株式会社サンリオエンターテイメント

Q. 担当業務を教えて下さい

河井様:私は営業部営業推進課という部署で、テーマパークの集客を担当しています。私の部署では、国内だけでなく、インバウンド(外国人観光客向け)の集客も実施しています。具体的には、マーケティング課と連携しながら、チケット販売チャネルを構築し、需要予測や分析なども行っています。

志賀様:私はピューロランド全般のマーケティング業務に携わっています。管掌領域としては、プロモーションも含めたデジタルマーケティング、オフラインマーケティング、そして、広報業務もあります。

Q. 市場の特徴や貴社の状況を教えて下さい

志賀様:一般論としてですが、テーマパークに来場される頻度は、平均値を取ると1年に1回、良くて2回程度だと思います。定期的に行かなければならない場所ではないので、ニュースリリースやプロモーションが盛り上がっても忘れられやすいという特徴があります。 例えば、12月にスタートするイベントのニュースリリースを10月に出すと、一時的にすごく盛り上がるのですが、その盛り上がりは持続しにくく、12月になる前に忘れ去られてしまいます。もちろん、当然のことだと思いますので、私達は忘れられないように常に情報を配信しています。オウンドメディアやSNSで色々情報提供をし、広告配信するなど、何らかのコミュニケーションを取り続けるようにしています。そうしなければ、お客様が「行きたい」と思うタイミングになかなか入り込めないのです。

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

志賀様:最も大きいのはマーケティングの効果を可視化しづらいということです。営業課のおかげで本当に様々な販売チャネルがあるのですが、どのマーケティング施策によって、どのチャネルからの販売が伸びたのか、ということを評価することが非常に難しいです。

集客がうまくいっているときは問題ないのですが、想定通りでないときには、効果が可視化できていないからこそ「マーケティングに問題があるのではないか」と言われやすくなってしまいます。2015年までやっていたテレビCMをやめたのも同じ理由で、効果が可視化できないため、デジタル広告に予算を割いていくという近年の動きにつながりました。

河井様:テレビCMをやめたのはトップの英断だったと思っています。総予算もそれほど多くない中で、GRPを獲得できないという事情もありましたし、家族客だけでなく若い女性の方にもお越しいただきたいという中で、どの媒体が最適なのかを考え、テレビCMをやめることになりました。

志賀様:効果が可視化できていないと投資対効果が明確にならないので、意思決定が難しいという問題に直面します。必ずしもSNSで盛り上がっているからといって、来場していただけるわけではありません。ダイレクト系のマーケティングのように、CPAという明確な指標があれば、意思決定も比較的しやすいと思うのですが、CPAがわからない中での判断は難しいと感じます。

MAGELLAN(マゼラン)によって、 スピーディかつ視覚的に全体像を把握でき、誰でも変化に気付けるようになる

Q. MAGELLANを導入された理由を教えて下さい

志賀様:実は、MAGELLAN導入前に、別の企業様に依頼をして効果可視化に取り組んでいました。それは、MAGELLANのようなツールではなく、すべて手作業でやるものでした。当然、最初のレポートが出てくるまでに時間もかかりますし、「ここの見方をこう変えたい」とリクエストすると修正に何日もかかってしまいます。結果的に、タイムリーに欲しかったものができあがるまで2ヶ月くらいかかってしまいました。

ただ、そのときに、全体を相関分析するとこういうふうに見えるんだ、というものはわかりました。一方で、修正までの時間がかかるともやもやが深くなってしまうこともありました。

河井様:次のアクションもできないですからね。

志賀様:そうですね。そんな時にMAGELLANというツールを拝見し、施策の間接効果が図示されていて非常にわかりやすく、スピーディ、かつ、直感的に使えそうだと感じました。

また、最初に依頼した企業様の場合、「なぜこの施策が良いという評価になったのだろう」という疑問が解消されるまでにすごく時間がかかってしまったのですが、MAGELLANの場合は、そういう疑問への深堀りがすばやく見られそうな心地良さを感じました。

