株式会社BookLive

差別化が難しい業界でのポジショニング

Q. 担当業務を教えて下さい

私は電子書籍販売事業を担当しており、データ分析の力で施策の改善点を発見し、関係部門に共有するという立場におります。広告施策やサービス運営に関わる意思決定を迅速・的確に実行し、施策に移せるようにするという役割を担っています。広告施策を実行するマーケティング部と並走し、各施策の影響試算や目標設定を行うこともあれば、事業全体に関わる数字をまとめることもあり、横断的かつ総合的に事業全体に関与しています。定量・定性含め、事業成長にインパクトを与えられるような最適な意思決定を導くことがミッションです。

Q. 市場の特徴や貴社の状況を教えて下さい

電子書籍市場は出版科学研究所の調査によれば、20年度は前年比28%増の3,931億円と、「電子書籍元年」と呼ばれた約10年前から拡大の一途をたどっています。特に今年度は、コロナ禍により家で過ごす時間が増えたことや特定作品の爆発的なヒット、人気作家の電子化解禁などにより、高い伸長率となりました。 そのため新規参入する企業も多く、コモディティ化が進む中でいかに差別化を行い、事業拡大をしていくかが各社の課題でもあります。

その中で、ブックライブの特徴としては大きく3つあります。 1つ目は、代表の淡野がガラケー時代から約20年電子書籍に携わっており、可読性や機能向上など、デジタルデバイス上での読書について、使いやすさを追求し続けているサービスだという点です。直近では第3者機関から、顧客満足度の高いストアとして高評価もいただきました。

2つ目は、オリジナルコミックの制作にも力を入れている点です。ストア独自の作品を配信するという差別化はもとより、今人気のテーマやニーズの高いトピックスをストーリーに反映し、読者の反響を今後の展開に活かすなど、書店としての販売データやユーザーの声を取り入れた作品作りを行っています。

3つ目は、出版業界全体の拡大を目指し、リアル書店との連携も行っている点です。三省堂書店では店頭で電子書籍を購入することができ、また特定の紙本を購入すると同タイトルの電子版がもらえるサービスなどを展開しています。このように、紙と電子の垣根を越えて、ユーザーが読書を楽しめる環境づくりを積極的に推進しています。

時間がかかる仮説立て、結果検証をより迅速に行いたい

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

各広告施策への投資の妥当性を、より迅速に判断できる方法を探していました。Web上のサービスということもあり、これまでもオンライン広告の効果は立証がしやすく、数字を突き詰めることができていました。

一方で、効果可視化が難しいオフライン広告などの施策に関しては、相対的に意思決定が難しく、仮説立てから実行までに時間がかかっておりました。仮説立てから判断までのプロセスに問題があるとは思っていないのですが、どうしても仮説立て、結果の検証に時間がかかり、不確実性もはらむため、より迅速・妥当に施策の判断ができる方法を求めていました。

また、サイト内の施策は数字として結果が表れやすいため力を入れているのですが、それ以外の施策にどう力を入れていくべきか、判断しかねていたという課題もありました。

Q. MAGELLAN(マゼラン)を導入された理由を教えて下さい

オフラインの広告施策検証だけでなく、使い方によっては既存のお客様の維持定着の分析にも使えると思ったのが導入の決め手です。

業界の成長スピードよりも速いスピードで成長を目指す

Q. MAGELLANの分析結果に対する印象を教えて下さい

施策間の関係性がしっかりと形としてあらわれている印象を受けます。オンライン広告などの刈り取り施策は、直接の成果が数字で見えるのは当たり前ですが、それが自然検索やアプリのインストールにも波及していたことが明確化できたのは発見でした。

また、仮説に近い納得感のある結果だったため、ツールとしての確からしさも感じています。イメージしていたものを、今後しっかりと形にして解像度を上げてくれるのではと感じています。

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

まずは、できるところから投資配分の最適化を行っていき、年単位での投資配分の最適化についても上層部に提案していきたいと考えています。

また、現在は広告施策の分析が中心ですが、今後は既存のお客様のリピートや定着についての示唆を抽出するといった活用もしていきたいと思っています。カスタマージャーニーの設計は行っていますが、どういう体験をすると記憶に残してもらえるのかをロジカルに、また定量的に見ることができていません。施策間の関係性を見ることで、サイト内外でどういう体験をすると維持率や定着率が上がるのかを検証していきたいです。

とはいえ、まだまだ成長中の業界のため、その中でいかに速いペースで成長できるかが重要であり、この成長ペースを上げるためにも業界内のシェアを取っていく必要があります。そういう意味では、新規のお客様にどれだけ選んでいただけるかにもこだわっていきたいです。

誰もがやってこなかったことを実行する

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

事業視点だと、業界の成長スピードよりも速いスピードで成長していくことが目標です。その途上で、ブックライブを電子書籍の中で誰もが思い浮かべてくれるサービスにしたいと思っています。

担当業務の視点だと、投資や施策の実行を効率的、かつ迅速に行っていきたいです。これまでは、歴史の浅い業界ということで、他の業界をお手本にマーケティング戦略を考えてきました。これからは、他の業界もやっていないことや業界的な慣習でやってこなかったことを、いかに実行できるかが勝負の分かれ目になると思っています。そのためにも、数字を扱うだけの作業などはできるだけ自動化することで時間を短縮し、ロジカルな考えが必要とされる部分にもっと時間をかけていきたいと考えています。

湯快リゾート株式会社

業界に類を見ない、ダイレクト・チャネルで独自性を打ち出していく

Q. 担当業務を教えて下さい

棚橋様:私は、セールス&マーケティング部を統括する立場として、マーケティング活動やセールス活動、その他データアナリティクスに関わる様々な部署の課題を横串で俯瞰し、改善を図ることをミッションとしています。

渡辺様:私はリサーチから戦略策定、コミュニケーションの実行など、マーケティング領域全般を担当しています。

Q. 市場の特徴や貴社の状況を教えて下さい

渡辺様:宿泊業界の一番の特徴は、旅行代理店様による販売が主流のビジネスモデルということです。皆さんの中にも、代理店様を通して宿泊のご予約をされた方は多いのでないでしょうか。

