株式会社QTnet

会社としてもマーケターとしても、強くなるためには広告効果の可視化が必須だった

Q. 担当業務を教えて下さい

営業企画部 広報・宣伝グループでは、コーポレート及び各サービスのブランディング、認知及び顧客獲得への貢献を目的として、広告の企画・制作及び出稿調整を行っています。私はその中でも「QTモバイル」の広告をメインに担当しています。

Q. 市場の特徴や貴社の状況を教えて下さい

格安スマホは市場への浸透が進んできているものの、格安スマホへの乗換えを踏み切れていない層はまだまだ多く、その層に対して「いつ、どこで、どのように」接点を見出し、行動を促していくかがポイントとなってきます。マーケティングに関するヒト、モノ、カネのリソースは、大手の競合他社が圧倒的に有利です。競合他社に対抗できるよう、限られたリソースの中で広告効果を最大化するために創意工夫を重ねています。その1つが今回のMAGELLAN(マゼラン)導入でした。

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

当社が期待する広告効果を得られる予算配分案の作成、プロモーション計画を検討していくにあたり、現在実施している各広告施策がそれぞれどのくらい実績へ、ひいては会社の売上へ貢献しているのかを明確にすることが重要です。つまり、広告効果の可視化が大きな課題の1つでした。

Q. まさに課題の裏返しでMAGELLANを導入されたということですが、同じようなソリューション提案は他社からありましたか?

広告代理店から提案を受けたことはありますが、広告施策単体における分析ツールが多く、予算のアロケーションや各施策の広告効果の可視化までは難しいところがありました。また、広告効果の可視化だけでなく、その後のアクションに活かすというところまで考えると、やはりMAGELLANが最適でした。

MAGELLANはツールとしてだけでなく、カスタマーサクセスからの定例報告会で毎回いただくフィードバックにも満足しています。今までと違う角度から今後の参考になるようなフィードバックが多いため、具体的なアクションにつながっています。

広告効果の可視化により、プロモーションの方向性の正しさを示すことができた

Q. 広告効果の可視化によって解決できたことはありますか?

まずは、広告予算に応じた予算配分の最適化が図れるようになってきています。効果を確認しながら、成果に結びつく広告施策を展開することができています。

また、最適な広告予算の配分以外に大きなテーマになっていたのが「クリエイティブの方向性」でした。MAGELLANによる分析結果によって、私たちが考えていたクリエイティブの方向性が正しいかどうかが見えてきました。

「QTモバイル」の申込み窓口は、大きく分けてショップとWebの2つです。当社が格安スマホ競合他社との差別化を図れる強みの1つとして、事業の特性上配置が難しいショップを九州全県に展開していることが挙げられます。その強みを最大限活かすために、オフラインの各広告施策のクリエイティブはショップへの来店誘導を目的としたものに基本的に統一しています。

MAGELLANで広告効果を調べた結果、各広告施策を通じてショップに行かれるお客さまが予想していたより多いということが見えてきました。想定はしていたものの、私たちのプロモーションの方向性が間違ってなかったことが確認でき、納得感を持って施策を継続することができるようになりました。

営業部門から信頼されるマーケティングを目指す

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

QTモバイルの認知及び顧客獲得への貢献を目的とした最適なメディアミックスを図るために必要な広告予算配分案、プロモーション案をしっかりと検討の上、実行し、成果につなげていくこと。また、一貫したプロモーションを行うために、販売のオペレーションを行う営業部門からも理解を得た上で進めていくことが大切だと感じています。当部が考えるプロモーションの方針に関して意思疎通の場を定期的に設けながら、共感を得た上で施策を進めていく姿が理想です。

例えば、これまではテレビCMを流す場合、商品となるメガネをどのくらい生産すれば良いかはっきりとした指標がなく、経験値をもとに判断していました。しかし、今ではテレビCMの規模から逆算して、商品の最適な製造本数を導き出すことができます。プロモーションの観点だけでなく、全社的に活用できる指標を作ることができました。

MAGELLANによって可視化された数値を共通言語として社内で会話できるようになり、目指す姿に着々と近づいてきていると感じています。

株式会社協和

新商品の開発スピードが速いエイジングケア業界の リーディングカンパニーとして、リードを保ち続けることが重要

Q. 担当業務を教えて下さい

槇田様:「フラコラ(fracora)」(以下、「フラコラ」)ブランドの販売からCRMまで全般を統括しています。プロモーションについては、オフラインもオンラインもすべて管掌範囲となります。

上間様:企業・ブランドの広報と商品PRを担当しています。主に雑誌などを中心としたメディアでのPRを行っています。

Q. 市場の特徴を教えて下さい

槇田様:エイジングケア業界の特徴は、新商品の開発スピードが速いということです。これには、化学技術の向上が背景にあります。例えば、美容液の開発において、これまでは有効成分の濃度を高めるということに各社フォーカスしていましたが、現在は濃度とは別の方法で浸透力を高める開発が進んでいます。弊社はプラセンタ商品におけるリーディングカンパニーですが、各社競い合うように技術開発をしているため、他社が追随してくるスピードが非常に速くなっています。リードを保つためにも、いかに商品をリニューアルし続けるかという点が重要となっています。

また直近では、新型コロナウイルスの影響で、お客様の美容と健康に対する意識が変わったと感じています。お客様の変化をより早くキャッチして、対応していくことが求められていると考えています。

Q. 「フラコラ」のマーケティングの特徴を教えて下さい

上間様:CRMにおける、お客様とのコミュニケーションの取り方が特徴的だと思います。「フラコラ」にはお客様のコミュニティがあり、定期的に座談会やセミナーなどのイベントを実施しています。そこでお客様同士が情報交換をしたり、お悩みを相談し合ったりしています。コロナ禍にある現在はなかなか直接お会いすることができないので、オンラインでのイベントへシフトしています。

