KDDI株式会社

KDDIとサイカのデータドリブン・マーケティングの取り組みは、2019年から始まりました。通信業界において多岐にわたるサービスを展開するKDDIは、複雑な顧客獲得プロセスにおいて、成果を最大化するためのコミュニケーション最適化を目的に、サイカのMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)を活用しています。

導入から5年が経ったいま、KDDIのMMM活用は非常に発展しており、月次分析による高頻度なPDCAサイクルを実現しています※1。2021年から分析を開始したUQ mobileでは、月次のマーケティング投資最適化により、契約者一人あたりに投じるコミュニケーション費用を、最適化前と比較して約2割削減するなどの顕著な成果を上げました※2。

本事例では、KDDIがサイカと取り組んでいるデータドリブンなマーケティング最適化方法について、UQ mobileにおけるプロジェクトを中心に紹介します。

※1 2024年8月現在
※2 2023年度実績

競合ひしめく市場における勝ち筋は、“データドリブン”と“スピード”

携帯電話・スマートフォンなどの通信サービスの市場は競合の参入も多く、機能面での差別化の難しさから、価格競争に陥りやすいという特徴があります。そのため、コミュニケーションによる差別化が重要であり、そのためにもクリエイティブとメディアの最適化が求められています。

また、近年の特徴的なのは顧客における携帯キャリアへの意識が薄まっているという変化です。キャリアに対する興味関心がなく、どのキャリアでも構わないという人が増えてきているのです。ストック型ビジネスモデルであるため、購買行動期に入っている顧客は市場の約2割程度であるということがKDDIの自主調査でわかっています。

KDDIでは購買行動期に入っていない市場の約8割を占める消費者(以下、日常期と表現)に向けて、日常期の段階からKDDIが提供する通信ブランド(au, UQ mobile, povo)へのイメージを持ってもらい、乗換先を検討する際にKDDIを一番に想起してもらうことを目指し、ターゲットに合わせた施策の展開を図っています。

そして、これらのマーケティング活動の成果を最大化させるためにKDDIが重要視しているのが、データドリブンな意思決定と分析サイクルのスピードです。

UQ mobileをはじめKDDIの各サービスにおける顧客が加入や成約に至るまでのプロセスは非常に複雑で、多数の要因が絡み合っているのが特徴です。これらの影響を正しく捉えながらより適切な意思決定をするために、KDDIでは大量のデータをもとにこの影響を可視化しています。これがMMM活用の主な目的です。

そして、KDDIにおけるMMM活用の特徴の一つは、月次でこの分析を回しているという点です。KDDIでは主にオンラインメディアのクリエイティブや予算の最適化にMMMを活用しており、月次の運用サイクルに合わせて分析を行っています。

通信サービスの市場環境

通信サービスの市場環境

データに基づいたマーケティング意思決定の実現

前述のとおり、KDDIでは月次でマーケティング投資の最適化を継続した結果、契約者一人あたりに投じるコミュニケーション費用を、最適化前と比較して約2割削減するという成果を上げています。ここからはKDDIがどのようにデータに基づく意思決定をしているのかを紹介します。

KDDIがMMM活用で目指しているのは下記の4つです。

  • マーケティング施策の効果を正確に測定・可視化する
  • 施策ー消費者意識ー成果の関係性を明らかにする
  • 各ターゲットに対する最適なアプローチを特定する
  • マーケティング予算の効率的な配分を実現する

この目的を達成するために構築されたモデルが、KDDIのMMMの大きな特徴となっています。

KDDIの分析モデルの特徴

  • 消費者の意識指標をモデルに組み込み、「施策 → 意識 → 成果」の構造を解明
  • 目標とする意識指標をユーザー導線に合わせて設定
  • 成果を複数に分け、ターゲット毎に有効な施策を明確化