そうした中で、私たちの最大の特徴は、中心となる販売チャネルが湯快リゾートのホームページやコールセンター経由から直接ご予約をいただく、ダイレクト・チャネルだということです。1泊2食7,500円(税別)からという低コストで高品質の宿泊体験をお客様に提供させていただくため、流通マージンを含めてあらゆる費用を抑える努力をしています。

棚橋様:また、私たちはお客様との距離を大切にしております。代理店様から「湯快リゾートが○○を始めます」と連絡が来るより、私たちから直接お声をかけさせていただくほうが親近感を持っていただきやすいと考えております。身近な存在として、お客様の思い出や人生の一部になるためにも、ダイレクト・チャネルでの販売は重要だと考えております。

渡辺様:一方で、宿泊業界の中ではダイレクト・チャネルを推進している企業は少ないため、ベンチマークを設定しにくいという難しさがあります。そのため、同じ業界ではなく、昨今のトレンドであるD2Cサービスや、低価格・高品質でビジネス展開されている企業の戦略や考え方を参考にしています。

棚橋様:私たちは「非日常の中の日常」として湯快リゾートを体験していただきたいと考えています。お客様の生活や人生の1ページにどう入り込んでいけるかを考えると、生活の中の一部を扱っている業界やコンテンツなど、宿泊業界ではないところにヒントがあるように思います。

メディアミックスで効果の可視化をしていきたい

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

渡辺様:テレビCMや新聞広告を中心としたオフライン広告における、集客への効果の可視化が課題でした。最終コンバージョンだけで評価するとオフライン広告は効率が悪いように見えてしまうため、施策間の影響も含めたメディアごとのピュアな実力を評価する必要があると感じていました。特に、テレビCMはもっと効果が大きいのではという仮説がありましたが、定量的な分析ができていなかったため、定量化する方法を模索しておりました。

また、私たちのメインターゲットは、お子様のいらっしゃるファミリー層やご年配の方々のため、オンライン広告・オフライン広告両方からのアプローチが必要です。そのため、オフライン広告だけでなく、オンライン広告も含めたメディアミックスで効果を正しく把握したいと考えておりました。

Q. 昨今の市況の変化で、メディアの活用方法に変化はありましたでしょうか?

渡辺様:オフライン広告の出稿が慎重になりました。テレビCMや新聞広告は、計画から出稿までに数か月かかります。また、直前に出稿を取りやめることが難しいため、市況が日々変化していく中ではクイックに対応できないというデメリットがあります。

一方で、オンライン広告は計画をすぐに停止できる環境にあり、市況の変化にも素早く対応することが可能です。そのため、現在はオンライン広告を中心にコミュニケーションを行っています。

棚橋様:お客様の置かれた状況や、市況にそぐわないメッセージを出しても意味はありません。日々変わる状況の中でコミュニケーションのアジリティを担保するためにも、リードタイムが必要な広告は、現在は慎重に実施するべきだと感じています。

MAGELLAN(マゼラン)を軸に実行・検証を繰り返し、事業成長につなげていく

Q. MAGELLANを導入された理由を教えて下さい

渡辺様:MAGELLANはMMM領域ですでに実績があり、信頼できると思ったためです。また、先ほど申し上げた課題感にまさにフィットするツールでした。

棚橋様:初めてミーティングをした際に、良い議論ができたというのも決め手の1つです。初回にも関わらず、私たちの課題感を瞬時に理解し、それを踏まえた上で親身になって議論を進めていただいた印象があります。また、ソリューションの提供スピード・質も担保されていると感じました。

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

渡辺様:MAGELLANの分析結果をアクションへ反映した後に、どれくらいの変化があったのかを見ていきたいと考えています。改善のプロセスを意識することで、集客の最大化を目指していきたいです。

また、MAGELLANの分析指標を、経営層まで含めた湯快リゾート全体における共通の指標として位置づけたいと考えています。MAGELLANの分析結果をもとに、実行・検証を繰り返し続けることで、プランニングの基盤となるプロジェクトとし、最終的には事業の成長につなげていきたいです。

棚橋様:マーケティング活動の効率化や成果の最大化はもちろんですが、これらはすでにある分析方程式により導き出される結果に他なりません。パラダイムシフトが容易に起こりうる今、その前提にある分析方程式そのものにも注目していく必要があると考えています。なぜなら、市況やお客様、または私たち湯快リゾートの中で質的な変化が発生した際に、分析方程式そのものが変わる可能性があるためです。その変化にも対応できるMAGELLANによって、ダイナミックな世の中の動きを捉えつつ、それを先読みし、正しい経営判断につなげていきたいと思っています。

お客様視点を大切に、ブランドに共感していただけるファンを増やしていきたい

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

渡辺様:お客様の抱える課題を、データドリブンで解決していきたいと考えています。また、常にお客様を起点としたマーケティング組織となることを目指しております。

棚橋様:私たちが行っているのは心を持ったビジネスだと思っています。日本の良さを伝えていきながら、湯快リゾートのことを考えることで笑顔になるお客様が1人でも増えるような事業を展開していきたいです。マーケティングはそれを実現するためのツールですので、うまく活用しながら、湯快リゾートに共感していただける方やファンを増やしていきたいと考えています。

株式会社NTTドコモ

熾烈な競争環境におけるドコモの強みとは

Q. 担当業務を教えて下さい

スマートライフビジネス本部では、動画配信や電子書籍をはじめとしたコンテンツサービスや、成長分野である金融・決済サービスなど、通信事業以外のサービスを運営しております。

私たちは、その中でもマーケティング推進担当として、サービス全体におけるマーケティング戦略・プロモーション戦略の立案・策定を行っています。全体を横串で捉え、どこに課題があるのか、またどこに成長の可能性があるのかを見極め、事業成長につながる投資の最適化を行っています。

Q. スマートライフ事業に関わる市場の特徴や、貴社の状況を教えて下さい

市場の特徴として、大手競合が多数存在することが挙げられます。競合が多い分、市場の成長スピードが速いため、しっかりと投資をし、差別化を図っていくことでポジションを確立していく必要があります。

