オイシックス・ラ・大地株式会社

Q. Oisix様には、2018年の冬にMAGELLAN(マゼラン)をご導入いただきました。当時、どのようなマーケティング課題があったのでしょうか?

西井様:Oisixでは、現在約20万人の会員数を、3年間で50万人に成長させるという事業計画を立てています。しかし、プロモーションのファネルをOisixに対する顕在層から潜在層へと広げると、CPAが高くなってしまう傾向がありました。そこで、ラストコンバージョンではなく、Webのアトリビューション分析を行ったのですが、Oisixへのアクセスは、8割がスマートフォンからです。現状、デバイスを超えたアトリビューション分析は難しく、またオフライン活動の影響も可視化はできません。

このように、プロモーション全体の効果測定は長らくの課題です。しかし、認知と獲得の両方を実現するためには、最適なメディアを判断し、投資するためのファクトを掴まねばなりません。現在も、MAGELLANを含めて、プロモーション全体の効果分析を進めているところです。

CPAはトータルで考える

Q. MAGELLANを導入された理由を教えて下さい

成宮様:MAGELLANを導入した当時に私が所属していたOisixEC事業本部プロモーション室は、「おいしっくすくらぶ」の新規会員獲得がミッションです。デジタル広告は詳細な分析が進んでいますが、テレビCMなどのマス広告に関しては、効果指標や同時期に走らせるキャンペーンの設計を、経験則で行ってきた状況があります。MAGELLANはマス広告の効果も可視化できますから、ファクトに基づいたアロケーションに期待して導入しました。

藤枝様:EC事業本部のデータマーケティングセクションでは、サービスに紐づいたデータの蓄積、可視化、活用を行っています。Oisixの事業が伸びている理由の1つに、会員の獲得コストとLTVの一致があります。ゆえに、プロモーション全体の効果測定は、常に最善を追い求めなければなりません。また、広告予算のアロケーションに、統計学的なアプローチを取り入れられないかと考えていました。そのような中でMAGELLANをセミナーで知り、「Oisixの構想が実現できそうだ」と感じたのです。

Q. 近年、ダイレクトレスポンス型のビジネス全般に、CPA評価が難しくなってきた傾向があると伺います。Oisix様では、CPAをどのように捉えていらっしゃいますか?

西井様:ラストクリックの成果だけでなく、マス広告や動画広告も含めてPDCAを回し、トータルでCPAが合えば良いと考えています。そこへ、多角的な視点として統計のアプローチも交えていけるのではないでしょうか。デジタルマーケティングが登場する以前は、広告効果が十分に可視化されず、感覚的なアロケーションをせざるを得ませんでした。しかし、このブラックボックスの状態を明らかにし、正しいマーケティング投資ができれば、企業は伸びると思います。

お客様の行動を深く理解し、最適な広告手法を選択したい

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

藤枝様:Oisixでは週次でPDCAを回しており、スピードを大切にしています。現在は、データマーケティングセクションがサポートしながら、MAGELLANの分析設計を構築している段階です。よりスピーディに分析が行えるよう、マーケターが1人でMAGELLANを運用できる体制を整えたいです。

成宮様:運用型広告のプラットフォームは、広告配信システムの学習機能が進化し、クリエイティブの力で効果を上げていく傾向があります。広告を起点としたお客様の行動を可視化し、その上でクリエイティブの評価も可視化できると理想的ですね。ファクトに沿って、最適なマーケティングコミュニケーションを実現したいと思います。

西井様:今や「ダイレクトレスポンスは運用型広告」が当たり前となりましたが、10年ほど前は、ディスプレイ広告を活用しきれていなかった時代もあります。しかし、プラットフォーム側のテクノロジーの進化に伴い、CPAが合うようになり、広告投資が進みました。今後も同様に、動画広告などの新しい広告が定着し、クリックベースではない計測指標や手法が確立する時が来るでしょう。そのようなマーケティングの変化にしっかりと対応できるよう、準備を進めておきたいです。

オルビス株式会社

ブランド領域を含めた「つながり」を可視化したい

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

今井様:私がマネージャーを務めている新規戦略グループは、新規のお客様の獲得が主なミッションです。

昨年12月にオルビスがリブランディングを行った目的の一つに、「通販の会社」というイメージから脱却し、ブランドビジネスを展開していきたい、という考えがあります。ブランドビジネスを展開することで、ゆくゆくはメーカー側がお客様にアプローチするプッシュ型のマーケティングから転換して、お客様がオルビスを見に来てくださるプル型の状態を作りたいと考えています。お客様が自らモチベーションを持って検索して流入してくださる状態を作ることができれば、CPOを下げられ、LTVも圧倒的に高くなります。

それを実現するために、リブランディング前は広告費の大半をダイレクト領域に投資していましたが、現在はブランド領域への投資を増やしています。しかし、従来のようにダイレクト領域のみであれば施策の評価をしやすいのですが、テレビCM、Web動画、イベントなど、様々な施策を行う中で、どの施策が新規のお客様や売上の獲得に貢献しているのかが見えにくくなりました。アトリビューション分析も行っていますが、ブラウザとアプリでつながりが切れてしまうなど、どうしても効果を測定できないメディアがあり、例えば「Web動画を見たことでコンバージョンが増えている」というようなつながりは見えにくく、投資判断が非常に難しいです。

また、つながりが見えないために、2回、3回と継続的にプロモーションを行っても、振り返りができず、PDCAが回らない。ダイレクト領域では常にPDCAを回している一方で、ブランド領域はPDCAが回せていないので、両者を統合的に見ている立場としては相対的にブランド領域への課題観が色濃くありました。