※ 2020年7月現在

「フラコラ」のお客様のコミュニティについてお話しする上間様

お客様とのコミュニケーション方法を大きく転換する必要があった

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

槇田様:大きく3つ課題がありました。1つ目は、顧客年齢層の若返りを図らなくてはならないということです。発売開始以来、「フラコラ」のターゲット層は50歳前後としていました。ただ、新発売当時50歳だったお客様は年を重ね、現在は70歳近くになっています。CRMにおいて、お客様のレスポンスが良い施策を追い続けた結果、ふたを開けてみれば新規のお客様についても年齢層が高くなっており、ターゲット層とはかけ離れてしまっていました。もっと若い年齢層の方々にも「フラコラ」の魅力を知ってもらうために、これまでの施策を抜本的に見直す必要性がありました。

2つ目に、お客様と長くお付き合いをしていく、つまりLTVを高めなくてはならないということです。弊社が目指す姿は、Only for You(一人ひとりにあったサービス)です。一人ひとりのお悩みに合わせてサポートするには、お客様と連続的かつ継続的にお付き合いを続けることが不可欠です。これまでの「フラコラ」の購入経路は、約8割がインフォマーシャルなどのオフライン施策となっていました。インフォマーシャルがきっかけでご購入くださるお客様の一部には、衝動的にご購入される方もいらっしゃいます。そのような方は残念ながらLTVがあまり高くありません。お客様と長くお付き合いを続けていくためには、購入に至るまでのお客様とのコミュニケーション方法を変える必要がありました。

そして3つ目に、お客様とのコミュニケーション方法のデジタル化です。近年は、お客様の購買行動もどんどんデジタルにシフトしてきています。お客様と連続的かつ継続的な接点を持てるのは、これからはデジタルがメインになっていくと考えています。これまで中心としてきたオフライン施策からオンライン施策へ、コミュニケーションの場を転換していくことが現在の大きなテーマになっています。

「Only for You」の理念についてお話しする槇田様

新たなチャレンジとなるテレビCM ――「100人100肌」キャンペーン

Q. 課題に対して、どのような対策を講じられたのでしょうか?

槇田様:課題に対する対策として挑戦したのが、2020年1月に放送したテレビCMの「100人100肌」キャンペーンです。このキャンペーンは、ターゲット層である40~50歳代の女性に向けて、「フラコラ」の世界観や商品(原液美容液)の魅力を伝えることを目的としたものでした。「『フラコラ』って何かいいな」「原液美容液って何だろう」と多くの女性に感じてもらい、サイトに訪問してもらうことを目指した企画でした。

上間様:このテレビCMに出演いただいた100人の女性は、実は「フラコラ」をご愛用いただいていているお客様なのです。他社のようにタレントを起用することは、案としてあげることもありませんでした。今までフラコラが大切にしてきたように、実際のお客様が綺麗になった姿を見ていただく方が「フラコラ」らしさが伝わるのではないかと考え、この企画を実施しました。

槇田様:この企画は、新しいお客様に知っていただくため、そしてオンライン施策への波及のための大きなチャレンジでした。

肌の悩みに合わせて選べる、「フラコラ」原液美容液

施策の大きな転換期を迎え、 正しい判断をするための根拠となる広告の効果がわからなかった

Q. 転換期の最中に、MAGELLAN(マゼラン)を導入された理由を教えて下さい

槇田様:媒体別の広告効果を正しく把握する必要があったためです。先ほどお話した通り、現在「フラコラ」のプロモーションはインフォマーシャルからブランディング目的のテレビCMへ、さらに今後はオフライン施策からオンライン施策へと大きく舵を切っているところです。大きな転換にあたり、どの広告にどのくらい投資をすれば良いのか、正しく判断するための根拠が必要でした。しかし、その根拠となる各広告の効果がわからないという課題に直面し、その解決策としてMAGELLANを導入することになりました。

Q. MAGELLAN導入前は、どのように各広告の効果を確認していたのでしょうか?

槇田様:これまでは、オンライン施策においてはラストコンバージョンで、オフライン施策のうち、中心となるインフォマーシャルにおいては、放送後の入電数で効果を測定していました。紙媒体のうち特に雑誌においては、正直ほとんど効果を把握できていませんでした。

インフォマーシャルについては、弊社の場合はキャンペーンごとに電話番号を変えており、かなり正確に各キャンペーンの効果を把握できていました。しかし、新しい試みであるブランディング目的のテレビCMは、電話などダイレクトな反応があるわけではないため、効果を正確に判断することができません。さらに、オンライン施策を強化していく中で、テレビCMを含めたオフライン施策がどのようにオンライン施策の成果に影響しているのかがわからないという課題も出てきました。

もちろん、テレビCMの放送有無でオンライン施策の反応も変化があるので、その差分が効果だという捉え方もできます。しかし、季節要因やオンライン施策自体の影響を加味すると、この差分のみでテレビCMの効果を判断することは正しくありません。各広告の正しい効果を把握するためには、オフライン施策とオンライン施策、そして外部要因なども統合して分析することが重要だと考えています。

数字をもとに仮説を立てられるようになりたい

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

槇田様:MAGELLANを導入し、まず手を付けたいのが各媒体別の広告効果の可視化をすることです。MAGELLANを使って正しい効果を把握した上で、数字をもとに仮説を立てられるようになりたいと思っています。

さらにMAGELLANに期待していることは、成果を最大化させるために、最適な予算配分ができるような指標を作ることです。考えた配分案に対して「投資に対する見返りはどのくらい?」と聞かれたとき、「わかりません」では通用しません。この根拠をしっかり数字で示すこと、そしてその根拠が成果を最大化させるための最適解であることが重要です。MAGELLANの場合は、オフライン媒体単体、オンライン媒体単体ではなく、統合的に分析できるので、施策全体における最適解が出せると期待しています。

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

槇田様:出会ったお客様と最低でも三年はお付き合いしたいと思っています。こう言うと恋愛の話に聞こえますが、実は、お客様の離脱ポイントの行動は恋愛と似ているのです。まずは一途にお客様のためにできることを尽くしていきたいと思っています。長く関係を築けるよう、お客様とのコミュニケーションをこれからも大切にしていきたいですね。