競合との差別化において、ドコモの強みは3つあると考えています。 1つ目は、これまで築き上げてきた「顧客基盤」です。ドコモの回線をご利用いただいているお客様や、dポイントクラブなどの会員基盤を軸とすることで、マーケティング活動をさらに強化していきたいと考えています。

2つ目は、様々な事業を展開する「グループ各社のアセット」です。このアセットを活用することで、ドコモだけに閉じることなくグループ間のシナジーが期待できます。

そして3つ目は、蓄積された「膨大なデータ」です。お客様がどのような行動をされてサービスをお使いいただいているのかという、膨大なデータがドコモには蓄積されています。このデータの活用についてはまだ発展途上ではありますが、今後有効活用することで大きな強みになっていくと考えています。

役割ごとに担当部署が分かれており、全体最適が難しいと感じていた

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

サービスごと、さらには運用や発注などの役割ごとに担当部署が分かれており、全体最適が難しいと感じていました。目の前の目標を追求するあまり、それぞれのサービスや各々の役割に閉じた戦略や打ち手になっていることも少なくありませんでした。私たちの部署は、各部署を横串で捉え、全体の成果最大化へ導く役割となりますが、その判断をする上で最適な指標も探していました。

Q. MAGELLAN(マゼラン)を導入された理由を教えて下さい

MAGELLANを導入した理由は、主に2つありました。 1つ目は、オンオフ限らずメディアごとの効果が可視化できることです。特に、認知施策で活用することが多いオフライン広告の効果可視化に課題感を感じていました。例えば、テレビCMの場合、テレビCMの出稿期間や放映時間などをベースに効果を推計することは可能です。しかし、同時にオンライン広告も出稿しているため、純粋なテレビCMだけの効果を見ることは難しく、オンオフ統合した分析が必要だと考えていました。

2つ目は、最適な予算配分が算出可能なことです。これまでは、効果がわかるものに対して優先的に予算を配分することがほとんどでした。そのため、テレビCMなどの効果が可視化しにくい施策は、感覚としては効果があると思っていてもコスト効率化の流れの中では真っ先に予算の削減対象に挙がりやすいということもありました。MAGELLANによってメディアごとの正しい効果が可視化できれば、どのメディアにどのくらい投資をすべきかを、数値的根拠を持って判断できるようになると考えました。

MAGELLANの分析指標が、社内の共通指標に

Q. MAGELLANの分析結果に対する印象を教えて下さい

各施策の効果について、細かいところまでレポートで確認できる印象です。オンオフ含めたメディアごとの効果可視化以外にも、成果に対するCPAを比較し、どのメディアが最も効率が良かったのかも把握することができました。

また、各担当部署と意識のすり合わせをする上で、MAGELLANの分析指標が1つの共通指標になり始めていると感じています。もちろん、MAGELLANだけが正解ではなく、あくまで指標の1つとして捉えていますが、MAGELLANの分析指標を用いて各部署と話をする機会が増えつつあります。

Q. 今後、MAGELLANをどのように活用していきたいと考えていますか?

分析結果をもとに、具体的なアクションに落とし込むところまでやっていきたいと考えています。さらに、MAGELLANの分析結果だけではなく、他の判断材料も加味したプランニングを行っていきたいです。

また、属人的な運用にならないよう、他の担当者でもMAGELLANを活用できるような状態にしたいと思っています。

ドコモならではの強みを活かしたマーケティングを実現する

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

PDCAをさらに加速させていきたいと考えています。施策をやりっぱなしにするのではなく、振り返りをして次のアクションにつなげるまでのスピード感を大切にしていきたいです。

また、効率的なマーケティング手法はまだまだ模索中です。例えば、ドコモが所有するデータを活用したデータマーケティングを推進していくなど、ドコモの強みを活かしたマーケティングで事業成長を目指していきたいと考えています。

マルコ株式会社

ニッチな商材であるがゆえに、認知度の低さが業界全体の課題に

Q. 担当業務を教えて下さい

マーケット開発部にて、オンライン広告・オフライン広告問わず、あらゆる媒体を活用し、新規顧客を獲得することをミッションとしています。

今でこそテレビCMなどにも出稿していますが、もともとはクローズドマーケットだったこともあり、広告宣伝活動をあまり積極的に行っていませんでした。本格的に広告宣伝活動に取り組み始めたのは、RIZAPグループへグループ入りをした2016年からです。以降、RIZAPグループのノウハウを取り入れた広告宣伝活動を一気に強化しています。

Q. 市場の特徴を教えて下さい

市場の特徴の1つ目は、補整下着業界はニッチな商材であるため、業界全体としてまだまだ認知度が低いということです。理想の体型を目指すにはエステやダイエットなど、様々な選択肢がありますが、その中で補整下着はなかなか選択肢に挙がりません。「下着で体型を整えられること」をいかに認知させられるかが、業界全体の課題となっています。

特徴の2つ目は、ネガティブなイメージを持たれやすいということです。例えば、補整下着と聞くと「ファッション性に乏しい」「締め付けられるのでは」といったイメージを抱く方も多くいらっしゃいます。こうしたネガティブイメージを払拭するべく、私たちは「補整下着」の機能性、着用感、デザイン性を改良した「ボディメイクランジェリー」を通して、世の中に補整下着がグレードアップしたことを伝えていきたいです。

広告宣伝活動の開始に伴い、ターゲット層が拡大 ――ターゲットに合わせた最適施策でより効率化を図りたい

Q. 貴社の特徴を教えて下さい

私たちは、女性の体を、補整下着を着用していない状態でもキレイにすることを最大の目的としています。そのため、単に補整下着を販売するのではなく、ご購入後のアフターフォローまで無料でしっかりと行うことが一番の強みです。経験豊富なボディスタイリストが専属で担当し、きちんとコンサルテーションをしながら、プロポーションを美しく整えていくお手伝いをしています。お客様の中には、通われて10年20年以上の方も多く、長くお付き合いさせていただいています。