KDDIでは週次で消費者の意識調査を行っていることから、その調査結果をMMMの変数に組み込むことが可能となっています。成果に対して影響が大きいと想定される意識指標をユーザー導線に合わせてモデルに組み込み、どの意識指標を上げれば成果が最大化するのか、またその意識指標を上げるにはどの施策を強化すればよいのかを分析できるようにしているのです。これにより、施策の投下量や予算配分だけでなく、どのような意識指標を伸ばすべきかという質の面も最適化を図ることができます。

UQ mobileの販売チャネルは店舗などのリアルチャネルだけでなく、オンラインチャネルもあります。MMMの目的変数となる成果を複数のパターンに分けることで、それぞれの成果を上げるにはどの施策が有効なのかがわかるようにしています。

KDDIではMMMの分析モデルに消費者の意識指標を組み込んでいる

KDDIではMMMの分析モデルに消費者の意識指標を組み込んでいる

月次運用の実現

KDDIのMMM活用のもう一つの特徴は、月次で分析し最適化を図るというPDCAサイクルの速さです。月次の分析サイクルが必要な理由は、KDDIにおけるマーケティング投資の最適化がオンラインメディアを中心としていることに加え、新規トライ施策を織り交ぜながらPDCAサイクルを実現していることにあります。

もちろん、テレビCMを中心としたオフラインメディア効果も含めた最適化を行っていますが、よりクイックな評価が求められるオンラインメディアを軸にMMMを活用してマーケティングの効率向上を図っています。

成果を上げるための最適化サイクル

成果を上げるための最適化サイクル

KDDIで実行している月次のMMM分析サイクル

KDDIで実行している月次のMMM分析サイクル

月次でMMMを回す上では、分析だけでなくデータ収集にかかるスピードも重要です。KDDIでは、自社や競合他社に関するマーケティングデータを、社内外から収集・統合し、分析用データの成形と分析不使用データも含めた可視化環境を構築し、データ活用のスピードを担保しています。この時にポイントとなるは下記の2点です。

  • ブフォーマットや粒度の異なる様々なデータを収集し、分析用データに統合すること
  • 分析担当者がワンストップで異常値および傾向変化を把握できるトラッキング環境を構築すること

下図のように、MMMの分析結果も常に可視化できる環境を構築しているのが特徴です。このようなデータ基盤の構築が、KDDIにおけるデータドリブン・マーケティングの要になっています。

KDDIのデータドリブン・マーケティングの要となるデータ基盤の構築方法

KDDIのデータドリブン・マーケティングの要となるデータ基盤の構築方法

組織を動かすために

戦略や戦術の徹底には組織の巻き込みが必要ですが、一般的に、組織が大きくなればなるほどその難易度は高くなります。馬場氏が指揮を執るコミュニケーションデザイン部では、広告運用プロジェクトを編成し、グループ横断でお互いの組織を理解しながら広告運用の全体最適化を図る取り組みをしています。これにより、よりスピード感のある運用が可能となるだけでなく、一気通貫したブランド・コミュニケーションの全体最適化が可能となっています。

また、組織を跨いだ社内連携においては、各施策の評価を共通指標で語れるという点でMMMの分析結果が非常に有用です。共通指標により施策を横並びで評価することで、施策ごとの部分最適ではなく、施策を統合した全体最適を図ることができるのです。

広告運用の全体最適化を図るプロジェク

広告運用の全体最適化を図るプロジェクト

マーケティングのさらなる最適化を目指して

上記のように、MMMを駆使してデータドリブンなマーケティング投資の最適化を図るKDDIでは、現在、新たに生成AIを活用したクリエイティブのさらなる最適化にも取り組んでいます※。

※こちらはサイカとのプロジェクトの内容ではありません

マーケティングにおいて重要となる、質(誰に・何を)と量(どこで・どのくらい)の両輪をデータドリブンに最適化することに挑んでいるKDDI。今後ますます進化を続けるKDDIの挑戦に、サイカは引き続き伴走していきます。

