になっていることが課題でした。MAGELLANであればオフライン広告の直接効果だけではなく、オンライン広告との相乗効果まで可視化できるため、適切な媒体評価ができ、最適な予算配分が可能になると考えました。

2つ目は、エリアごとに細かく分析できるためです。以前実施した独自調査で、テレビCMとチラシのどちらも効果がありそうな地域と、どちらも効果がないと思われる地域があることがわかりました。しかし、その調査では差が出ている理由まで突き止めることができず、もどかしさを感じていました。MAGELLANはエリアごとに詳細に分析が可能なため、この差分を明らかにできると考えました。今のエリア分析で有益な示唆が得られた際には、さらにエリアを広げて細かく分析していきたいです。

Q. 特に検証したい仮説などはありますか?

エリアの話でいうと、例えば首都圏とローカルや、ローカルの中でも都市部の地域とそうではない地域で効果のある媒体に違いがあるのかを見極めたいと思っています。首都圏や都市部の地域であるほど、テレビCMの効果は薄れるのではないかと考えており、その仮説をMAGELLANでしっかりと検証したいです。

また、チラシに投資価値があるのかも分析したいです。仮説として、チラシを見てご来店いただく方は既存のお客様が多いのではないかと考えています。もしそうあれば、チラシの代わりにアプリやメルマガを実施するほうが効率的な可能性もあります。広く認知させるという意味で、テレビCMの補完としてチラシに効果があると良いのですが、本当に投資価値があるのか、これからの分析結果が楽しみです。

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

まずは、広告予算の中でも大きな割合を占めるオフライン広告の効果を可視化し、数値をもとに最適な予算配分を行いたいです。無尽蔵に広告予算があるわけではありませんので、前年踏襲型の予算配分を見直すことで、オンライン広告・オフライン広告の予算最適化と施策全体の最適化を目指しています。

また、新入学や新入社のタイミングでファーストスーツの需要が高まる次のフレッシャーズ時期(1月~3月)に最適な広告施策が実施できるよう、MAGELLANでこれまでのアクションを分析し、次回に向けての有益な示唆が得られたらと考えています。

ビジネスウェア専門店の殻を破った“オンリーワン”のポジションを目指す

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

お客様に、私たちの商品だからこそ欲しいと思っていただき、指名買いいただける状態にすることが理想です。そのために、情報が必要な方に広告が届き、欲しいと思っていただき、ご購入いただくというサイクルを回し続けることを大切にしたいです。

また、今後はブランドパーパスを軸に、“ビジネスウェア専門店”数社の中の一社としてではなく、そこから一歩抜き出た“オンリーワン”のポジションを築いていきたいです。

株式会社コーセー

認知・興味関心・購入意向を指標に、購入の後押しを図る

Q. 担当業務を教えて下さい

私たちの部署は、各ブランドの宣伝・コミュニケーションを担当しています。ブランドの認知獲得から興味喚起・購入意向の促進をミッションとしており、購入の後押しを図る役目を担っています。

数あるブランドの中、今回MAGELLAN(マゼラン)を導入したブランドは「雪肌精」になります。

宣伝部 宣伝企画・PR二課 課長 千葉 拓也様

Q. 市場の特徴やマーケティングにおける難しさを教えて下さい

まず、市場の特徴は大きく2つあります。 1つ目は、商品種類が豊富で販売チャネルが多様化していることです。ひとえに化粧品・スキンケア商品と言いましても、比較的低価格帯で、ドラッグストアなどの量販店で販売する商品もあれば、高価格帯で、百貨店などでカウンセリングを実施して販売する商品もあります。また、ECでの販売も一定あり、販売チャネルの多様化が進んでいます。

2つ目は、トレンドの影響を受けやすく、市場の変化が速いことです。以前と比べると、お客様の趣味嗜好が多様化しており、トレンドの変化も速くなっていると感じています。そのため、昨年成功した宣伝・コミュニケーションが今年は通用しないなど、市場特有のマーケティングの難しさがあります。

また、昨今はコロナにより市場全体が大きな影響を受けました。外出自粛に伴う店頭で商品をお試しいただく機会の減少や、お客様が情報を得る手段の変化があったため、この変化をすばやく捉えることは大変でした。