Q. メインターゲットを教えて下さい

若い女性向けのラインナップが豊富だったこともあり、これまでは20代から30代前半のお客様に多くご利用いただいていました。広告宣伝活動を始めてからは、特にインフォマーシャルの影響もあり、30代後半から60代以上のお客様も増えています。今では、どの年代のお客様にも均等にご利用いただいている状況です。

ターゲット層が拡大したからこそ、ターゲット年代別に最適な商品や施策が何かを細かく分析し、効率化していく必要があると考えています。

オフライン広告の効果を、他施策への波及効果を加味して精緻に分析したい

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

テレビCMやインフォマーシャル、折込チラシなど、オフライン広告の効果を精緻に分析する方法を探していました。オンライン広告はデータがあるため、一定の分析はできていると感じています。オフライン広告においては、テレビCMやインフォマーシャル放映前後のセッション数の変化で効果を測定してきました。ただ、この方法では他施策への波及効果を加味した分析ができないため、それぞれの媒体を過小評価、あるいは過大評価している可能性があります。また、どの媒体を経由して来店予約に至ったのかというヒアリングのデータからも分析を試みていますが、印象に残った媒体を回答する可能性が高いため、この手法でも適正な媒体評価が難しいと感じていました。

また、コミュニケーションの観点でいうと、広告表現の難しさに課題感を感じています。一般的に、補整下着は着用時にしかキレイになれないのではないかと思われることが多いです。しかし、私たちはアフターフォローもしっかりと行っているため、着用していない状態でも理想の体型へと変えていくことができます。この強みを表現していくことは大変難しいのですが、3か月間継続着用した成果をデータで証明するなどで工夫し、少しずつ強みを表現できるようになっています。

Q. MAGELLAN(マゼラン)を導入された理由を教えて下さい

先ほど申し上げたように、オフライン広告の効果を他施策への波及効果を加味して精緻に分析するためです。これまで様々な分析手法を取り入れてきましたが、オフライン広告の効果を適正に評価することが難しいと感じていました。オフライン広告は広告宣伝費のうち非常に大きい割合を占めるため、費用対効果が見合うのかどうかをMAGELLANで明確化したいと考え、導入を決めました。

また、コロナなどの外的要因の影響が可視化できることも導入の決め手の1つです。コロナ禍においても新規顧客を獲得できており、要因もある程度は推測できているのですが、その推測が正しいのかどうかを丁寧に分析したいと考えています。

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

まずは、最大の目的であるオフライン広告の効果可視化を行い、新規顧客の獲得数を最大化するための最適な広告予算配分を実現していきたいです。また、外的要因も含めた分析や、ターゲット年代ごとの細かい分析も行い、効率化を図りたいと考えています。

その後、店舗ごとに実施している独自キャンペーンや、販売スタッフへのインセンティブ制度の効果可視化にもチャレンジしたいと考えています。どのようなデータを使用するかは検討中ですが、キャンペーンのオファー内容が売上に貢献しているのかという点や、インセンティブ制度はどのくらい効果があるのかという点などを分析したいです。

誰もが憧れるブランドを目指す

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

課題として挙げていたことですが、「MARUKO」は認知がまだまだ低いため、まずは誰もが知っているブランドになっていくことを目指しています。また、認知されるだけでなく、誰もが憧れるようなブランドにしていきたいです。そのためにも、当社の商品とサービスがしっかり伝わるようなマーケティングを行い、市場全体を牽引していきたいと考えています。

青山商事株式会社

社内外のリブランディングやブランド認知・売上の拡大を図る

Q. 担当業務を教えて下さい

平松様:2019年10月に新設したリブランディング推進室において、洋服の青山のリブランディング業務を担当しています。具体的には、新しいブランドパーパスである「ビジネスのパフォーマンスを上げるパーツを提供する会社になる」を軸に、マーケティング施策やPR施策を行っています。また、社内における組織風土改革なども一貫して行い、ビジネスウェア事業の再構築を目指しています。

薮田様:マーケティング部のデジタルマーケティンググループに所属しており、オンライン広告を活用したブランド認知や売上の拡大をミッションとしています。バナー広告や検索広告、SNSを活用したプロモーションなどを実施して新規顧客の獲得を目指すだけではなく、アプリやメルマガなどを活用した既存顧客の購入率やLTVの向上も図っています。

自分ごと化されるブランドになるために ――お客様とのコミュニケーションを活性化する様々なキャンペーンを実施

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

洋服の青山のブランド認知は99%を超えており、ブランド名も、スーツを扱っている企業だということも広く知られています。一方で、多くのお客様に「自分には関係のないブランドだ」と思われている点が課題として挙げられます。自分ごと化されていないため、全国に707店舗、全都道府県に店舗があるにもかかわらず、近所にある店舗の存在に気づいてもらえないことがあるのです。「自分に関係のあるブランド」「買いたいものがあるブランド」だといかに認識していただくか、ここにマーケティングの難しさを感じています。

この課題に対する打ち手として着目したのが、SNSです。20代~40代といった最もボリュームのあるビジネスパーソン層にリーチできることから、リブランディング推進室が立ち上がってすぐにTwitterキャンペーンを実施しました。もともと、当社のSNSではスーツばかりを打ち出してきたのですが、市場調査の結果、実はスーツは2年に1回ほどしかご購入いただけないことがわかりました。そこで、購入率やLTVの向上を図るべく、比較的購入頻度の高いワイシャツを全面に打ち出すことにしました。その取組みの一例が、ノンアイロンワイシャツを10円で販売するキャンペーンです。綿100%のノンアイロンワイシャツで皺になりにくいものはめずらしく、一度商品を体験いただければリピーターになるはずだと考えました。キャンペーン実施後は、Twitterから着心地などの感想コメントを集め、店頭POPに反映することでPR施策にも活かすことができました。いかに多くのお客様に商品を体験いただけるタイミングを提供できるかを意識し、また持っているアセットを最大限活用することで、自分ごと化していただくための施策が実施できたと感じています。