諸町様:私が所属するコミュニケーション戦略グループでは、チャネル横断でお客様のファネルを俯瞰し、最適なブランドコミュニケーションを企画しています。

リブランディングを契機として、現在は従来のように通販ありきではない、お客様を中心としたチャネル横断のコミュニケーションの設計を進めています。お客様との一気通貫のコミュニケーションを実現するため、各部門が横断的に連携する動きを始めていますが、「チャネルを横断してLTVを見ていこう」と考えたときに、部門ごとに持っているKPIはあるものの、全体の良し悪しを共通指標で評価できる仕組みがなかったのです。そのため、今後、お客様と一気通貫のコミュニケーションが取れる状態が整った時に、同時にそれを評価できる仕組みも整っていなければならない、という課題を感じていました。

個人を追うことも、全体を俯瞰することも、両方が必要

Q. MAGELLAN(マゼラン)を導入された理由を教えて下さい

今井様:オルビスは売上の多くの割合を通販が占めているので、お客様個々人に紐づくデータを取得しやすく、これまでプロモーションの評価は「個人を特定して追跡する」というアプローチが主でした。MAGELLANは個人を追うアプローチではなく、これまでのオルビスのやり方と異なるので、分析の確からしさについて不安視する声も社内にありました。

しかし、私は個人で見るアプローチも、全体を俯瞰して見るアプローチも両方必要だと考えています。個人で見るアプローチだけに頼ると、「木はものすごく見ているけど、森がどうなっているかを見ていない」状態になってしまいます。木ばかりを見た結果、上から見たら「いびつな形の森になってしまった」という事態は避けたいと思い、全体を俯瞰できるMAGELLANを導入しようと考えました。

諸町様:オルビスにはデータ分析を行う専門チームがいるわけではないため、支援がないとMAGELLANを導入するのは少し難しかったと思います。しかし、各部門のメンバーに対して何度も説明会を開いてもらうなど、初期の導入支援をしっかりとしてもらっており、そういった支援があるという点でも、導入を考えやすかったです。

新規獲得の可視化から、リピートの可視化へ

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

諸町様:まずはスモールスタートとして、プロモーションの投資額が最も多い、新規獲得領域を対象に、トライアルセット、もしくは本品を初めてお買い上げいただくところまでにフォーカスしています。あらゆる施策を統合的に分析し、どの施策が新規の顧客の獲得や売上に貢献しているのかを明らかにしていきたいと考えています。それを実現した上で、長く製品をお買い求めいただけるリピートのお客様まで対象を広げ、施策全体の効果可視化・最適化を納得感をもって図りたいです。

今井様:前にやった施策を、しっかりと次に活かしてPDCAを回すために、新規、リピートといった「幅」に加えて、経年の「奥行」も見たいと考えています。このプロジェクトを通じて、ブランド領域への最適な投資バランスの判断について知見を積みたいです。

アイフル株式会社

認知系施策の評価に課題

Q. 担当業務を教えて下さい

MAGELLAN(マゼラン)を導入した宣伝部は、主にオフライン広告・オンライン広告の企画・出稿をメインに協賛イベントの立案やWebサイトのUI・UXの改修、SEO・LPO、新規業績に対する分析など、多種多様な業務を行っています。

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

オフライン広告の効果が見えづらいというのが一番の課題でした。オフライン広告は、オンライン広告と比較すると、KPIや成果への間接効果を測定することが非常に困難です。特に、オフライン広告とオンライン広告を結びつけるというところが難しく、認知を高め、獲得をしていくというバランスを保つことに課題感を持っていました。

この業界は同業他社との製品差別化が難しいため、自社の特色をプロモーションでアピールしていかなければなりません。オフライン広告、特にテレビCMでは弊社の特色をアピールできていたと考えていますが、オンライン広告ではそれがなかなか難しかったです。それは、これまで採用していた手法が限定的にならざるを得なかったということが理由です。弊社の特色をアピールできるオンラインメディア、オンライン施策は様々考えられますが、CPAで考えてしまうと、新しい手法を確立していくことが難しくなるという状況でした。やりたいと思っても、どう評価していくのかに大きな課題がありました。

施策別・流入経路別に成果への貢献度を数値化

Q. MAGELLANを導入された理由を教えて下さい

広告効果の可視化や分析が行えることが採用した理由の一つになりますが、一番の理由は統計学などの専門的な知識を必要とせず、実績データをインプットするだけで誰でも分析が行えることです。宣伝業界やマーケティング業界のような専門性の高い分野においては、業務が属人化となる傾向があります。属人化はプラスにもマイナスにも働きますが、マイナスに働いた際の影響は今後の業務運営にあたって大きなリスクであると言えます。

そういった中でMAGELLANは「誰でも」「均一な考え方で」「客観的」な分析が可能となることで、担当欠員による業務停滞=効率悪化を抑制できることが大きな魅力であり、メリットと感じられたことから採用しました。

Q. 実際に、MAGELLANを導入してよかった点はどういったところでしょうか?

オフライン広告・オンライン広告の成果が数値化されることで施策の評価がしやすくなり、どのような経路で流入してきたのかが可視化できたことにあります。オンライン広告・オフライン広告を展開されているどの企業様も、オフライン広告がどのような経路で成果につながっているのか、オンライン広告との関連性はどのように確認すれば良いのか、一番頭を抱えておられることだと思います。

今回導入したMAGELLANは、実績データをインプットし分析ボタンをクリックするだけで、施策別・流入経路別に成果への貢献度を数値化できたことに大変驚きました。また、分析結果においても、弊社が過去から蓄積してきた知見・経験・実績と照らし合わせても精度の高さが感じられ、納得いく内容だと言えます。

Q. MAGELLANの分析結果をもとに、具体的にどういうアクションを行ったのでしょうか?

分析結果から得られた情報をもとに、各広告施策へ評価を行いました。評価の基準としては「どれほど実績に貢献しているか」を数値で表し、数値化した施策評価を過去の実績などを照らし合わせ、評価の妥当性を検証します。検証した評価をもとに予算のアロケーションを実施し、そこから得られた実績から施策の再評価、次回の予算アロケーションにつなげる、といったPDCAを実施しています。