変化の時代に実現した「雪肌精」のリブランディング

Q. 変化の激しい時代の中、貴社のマーケティング戦略にも変化はありましたか?

コロナ禍でマスク生活が続き、お肌のお悩みを抱えるようになった方が増えたことや、自宅でゆっくりとケアできる商品へのニーズが高まったこともあり、スキンケア商品は伸びを見せています。そのため、全体最適の一環として、スキンケア商品への予算アロケーションを行いました。

「雪肌精」は、さらなるグローバル化の加速と、新しいお客さまとの接点拡大を目指して2020年9月に誕生35周年で初のリブランディングを実施しました。

雪肌精を長年愛用してくださっているお客様は、年月とともに少しずつ世代が上がってきているため、20~30代を中心とした新しい顧客層に向けたブランディングが必要だと考えています。そのため、新たなミューズ起用やデジタル施策の強化を図りました。

さらに、「Gift from the Earth~SEKKISEI Clarity~」をブランドの新しい価値とし、肌だけでなく、地球環境にも、より優しいブランドとして生まれ変わりました。これまでも「SAVE the BLUE」プロジェクトという、サンゴの保全活動等を行ってきましたが、更に地球環境へ配慮した容器設計に変更するなど、今まで以上にサステナビリティを考慮した取り組みを行っています。

宣伝部 宣伝企画・PR一課 山内 鞠那様

新たに「売上」を指標に、プロモーションの効果可視化を図る

Q. MAGELLANを導入された理由を教えて下さい

認知・興味関心・購入意向という指標以外に、新たに「売上」という指標のもと、プロモーションの効果を可視化したいと考えたためです。これまでの調査において、認知・興味関心・購入意向に対するプロモーションの効果は把握できていました。しかし、実際に売上に対してどのプロモーションが貢献していて、どこに課題があるのかまではなかなか見出すことができていませんでした。 また、リブランディングの結果についても、売上と紐づけてみることで改めて成果を可視化したいと考えました。

加えて、ECなどオンラインの売上に対する効果はある程度可視化できていますが、大半を占める店頭などのオフラインの売上に対する効果可視化は難しいと感じていたため、MAGELLANで分析したいと考えました。 もちろん、プロモーションを展開する上で、認知などのアッパーファネルが大切なことは理解しています。ただ、売上に対する貢献度を可視化することで、今後どのようなプロモーションが最適なのかやどのように予算をアロケーションすべきかなど、より具体的な改善点を見出すことができると考えています。

プロモーションだけが売上に影響を与えるわけではありません。コロナや店頭販促・競合の出稿など、様々な要因が影響しています。これまでの調査は、どちらかというとプロモーションに閉じたものが中心でしたが、プロモーション以外の外部要因も含め、より広い視野を持って調査を行いたいと考え、今回、MAGELLANの導入を決めました。

また、今後はスポットではなく定常的に調査を行うことで、プロモーションにおける高速PDCAを回していきたいと考えています。費用面やアウトプットまでのスピード感といったところも、MAGELLANは私たちの課題に対するソリューションとしてマッチしていると考えています。

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

まずは、これまでの調査では可視化できなかったプロモーションと売上との相関性を可視化したいです。過去の調査結果や経験値をもとに設計してきたプロモーションがどれだけ売上に貢献していたのか、その良し悪しを明らかにしたいと考えています。

また、外部要因の影響も可視化することで、プロモーションの効率化を図りたいと考えています。例えば新商品に関して、これまでは棚取りを考慮し、発売日に合わせたプロモーションを展開してきましたが、実は発売日に合わせるよりも効果的なプロモーションタイミングがあるかもしれません。時期の最適設計はあくまで一例ですが、このように次につながるアウトプットを得られることを期待しています。ブランドがどこに進んでいくべきか、その方向性を見極める材料を得られたら嬉しいです。今は雪肌精でMAGELLANを導入していますが、今後は他のブランドにも展開していけたらいいですね。

データを正しく扱い、理解することで、 変化の先をいく新しい宣伝・コミュニケーションを実現したい

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

デジタルシフトが進み、様々なデータが手に入るようになりましたが、「どのデータをどのように扱うか」が重要だと考えています。データ自体は嘘をつきません。ですので、収集できるデータはきちんと収集すべきです。ただし、データがすべての正解を出すわけではないということは、肝に銘じておく必要があります。どのデータをどのように扱い、どのように理解するかが大事だと考えています。 データをうまく活用することで、世の中の変化に正確についていくだけでなく、スピード感をもって対応していくことで、変化の先をいくような新しい宣伝・コミュニケーションを目指していきたいです。