※ 2021年6月末時点

「ノンアイロンワイシャツ10円キャンペーン」のTwitter投稿画像

また現在、リブランディング推進室のもと、改めてお客様に向き合うべく様々な施策に取り組んでいます。例えば、先日も新たな施策として、思わず悩みを打ち明けてしまうような聞き上手なチャットボット「AIチャットボット スナックママ よしこ」を導入しました。これまでの常識に囚われず、いかにお客様とのコミュニケーションを常時取り続けられるようにするかという観点で、施策を企画・実施しています。

一方で、リーディングカンパニーとして成功してきたからこそ、このようなこれまでにはない新しい施策や考え方に対して、社内のハードルは高くなる傾向にあります。そのため、会社を中からも変えていき、社内外のリブランディングを同時並行で進めていきたいと考えています。

お客様との新たなコミュニケーション強化施策「AIチャットボット スナックママ よしこ」

オフライン広告の効果を可視化し、数値をもとに最適な予算配分を実現したい

Q. MAGELLAN(マゼラン)を導入された理由を教えて下さい

導入理由は2つあります。 1つ目は、テレビCMやチラシなど、オフライン広告の効果を数値で可視化するためです。オンライン広告は分析ツールもいろいろとあり、ある程度は効果分析ができています。一方で、オフライン広告は効果の可視化ができず、費用対効果の分析が難しいため、前年踏襲型の予算配分になっていることが課題でした。MAGELLANであればオフライン広告の直接効果だけではなく、オンライン広告との相乗効果まで可視化できるため、適切な媒体評価ができ、最適な予算配分が可能になると考えました。

2つ目は、エリアごとに細かく分析できるためです。以前実施した独自調査で、テレビCMとチラシのどちらも効果がありそうな地域と、どちらも効果がないと思われる地域があることがわかりました。しかし、その調査では差が出ている理由まで突き止めることができず、もどかしさを感じていました。MAGELLANはエリアごとに詳細に分析が可能なため、この差分を明らかにできると考えました。今のエリア分析で有益な示唆が得られた際には、さらにエリアを広げて細かく分析していきたいです。

Q. 特に検証したい仮説などはありますか?

エリアの話でいうと、例えば首都圏とローカルや、ローカルの中でも都市部の地域とそうではない地域で効果のある媒体に違いがあるのかを見極めたいと思っています。首都圏や都市部の地域であるほど、テレビCMの効果は薄れるのではないかと考えており、その仮説をMAGELLANでしっかりと検証したいです。

また、チラシに投資価値があるのかも分析したいです。仮説として、チラシを見てご来店いただく方は既存のお客様が多いのではないかと考えています。もしそうあれば、チラシの代わりにアプリやメルマガを実施するほうが効率的な可能性もあります。広く認知させるという意味で、テレビCMの補完としてチラシに効果があると良いのですが、本当に投資価値があるのか、これからの分析結果が楽しみです。

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

まずは、広告予算の中でも大きな割合を占めるオフライン広告の効果を可視化し、数値をもとに最適な予算配分を行いたいです。無尽蔵に広告予算があるわけではありませんので、前年踏襲型の予算配分を見直すことで、オンライン広告・オフライン広告の予算最適化と施策全体の最適化を目指しています。

また、新入学や新入社のタイミングでファーストスーツの需要が高まる次のフレッシャーズ時期(1月~3月)に最適な広告施策が実施できるよう、MAGELLANでこれまでのアクションを分析し、次回に向けての有益な示唆が得られたらと考えています。

ビジネスウェア専門店の殻を破った“オンリーワン”のポジションを目指す

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

お客様に、私たちの商品だからこそ欲しいと思っていただき、指名買いいただける状態にすることが理想です。そのために、情報が必要な方に広告が届き、欲しいと思っていただき、ご購入いただくというサイクルを回し続けることを大切にしたいです。

また、今後はブランドパーパスを軸に、“ビジネスウェア専門店”数社の中の一社としてではなく、そこから一歩抜き出た“オンリーワン”のポジションを築いていきたいです。

株式会社エイチームブライズ

最も大切にしている「相談力」が独自の強みに

Q. 担当業務を教えて下さい

サービスのブランド戦略を担当しています。当社では、ブランド戦略は経営戦略を考える上で、とても大切なものだと考えています。私たちのミッションは、結婚式をご検討されているカップルやパートナーである式場様に対し、理念を体現することです。

具体的にはテレビCM、交通広告、SNSなどの施策を通じ、ブランドの認知拡大やイメージの浸透を図っています。また、お客様との接点となるWebサイトや店舗におけるブランドイメージの統一化も行っています。

Q. 市場の特徴や貴社の状況を教えて下さい

市場の特徴としては、結婚式を挙げるカップルが年々減少傾向にあるということです。背景には入籍しても結婚式を挙げない「なし婚」を選択されるカップルの増加があるのですが、その要因は「金銭的な理由」や「準備が大変」「セレモニーが苦手」など多岐にわたります。悩みや不安の解決方法はカップルごとに異なるため、自分達だけでその悩みを解決するのはなかなか難しいもの。そこで、私たちハナユメはサービス開始当初からアドバイザーの「相談力」に力を入れ、「なし婚」の解消を目指しています。

例えばアドバイザーが結婚式の相談を受ける際には、おふたりの悩みや不安だけでなく、馴れ初めや週末の過ごし方までじっくりとヒアリングを行っています。こうした相談により、“理想の結婚式“が実現すると考えています。

この「相談力」を大切にし続けた結果、「結婚式場相談カウンターランキング」では4年連続No.1をいただくなど、業界内でも高い評価をいただいています。

※2017年~2020年 オリコン顧客満足度®ランキング 結婚式場相談カウンター 第1位

オフライン広告の効果可視化に課題を感じていた

Q. マーケティングにおける難しさを教えて下さい

実は、多くのカップルはご自身が結婚式に対して悩みを抱えていることに気づいていません。悩みが顕在化しない限り、相談しようという気持ちにはならないため、まずは悩みに気づいていただくことが必要です。そのため、ご自身の悩みに気づいていただくためのコミュニケーションに難しさを感じています。

そこで、テレビCMなどのクリエイティブでは、多くのカップルが抱えている悩みをわかりやすく訴求するように心掛けています。これにより、ご自身が潜在的に抱えていた悩みに気づいていただき、「ハナユメに相談することでその悩みを解決できる」ということを理解していただきたいと考えています。