Q. 実は他のクライアント様からも間接効果が見えることをご評価いただくことが多いのですが、御社にとっても間接効果の可視化が重要なご理由を改めて教えていただけないでしょうか?

志賀様:実施している施策の数が多いことと、広告の成果が上がるまでにタイムラグがあるからです。多くの施策を実施してきた結果、集客にダイレクトかつ短期的に影響を及ぼしにくい施策があることは明らかになっています。費用対効果の悪い施策は続けられませんが、単体でなく全体で見ると実施する必要のある施策もありえます。間接効果を可視化することによって「来場者数に対する直接的な影響が大きいこの施策と相性の良い施策はこれだったため、これらの施策は同時にやるべき」といったことが掴めると思いました。

河井様:一見、効果が良くなさそうでも、やめちゃいけないということがわかるようになります。

志賀様:こういう間接効果も含め、数字になって投資対効果が見えてくると、弊社のマーケティングも変われると考えています。これまでの経験則があるので、一定の精度で来場予測ができたり、現状への打ち手を打てたりします。でもそれは長くやっていないとわからない職人的な領域であって、誰でもできるわけではありません。ただ、MAGELLANのようなツールがあると、今このチャネルが弱まっているから広告でなんとかしよう、というようなことに皆が気づけて、MAGELLANという共通言語のもとで動いていけるようになります。本当に「マゼラン」という名前の通りの指針なのかなと思います。

河井様:営業的にも各チャネルでトライ&エラーをするポイントを判断できるようになりますし、マーケティング課ともタッグを組みやすくなるので、最高の武器だなと思っています。

お客様を理解し、マーケティングと営業がより連携できる世界を目指したい

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

志賀様:お客様のことをより理解したいと思っています。実は、お客様を知るということをテーマにずっとやってきていまして、その一環で様々なツールを導入しています。そのおかげもあって、今はチャネルごとの来場者の属性データも取れるようになったのですが、ものすごく粒度が細かいわけではありません。もっと細かく、例えば、テーマパークに来場されたお客様が、普段どういう行動をされていて、なぜ今来てくださったのかというところを理解できるようになりたいです。

お客様への理解が深まると、お客様がこういうタイミングでこういうふうにお考えになるので、私たちはこれをやっていこう、ということができるようになります。マーケティング課の中で閉じないで、営業としっかり連携しながらやっていけるというのが、マーケティングのあるべき姿だと思っています。

株式会社BookLive

差別化が難しい業界でのポジショニング

Q. 担当業務を教えて下さい

私は電子書籍販売事業を担当しており、データ分析の力で施策の改善点を発見し、関係部門に共有するという立場におります。広告施策やサービス運営に関わる意思決定を迅速・的確に実行し、施策に移せるようにするという役割を担っています。広告施策を実行するマーケティング部と並走し、各施策の影響試算や目標設定を行うこともあれば、事業全体に関わる数字をまとめることもあり、横断的かつ総合的に事業全体に関与しています。定量・定性含め、事業成長にインパクトを与えられるような最適な意思決定を導くことがミッションです。

Q. 市場の特徴や貴社の状況を教えて下さい

電子書籍市場は出版科学研究所の調査によれば、20年度は前年比28%増の3,931億円と、「電子書籍元年」と呼ばれた約10年前から拡大の一途をたどっています。特に今年度は、コロナ禍により家で過ごす時間が増えたことや特定作品の爆発的なヒット、人気作家の電子化解禁などにより、高い伸長率となりました。 そのため新規参入する企業も多く、コモディティ化が進む中でいかに差別化を行い、事業拡大をしていくかが各社の課題でもあります。

その中で、ブックライブの特徴としては大きく3つあります。 1つ目は、代表の淡野がガラケー時代から約20年電子書籍に携わっており、可読性や機能向上など、デジタルデバイス上での読書について、使いやすさを追求し続けているサービスだという点です。直近では第3者機関から、顧客満足度の高いストアとして高評価もいただきました。

