モバイルアプリ、ゲーム業界における従来のアトリビューション分析からの転換
アプリ市場においてはモバイルゲームは最も大きなカテゴリーの1つであり、新型コロナウイルス感染拡大による、自宅での巣ごもり需要をも取り込み、国内市場規模は1兆円を超しています(※1)。世界で見ても、スマホゲームの市場規模は前年比7.5%増で、7兆7255億円となりました(※2)。巣ごもり需要が一服したことによる利用者数の伸び悩みはありつつも、モバイルゲームを始め、スマホアプリの開発、運営業界は好調だと言えるでしょう。
こうした中で、スマホアプリやゲームを運営している企業は、集客、新規インストール、DAU(Daily Active User)やアプリ内課金などのKPIを推進するために、多額のマーケティング費用を、主にSNSやその他のデジタル媒体へ投下しています。
モバイルアプリ業界において殆どの企業が、広告の費用対効果を把握したり最適化したりするために、MMP(Mobile Measurement Provider)というモバイル測定プロバイダーを使っています。Meta(旧Facebook)やGoogleなどの大手デジタルメディア企業は、自社の広告プラットフォームにおける効果測定ツールを提供していますが、MMPは独立した第三者によるデジタルチャネル横断のアトリビューション分析を提供しています。
※1:オンラインゲーム・モバイルゲーム業界 市場規模・動向や企業情報 | NIKKEI COMPASS
※2:スマホゲームが1兆円市場に 「巣ごもり」取り込む、仕掛けも多彩 – 産経ニュース
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変化の激しい時代、事業成果を最大化するための広告投資の最適化方法とは?
スマホアプリ運営企業が使う従来のMMPによるアトリビューション分析
MMPは、モバイルに特化したマルチタッチアトリビューション(MTA)です。
MTAは、主にデジタルチャネルに広告費用を投資する企業に好まれている効果測定方法となっています。MTAでの分析は、広告の効果を測定するために、個人レベルのデータに依存しています。
しかし、個人情報保護の規制強化に伴い、デジタル広告を取り巻く環境には大きな変化が発生しています。その変化の重要な点は下記です。
- 数年前に、欧州や米国などでGDPR(General Data Protection Regulation)をはじめととするデータプライバシー規制が実施されました。これにより、個人レベルでの広告出稿や行動追跡に関する制約が強化され、クロス媒体・プラットフォームでのアトリビューションが困難になりました。
- Safari、Firefox、Chromeなどの世界で最も使用されているウェブブラウザは、デジタル広告エコシステムの多くを支えているサードパーティーCookieへの対応を徐々に終了しています。代替として、集計されたデータに基づくプライバシーを配慮した技術に移行しつつあります。
- Appleは、iOS 14アップデートから、今まで取得できていたIDFA(Identifier for Advertisers)が、ユーザーの許可がない限り取得ができなくなりました。IDFAは、ユーザーの端末に割り当てられるIDで、広告接点、アプリ内の行動を計測することに使われています。つまり、それが「オプトイン」制度になったということで、日本では2022年第2四半期時点での平均オプトイン率は21%でした(※3)。
要するに、多くのモバイルアプリやゲームを運営する企業が、広告の費用対効果を測定するためにこれまで用いてきた方法は、以前のようには活用ができないということです。そのため、デジタルに特化したアトリビューション方法だけに頼らず、広告の費用対効果を統合的に測定する代替のアプローチを見つける必要があります。
※3:AdjustとTikTok for BusinessによるiOS14.5以降:日本のATTオプトイン率は平均21%
MMMによる、安定的で弾力性のあるアトリビューション分析
MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)は、主にオフライン・マスメディアへの出稿額が高く、より伝統的な企業に採用されている広告効果測定方法と思われがちです。しかし、モバイルアプリやゲームを運営する企業のようなデジタルメディアへの出稿がメインの広告主であっても、MMM分析が提供する包括的な理解からは大きな利益を得ることができます。
特に、MTAを支えきた個人レベルのデータを収集するのが難しくなってきた今、重要性はさらに増しています。MMMには、日次または週次での集計データを利用するため、個人レベルのデータは不要です。また、分析に取り入れる指標が高度にカスタマイズできるため、モバイルアプリやゲームを含めてさまざまな業界で、柔軟に活用できる分析手法です。マーケティング施策以外にも、競合の出稿状況、天気、休日などの外部要因が、自社のマーケティング活動やKPIにどのような影響を与えるかも、分析モデルに組み込むことができます。
MMMは個人データに依存しないため、マーケティングの最適化基盤としてより安定的に末永く活用できるでしょう。
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Cookieレス時代の広告効果分析事例
スマホアプリ・ゲーム事業のマーケティング効果測定システムにMMMを検討
MMMを有効活用することで、モバイルアプリやゲームを運営する企業様が、個人データの収集に依存せず自社のマーケティング活動(プロモーション施策、新作やアップデートのリリース、アプリ内イベントなど)、そして制御のできない外部要因(競合のプロモーション、マクロ経済状況、コロナ影響など)という様々な要素の影響を統合的に分析して、迅速かつデータドリブンな意思決定を安定的に実行することができます。
サイカでは、独自に開発したテクノロジーとアルゴリズムによるシステム化したMMMの分析を提供します。さらには、コンサルタントによるお客様のMMM実装とその有効活用をサポートする体制も整えています。
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