Q. その具体的なアクションの結果として、どういった成果が上がったのでしょうか?

MAGELLANを導入してまだ間もない状況であり、直接的効果の立証は得られてはいないものの、広告費の最適化の視点からプラス成果が得られているものと考えています。 また、業務の効率化も大きく変化しています。従来であれば膨大なデータ量から様々な視点で紐解いてファクターとなる要素を抽出し、個々のファクター・要素を線で結び、背景・根拠を関連付けて、のような複雑な作業が必要でした。MAGELLANを導入したことで、大枠とはなりますが個々の関連性を瞬時に確認することができ、数日費やす作業を数分でアウトプットできることで業務の効率化にも貢献しています。

人間の感覚だけでは市場環境の変化に対応できない

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

季節要因の影響を明らかにできればいいなと思っています。私共の業界は成果に対する季節要因の影響が大きいため、例えば、○月はこの施策を増やしたほうが良い、逆に減らしたほうが良いなど、そういう意思決定をできるようになりたいです。そして、そういった要因を加味した上で、来月の広告予算をどう配分すれば良いかというのがボタン一つで出てくる環境を作る、それが今後のMAGELLANに期待したいところです。

Q. ちなみに、MAGELLAN導入以前の予算配分はどのように実施されていたのでしょうか?

基本的には前年度予算に対して、前年度実績や季節性を考えながら、「○%を増やす」「○%減らす」という形で実施していました。ですので、過去のやり方を聞いておかなければならないですし、担当が変わってしまうと配分も変わってしまうという状況でした。

Q. ほとんどの会社が同様の状況だと思うのですが、なぜそれを問題視されているのでしょうか?

時代に応じて効果的な広告が変わっていくからです。あるときはアフィリエイト広告、あるときはディスプレイ広告、あるときはリスティング広告が良いなど、メニュー自体の良し悪しもありますし、広告の実施時期やキャンペーン内容によっても、どの広告が効果的かは変わってしまいます。また、新たなメディアが出てきて勢力図が一変する、ということも考えられます。人間の勘や経験、前年踏襲の予算策定は、基本的には「過去が正しい」から「未来もこうしよう」という考え方ですが、「過去が正しくなくなったとき」、つまり市場環境が変化したときにはこの予算策定の方法では耐えきれません。勘や経験ではなく、普段から数値で評価できていると、その数値の変化をもって「考え方を変えなければならない」というのがわかるようになります。

弊社のサービス自体は大きく変わらないため、時代の変化にいち早く気づき、対応していかなければなりません。そのためには、MAGELLANのような分析が必要になってくると考えています。

消費者金融という枠を超えた会社になっていきたい

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

この業界は商品の差別化が少なく、広告の差別化も少ないので、ユニークな広告、新しい取り組みをやっていくことで、新しいファンを増やしていきたいです。

これまで、お金を借りるということについてはネガティブなイメージがあったと思います。お金を使うことでこういうハッピーなことがある、というときに、電子マネーに近い感覚でキャッシングのカードも使ってもらえるような環境を整備したいです。お金を得るという意味では、CtoCのフリマアプリで自分の服を売る、というのも、弊社のサービスを使うのも同じだと考えています。今はお金を得る手段は多様化していますので、その手段の1つとして選ばれるようになりたいですし、消費者金融という枠を超えた会社になっていきたいと考えています。

株式会社サンリオエンターテイメント

Q. 担当業務を教えて下さい

河井様:私は営業部営業推進課という部署で、テーマパークの集客を担当しています。私の部署では、国内だけでなく、インバウンド(外国人観光客向け)の集客も実施しています。具体的には、マーケティング課と連携しながら、チケット販売チャネルを構築し、需要予測や分析なども行っています。

志賀様:私はピューロランド全般のマーケティング業務に携わっています。管掌領域としては、プロモーションも含めたデジタルマーケティング、オフラインマーケティング、そして、広報業務もあります。

Q. 市場の特徴や貴社の状況を教えて下さい

志賀様:一般論としてですが、テーマパークに来場される頻度は、平均値を取ると1年に1回、良くて2回程度だと思います。定期的に行かなければならない場所ではないので、ニュースリリースやプロモーションが盛り上がっても忘れられやすいという特徴があります。 例えば、12月にスタートするイベントのニュースリリースを10月に出すと、一時的にすごく盛り上がるのですが、その盛り上がりは持続しにくく、12月になる前に忘れ去られてしまいます。もちろん、当然のことだと思いますので、私達は忘れられないように常に情報を配信しています。オウンドメディアやSNSで色々情報提供をし、広告配信するなど、何らかのコミュニケーションを取り続けるようにしています。そうしなければ、お客様が「行きたい」と思うタイミングになかなか入り込めないのです。

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

志賀様:最も大きいのはマーケティングの効果を可視化しづらいということです。営業課のおかげで本当に様々な販売チャネルがあるのですが、どのマーケティング施策によって、どのチャネルからの販売が伸びたのか、ということを評価することが非常に難しいです。

集客がうまくいっているときは問題ないのですが、想定通りでないときには、効果が可視化できていないからこそ「マーケティングに問題があるのではないか」と言われやすくなってしまいます。2015年までやっていたテレビCMをやめたのも同じ理由で、効果が可視化できないため、デジタル広告に予算を割いていくという近年の動きにつながりました。

河井様:テレビCMをやめたのはトップの英断だったと思っています。総予算もそれほど多くない中で、GRPを獲得できないという事情もありましたし、家族客だけでなく若い女性の方にもお越しいただきたいという中で、どの媒体が最適なのかを考え、テレビCMをやめることになりました。