「サイカのMMMは、大量のデータから複雑なモデル化を行い、可視化できる点で非常に価値があります。またコンサルタントの支援により、分析~施策適用のスピード感を実現できており、現在では欠かせないパートナーとなっています。」
KDDI株式会社 馬場氏

富士通株式会社

Q. まずは、事業内容についてご紹介下さい

Information and Communication Technology(ICT)と呼ばれる情報通信の分野において、各種サービスをグローバルに提供しています。ICTを支える最先端・高性能、かつ高品質のプロダクト、および電子デバイスの開発・製造・販売から保守運用までを総合的に提供する、トータルソリューションビジネスを行っていることが特徴です。

主要なビジネスは、大きく3つの分野に分けられます。最も売上のシェアが大きいテクノロジーソリューションは、法人のお客様へ向けてビジネスの最適化を目指したシステムプラットフォームやサービスをご案内しています。2つ目のユビキタスソリューションは、PCや携帯電話・モバイルウエアを取り扱っています。3つ目の分野となるデバイスソリューションでは、電子部品の開発・製造・販売を行っています。

Q. 担当業務を教えて下さい

マーケティングコミュニケーション本部 デジタルコンテンツ統括部 宣伝部は、様々な顧客接点で利用可能なデジタルコンテンツの提供とリード獲得をミッションとしています。量・質的にも優良なデジタルコンテンツを通し「デジタル革新のパートナー」である、富士通のブランド力の向上を担っています。そして、新たな顧客層へのアプローチにつながる良質なリードの獲得へつなげることが目的です。

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

オフライン広告の効果測定をできていなかったことが課題でした。 例えば、ブランドイメージ向上を目的としてテレビCMやプリントメディアの広告を実施した場合、その効果を客観的なデータをもとに分析することができていませんでした。プロモーションの実施前後でブランドイメージの変化、好感度や理解度・認知度といったクリエイティブの調査も行っていますが、その結果も広告効果によるものなのかわからなかったのです。

また、セッション数やキーワードの検索数などデジタル領域を通してわかる数値はありますが、オフライン広告やその他のコミュニケーション活動と相関しているのかもわかりませんでした。その2つを結びつける手段もなかったのです。

オフライン広告の予算は大きいため、結果の妥当性について具体的で納得できる説明を求められます。おそらく影響したであろうという曖昧な振り返りでは、次の施策へつなげることが次第に難しくなってきていました。

Q. MAGELLANを導入された理由を教えて下さい

MAGELLANは、オフライン広告の効果測定や影響度を可視化できるツールだと感じたためです。デジタルマーケティングが当たり前となってきている今では、実施したプロモーション活動が、KPIに対してどのような成果をあげたのか、そして、その成果の因果関係もしくは納得できる相関関係を数値で示すことが求められています。さらに、投資した金額に見合った成果が得られたのかも問われますし、データは次のより良いマーケティングのために活用したいですよね。相関・因果関係の見える化は、ますます重要になってくると思います。

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

MAGELLANを通してプロモーション活動の可視化と数値化を実現し、データにもとづいた施策のもと、PDCAを回したいと考えています。これまで推測で判断していた評価を、きちんとした事実・データにもとづいて行い、施策の改善へつなげていきたいです。

特に、オフライン広告のデジタル領域に対する間接効果を見たいですね。オフライン広告が、自社サイトのセッション数や重要キーワードの検索数へ、どのような影響を与えているのか可視化したいです。またテレビCM的な使い方をしている動画広告についても、間接効果があるのか気になっています。オフラインとオンライン、オンライン同士とそれぞれの施策の間接効果が可視化されることを期待しています。

株式会社インターワークス

Q. 担当業務を教えて下さい

今回MAGELLANを導入したメディア&ソリューション事業部では、製造業と工場勤務に特化した求人メディア「工場WORKS」と「製造・転職 メーカーズ」を運営しています。マーケティング部では、広告出稿やサイト運用を通し、メディアへの集客ならびに応募者数の最大化をミッションとしています。