上間様:お客様とのより良いコミュニティを築いていきたいです。例えば弊社には競歩の元オリンピック選手の社員がいるのですが、その社員の特技を活かしてウォーキングのセミナーをお客様のために実施することなども考えています。もっとお客様のためにできることがないか、これからも模索していきたいです。

くら寿司株式会社

ターゲットに合わせたプロモーションの変更が必要

Q. 担当業務を教えて下さい

広報宣伝IR本部 販売促進部では、認知及び集客を目的としたプロモーション活動を行っております。具体的には、広告制作・出稿、店頭SP制作、SNS・サイト運用及び企画立案など、オフライン・オンライン問わず幅広く担当しています。また、広報部との連携によるPR活動も行っています。

Q. 市場の特徴や貴社の状況を教えて下さい

外食業界の特徴は、価格・味・鮮度はもとより、安心・安全であることが最も重要です。当社は一皿100円(税抜)と安価なお寿司を、より安全に提供するために「四大添加物無添加」や「防菌寿司カバー」など様々な取り組みを行っています。

また、外食業界の中でも特に回転寿司業界は、お客様の年齢層が幅広いという特徴があります。小さなお子様からご高齢の方まで幅広い年齢層のお客様がお越しになりますが、お客様の来店動機は年齢層によって異なります。そのため、ターゲットとする年齢層に合わせてプロモーションを変更しながら、より効率良く訴求をしていくことが重要となってきます。

プロモーション効果の可視化が課題 ――仮説を証明する術がなかった

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

プロモーション効果の可視化が大きな課題でした。これまでは、売上に対して実施したプロモーションの内容とかけた費用などを照らし合わせることで、費用対効果を検証していました。店舗の売上の変化を見て、プロモーションの良し悪しを検証していたのですが、常に複数の広告宣伝媒体を活用する上、店頭での販売促進やキャンペーンなどを同時期に実施することがほとんどなため、どの施策がどのくらいの効果なのか、各施策の正確な費用対効果の算出が難しいという状態でした。

また、オフライン広告とオンライン広告の予算投下割合や、エリア別の最適な予算配分を見出すことが難しいという課題もありました。細分化した分析はこれからとなりますが、恐らくエリアによって効率や特徴が異なるのではないかなと思っています。

数値的根拠を持って説明できるようになった

Q. MAGELLAN(マゼラン)の分析結果に対する印象を教えて下さい

仮説を検証することができ、成果を最大化するための予算配分がわかったことは非常にありがたく、上層部へも数値的根拠を持って説明ができるようになるので、提案しやすくなりました。売上が下がっていない中で、既存の施策をやめるという判断は、なかなか困難なことが多いですが、各施策の売上への貢献値が数字で説明できれば、自信を持って判断することができると感じました。

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

まずは、プロモーション効果の可視化及び予算配分最適化の分析結果にもとづいて、より効率的にプロモーション活動を展開していきたいと思っています。一度分析をして終わりではなく、継続的に分析し、予算配分を更新していく必要があると思っています。媒体の種類や効率も変化していくので、常に分析して効率を見直すことが重要だと思います。

限られた広告宣伝費の中で、どうすれば2倍3倍の効果を出せるのか、MAGELLANを活用しながら追求していきたいと考えています。その上で、新たなプロモーションへの発見があればと期待しています。

また、エリア別の分析においても、今後本格的にMAGELLANを活用していきたいと考えています。エリアによって効果的なプロモーションや訴求内容が異なるはずなので、その点もMAGELLANを使って分析していきたいと思っています。

「お寿司=くら寿司」と第一想起されることが理想

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

「お寿司=くら寿司」と第一想起してもらえるようになることが理想です。そして、子供時代にくら寿司のファンになってくださったお客様が、大人になっても通い続けてくださる、そのようなサイクルを作ることが目標です。

目標の実現のために、まずは当社の取り組みやサービスを、より多くのお客様に知っていただかなければなりません。そのためにも、数値化したデータをもとに分析・検証を行い、より正確に、より効果的にプロモーション活動を展開していきたいと考えています。

KDDI株式会社

メディア横断でのコミュニケーションプラン・予算アロケーションが課題

Q. 担当業務を教えて下さい

宣伝部では、全社のブランドマネジメント及び広告制作・出稿やスポーツ協賛などを担当しています。以前は、オフラインメディアとオンラインメディアの宣伝担当がそれぞれクリエイティブ制作からメディアバイイングを行う体制でしたが、2020年4月に組織体制を変更し、チームを統合して横断型コミュニケーションができる体制へ切り替えました。

Q. 今年度は「au PAY」事業で「MAGELLAN(マゼラン)」をご活用いただいています。キャッシュレス市場の特徴を教えて下さい

近年、キャッシュレス市場は飛躍的に伸張しています。調査によると、「au PAY」などのコード決済市場においては、2019年の店舗利用件数で昨年対比15.7倍の伸びを示しています。現在もコロナ禍による変化で、キャッシュレスの需要は拡大しています。

その中で、弊社の「au PAY」はauブランドで培ってきたお客様とのつながりを活かしながら、事業を拡大させています。

※2020年9月現在

Q. これまで抱えていた課題を教えてください

組織における課題とプロモーションにおける課題がありました。

まず、組織における課題としては3つありました。 1つ目は、メディア横断でのコミュニケーションプランの設計や予算アロケーションができないという点です。メディアごとでの担当割という組織体制だったので、メディア単位での効果最大化を目指してしまい、全体での最適プランを見出せない構造となっていました。

2つ目は、業務縦割りのため、担当者の考え方や視野が狭くなってしまうという点です。総合的な思考になりにくい状態でした。

そして3つ目が、広告宣伝の事業貢献度合いの可視化ができないという点です。大きな費用を使っている広告宣伝が、事業にどこまで貢献できているのかが、見えにくい状況でした。