志賀様:効果が可視化できていないと投資対効果が明確にならないので、意思決定が難しいという問題に直面します。必ずしもSNSで盛り上がっているからといって、来場していただけるわけではありません。ダイレクト系のマーケティングのように、CPAという明確な指標があれば、意思決定も比較的しやすいと思うのですが、CPAがわからない中での判断は難しいと感じます。

MAGELLAN(マゼラン)によって、 スピーディかつ視覚的に全体像を把握でき、誰でも変化に気付けるようになる

Q. MAGELLANを導入された理由を教えて下さい

志賀様:実は、MAGELLAN導入前に、別の企業様に依頼をして効果可視化に取り組んでいました。それは、MAGELLANのようなツールではなく、すべて手作業でやるものでした。当然、最初のレポートが出てくるまでに時間もかかりますし、「ここの見方をこう変えたい」とリクエストすると修正に何日もかかってしまいます。結果的に、タイムリーに欲しかったものができあがるまで2ヶ月くらいかかってしまいました。

ただ、そのときに、全体を相関分析するとこういうふうに見えるんだ、というものはわかりました。一方で、修正までの時間がかかるともやもやが深くなってしまうこともありました。

河井様:次のアクションもできないですからね。

志賀様:そうですね。そんな時にMAGELLANというツールを拝見し、施策の間接効果が図示されていて非常にわかりやすく、スピーディ、かつ、直感的に使えそうだと感じました。

また、最初に依頼した企業様の場合、「なぜこの施策が良いという評価になったのだろう」という疑問が解消されるまでにすごく時間がかかってしまったのですが、MAGELLANの場合は、そういう疑問への深堀りがすばやく見られそうな心地良さを感じました。

Q. 実は他のクライアント様からも間接効果が見えることをご評価いただくことが多いのですが、御社にとっても間接効果の可視化が重要なご理由を改めて教えていただけないでしょうか?

志賀様:実施している施策の数が多いことと、広告の成果が上がるまでにタイムラグがあるからです。多くの施策を実施してきた結果、集客にダイレクトかつ短期的に影響を及ぼしにくい施策があることは明らかになっています。費用対効果の悪い施策は続けられませんが、単体でなく全体で見ると実施する必要のある施策もありえます。間接効果を可視化することによって「来場者数に対する直接的な影響が大きいこの施策と相性の良い施策はこれだったため、これらの施策は同時にやるべき」といったことが掴めると思いました。

河井様:一見、効果が良くなさそうでも、やめちゃいけないということがわかるようになります。

志賀様:こういう間接効果も含め、数字になって投資対効果が見えてくると、弊社のマーケティングも変われると考えています。これまでの経験則があるので、一定の精度で来場予測ができたり、現状への打ち手を打てたりします。でもそれは長くやっていないとわからない職人的な領域であって、誰でもできるわけではありません。ただ、MAGELLANのようなツールがあると、今このチャネルが弱まっているから広告でなんとかしよう、というようなことに皆が気づけて、MAGELLANという共通言語のもとで動いていけるようになります。本当に「マゼラン」という名前の通りの指針なのかなと思います。

河井様:営業的にも各チャネルでトライ&エラーをするポイントを判断できるようになりますし、マーケティング課ともタッグを組みやすくなるので、最高の武器だなと思っています。

お客様を理解し、マーケティングと営業がより連携できる世界を目指したい

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

志賀様:お客様のことをより理解したいと思っています。実は、お客様を知るということをテーマにずっとやってきていまして、その一環で様々なツールを導入しています。そのおかげもあって、今はチャネルごとの来場者の属性データも取れるようになったのですが、ものすごく粒度が細かいわけではありません。もっと細かく、例えば、テーマパークに来場されたお客様が、普段どういう行動をされていて、なぜ今来てくださったのかというところを理解できるようになりたいです。

お客様への理解が深まると、お客様がこういうタイミングでこういうふうにお考えになるので、私たちはこれをやっていこう、ということができるようになります。マーケティング課の中で閉じないで、営業としっかり連携しながらやっていけるというのが、マーケティングのあるべき姿だと思っています。

ヤマキ株式会社

Q. 担当業務を教えて下さい

小澤様:家庭用事業部、業務用事業部、海外事業部という3つの事業部が社内にある中で、私は家庭用事業部と、広告や広報などのコミュニケーションを担当しています。

岡田様:家庭用事業部で、めんつゆや白だしといった液体調味料のカテゴリーを担当しています。業務としては、プロモーションを中心に、製品開発やPRまでマーケティング全般に幅広く携わっています。

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

小澤様:統合型のマーケティングコミュニケーションを可視化したいという悩みを持っていました。 今回、MAGELLAN(マゼラン)の分析でフォーカスした割烹白だしというブランドは、2019年の秋まで5年連続で2桁成長しています。しかし当初、割烹白だしは、料理上手の方には重宝されていたものの、それ以外の方には「自分には使いこなせない」と思われてしまい、なかなか裾野が広がらない状態でした。

岡田様:白だしは、めんつゆや鍋つゆとは違ってまだまだ生活者に浸透しきっていない商品で、だからこそ成長する可能性のある市場だと思っています。白だしを使ったことがなかったり、一度使っても離脱してしまう理由は、やはり使い方がわからないためです。調味料は他の製品で代用がきくものなので、必ずしも白だしを使う必然性はないのかもしれません。その中で、やっぱり白だしは良いものだよね、白だしにしかできないことがたくさんあるよね、ということを伝えていくのは非常に難しいところです。

小澤様:そうした中、割烹白だし発売からちょうど20周年を迎えた4年前の出来事になりますが、ある大手流通のバイヤーさんから「あなたたちがマーケットを大きくしないでどうするの」と言われました。それが個人的なきっかけとなり、社内外の総力を結集してマーケット作りに邁進しようという計画を立ち上げました。