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

まず、中長期的なマーケティングプランを考える上で、最適な広告予算の設計ができていませんでした。施策の費用対効果をベースとした予算設計を行いたいのですが、広告効果指標の算出や管理が、適切とは言い難い状況にあったのです。また、認知施策の必要性を理解しているものの、CPAなどの数値が出やすい獲得系の広告に予算を寄せてしまいがちで、応募見込み層へのアプローチができていないという課題もありました。

広告効果を数値化・可視化し、妥当性のある広告予算の設計につなげる

Q. MAGELLANを導入された理由を教えて下さい

大きく2つあります。1つ目は、広告効果や施策同士の影響度を数値化・可視化し、認知系施策への理解促進や最適な効果指標を明らかにするためです。社内でもログなどを用いた分析を行っていますが、より客観的な分析ができるMAGELLANを導入しました。

2つ目は、自社での分析に対するベンチマークにするためです。マーケティング部独自の分析結果とMAGELLANの分析結果があれば、判断の偏りを防げる他、分析結果に差異が生じたときに、その理由はなぜかと考えるきっかけになります。自社での分析とMAGELLAN、この2つの軸を持つことが、バランスの取れた判断をする望ましい体制ではないかと考えています。

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

自社での分析結果とMAGELLANの分析結果を比べ、そこから得られる示唆をもとにさらに分析を深めていきたいです。その次のステップとして、メディアを検討するときに、MAGELLAN上でシミュレーションを行い、意思決定の材料として使いたいと考えています。また、獲得・認知系ともに予算の最適な配分も行いたいですね。個人的には、業種ごとのHR系のビッグデータと弊社側のデータをマージして分析してくれるオプションの機能などがあると、MAGELLANの高い付加価値になるのではと感じます。

ターゲットを理解し最適なマーケティングコミュニケーションを実現したい

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

今後マーケティングで注力していきたいことは、運営メディアの認知・ブランディングです。まだサイト名での検索流入が少ないので、その比率を上げることとSEOでの集客・広告での集客の最適化を目標としています。WebメディアにSEOは欠かせませんが、アルゴリズムの変更によってはリスクにもなりえます。リスクヘッジのためにも、メディアのブランディングや認知を広げたいです。

サービスのゴールは求職者と企業を結びつけ、雇用を増やすことです。そのためには、運営しているメディアのターゲットを明確化し、理解を深め、いかに最適なプロモーションを効率良く実施できるかが重要だと考えています。ターゲット層を考えると、アプローチ方法としてWeb広告以外のプロモーションがベストという可能性もあります。今後、オフラインメディアを含めたプランニングを検討するときにも、MAGELLANは有効なツールであると思いますし、キャンペーンを実施して終わりではなく、その効果が追えることも大きいと感じています。

株式会社ラクス

Q. 事業内容と、MAGELLAN(マゼラン)をご導入いただいた部署の役割を教えて下さい

私たち株式会社ラクスは、中小企業を対象としたクラウドサービスの提供を行っています。現在提供しているクラウドサービスは、メールグループウェア・チャットツール・メール配信システム・Webデータベースなどの8種類です。今回MAGELLANを導入したクラウド事業本部 ファイナンス・クラウド事業部 プロモーション課では、クラウド型交通費・経費精算システムの「楽楽精算」のプロモーション業務を担当しています。

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

マス広告の費用対効果を把握しきれないことが課題でした。数年前は獲得施策のリスティング広告中心でしたが、現在は市場の成長に伴い、認知施策としてテレビCMや雑誌・交通広告と幅広く出稿しています。すると予算が大きいマス広告は、社内で基準としているリードや受注の獲得単価を超えるケースが出てくるのです。しかし現状では効果指標が十分でなく、効果が悪いという判断も、このまま投資を続けて良いという判断もつきません。そのため、マス広告の間接効果を知り、最適なプロモーションや予算配分を行いたいと考えていました。