また、プロモ―ションにおける課題としては、au以外のユーザーへの認知拡大・利用促進の勝ちパターンがわからないということです。弊社の強みとしては、通信事業で培ってきたauユーザーとのつながりがあり、「au PAY」事業においてもこのつながりを活かして認知拡大・利用促進を図ってきました。一方で、au以外のユーザーに対するアプローチのノウハウは十分ではありませんでした。クリエイティブとメディアをどのように組み合わせ、予算配分をすることがベストなアプローチなのかわからないことが課題となっていました。

「MAGELLAN」×「Datorama」の相乗効果により広告効果分析の一本化・自動化を実現

Q. 課題に対して、どのような対策を講じられたのでしょうか?

これらの課題を解決すべく立ち上げたのが「広告宣伝効果分析プロジェクト」でした。オフラインメディアとオンラインメディアのチームを統合し、すべてのメディアを一気通貫して1つの部署、1つのプラットフォームで管理することにしました。すべてのメディアの効果検証を統合して行うことで、貢献度の高いメディアへ適正に予算配分することができると考えました。

そこで取り組んだのが、すべてのデータを統合し、集約したデータを「MAGELLAN」で分析することです。データの統合は「Datorama」を活用しました。「Datorama」に統合したのは、オンラインメディアへの出稿実績やブランドサイトのPV数だけでなく、オフラインメディアであるテレビCMのGRPデータや、第三者調査機関による調査データ、「au PAY」の決済データなど多岐に渡ります。それらのデータを「MAGELLAN」にエクスポートし、分析しています。分析結果も「Datorama」の画面で一括管理できるよう連携しました。

マーケティング施策効果把握の全体像

Q. かなり思い切った改革だったと思うのですが、どのような点が大変でしたか?

社内の意識統一が大変でした。この取り組みの意義を各担当者や経営陣に対して丁寧に説明していくよう努めました。短期的な工数やコストの削減だけでなく、中長期的な目線で広告宣伝による事業の最大化を目指しているということを、理解してもらうことが重要でした。

Q. メディア横断での分析が可能となり、組織に変化はありましたか?

大きく2つの変化がありました。 まず1つ目は、広告効果分析の一本化・自動化により、工数削減ができたということです。これまで気づかなかったのですが、実は組織を統合してみると、異なるチームで全く同じ作業をしていることがわかりました。こうした重複作業の発生を防ぐことで、格段に作業効率が上がりました。

そして2つ目は、分析を短期間で実行できたことにより、空いた時間を次の予算のアロケーションという本質的な業務にあてることができるようになったことです。メンバーの視野も、通年や数年といった中長期な目線で考えるように広がりつつあります。各自が一段高い視点で分析ができるようになっていって欲しいと考えています。

Q. 「au PAY」の分析において、新発見はありましたか?

課題だったau以外のユーザーに対する適切な広告宣伝予算のアロケーションがわかりました。auユーザーとau以外のユーザーとでメディア評価を比較すると、明らかに結果が違いました。最適化したアロケーションで施策を実施したところ、計画予算よりも低コストで、成果が増加した結果となりました。

また、このPDCAをかなり短期間で実行できたことも驚きでした。「MAGELLAN」と「Datorama」による統合分析を開始したのはこの4月からなのですが、わずか2カ月後の6月のメディアバイイングから予算配分案を実行に移すことができました。短期間でPDCAを回すことが可能なので、より高頻度で分析を実行し、アロケーションの精度を上げることができると期待しています。

最小予算で効果を最大化し、事業に貢献することがミッション

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

現在の「MAGELLAN」の活用は最注力のコミュニケーションである「認知」の分析に留まっていますが、今後はファネル中間のKPIを分析に追加し、コミュニケーションを一気通貫で分析できるようにしていきたいと考えています。これまでは、一気通貫で見られる指標がなかったため、この指標を作ることで各施策の全体最適を図ることができると期待しています。

コミュニケーションファネルにおける分析スコープ

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

広告宣伝は、最小予算で効果を最大化し、事業に貢献することがミッションです。一方でメディアの変化や消費者の生活スタイルによっても、モデルは変化していきます。今回の取り組みから世の中の変化も捉えながら、過去の成功にとらわれることなく、効果最大化を目指していきたいと思います。

ライオン株式会社

コモディティ化する市場であるがゆえに問われるマーケティングの実行力

Q. 担当業務を教えて下さい

永井様:ファブリックケア事業部という、洗剤、柔軟剤の開発、育成を担う部署に所属しています。私たちはビルディングスタッフという職務で、主にブランドの損益管理・販売戦略策定・製品育成などを行っています。私は柔軟剤ブランドの「ソフラン」を担当しており、新井は洗剤ブランドの「NANOX」を担当しています。

Q. 市場の特徴を教えて下さい

永井様:私たちが扱っている商品はいわゆる日用品です。市場に商品が非常に多く、お客様にとって商品の機能の差異性がわかりにくいという特徴があります。その中でいかに自社のブランドに価値を感じていただき、選んでいただけるかが重要となっています。コモディティ化する市場がゆえに、マーケティングの実行力が問われると考えています。そこがこの業界のマーケティングの難しさであり、またおもしろいところでもあると思っています。

プロモーション施策が多様化する中、各施策の効果が正しくわからなかった

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

永井様:各プロモーション施策の効果を正確に把握することに課題を抱えていました。近年、お客様の価値観や行動は多様化しています。従来は圧倒的にテレビCMの影響が大きかったのですが、デジタルネイティブな生活者も増えており、近年はテレビCMだけでは成果につながらなくなってきています。そのため、現在はオンライン広告など様々な媒体を使いながら統合的にお客様にアプローチしています。しかし、施策が多様化する中、各施策がどのくらい成果につながっているのかを可視化できずにいました。