具体的には、一部の料理上手の方だけでなく、より広い方々に使ってもらえるように、テレビCMに笑福亭鶴瓶さん、駿河太郎さん親子を起用し、割烹白だし1:9で簡単にスープができる、という「スープ訴求」を始めました。このように割烹白だしの使い方を訴求することで大きな成長を得られましたが、訴求を変えて4年目に差し掛かるころ、急激に成長速度が落ちてきました。

その時に「これは次のステージに入らなければいけない」と思い、テレビCMのタレントとして新たに岡田将生さんを起用し、訴求するメニューもスープから一段上げて「さっと煮」という簡単に作れる煮物を考案してもらいました。さらに割烹白だしの容器も従来のガラス瓶からペットボトルに変え、次のステージに上がるための起爆剤として、広告タレントから訴求メニュー、製品まですべてを刷新しました。

またプロモーションの展開方法も見直し、テレビCMの影響は非常に大きいと思いつつ、テレビを見ない方々にももっと訴求できるように従来の方法から改善しました。テレビCMを投下する直前に記者会見を行い、記者会見の様子をSNSで流し、それがネットニュースに載り、そしてネットニュースに載った姿がテレビでもう一回流れる。その話題をまたSNSに流し、機が熟したところに広告を投下、といったように、あらゆるチャネルを活用して生活者と複合的なコミュニケーションを取るようにしました。その結果、テレビを見ない方々にも訴求することができ、5年連続2桁成長という成果を勝ち取ることができました。

もちろん担当者たちは皆それぞれに意図して施策を実行していました。しかし一方で、こうした複合的なマーケティングコミュニケーションは可視化することが難しく、それゆえに「なんかいろんなことをやって成功したね、わーい」のような状態で終わってしまうのは良くないな、と考えていました。成功した要因をしっかりと可視化して、レビューできるようにすることで、本当に統合型のマーケティングによって成功したのだ、と見えるようにしたい、そう悩んでいたときにMAGELLANに出会い、導入を決めました。

複雑化したマーケティングコミュニケーションをMAGELLANが可視化

Q. 実際にMAGELLANを導入して良かった点はどういったところでしょうか?

小澤様:先ほど申し上げた統合型マーケティングの中で実施したいろいろな施策の効果が可視化され、それぞれが成果にどれくらい貢献したかが見えた、というのがMAGELLANを導入した一番のメリットだと思います。テレビCMや容器のペットボトル化など、感覚的に効果が高いと捉えていた施策が分析結果でも非常に大きな貢献を示していて、感覚が数字で裏付けられました。

また、デジタル領域の施策についても成果への貢献度がしっかりと見えるようになり、その分析結果も踏まえて、それぞれの施策の広告費を増やしたとき、減らしたとき、維持したときに売上がどのように変化するかシミュレーションもできました。 こうした分析結果が次の施策につながってくると感じ、そこにも大きなメリットを感じます。

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

小澤様:MAGELLANの分析を短期的に1回だけ行うのはもったいないと思っています。 次にまたマーケティングのアクションを起こした際に、今回と同様にMAGELLANで分析を行い、分析結果を2つ並べて比較できれば、より理解が深まるのではと考えています。

例えば、今回の割烹白だしでは容器のペットボトル化という特殊な要件がありましたが、それがなかった場合にどういうことになるのか、ということも比較することでわかることがあるはずです。それができれば、次のブランドを育成するときにも役立つかもしれません。

コミュニケーションの評価に悶絶しながら向き合う覚悟

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

岡田様:だしは世界に誇る食文化で、我々は100年以上そこに携わっていますが、鰹節を中心に、だしの美味しさ、良さ、をもっともっと伝えていきたいという思いがあります。

「だしってけっこう良いものだよね」という認識は恐らく皆さん持たれていると思いますが、じゃあ何が良いの、どう良いの、というところまでは意外と知られていないと思います。例えば、だしをきかせると塩分が少なくてもおいしくなったり、だしをきかせることで素材の味を活かしたり、素材の味をまとめることができたり、そういった良いところがだしにはあります。単純に「だしがおいしいから」ではなく、そういっただしの良さをきちんと伝えていきたいと考えています。その中で、最終的には「だしといえばヤマキ」「だし=ヤマキ」というブランドイメージを築けるように、プロモーションを行っていきたいと考えています。

小澤様:私はマーケターを30年以上やっていますが、昔を振り返ると、テレビCMが主役だった時代、私自身はテレビCMの目的は消費者に認知してもらうことであると信じて疑わなかったのですが、営業現場からは「広告に意味があるのか」「金ばかり使いやがって」と言われるような時代でした。恐らく現在は、デジタル領域の広告がそう思われているのではないかと思っています。

広告に対する「何の価値があるのか」「これだけお金をかける価値があるのか」という問いに解を示すためにも、お客様とのコミュニケーションをどのように評価していくか、ということがこれからもっと重要になっていくと考えていますし、その課題に日々悶絶しながら向き合っていかなければいけないと思っています。

株式会社オプテージ

Q. 担当業務を教えて下さい

私は個人のお客様向けの事業部門で、個人向けの光回線サービスの「eo光」とMVNOサービスの「mineo」のオフライン広告の企画や制作、出稿計画策定を担当しています。

Q. 御社のマーケティングにおいて難しい部分を教えて下さい

広告投資の費用対効果を測りにくいという部分です。例えば食料品や一般消費財であれば、ある程度テレビCMを出稿すればお客様のレスポンスがすぐに売上として見えると思います。一方で、弊社のようなインフラサービスの場合、検討期間やお客様ごとの契約更新時期などによるタイミング性が介入するため、テレビCMを出稿した当月に何件ご契約いただけた、というようにすぐに成果が出ず、評価が難しいという側面があります。