2つ目は、オリジナルコミックの制作にも力を入れている点です。ストア独自の作品を配信するという差別化はもとより、今人気のテーマやニーズの高いトピックスをストーリーに反映し、読者の反響を今後の展開に活かすなど、書店としての販売データやユーザーの声を取り入れた作品作りを行っています。

3つ目は、出版業界全体の拡大を目指し、リアル書店との連携も行っている点です。三省堂書店では店頭で電子書籍を購入することができ、また特定の紙本を購入すると同タイトルの電子版がもらえるサービスなどを展開しています。このように、紙と電子の垣根を越えて、ユーザーが読書を楽しめる環境づくりを積極的に推進しています。

時間がかかる仮説立て、結果検証をより迅速に行いたい

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

各広告施策への投資の妥当性を、より迅速に判断できる方法を探していました。Web上のサービスということもあり、これまでもオンライン広告の効果は立証がしやすく、数字を突き詰めることができていました。

一方で、効果可視化が難しいオフライン広告などの施策に関しては、相対的に意思決定が難しく、仮説立てから実行までに時間がかかっておりました。仮説立てから判断までのプロセスに問題があるとは思っていないのですが、どうしても仮説立て、結果の検証に時間がかかり、不確実性もはらむため、より迅速・妥当に施策の判断ができる方法を求めていました。

また、サイト内の施策は数字として結果が表れやすいため力を入れているのですが、それ以外の施策にどう力を入れていくべきか、判断しかねていたという課題もありました。

Q. MAGELLAN(マゼラン)を導入された理由を教えて下さい

オフラインの広告施策検証だけでなく、使い方によっては既存のお客様の維持定着の分析にも使えると思ったのが導入の決め手です。

業界の成長スピードよりも速いスピードで成長を目指す

Q. MAGELLANの分析結果に対する印象を教えて下さい

施策間の関係性がしっかりと形としてあらわれている印象を受けます。オンライン広告などの刈り取り施策は、直接の成果が数字で見えるのは当たり前ですが、それが自然検索やアプリのインストールにも波及していたことが明確化できたのは発見でした。

また、仮説に近い納得感のある結果だったため、ツールとしての確からしさも感じています。イメージしていたものを、今後しっかりと形にして解像度を上げてくれるのではと感じています。

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

まずは、できるところから投資配分の最適化を行っていき、年単位での投資配分の最適化についても上層部に提案していきたいと考えています。

また、現在は広告施策の分析が中心ですが、今後は既存のお客様のリピートや定着についての示唆を抽出するといった活用もしていきたいと思っています。カスタマージャーニーの設計は行っていますが、どういう体験をすると記憶に残してもらえるのかをロジカルに、また定量的に見ることができていません。施策間の関係性を見ることで、サイト内外でどういう体験をすると維持率や定着率が上がるのかを検証していきたいです。

とはいえ、まだまだ成長中の業界のため、その中でいかに速いペースで成長できるかが重要であり、この成長ペースを上げるためにも業界内のシェアを取っていく必要があります。そういう意味では、新規のお客様にどれだけ選んでいただけるかにもこだわっていきたいです。

誰もがやってこなかったことを実行する

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

事業視点だと、業界の成長スピードよりも速いスピードで成長していくことが目標です。その途上で、ブックライブを電子書籍の中で誰もが思い浮かべてくれるサービスにしたいと思っています。

担当業務の視点だと、投資や施策の実行を効率的、かつ迅速に行っていきたいです。これまでは、歴史の浅い業界ということで、他の業界をお手本にマーケティング戦略を考えてきました。これからは、他の業界もやっていないことや業界的な慣習でやってこなかったことを、いかに実行できるかが勝負の分かれ目になると思っています。そのためにも、数字を扱うだけの作業などはできるだけ自動化することで時間を短縮し、ロジカルな考えが必要とされる部分にもっと時間をかけていきたいと考えています。