新井様:マーケティングの4P分析でいうと、店頭の配荷率(Place)や価格(Price)でコンバージョンが上がるというのは現状のデータソースでも入手できます。ただ、プロモーション(Promotion)がどのように寄与しているかがわかっていませんでした。これまでは、各施策の評価は各担当者の経験値や感覚値に委ねられていました。予算配分においても過去の踏襲で判断している点が多く、これで正しいのか不安な状態でした。MAGELLAN(マゼラン)によって効果を可視化でき、予算配分も根拠を持って判断することができるようになったので、とても助かっています。

数値的根拠を持って判断・説明ができるようになった

Q. MAGELLANをどのようにご活用されているのでしょうか?

永井様:MAGELLANによる分析を開始して3期経ちますが、出てくるアウトプットに関して非常に高く評価しています。プロモーションの効果を可視化できないという、これまで抱えてきた悩みが解決でき、有効な取り組みになっています。特に、オンライン広告への予算の投じ方に関するMAGELLANの示唆はとても参考になりました。我々としても経験や知見が浅い部分だったので、そこに対する示唆が得られたことは非常に大きかったですね。

新井様:MAGELLANの分析結果は大きく2つの場面で活用しています。1つは3カ月に1度の効果可視化分析です。いわゆる販売データは我々も随時確認できますが、この定期報告がマーケティングの健康診断のようになっています。そして2つ目が先々の施策の予算配分策定のための分析です。限られた予算を効果的・効率的に運用する上で、MAGELLANの示唆を判断材料として活用しています。ちょうど現在は、来期の予算策定のための分析を実施しているところです。

※ 2020年9月現在

Q. その他、MAGELLANによる示唆を活用した事例はありますか?

新井様:MAGELLANの本来の使い方とは異なるかもしれませんが、予算変更時のトップライン変化のシミュレーションとして活用したこともあります。期中においても、損益の着地見込みに応じて予算が変更になることは往々にしてあると思います。その際、変更した場合としなかった場合で、生まれる利益に対してトップラインがどれだけ変わるのかをシミュレーションすることで、最終的にどちらがリスクとして大きいのかを数値的根拠を持って上長に説明することができました。

永井様:あのときは、概算予算が決まったタイミングでスピーディーに対応でき、結果として正しい判断をすることができて本当に良かったと思っています。

顧客洞察を続け、ユーザードリブンなマーケティングを目指す

Q. 今後、MAGELLANをどのように活用していきたいと考えていますか?

永井様:今後はMAGELLANの分析スパンをもっと短くし、日常的に活用できるようにしていきたいと考えています。競争環境が激しいため、競合の動きに対する打ち手をスピーディーに講じていけるようにしていきたいですね。

新井様:統合コミュニケーションにおいて、現在はテレビCMを基軸としてお客様の購買ファネルごとに適切な施策を行っていますが、コミュニケーション同士の関連性をもう少し構造化して見ていきたいと考えています。ファネルの横連携の関係性で相乗効果が出るようなものもあるはずなので、その関係性を明らかにしていきたいですね。

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

永井様:常にお客様を見ながら、あるべき商品・サービスを考えていくことです。顧客洞察を続け、そこから得られた仮説やあるいは世の中の潮流を鑑みて「こういう商品・サービスが必要なのではないか?」という発見を大事にしていきたいと考えています。その仮説の精度を上げるためには、従来の調査ももちろんですが、MAGELLANを使って仮説を定量的に実証することが重要です。そうすることで、マーケティングの理想像に近づくことができると思っています。

新井様:私の考えるマーケティングの理想像は、専門性を高めるという意味ではデータドリブンであることだと考えています。データドリブンはユーザードリブンだと解釈しています。最も起点となるのはエンドユーザーであり、そのエンドユーザーが商品購入・継続購入するまでに影響した興味関心・価値観などを明らかにしていきたいです。MAGELLANを使ってこれを洞察し、仮説を立てていきたいと考えています。お客様を包括的に理解するためにも、MAGELLANを活用してより理想のマーケティングができればと考えています。

株式会社NTTぷらら

競争が激化する市場においてプロモーションを本格始動

Q. 担当業務を教えて下さい

原田様:私と渡邊が所属するデジタルマーケティング担当では、主に3つのミッションがあります。1つ目は弊社が抱えている主だったサービスのWebサイトの構築・運用、2つ目は各サービスのプロモーション企画・実行、そして3つ目はWebサイトを通じた各サービスの販売です。プロモーションに関しては、オフライン広告もオンライン広告もすべて担当領域となります。

福島様:私は営業企画担当として、営業部全体の販売戦略策定や戦略にもとづいた事業計画の策定を行っています。課題の抽出から打ち手の検討・実行をリードする役割を担っています。「ひかりTV」の販売においては、量販店などのリアルチャネルも重要なチャネルとなっています。そこでの販売促進の施策については営業企画の管掌範囲となっており、その他のプロモーション施策と連携を取りながら施策を展開しています。

Q. 市場の特徴や貴社の状況を教えて下さい

原田様:映像配信サービス事業においては、競合サービスが非常に多くあります。有料サービスだけでなく無料サービスも、同じ可処分時間を取り合っていると考えると競合にあたります。お客様にとっては選択肢の幅が広がっているということですが、その分競争が激化している市場となっています。

「ひかりTV」は光回線が前提となっているサービスだったので、これまでは光回線とセットで販売していました。店頭での販促を最大化するためのマスプロモーションは実施しておりましたが、いわゆるインバウンドでのオンライン獲得なども含めた統合マーケティングやブランディングにそこまで注力をしなくても売れる状態でした。しかし、光回線の市場は成熟してきており、新規の需要は落ち着きつつあります。そのため、お客様に能動的に「ひかりTV」にお申し込みいたただける状態にすることを目的に、数年前から本格的に統合的なプロモーション施策を強化するようになりました。