もう一つ、インフラサービスの場合、契約時の接客による影響が大きいので、広告効果を評価しにくいという面もあります。店頭におけるリアルな接点で提案を受け、「eo光に申し込んでも良いかな」と思っていただけて初めてご契約いただけるという性質があると考えます。そのため、広告をいくら出稿したとしても、結果として契約時の決め手が店頭での接客やキャンペーンのおかげではないか、という評価になることもありました。

これは業界全体に言えることですが、商品価値の差別化がつきづらく、結局何を軸にどの会社のどのサービスを選んだら良いのかわかりにくいところがあります。そのため、お客様もご自身でお調べにはなるものの、「最終的には店頭で直接説明を受けて契約したい」という方が多いです。弊社はリアルチャネルからの契約も多いので、リアルチャネルにおける提案の影響を排除して広告を評価できないというのは難しい部分です。

Q. 広告効果が測りにくいと、マーケターとしては意思決定が難しくなってくると思うのですが、以前はどのように広告効果を評価されていたのでしょうか?

デジタルの分野であれば、最低限コンバージョン数・率や獲得単価のようなKPIをおいて評価していました。オフライン広告は、広告認知の広がりや訴求している内容の理解度が上がれば目的は達せられているだろうという前提のもと、一定の予算を持って広告宣伝活動をやってきました。

一方で、多額の投資をすることにはなりますので、社内では定性面だけではなく、定量面にも目を向けて広告効果を評価していくべきだろうという声が高まっていました。

私自身、限られた予算の中で、例えばキャンペーンとしてお客様に還元すべきなのか、広告宣伝に投資をしていくべきなのかを同じ土俵で評価するべきだと考えていました。そうすることにより、より精度が高い予算配分ができるのではないかと感じていました。

Q. 定性面での評価のみでは不十分な理由を教えて下さい

「お客様の弊社サービスへの認知度・理解度が上がれば、必ず契約数が伸びます」と断言してしまって良いのかという懸念を持っていました。また、広告宣伝の結果として、当然成果を求められますので、やはり定量的に見ることは大事だと思っています。

弊社では、認知度・理解度だけでなく検討意向なども評価項目としていましたので、定性面での評価だけでも信頼性はあったと考えていますが、定性面の評価と契約数などを紐付けることは難しいですし、その関係性を証明することも困難です。

Q. そうした課題がある中で、テレビCMにおける社内評価はいかがでしたでしょうか?

一度やめてみて広告効果を検証しても良いのではないか、という声がありました。非常にありがたいことではありますが、関西における「eo光」のブランド認知は90%を超えており、たとえテレビCMを出稿しなかったとしても、ある程度お客様の検討候補に入り続けることはできると考えたからです。

一方で、広告は目先の契約獲得のためだけに実施するものではないと思っています。お客様に私共が大事にしているブランド(お客様起点をベースにていねい親身、プロフェショナル、半歩先を読む)としての価値を認知いただいて、ファンになっていただいて、長くご利用いただけるようになる、そういう意味合いもあると考えています。

今まで十数年にわたって関西で一定量のテレビCMを出稿してきたという歴史がある中で、テレビCMの出稿量を減らすことにより、弊社サービスやブランド、そして企業としての認知率が低下するという悪影響も考えられます。

広告の効果をフラットに、同じ土俵で見たかった

Q. MAGELLAN(マゼラン)を導入された理由を教えて下さい

広告の効果を定量的に評価し、その広告を今やるべきなのかを判断したいためです。特に、一番投資しているテレビCMが、1契約あたりどの程度のコストになっているのかをフラットに見てみたいと考えていました。

Q. 実際に分析結果をご覧になられて、どういう感想をお持ちになられましたか?

ある程度私が予想していた通りの結果でした。テレビCMの効果はゼロではないものの、獲得単価は高く見えるだろうと思っていました。ただ、予想通りだったからがっかりしたということではなく、定量化できたということ自体が私共にとって非常に有意義でした。今後新しい広告計画を検討していくにあたって、これくらいの費用対効果を確保しなければならない、という定量的な指標ができたと捉えています。

費用対効果の基準をつくり、それをもとに広告の比較検証を実施していく

Q. 実際にその評価を見た上で、実施したアクションについて教えて下さい

テレビCMの打ち方を変更しました。先に申し上げたとおり、テレビCMの投資効率が良くないからといってやめてしまうことのリスクもありますので、これまでのように年間通じてテレビCMを打ち続けるのではなく、定性・定量評価で得た知見をもとに打たない期間を設けるなどメリハリをつけて出稿しています。

同時に、電車内の窓枠ステッカーなどの交通広告にも一定の効果があることがわかったので、その予算を増やしました。動画広告も同様です。比較軸ができたことで、今までやっていなかった広告媒体への出稿を試行し、費用対効果が高いものを継続的に実施していくようにしています。

Q. 交通広告に一定の効果があるという結果は想定通りでしたでしょうか?

少し意外でした。もちろん、効果を期待して出稿しているのですが、交通広告はお客様の心の中に印象を残しておくという目的で制作しているため、短期的な成果は限定的だと思っていました。実は、まだ疑問符が消えているわけではないのですが、今後続けていく中で、本当に効果があるのか、効果があるとすればその理由は何なのか、というように深堀りしていきたいと思っています。

Q. MAGELLANをご導入いただいてから1年以上が経過していますが、MAGELLANに対する印象を教えて下さい

MAGELLANは使い続けていく方が良いと思っています。様々な施策を同じ土俵で評価できることで、費用対効果の基準が見えてきますし、その基準値をもとに実績を分析し、新施策を評価し、既存施策の現在と過去を比較して検証していく、というのがあるべき姿だと思っています。

