MMM分析ソリューションの比較:自社か?広告代理店やコンサルティング会社に委託するか?メリットとデメリットを解説
MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)の導入を検討している方や、既にMMMを活用しているが代替ソリューションを検討したい方へ、4つの主なMMMソリューションに関するメリットとデメリット、さらに各ソリューションがそれぞれどのような企業に向いているかを紹介します。
目次
MMMについて
消費者との接点が急激に増えたことで、マーケティング施策の効果測定がますます複雑になってきました。加えて、コロナ禍による消費者のライフスタイルの変化や、企業においてはマーケティング投資判断がよりシビアになるなど、多くの企業がこれらの難しいマーケティングの課題に直面しています。
MMMは、マーケティング施策や施策外の活動が、売上などの事業成果に与える影響を定量化するのに役立つ、統計手法を用いた分析方法です。複数の要因を分析し、それらが事業成果にどのように影響するかを評価できます。AppleのiOSをはじめその他プラットフォームでも実行されている個人情報保護規制により、使用できるユーザーデータが大幅に少なくなる可能性があるなか、MMMはCookieを利用しないプライバシーに配慮した手法なため、マーケティング施策の効果測定および投資最適化のソリューションとして、現在注目が高まっています。
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変化の激しい時代、事業成果を最大化するための広告投資の最適化方法とは?
自社に最適なMMMソリューションを選定するには
導入するMMMソリューションの比較に入る前に、自社のビジネスモデルやマーケティング活動、それに従って分析に必要となってくるデータなどを洗い出した方が良いでしょう。
業界・ビジネスモデルの状況を整理する
- 分析する商品、サービスの数
- 販売形態(実店舗、EC、両方)
- 流通形態(直販、代理店、両方)
- 季節性の有無
マーケティング活動の現状を整理する
- マーケティングミックスの多様性
- オフライン媒体の活用度合
- 年間の広告宣伝費
広告出稿および成果データの量と質を整理する
- 所有しているデータセットは何か?(各メディアへの投資額、各メディアのインプレッション数やGRP、オンライン/オフラインのコンバージョン数や販売数、各種販売促進のデータなど)
- MMM分析に十分なデータ量か?(通常は1~3年分のデータが必要)
- MMM分析に必要な粒度のデータか?(日次~週次に分類されている必要がある)
自社の状況を確認した上で、4つの主なMMMソリューションを見ていきましょう。
MMMソリューション#1:社内チームによる分析
MMM分析を自社で行うための人材を集める方法です。
有効活用できるMMMのためには分析、メディアやデータの専門家など、経験豊富なチームが必要になります。
他のソリューションを通してすでにMMMの経験が豊富な大手グローバル企業などは、このように社内チームによるMMMソリューション開発をすることもありますが、多くの企業ではこの方法に踏みきらないことがほとんどです。
メリット
- 自社のデータを深く理解したチームによる分析ができる
- 最大限にカスタマイズできる
- 分析に利用するすべてのデータを社内に保持している
デメリット
- データサイエンティストなどの経験豊富な専門家チームの採用とトレーニングに高いコストがかかる
- 分析結果を上手く実用的な洞察に解釈できないリスクがある
向いている企業
- 外部パートナーにデータを提供できない企業
- 長期間にわたって、社内チームでのMMM分析を実施するための人的・金銭的投資ができる企業
MMM分析に留まらず、マーケティング分析を社内で行うメリットとデメリットについてこちらの詳細記事も是非ご覧ください。
マーケティング分析のインハウス化|メリットとデメリットを解説
MMMソリューション#2:広告代理店による分析
広告代理店をアサインしてMMMプロジェクトをリードしてもらう方法です。社内チームと比較して必要な人的リソースを抑制しつつ、広告代理店を通したメディアのパフォーマンスを把握することができます。
メディアバイイングを担当している広告代理店にメディア投資の結果を分析してもらうことは理にかなっているので、多くの企業が実施しているソリューションです。