映像配信サービス事業についてお話しする原田様

統合的なプロモーションのノウハウがなく、最適解がわからなかった

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えてください

原田様:統合的なプロモーションのノウハウが蓄積されていないということが大きな課題でした。改めて、プロモーション方法を検討することにしました。競合と比較してどこが差別化ポイントになるのかを明確にしながら施策を展開してきました。認知系のテレビCMから獲得系のオンライン広告などのプロモーションを実施しながら、少しずつノウハウを溜めてきましたが、まだまだ最適解がわからずにいました。

渡邊様:ひかりTV立ち上げ当初から約6年間は、毎年テレビCMなどのマスプロモーションを実施していました。当時は、主に店頭における光回線とのセット販売の促進を目的に、立ち上げ期の認知向上、ブランディングを目指したものでした。しかし、それ以降大きなマスプロモーションなどを実施していなかったこともあり、「ひかりTV」の認知度も下がっていきました。ひかりTVを広く認知していただくためのアプローチが足りていない状況でした。

原田様:他にも、社内のマインドも課題でした。これまでずっと光回線とのセット販売で売れてきたので、認知やブランド力を高めることの重要性を本質的に理解している社員が少なかったと思います。私たちも、それらが販売にどのくらい効果があるのかを定量的に提示することができず、また肌感としても掴み切れていませんでした。

認知系施策の効果が可視化され、継続実施の意義を再確認できた

Q. MAGELLANでの具体的な分析内容と、結果に対する印象を教えて下さい

原田様:MAGELLANではこれまでに2回分析をしており、1回目はテレビCMの効果可視化を、2回目は認知系のオンライン広告の効果可視化を目的に実施しました。

テレビCMは他施策と比べて費用も段違いに高額な一方で、お客様の行動を計測することが難しいです 。これまでは、テレビCMを実施している時期と実施していない時期を単純比較でテレビCMの効果を推定していました。テレビCMを打ち出すときは販売強化期間にあてることが多いため、もちろん他のプロモーション施策や販売促進施策も並行して実施しています。テレビCM単体での効果がどのくらいなのかがわからず、分析に苦労していました。

実際にMAGELLANで分析した結果、肌感に近い数値が出て驚きました。テレビCMについて前年同月実施分と効果の比較をしました。最新のテレビCMはクリエイティブや訴求内容を大きく変更し、販売チャネルに対する貢献度が高かったというのが肌感としてありました。そして、MAGELLANの分析でもしっかりそれを数値で示すことができました。

また、MAGELLANの分析結果報告会では、クリエイティブを変えることでさらに効率化が図れるという示唆もいただきました。私としては、テレビCMに関しては時期と金額感だけで効果が左右されると考えていたのですが、細かなクリエイティブの改善で効果が変わるという気づきをいただけたことが良かったです。

渡邊様:私も、MAGELLANの分析結果が肌感に近い数値だったので納得感がありました。また、テレビCMだけでなく、並行して推進していたキャンペーンなどの販売促進施策の販売貢献度も数値として把握することができたことも良かったです。

2回目の分析は認知系のオンライン広告の効果可視化を中心とした分析でした。中長期的な認知拡大を目的としている広告のため、直接のコンバージョンが少なく、オンライン広告を実施する必要はあると思いながらも、少し自信の持てないところがありました。しかし、MAGELLANの分析によって、しっかりと販売貢献しているということが数値化され、継続して実施する意義を再確認することができました。これらの認知系の施策については、社内でも軽視されがちだったので、今後は定量的な根拠を持って説得できるようになったことも心強く感じます。

MAGELLANの分析結果についてお話しする渡邊様

Q. 今後はどのような分析を行っていく予定でしょうか?

福島様:今後は、リアルチャネルでの販売促進施策の貢献値を細分化して可視化する予定です。コロナ禍において、その影響があるとはいえ、リアルチャネルの販売割合の比率は依然として高いです。競争が激化する中、複数の施策を並行して実施しながら、短いスパンでPDCAを回すことが重要になってくると考えています。MAGELLANによって、並行して実施されている複数の施策の中でそれぞれがどのくらいの効果があるのかを可視化できるので、今後の販売戦略に活かしていきたいと考えています。リアルチャネルでの販売促進施策の貢献値を細分化して可視化できれば、リアルチャネル・オンラインの施策全体を通して最適化できることになるので、とても期待しています。

「お客様中心主義」のマーケティングを目指す

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

原田様:販売(成果)から近い施策であれば、やはり肌感としても近い結果が得られますが、販売から離れれば離れるほど、貢献値の予測が立ちません。最終的には、販売だけでなく、認知や理解促進などの中間KPIに対する貢献値も可視化していきたいです。より早い段階でPDCAを回せるようにするためにも、中間KPIを加えて二段階で分析していきたいと思っています。

福島様:販売促進施策に関しては、どうしても人が介在する部分が大きいため、そこをどう分析するかも気になる点です。また、分析した結果をもとに、施策を検討し実行する上でも社内の理解を得る必要があります。最終的には、「MAGELLANがこう言っているので大丈夫です」と言えるようになると良いですね。

販売促進施策の分析についてお話しする福島様

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

原田様:弊社は創業当初より「お客様中心主義」を実践してきました。売上より、まずは「お客様が本当に満足しているのか?」を大切にしてきました。しかし、ふと振り返ると、シェア拡大を重視してしまい、この理念から少し遠ざかってしまうこともあったように思います。MAGELLANを通して、私たちのアクションに対してお客様がどう反応されているのか、お客様は何を求めているのかという点に目を向けられるようになったことは大きな変化だと思っています。改めて、お客様中心主義に立ち戻り、その理念に即したマーケティングをしていきたいと考えています。

株式会社エウレカ

広告規制が厳しい中、メディアアロケーション最適化に限界があった

Q. 中村様とMAGELLAN(マゼラン)をご導入いただいた部署の役割を教えて下さい

私はCMOとして事業のマーケティング全体を見る立場となります。今回MAGELLANを導入したのは、マーケティング組織の中でも主に広告出稿や、メディアのアロケーションを考えるチームです。今回はマッチングアプリ「Pairs」の分析においてMAGELLANを導入しました。