Q. MAGELLAN(マゼラン)を導入された理由を教えて下さい

テレビCMや交通広告などのオフライン広告の出稿量が増える中、各媒体の効率をしっかりと見極め、最適な投資配分を行う必要があると考えたためです。

ハナユメはサイトを運営していることもあり、もともとはオンライン広告に注力していました。しかし、獲得施策を中心としたオンライン広告だけでは、悩みや不安を抱えるカップルへのアプローチに限界があるため、認知施策となるオフライン広告にも重きを置くようになりました。

オフライン広告は、オンライン広告のようにコンバージョン数やCPAなどで効果を測定することができません。これまでは、主に認知度調査による定点観測でオフライン広告の良し悪しを評価していました。また、過去の実績を通して、それぞれの媒体にどの程度投資をするべきかという肌感も持っていました。しかし、それが本当に適切な投資配分なのかと問われると、明確な数値的根拠を持って各媒体の効果を説明することが難しいため、課題を感じていました。そこで、オフライン広告を含めた各媒体の最適な投資配分を明らかにし、投資の効率を上げることを目的にMAGELLANの導入を決めました。

広告だけでなく、あらゆる経営資源の最適な投資配分を実現したい

Q. MAGELLANの分析結果に対する印象や、今後の活用方針を教えて下さい

MAGELLANの分析結果では、肌感通りの影響力を持つ媒体もあれば、想像を超えて成果に貢献している媒体もあったことが驚きでした。これからは、MAGELLANの示唆をもとに最適な広告投資配分を行い、結果を検証しながら効率改善を図っていきたいと考えています。

また、MAGELLANは広告だけでなく、売上を構成するすべての変数の定量化が可能です。例えば、コールセンターの数やサイトに掲載している式場数など、売上を構成する変数は広告以外にも複数存在します。将来的には広告だけでなく、あらゆる経営資源の最適な投資配分を検証し、全体最適を実現していきたいと考えています。

理念の体現に向けて、サービスの理解促進を目指す

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

一番に目指しているのは、「一組でも多くのカップルに“理想の結婚式”のきっかけを」という理念を体現することです。その上で、まずはカップルそれぞれに合った理想の結婚式をご提案できる体制を整え、ハナユメに相談したら絶対に解決してくれるという認知を定着させたいと考えています。今後はさらに認知を拡大し、悩みや不安を抱えた際は一人で抱えこまず、どんな些細なことでも悩みや不安をご相談いただける状態にすることを目指しています。

レオス・キャピタルワークス株式会社

強みを活かし、顧客獲得数の最大化を図る

Q. 担当業務を教えて下さい

私が所属しているマーケティング部では、ひふみ投信やひふみワールドなど、当社レオス・キャピタルワークス(以下、レオス)から直接商品をご購入いただく直接販売の購入促進・顧客獲得をミッションとしています。また、証券会社や銀行など、当社以外の金融機関から間接的に商品をご購入いただくこともできるので、そのサポートも行っています。

Q. 市場における貴社の強みを教えて下さい

強みは3つあります。 1つ目は、実際に企業に足を運び、その成長を自分たちの目で確かめながら投資先を見極めていることです。レオスでは実際に投資先のオフィスや工場などに訪問し、財務情報などの定量面だけではなく、経営者やIR担当の方のビジョン、ミッション、お人柄などの定性面でも調査を行います。調査対象の企業も、広く知られているような大企業だけではなく、地味で地道な中小型銘柄を独自に発掘する「目利き」を行っています。

2つ目は、「守りながらふやす」運用を行っていることです。IT企業などの成長銘柄やディフェンシブな割安株、地味で地道な地方の中小型銘柄まで多様な価値観を組み入れることで “打たれ強いファンド” を目指しています。日々変化する株式市場の変化に柔軟に対応できるようにポートフォリオを構成しています。相場の上下によるお客様のハラハラドキドキをできるだけ低減するよう努めています。

3つ目は、「顔が見える」運用を行っていることです。レオスでは2021年1月に「お金のまなびば!」というYouTubeチャンネルを開設しました。レオスの代表取締役会長兼社長であり、「ひふみ投信」シリーズのファンドマネージャーでもある藤野英人を始め、その他の社員やゲストがお金や投資について共に考え、語り合い、学び合うようなコンテンツを公開しています。また、YouTubeだけではなく、お客様と交流するようなイベント・セミナーも積極的に開催していることが特徴です。

課題を捉え、打ち手を実行 ――ブランドコンセプトの一新や、YouTubeチャンネルの立ち上げ

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

いかに “共感度” の高い顧客を獲得できるか、その方法を模索していました。 投資信託事業は、お客様が預けてくださる金額と、商品を所有してくださる時間に応じて売上が変動します。例えば、サブスクリプションサービスなどは、満足度が高いと継続してご利用いただけますが、金融商品は成績が良く、一定のリターンが生まれると利益確定のために売却、すなわち解約されてしまうこともあります。私たちのビジネスの価値は売却時に生じるので、お客様に満足いただいた上で売却されることは嬉しいのですが、相場の上下によって短期のお付き合いになってしまうことも少なくなく、大きな課題でした。お客様の立場からしても、一般的な個人の資産運用においては、短期の売買ではなく、長期投資が有効とされていますので、もどかしい思いでした。お客様とのつながりをどう維持していくかが求められました。

そこで、いかに私たちの商品を「好き」と感じてもらえるか、つまり、いかに “共感度” を高められるかを考え、商品のブランド化に取り組みしました。役職も年齢も関係なく、部署横断でプロジェクトチームを組成し、ブランドコンセプトを1年かけて作り上げ、私たちの「価値」を形にしていきました。

ブランドコンセプトに基づき作成した新たなロゴデザイン

Q. 他に、これまで抱えていたマーケティング課題はありましたか?

新規顧客を継続的に獲得し続ける仕組みづくりができないか考えていました。従来、レオスではお客様の口コミや代表の藤野の書籍やテレビ放送が認知経路のメインであり、広告宣伝に積極的に投資をしておりませんでした。とはいえ、先ほどお伝えしたように、お客様の売却が目立つようになり、また新規顧客の獲得も頭打ちになりつつありました。