より正確に言うと、MAGELLANというツールを使い続けるというより、サイカのカスタマーサクセス部の皆さんのサポートも含めた “サービスとしてのMAGELLAN” を使い続けていくという判断をしています。ツールを渡して終わりではなく、分析自体や分析における精度調整、アウトプットの示唆についてもサポートしてもらえているというのは大変ありがたいです。

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

活用範囲を広げていきたいと思っています。現在は新規契約数に対する効果分析を主軸に活用しているのですが、既存のお客様の他サービスの追加契約や解約への影響についても分析対象にできればと思っています。

人間の気持ちを大事にしたマーケティングを続けていきたい

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

定性面・定量面を総合して自分たちの広告計画や実績を評価し、次により有効な広告を出稿するために議論した上で広告出稿したいと思っています。定量面が重要なのは言うまでもないのですが、定性面も大事にしていきたいです。例えば、自分自身が他社様の広告を見て「この広告好きだな」「このサービスおもしろいな」と思う瞬間はたくさんあります。そういった人間の気持ちが、販売やマーケティングには非常に重要な要素として関わってくるものだと考えています。広告を受け取る、感じるのが人間である以上、そういう気持ちをベースに、今後もMAGELLANとともにオフライン広告の企画や制作、出稿計画策定をしていきたいと考えています。

株式会社再春館製薬所

「テレビCMの効果を過小評価しているのではないか」という仮説があった

Q. 担当業務を教えて下さい

私は、弊社で製造販売している年齢肌専門の基礎化粧品である「ドモホルンリンクル」の広告企画部に所属しています。広告企画部が担当しているのは、これまで弊社の製品を使ったことのないお客様に、初めて使っていただくまでの領域です。ご購入いただいた後は、リピートを促進する部門で継続利用していただけるようにお客様へコミュニケーションを重ねていきます。

私の実担当業務は、マーケティング戦略、広告制作、メディアバイイングがメインです。KGIは初回購入者及び売上、KPIは無料お試しセットのお申し込み数、その後の購入率となります。

Q. 御社のマーケティングにおいて、難しい部分を教えて下さい

基本的に弊社の製品はお客様の肌の悩みを解決していくものになります。そのため、いかにお客様に寄り添えるかが重要で、無料お試しセットのお申し込みをいただいたお客様との1to1コミュニケーションを深めながら、お悩みを解決していきたいと思っています。

ありがたいことに、ブランド認知率は90%以上ありまして、これまでの無料お試しセットの申し込み者や購入者のデータも一定保有しており、様々な切り口で分析は可能です。しかしその一方で、ドモホルンリンクルに対する単純な認知でなく、興味の度合いやその中身(どのように思われているのか)、購入意思など、無料お試しセットをお申し込みいただく前のお客様のインサイトが見えにくいという難しさがあります。

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

「各広告媒体の評価、特にオフライン広告が不十分ではないか」という課題を抱えていました。

その課題感の前提として、現代における、特に若年層の生活者のカスタマージャーニーの複雑化があります。今のお客様はテレビCMを見た後に、必ずしもすぐに電話をしていただけるわけではありません。Webで検索行動をする、SNSを見るなど、テレビCM視聴後の行動が注文電話やWebコンバージョンに対して一直線ではないので、線でカスタマージャーニーを描くことが困難です。お客様のまわりに多くのメディアがあり、また、お客様自身がメディアになる、という時代において、従来型の最後の媒体接点での媒体評価では見えないものが多分にあると考えていました。

テレビCMを実施しているダイレクトマーケティング企業の多くが「テレビCM放送後数分間の入電数」でテレビCMの効果を測っていると思いますが、弊社も同様の計測をしてきました。十数年前は、そのやり方でも費用対効果の計測は十分にできていたと考えています。例えばお昼の番組でテレビCMを流すと、テレビCM放送後に電話が鳴り、無料お試しセットの申込みをいただくのですが、その電話が何件鳴ったかによって、費用対効果は十分に計算できていたと思います。ただ、先に述べたような理由から、この計測方法ではテレビCMの効果を過小評価してしまう可能性が高いと考えています。

また、広告予算の配分はすべての広告媒体の評価を前提にして行われますので、予算配分に明確な根拠があった上で行えていないという課題もありました。

実際のオフライン広告の効果は大きかった

Q. MAGELLAN(マゼラン)は広告評価と予算配分最適化を可能にするツールですが、特にどちらを期待してご導入いただけたのでしょうか?

両方です。評価と予算配分はセットになると考えています。

Q. 他のソリューションもある中で、MAGELLANを選んだ理由を教えて下さい

私が検討や意思決定を主導していたわけではありませんが、サンプルサイズの大きさだと思います。弊社のビジネスモデルは、お客様とダイレクトにコミュニケーションを取れるものですので、数字を基本にした意思決定が可能ですし、ずっとそうしてきました。その歴史がありますので、サンプルサイズが小さい分析から導き出された示唆に対しては「本当にそれを信用していいのか?」という疑問が出ることはわかっています。

MAGELLANは統計学的な分析をするツールですので、ある一定のデータがあれば、サンプルサイズの問題が発生しないところに好感を持ちました。そういう意味では、弊社は統計学を使った分析に精通しているわけではありませんが、統計学の思想と親しいところは大きいですね。統計学的な分析による結果は、エビデンスのあるものですので、それなりの信頼に足るものだと考えていいと思っています。

Q. MAGELLANの分析結果に対する印象を教えて下さい

正直驚きました。オフライン広告の効果が可視化され、ワクワクしました。

テレビCMの分析結果には納得感もありました。元々、テレビCMの効果が持続するのが放送後の数分間のみであるはずがないという仮説はありましたが、全体の何割程度の効果があるのかというのは数字として見えていたわけではありませんでした。分析結果では、テレビCMの効果が数字で明確に示され、私達の肌感とかなり近いものでした。