取締役CMO 中村 裕一 様

Q. 市場の特徴やマーケティングにおける難しさを教えて下さい

マッチングアプリ業界は、広告の規制が非常に厳しいです。昔は「出会い系」という言葉をよく耳にしたように、特に参入当初はマイナスイメージを持たれることが多く、広告出稿がかなり制限されていました。そのため、マーケティングにおいては、広告出稿を拡大しようにもメディアが限られているため限定的な打ち手しか実行できない、という難しさがありました。具体的には、テレビCMはもちろん、交通広告やYouTubeにも出稿できませんでした。「デジタル以外にも広告出稿を拡大しようとも、今できるのは一部の看板広告のみ」という状態からスタートしました。

「出会い系」というマイナスのイメージから、「使っても大丈夫」「使うことは普通なんだ」という空気感を醸成するためには、獲得型のダイレクトレスポンス広告だけではそれができません。ターゲットではない方にも認知・理解してもらわなければならないため、ブランディング広告は非常に重要視していました。

ブランディングの効果を最大化するためには、通常は効果の大きいメディアからアロケーションしていくことが当然だと思いますが、当社の場合はそれができませんでした。一番難しかったのは、ボリュームを出すという意味では最も効果が良いと思われるテレビCMや交通広告が実施できなかったことです。限定的なメディアで出稿をしていても、「果たしてブランディング効果があるのだろうか?」という不安がありました。

このような厳しい状況下で、試行錯誤しながらもブランディング活動に意志を持って着手してきました。明確な最適化はできていないものの、意志を持ってやってきたからこそ、現在リーディングカンパニーとしての地位が築けているのかなと思っています。今では少しずつ広告の規制が緩和してきており、ようやくメディアを選べるまで手札が増えてきました。

広告効果を最大化するための最適なメディアアロケーションを明らかにしたい

Q. MAGELLANを導入された理由を教えて下さい

広告規制がある中、これまでは規制が解除された順に広告予算を積んできました。現在、ようやく打ち手が増えたので、選べる手札をもとに優先順位の高いものから実施することができるようになりました。効果を最大化させるための、最適なメディアアロケーションを明らかにしたい、というのがMAGELLAN導入のきっかけです。

Q. メディアアロケーション最適化を検討する上で、すぐにMAGELLANの話が上がったのでしょうか?

実は、最初は社内でのアロケーション最適化を試みました。当社はMatch Groupというグループ会社に所属しているので、予算を決定する際にはグループ会社と統一基準で会話をした方が早いという場合が多いです。そのため、自社で開発した方が良いと考えていました。しかし、親会社のある米国では、日本のマッチングアプリ市場と成熟度が異なるため、統一基準をそのまま日本で適用することは難しいということがわかりました。そこで、当社としてはレポート方法と検討方法を分けることにしました。レポートは社内で作成し、検討においては日本の外部ツールを使う方が良いと考え、その結果、MAGELLAN導入に至りました。日本の市場に即した、最適なメディアアロケーション分析をMAGELLANで実施し、出稿内容を検討するという使い方になります。

短期的な刈り取りと中長期的なブランディングのバランスを最適化したい

Q. MAGELLANの分析において、特に期待していることを教えて下さい

「効率的な出稿」を考えると、どうしても目に見える数字だけを見てしまいがちですが、そうではなく、目に見えていない(数値化できていない)広告を含めて最適化していきたいというのがMAGELLANに期待していることです。

マッチングアプリ業界はもともと悪いイメージを持たれていた業界で、今でもそのように感じている方々もいます。潜在顧客はたくさんいるものの、顕在顧客はそこまでいない業界だと感じています。マーケティングにおいては、直近のユーザー獲得だけを目的とすれば、ダイレクトレスポンス広告で刈り取りをしていれば良いのですが、それだけではその先が続きません。信頼性の高いメディアで広告を見て、複数箇所で何度も広告を見て、あるいは友人から紹介されたことによって、「使ってみようかな」と少しずつ思い始めるものだと考えています。つまり、ダイレクトレスポンス広告だけでは不十分であり、看板広告や交通広告など、数字で見えにくいブランディング広告が非常に重要だと考えています。 一方で、いくらブランディング広告が重要だと言っても、もちろん意味のない場所や意味のない量というのはあると思っているので、そこも最適化したいと考えています。

短期の売上を目的とした広告と中長期の売上を見据えた広告(ブランディング)、そのバランスは事業経営上非常に重要だと考えています。MAGELLANによって、そのバランスをうまく最適化できれば良いと考えています。

Q. その他、MAGELLANで分析したいことはありますか?

同じメディア内で目的の違う広告を複数実施している場合、それが良く働く場合と悪く働く場合と両方あると思っています。例えば弊社の場合だと、YouTubeでブランディング広告とダイレクトレスポンス広告を両方実施しています。それがどのように影響しているのか、将来的にはその点も明らかにしていきたいと考えています。少しずつ分析論点を変えながら、仮説を立案・検証していきたいです。

究極の理想は「広告出稿をしないこと」

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

究極の理想は、広告出稿をしないことです。すべてオーガニックでユーザー獲得ができる状態が理想だと考えています。そのためには、ブランディングが重要です。当たり前のように第一想起に「Pairs」があり、一人ひとりのタイミングで使いたいと思った瞬間に思い出し、使い始め、周りの人に紹介するという流れを作りたいと思っています。

そのためにも、短期的な目標としては、より潜在層に近い方にも選ばれるようになりたいと考えています。今までは恋活・婚活に対して比較的積極的な方に選ばれてきました。これからはそこからさらに、「結婚はまだ考えていないけど恋人は欲しい」「結婚したいと思っているけど積極的になれない」という方たちにも選んでいただけるようになりたいと考えています。