この課題に対する打ち手として、YouTubeチャンネル「お金のまなびば!」を立ち上げ、企画・運営を始めました。YouTubeチャンネルというコンテンツをプロモーションの手段として据えた背景としては、投資信託、として私たち「ひふみシリーズ」の魅力を伝えるためには、数十秒のテレビCMやランディングページでは決して十分とはいえず、ある程度の情報量が必要だと感じていたためです。繰り返し述べているように “共感” してもらい、「好き」と感じていただかなければお客様と深いつながりを維持することは難しいことはわかっていました。

また、当社の成功体験のひとつとしてテレビ番組の出演がありました。その構成や内容を分析し、YouTubeというプラットフォームで私たちが番組を制作し、分析し、より再現性のある施策にしたいと考えていました。

Q. YouTubeチャンネルについて、他に工夫されていることはありますか?

「自分で人生をデザインできる投資家をふやす」ことを目標に、企画・運営をしています。投資信託の仕組みを勉強するような動画もあれば、お笑い芸人の方をお招きしたエンタメ動画、経営者やその道の専門家の方をお招きして対談をするような動画まで、フックを散りばめつつ継続して楽しんでいただけるコンテンツ作りを心掛けています。動画そのものはもちろん、動画を企画制作するプロセスで得た知見も大切な資産ですので、中長期でマーケティング効果を活かせると考えています。

YouTube施策の効果可視化に課題

Q. MAGELLAN(マゼラン)を導入された理由を教えて下さい

このYouTube施策にどれだけ影響があり、成果にどのように寄与しているのかを明らかにするためです。コストもリソースもかけている以上、顧客獲得やお客様の商品所有時間にどの程度影響しているのかを可視化し、社内外に説明する責任があります。YouTubeからの顧客獲得までのトラッキングはクッキー情報では取得できないので、MAGELLANでその影響度を可視化していきたいです。

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

まずは、先ほど述べた通りYouTube施策が成果に対してどのくらい効果があるのかをより正確に見ていきたいです。口座開設にどれだけ寄与しているのか、また、銀行や証券会社経由で購入いただくお客様に対しても影響があるのか、その影響度を可視化したいと考えています。

その次のフェーズとしては、より細かい粒度で分析を行いたいと考えています。例えば、コンテンツの訴求軸や配信曜日・時間帯など、どういう戦術が最適なのかを見極めていきたいです。テレビCMの効果分析に似ているところがあると思いますので、テレビCMの分析知見が豊富なサイカと一緒に最適解を見つけていきたいです。

私たちが大切にしている “共感度” がどう上がったのかも気になります。例えば、一見再生回数は少なくても、私たちがこれまで接触できていなかった層に対して効果的にアプローチできる動画であったり、より深い共感を得られるような動画であれば価値がありますので、新たな指標なども創り出して細かく分析していきたいです。

「好きになってもらう」ことがマーケティング

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

社内外で当社がよく伝えている言葉のひとつに「 “好き” を大事にする」という言葉があります。私たちの事業そのものである投資という活動もそうですし、その他にも個人のキャリア、習い事、恋愛など、私たちの生活の上で多くの判断は「損得」で考えてしまいがちですが、実は「好き嫌い」が「損得」よりも中長期的には重要であり、かつ結果として正しいジャッジになることが多いという考え方です。私も非常に共感しており、この「好きになってもらう」ことがマーケティングの目的だと考えています。私たちの商品「ひふみシリーズ」だけではなく、多くの日本人に投資を好きになってもらう。この業界全体の持続的な成長を目指す上でも大切にしていきたい考えです。

日本ピザハット株式会社

マーケティング部内の組織横断でデジタル領域を強化

Q. 担当業務を教えて下さい

私は、マーケティング部デジタルマーケティング課で課長を務めており、デジタル領域全般を統括しています。デジタル広告における売上拡大が主なミッションです。またその他、DX化の重要性が全社的に理解されるようになったことで、デジタルマーケティング課では広告施策以外のデジタル関連業務も行っています。具体的には、FCオーナー様を新規募集する際、デジタルマーケティングの知見を活かし、求人広告の配信やコーポレートサイトにおける求人ページの作成なども担当しています。

DX化を意識するようになったのはここ1~2年のことで、コロナによる影響が大きいです。コロナの影響でWebからの注文比率が増え、これまで以上にデジタル領域を補強する必要がありました。その一環として、組織体制の強化も行いました。

現在、マーケティング部は、デジタルマーケティング課・企画課・商品開発課・ITストアビジネス課・ITバックオフィス課の5つの課に分かれているのですが、IT部門がマーケティング部に属する企業は大変珍しいかと思います。しかし、サイトやPOSシステムなどにおけるあらゆるデータをIT部門が管理しているため、実は分析を行う際にデータ収集で連携することが多々あります。IT部門をマーケティング部配下とすることで、この連携をスピーディーに行えるというメリットがあるのです。また、これまでは縦割りの意識があり、他課との連携が取りにくい場合があったのですが、現在は横の連携を強化しており、組織横断でデジタル領域を強化し、企画立案やデータ分析を行っています。

マーケティング部 デジタルマーケティング課 課長 薮内 浩平様

コロナの影響で市場が激変 ――デリバリー戦国時代におけるピザハットの強み

Q. 市場の変化や特徴を教えて下さい

デリバリー業界に関しては、コロナの影響で急速な拡大が見られます。一方で、“ピザ” デリバリー業界に関しては、ここ数年横ばいな状態が続いています。主な理由は2つです。

1つ目は、食のジャンルを問わず、デリバリーが容易にできるようになったことです。これまでイートインやテイクアウトしか対応していなかった大手外食チェーン店が、デリバリーを行うようになりました。また、デリバリー専門の外部プラットフォーマーが数多く誕生していることも影響しています。外部プラットフォーマーとは協業関係を築いている一方、ピザハット以外の商品は競合にあたるため、広い意味での競合数は増えています。競合が増えた今、デリバリー業界は戦国時代に突入していると感じます。