もう1つ、分析結果に納得できたのは、統計的なエビデンスの上で算出された数字への信用もありました。学問として成立している統計学ですので、信用できると考えました。

Q. 従来は、テレビCMの効果をどの程度だと分析されていたのでしょうか?

私はオフライン広告とオンライン広告で半々くらい、つまり、全体の成果の半分程度がテレビCMによるものではないかと思っていました。もちろん、担当者によって肌感は異なります、4割程度と思う人もいれば、7割程度と思う人もいると思います。共通しているのは、テレビCM放送後数分間の入電数では過小評価してしまっているという点です。

先ほどお話した従来の評価法ですと、テレビCMにより生まれた成果は全体の1~2割、という結論でした。

自然にお客様に選んでいただける状態を目指したい

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

広告活動をしなくても商いが成立するのが理想だと思っています。

今は、お客様がメディアの時代です。ドモホルンリンクルだけでなく、弊社の製品をお客様に気に入っていただき、「ここに任せれば間違いない」という信頼関係を築きたいです。 その信頼関係が世の中に浸透し、自然発生的にお客様に選んでいただけるようになる。 そういう状態を作ることが究極だと思いますし、そこに向かって頑張っていきたいと思っています。

メガネトップ

約7割がロードサイドで、比較的中高年層のご利用が多い店舗 ――今後は若年層のお客様をいかに増やしていくか

Q. 担当業務を教えて下さい

営業企画部では、メガネショップ「眼鏡市場」における販売促進・企画を主に担当しています。プロモーションだけでなく、営業支援に関わるところまで幅広く担っている部門です。

Q. 市場の特徴や貴社の状況を教えて下さい

眼鏡のユーザーは子供からお年寄りまで幅広い年齢層が対象となります。当然のことながら年齢によってマーケットの特徴は異なるので、ターゲットの年齢層によってプロモーションの打ち出し方は大きく変わってきます。「眼鏡市場」はすべての年齢層をターゲットとしています。しかし、リアル店舗では店舗面積が限られるので、店舗所在エリアの顧客層に合わせて各店舗の売り場における商品のバランスやプロモーション内容を調整する必要があり、そこが難しいところです。

近年では、大型ショッピングセンターへの人の流れが大きくなり、若年層をターゲットとする競合他社は、相次いでショッピングセンターに出店しています。一方で「眼鏡市場」は約7割がロードサイド店舗です。車でお越しになるお客様がほとんどで、中高年層の方々が比較的多くなっています。そのため、若年層のお客様をいかに増やしていくかという点が今後のプロモーションにおける焦点の1つとなっています。

広告効果がわからないため、最適な予算配分がわからなかった

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

オフライン広告とオンライン広告の最適なバランスがわからないという点が課題でした。各広告の効果が正確にわからないため、どの広告にどのくらい予算をかければ良いのかわからない状態でした。

弊社はこれまで、テレビCMやチラシなどのオフライン広告が中心だったのですが、近年は若年層のお客様の集客強化のために、オンライン広告に力を入れています。しかし、各広告を評価するにあたり、オフライン広告とオンライン広告を統合して評価する方法がありませんでした。例えば、テレビCMはディスプレイ広告と比べて効果が良いのかどうか 正確に判断することができませんでした。

Q. MAGELLAN(マゼラン)を導入されたきっかけを教えて下さい

展示会でサイカのブースに訪問したのがきっかけでした。「テレビCMの効果がわかる」という点に驚き、お話を聞かせてもらいました。広告効果がわからないという課題に対して、どう対策すれば良いのかわからない状況でしたので、それが解決されるのであればやってみようということで、導入が決まりました。

正直なところ、統計学にあまり馴染みがないので、導入に際して最初は不安がありました。しかし、MAGELLANは多くの企業での導入実績があることを知り、最終的には安心してお任せすることができました。導入後の分析結果についても、これまでの感覚値と比べて大きな違和感はなく、納得感のある結果が出ています。

広告効果の可視化により施策の優先順位が明確に

Q. MAGELLANの分析結果に対する印象を教えて下さい

想像以上に細かく分析ができて、大変助かっています。今までやってきたことの答え合わせにもなっていますし、新しい発見もあります。

具体的には、テレビCMの効果について、私たちが思っていた通りの数値が出て、今までの仮説を検証することができました。さらに、オンライン広告の効果は私たちが思っていた以上に影響度があるという新しい発見もありました。この発見は、経営者も含めて広告の方針に対する考え方が変わるほどの大きなものでした。また、チラシや雑誌については、効率が悪い施策だと思っていたのですが、逆に効率が良い施策だということがわかり、大変参考になりました。

現在新型コロナウイルスの影響でプロモーションについても様々な変更があり、年度初めの予算計画から見直しをする必要が出てきています。MAGELLANの分析結果をもとに効率の良い施策を増やし、効率の悪い施策を減らすという調整で、成果を最大化できるよう取り組んでいます。

※ 2020年6月

全社の共通指標として、プロモーションだけでなく製造領域でも活用

Q. MAGELLANを導入されて、社内で変化はありましたか?

MAGELLANの分析結果を関係部門とも共有することで、部内だけでなく全社で共通の指標を用いて判断することができるようになりました。

例えば、これまではテレビCMを流す場合、商品となるメガネをどのくらい生産すれば良いかはっきりとした指標がなく、経験値をもとに判断していました。しかし、今ではテレビCMの規模から逆算して、商品の最適な製造本数を導き出すことができます。プロモーションの観点だけでなく、全社的に活用できる指標を作ることができました。

時代の流れにあったプロモーションをしていきたい

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

時代の流れにあったプロモーションができるようにしたいと思っています。そのためには、常に新しい情報を収集し、分析していかなければなりません。情報収集1つをとっても、これまでの手段がまったく通用しなくなる時代が来るはずです。今後はさらに世の中の流れが速くなると思うので、その流れについていけるプロモーションをしていくことが私たちの理想です。