アンファー株式会社

重要なのは、オンラインからオフラインまで含めたコミュニケーション設計

Q. 皆様の役割とMAGELLAN(マゼラン)をご導入いただいた部署の役割をそれぞれ教えて下さい

池城様:メンズブランドのテレビCMも含めたプロモーションからデジタルマーケティングの統括をしており、ミノキ兄弟を軸にプロモーションを行っている医薬品のメディカルミノキ5やメンズシャンプーのスカルプDなど、メンズ5ブランドのPL管理がミッションとなります。

佐久間様:デジタルマーケティングユニットのリーダーとして、オンライン領域全般のマーケティングを担当し、メンズブランドのWeb全体売上目標達成がミッションとなっております。他にも、プロモーションユニットと連携した広告施策の推進や、メンズブランド全体の分析も担当しています。

本郷様:デジタルマーケティングユニットにて、メディカルミノキ5の広告業務をメインに担当しています。また、ブランドサイトの制作ディレクションや、CRM対策としてのメールマガジンの配信なども行っております。

MAGELLANはデジタルマーケティングユニットで導入しているのですが、オンライン広告だけでなく、テレビCMや交通広告など、プロモーションユニットが担当するオフライン広告のデータも取り入れており、オンライン・オフラインを統合した分析を行っています。

Q. 市場の特徴や貴社の状況を教えて下さい

ヘアケア市場は競合が非常に多いことが特徴です。薄毛・抜け毛の悩みに対する育毛剤・発毛剤などの商品だけではなく、クリニックなどのサービス全般も競合に当たります。競合が多い分、販売チャネルの多様化が進んでおり、競合との機能的価値の差別化が難しいことも特徴として挙げられます。

私たちの商品は、ヘアケア市場の中でも高価格帯の商品、かつ悩みに対する商品のため、お客様の多くは購入に至るまでに様々な情報を調べ、比較・検討されます。そのため、オンラインからオフラインまで含めたコミュニケーション設計がより重要となり、ここがマーケティングを行う上で難しい点だと感じています。また、医薬品のメディカルミノキ5の発売開始に伴い、薬機法に則った広告表現をより意識する必要があるなど、医薬品ならではの難しさもあります。

カスタマージャーニーが複雑化する中で、各広告効果の可視化が難しかった

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

オンライン・オフライン問わずどの広告が売上に寄与したのかという、広告効果の可視化が正確にできていないことに課題を感じていました。認知から購入に至るまでのカスタマージャーニーが複雑化してきており、広告に接触した後も様々なメディアに接触して購入に至るため、各広告がどれだけ効果があったのかがわかりませんでした。

また、オンライン広告費がテレビCMの広告費を超えて成長を続けているというメディアトレンドを加味し、最近ではオンライン領域での認知施策としてWeb動画広告などの比重を上げています。コンバージョン獲得に直接つながりにくい認知系のオンライン広告が増えてきたことで、各広告をフラットに評価することが難しく、プランへの落とし込み方が手探りの状態でした。

さらに、楽天やAmazonといったモールでの売上も大きい中、自社広告がモールの売上にどれほど寄与しているのかを数字で見ることが難しかったため、ここも分析して深掘りしたいと思っておりました。

自信を持って最適な投資バランスの判断ができるように

Q. MAGELLANを導入された理由を教えて下さい

MAGELLANは統計的アプローチで分析・評価できる点が魅力的でした。

また、課題として挙げている、 ①各広告の売上に対する効果を可視化したい ②刈り取り施策や認知施策など、異なる指標を持つ施策を同じ土俵でフラットに評価したい ③モールにおける売上への影響を可視化したい という、これまで経験値で評価・判断していた上記3点が数値でわかるということも導入の決め手となりました。

Q. MAGELLANの分析により、何か新しい発見はありましたか?

売上に対するテレビCMとWeb動画広告の相乗効果が数字で可視化できたのは新しい発見でした。これまでは、はっきりと自信を持ってWeb動画広告を使った認知施策に投資をしていたわけではなく、メディアトレンドを加味したり、他施策への間接効果を経験値で判断したりして投資をしていました。MAGELLANの分析結果を受け、Web動画広告の予算を増額させた結果、テレビCMとの相乗効果が生まれ、全体的な投資対効果がプラスになるということがわかりました。経験値で判断していたことがしっかりと結果として出てきたため、Web動画広告を使った認知施策を強化していこうという今後のアクション決定にもつながりました。

また、ブランドを跨いだ効果も見えています。2018年のメディカルミノキ5の発売以降、広告予算の主軸をスカルプDからメディカルミノキ5に切り替えています。この切り替えでは、メディカルミノキ5からスカルプDをはじめとする他ブランドへの効果の広がりも意識していました。MAGELLANの分析の結果、メディカルミノキ5の広告がスカルプDの売上にも影響していた、つまり他ブランドへの波及効果があったということを数字で可視化することができました。

Q. 今後、MAGELLANで分析したいことはありますか?

数字で見えにくかった各広告効果やつながりの見えにくい広告同士の効果を可視化することで、最適な投資バランスの判断ができるようにするということは、今後もMAGELLANに期待したい点です。

新たに見ていきたい点としては、月々の施策の振り返りだけでなく、施策を積み重ねてきた結果、売上のベースにどれだけ影響しているのかといった、中長期的な考え方も分析に取り入れていきたいと思っています。今やっていることを、効率的に今後の成果につなげていきたいです。

数字の先にあるお客様とのコミュニケーションを大切に

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

お客様視点で常に考えることを大切にしています。「ブランドが提供したい価値が何なのか」「それをいかにお客様に届けることができるのか」をメンバー全員が意識したマーケティングを行っていきたいと思っています。

私たちの商品は、ネガティブになりがちな悩みに寄り添う商品なので、少しでもお客様にポジティブになってもらえるような、お客様の人生が楽しく・明るくなるようなお手伝いをしたいと思っています。そういう気持ちを忘れずにお客様と向き合うことで、結果的に目標とする売上につながるのではと考えています。MAGELLANについても、数字を見ることが目的にならないように、その先にあるお客様とのコミュニケーションの指針として活用していきたいと思います。