2つ目は、コロナの影響で個食の概念がこれまで以上に浸透したためです。これまで、ピザは誕生日やクリスマスなど、年に1~2回の大勢が集まるイベントでご注文いただくことが多い傾向にありました。そのため、人が集まる機会が減少している昨今、ピザデリバリー業界の伸長率は緩やかな状態です。

デリバリー需要が増えている一方、テイクアウト需要も年々高まっています。これもコロナの影響になるのですが、外食はせず、家で召し上がられる方が増えているためです。また、テイクアウトは配送費用がかからないため、お得にご購入いただけるというメリットもあります。

テイクアウト需要の増加を受け、どのような場所に店舗を構えるかも重要になってきました。これまではデリバリーの比率が大きかったため、裏路地に店舗を構えていても問題はありませんでした。しかし、現在は、普段お客様が目にする場所や目立つ場所に店舗を構えることが重要となっています。お客様のテイクアウト需要に応えるだけでなく、認知度拡大にもつながるため、店舗の出店計画も変化してきています。

Q. 戦国時代というお話がありましたが、そのような中での貴社の強みを教えて下さい

強みは2つあります。

1つ目は、もちろん「おいしさ」です。味には自信があり、競合と最も差別化が図れている点だと考えます。ただし、ピザは大勢が集まって食べるという「体験」がメインになりがちのため、前回どこのピザを召し上がられたかを覚えている方は、残念ながら多くはありません。また、ブランドスイッチされにくいという特徴もあるため、いかに第一想起されるかが重要になります。そこで、「赤」と言えば「ピザハット」を思い出していただけるよう、赤を全面に打ち出した広告を展開し、競合との差別化を図っています。

2つ目は、個食に対応した商品ラインナップを揃えていることです。日常的にご注文される方はまだまだ多くはないのですが、おひとりの時間でもピザをお召し上がりいただけるよう「MY BOX(マイボックス)」という商品をご提供しています。このように、個食需要に対応した商品は、競合との差別化を図る上で強みとなっています。

個食に対応したおひとりさまピザセット「MY BOX」は、販売数100万個を突破(2021年10月現在)

施策を横断した広告効果の可視化に課題

Q. これまで抱えていたマーケティング課題や、MAGELLAN(マゼラン)を導入された理由を教えて下さい

これまで、オンライン・オフライン問わず、施策を横断した広告効果の可視化ができていないという課題を抱えていました。テレビCMやチラシ、デジタル広告など、それぞれの施策ごとに分析はできていたものの、すべてを統合して同じ土俵で分析することはできていませんでした。例えば、デジタル広告経由のご注文が何件だったという結果が出た場合でも、長年テレビCMやチラシに多くの投資を行ってきたため、純粋にデジタル広告だけの効果なのかがわからず、上層部への説明も難しいと感じていました。その点、MAGELLANならオンオフ統合分析が可能なため、この課題をしっかりと解決できると考えました。また、国内No.1の導入実績があるという点も決め手になりました。

また、米国にあるピザハットの親会社から、アトリビューション分析の実施を求められていたタイミングだったというのも、導入のきっかけの1つです。実は、グローバルでは共通のアトリビューション分析ツール(MMMツール)がすでに導入されていました。しかし、そのツールは日本語対応したものではなかったため、活用のしやすさの面で課題があると感じていました。また、海外のツールの場合、日本独自の環境や文化に対応した分析が難しいため、日本国内のツールを探していました。定性面もしっかりとインプットしないと正しいアウトプットは出てこないと考えているので、日本における私たちの前提条件をしっかりと理解し、汲み取ってくれるという点でもMAGELLANは最適だと考えました。

Q. MAGELLANの分析結果に対する印象を教えて下さい

まず、デジタル広告の正しい効果が、数値でしっかりと可視化されたと感じました。 これまでも、成果に対するデジタル広告の直接効果はある程度把握できていましたが、直接効果だけでなく、間接効果まで加味した分析はできていませんでした。昔からテレビCMが中心の業界だったことから、デジタル広告の効果が理解されにくいという状況だったのですが、今回MAGELLANの分析結果を活用することで、上層部に対してもきちんと数値的根拠を持って説明できると思いました。

また、ローカルエリアになればなるほど依然として電話注文が多く、テレビCMが主力と思われているFCオーナー様が多いのも特徴です。しかし、Webからの注文比率は全国的に増えているため、今回の分析結果を活用し、デジタル広告の有効性をオーナーの皆様に対してもしっかりと数値でお見せできるのは、大変ありがたいと思っています。

その他の施策についても、これまで肌感でしか把握できなかった費用対効果を数値で可視化することができました。これらの分析結果をもとに、今後のプロモーション戦略・戦術を再検討し、効率化を図っていきたいと考えています。

Q. 今後、MAGELLANをどのように活用していきたいと考えていますか?

今後は、四半期ごとに分析と分析結果の施策への落とし込みを行い、スピーディーにPDCAを回していきたいです。実は、過去も別のツールを活用して重回帰分析を行っていた経験があるのですが、その際は年に1回程度しか分析できず、スピード感に欠けていたという反省点がありました。

競合や外部プラットフォーマーとは圧倒的な広告量の差があり、プロモーションの量では太刀打ちが難しいのが現状です。そのため、MAGELLANによってスピーディーにPDCAを回すことで、プロモーションの効率化を図り、質の面で勝負していきたいと考えています。

部門を超えて連携を強化し、お客様視点のマーケティングを行う

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

便利なツールが年々増えていますが、導入して満足するのではなく、どううまく活用していくかがポイントだと考えています。私たちの場合、お客様との接点は店舗やオペレーション部隊などの現場です。そのため、ツールによって得られた示唆をいくら反映しようとしても、現場の受け入れ態勢が万全でなければアクションに移す意味はありません。数字だけを見るのではなく、しっかりと現場を見た上で連携を強化すること、そして、お客様視点に立った上で今後どうアクションすべきかを考えること、そこを忘れず大切にしていきたいです。