間接効果の可視化とオンオフ統合分析による効果最大化の実現を、MAGELLANに期待

Q. MAGELLANを導入された理由を教えて下さい

1番の導入理由は、施策単体ではなく、オンオフ統合して施策全体を分析できることです。統合分析ができるツールは他にあまりなく、MAGELLANを選択しました。また、リード獲得を最大化する予算配分を限られた予算内で考えられるのも良いなと思いました。

これまでの効果測定は、テレビCMの出稿前後に行うネットの認知調査や、問い合わせフォームや営業による「どの広告を見たか」というヒアリングをもとに行っていました。しかし「リスティング広告を見て問合せた」とお答えいただいても、きっかけはテレビCMということもあります。従来の調査だけでは、間接効果の測定精度に懸念があったのです。知りたいのは、「雑誌広告を見て、展示会へ出かけて理解を深め、リスティング広告経由で獲得した」という、施策同士の間接効果です。そこをMAGELLANで深掘りし、今後も認知に寄せた大きな施策を行っていくべきかの判断をしたいと考えています。

顧客のステータスを把握し、効率の良いリード獲得を

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

まずは目標から逆算して、予算配分を決めるところから始めたいです。またテレビCMの継続を考えていますので、最適な予算やリード見込みのシミュレーションも実行したいですね。リード見込みがわかると受注数が予想できますので、目標とのギャップがあれば、どのような手を打つべきかの対策もとれると思います。

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

私たちのビジネスは、従業員数50名から500名規模の企業がターゲットです。ある程度リストアップが可能ですので、顧客のステータスに合わせたプロモーション展開や、タッチポイントを用意したいです。サービスにどのような興味を持っているのか、検討段階なのかというステータスごとに、リードにつながる効率の良いアプローチを行うことが重要だと考えています。リソースやコストを効率的に用いて、販売拡大につなげていきたいです。

それを実現するために、マーケターには、企業のステータスやニーズを把握し、それに最適なプロモーションを設計するスキルが必要です。統合的なコミュニケーション戦略を立てられる人材が、より一層求められてくるだろうなと思います。

エイベックス通信放送株式会社

Q. 担当業務を教えて下さい

今回MAGELLAN(マゼラン)を導入したコミュニケーションプロデュースグループは、お客様とのマーケティングコミュニケーションを設計する部署です。プロモーションユニット・Webマーケティングユニット・カスタマーリレーションユニットと3つのユニットに分かれ、dTV入会からリテンションまで、一貫したマーケティングプランを実行しています。

特に広告を扱うのは、プロモーションユニットとWebマーケティングユニットです。プロモーションユニットでは、PRや広告・店頭SPの制作の他、他の企業様と一緒にdTVの認知拡大を行う企業アライアンスなどを担当しています。そしてWebマーケティングユニットは、Web広告・オウンドメディア・SNSなど、デジタルチャネルを通した認知拡大・新規会員の獲得・継続率の向上などをトータルで考え、推進していく役割を担っています。

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

まず、オフライン広告の効果測定が難しいという課題がありました。KPIである新規会員の獲得に、どれほどの貢献度があったかが可視化できませんし、デジタル施策との相関を知ることも簡単ではありません。これまではブランドリフト調査や検索結果の推移などで代替して効果を見ていましたが、オフライン広告の効果を直接的に数字で示せる効果測定データが必要だと感じていました。また、施策の評価を経験則や定性的な判断に頼ることがあり、効率的なアロケーションが行えないという課題も抱えていました。