メリット
- 広告代理店がプロジェクトをリードしてくれる
- 出稿を担当した媒体に関する分析になるため、必要なデータは部分的に持っている
デメリット
- 1回のMMM分析の価格は高額である場合が多く、さらに分析回数が増える度に追加費用が発生する
- 分析結果が出るまで半年以上かかる場合がある
- 利益相反の可能性が疑われる場合がある(広告代理店がメディアバイイングも担当している場合)
向いている企業
- メディアミックスが単純、またはMMMサービスのある1社の広告代理店としか取引がない企業
MMMソリューション#3:コンサルティング会社による分析
広告代理店と比べると、MMM分析プロジェクトの価格が上がる一方で、分析結果の質が高い傾向があります。
コンサルティング会社が提供するMMM分析は、通常はかなり高額ですが、自社のビジネスモデルやメディアミックスが複雑な場合でも、柔軟にカスタマイズができます。
また、本業がコンサルティングなので、分析結果の解釈とそれに基づいた提案力も期待できます。
メリット
- コンサルティング会社がMMMプロジェクトをリードしてくれる
- 包括的な分析ができる
- 分析結果に基づいた実用的なインサイトと推奨アクションの提案がもらえる
- 中立性のあるパートナー関係を築ける
デメリット
- 数千万円を超える高額な費用がかかる(コンサルティング費用と別途)
- 1回のMMM分析提供で終わる場合が多く、モデル更新(データ追加や訂正など)の度に追加費用がかかる
- 分析結果が出るまで半年以上かかる場合がある
- 分析に必要なデータ収集に工数がかかる
向いている企業
- MMM分析が急務であり、一時的な解決策を求めている企業
- 複雑なマーケティング活動を展開していて、資金に余裕がある大企業
MMMソリューション#4:データサイエンス×マーケティング専門会社によるツール
ここでは弊社が提供しているMMMツール「MAGELLAN (マゼラン)」について紹介します。
MMMツールの優位性は、プロの分析官が膨大な工数を割く“分析の試行錯誤”をサービス内にシステム化することで、人力では成しえない「分析精度」と「スピード」を担保していることです。
MMMを行うプロセスのシステム化により比較的安価なコストでの提供を可能としています。そのため、ソリューション利用に際しての経済的な負担が減り、上記の#1~#3と比較すると最も導入と継続活用がしやすくなります。
また、分析結果をダッシュボードで確認でき、予算配分のシミュレーションもできます。
アドストック、サチュレーション、ブランド・エクイティなどの高度な分析や、自社の特性に合わせたカスタマイズについても、専任のデータサイエンティストチームのサポートにより、柔軟に対応が可能です。
分析結果の報告にとどまらず、マーケティングコンサルタントによる分析解釈、目標に応じた実用的な洞察と推奨アクションも提案します。
メリット
- 専任のデータサイエンティストチームがMMMプロジェクトをリードしてくれる
- 他のソリューションより費用が安価(半額程度)
- 分析結果が出るまでのスピードが早い
- 継続なモデル更新(四半期、または月次)ができる
- 実用的な洞察と推奨アクションの提案が継続的にもらえる
- 中立性のあるパートナー関係を築ける
デメリット
- 分析に必要なデータ収集の工数がかかる
向いている企業
- MMM分析が急務であり、一次的のみでなく継続的に解決策を求めている企業
- 社内チームの構築、広告代理店およびコンサルティング会社のプロジェクトにかかる費用と時間に懸念がある企業
- 広告代理店やコンサルティング会社によるMMMを試したことがあり、ソリューションを変更したい企業
終わりに
4つの異なるMMMソリューションを紹介しました。
MMMの導入をご検討されている方、もしくはいずれかのソリューションを既にご利用中のマーケティング担当者や経営者の方々に、ソリューションの検討のご参考になれば幸いです。
さらに詳しく知りたい方は、マーケティング担当者が理解しておくべきこと、MMMプロジェクトを成功させ、実際のアクションや企業への貢献につながるために注意すべきことを包括的にまとめたMMM実践ガイドをご覧ください。
弊社のMMM分析サービス「MAGELLAN」についてご興味がある方は是非とも、サービスページまたは、サービス資料をご覧ください。