デジタル施策のみの分析やKPIの変更にも柔軟に対応するMAGELLANの汎用性

Q. MAGELLANの分析結果に対する印象を教えて下さい

MAGELLANの分析結果が私たちの知見に近く、これまでの評価を裏付けることができました。確信を持ってアロケーションして良いという手応えが得られましたね。また、アトリビューション分析は他社のツールでも可能ですが、オンオフを統合して分析し、予算配分に活かせる示唆まで得られるのはMAGELLANだけの特徴だと思います。

一方で、MAGELLANを使う場面は選んでいます。dTVの新規入会に最も影響するのは配信コンテンツですが、ビッグコンテンツの配信に合わせてプロモーションも厚めに行うため、そこでMAGELLANを使うにはまだ工夫が必要だと感じました。そのため、大きなコンテンツやオフライン広告との連動のない平常時のデジタル施策の分析にMAGELLANを活用し、最適な投資配分を導きたいと考えています。また今後は、継続利用などのLTVを注視する分析も行っていきます。KPIの変更で、分析にどのような違いが出てくるのか知りたいですね。

マインドシェア向上につながるコミュニケーションと、顧客ごとに最適化されたメッセージを届けたい

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

映像配信サービスの競争が激化している中、重視すべきはユーザーのマインドシェアです。マインドシェアを高めるには、接触回数と強度の高い体験の掛け合わせが重要だと考えています。今まではそれらをすべてオフライン広告が担っていましたが、ベースのマーケティングはスマホ起点で設計する時代となっていくでしょう。そしてオフライン広告は、オンラインでの体験をリフトアップするスパイスのような位置付けとなるかもしれません。オンオフを上手に組み合わせ、マインドシェアの獲得につながるコミュニケーションプランを考えたいと思います。(竹内 信実様)

デジタルマーケティングは、正確なターゲティングやMAなどによる自動最適化など、機械的に発展してきました。ここで改めて、ターゲティングしたお客様へ何を伝えていくのかを丁寧に設計していく必要があると思っています。ターゲットのカスタマージャーニーに沿って、ポイントごとにそれぞれのマインドに合わせた訴求を行い、アクションへつなげていくという流れを作っていきたいですね。(菊地 春佳様)

株式会社オプテージ

Q. 担当業務を教えて下さい

私は個人のお客様向けの事業部門で、個人向けの光回線サービスの「eo光」とMVNOサービスの「mineo」のオフライン広告の企画や制作、出稿計画策定を担当しています。

Q. 御社のマーケティングにおいて難しい部分を教えて下さい

広告投資の費用対効果を測りにくいという部分です。例えば食料品や一般消費財であれば、ある程度テレビCMを出稿すればお客様のレスポンスがすぐに売上として見えると思います。一方で、弊社のようなインフラサービスの場合、検討期間やお客様ごとの契約更新時期などによるタイミング性が介入するため、テレビCMを出稿した当月に何件ご契約いただけた、というようにすぐに成果が出ず、評価が難しいという側面があります。

もう一つ、インフラサービスの場合、契約時の接客による影響が大きいので、広告効果を評価しにくいという面もあります。店頭におけるリアルな接点で提案を受け、「eo光に申し込んでも良いかな」と思っていただけて初めてご契約いただけるという性質があると考えます。そのため、広告をいくら出稿したとしても、結果として契約時の決め手が店頭での接客やキャンペーンのおかげではないか、という評価になることもありました。

これは業界全体に言えることですが、商品価値の差別化がつきづらく、結局何を軸にどの会社のどのサービスを選んだら良いのかわかりにくいところがあります。そのため、お客様もご自身でお調べにはなるものの、「最終的には店頭で直接説明を受けて契約したい」という方が多いです。弊社はリアルチャネルからの契約も多いので、リアルチャネルにおける提案の影響を排除して広告を評価できないというのは難しい部分です。

Q. 広告効果が測りにくいと、マーケターとしては意思決定が難しくなってくると思うのですが、以前はどのように広告効果を評価されていたのでしょうか?

デジタルの分野であれば、最低限コンバージョン数・率や獲得単価のようなKPIをおいて評価していました。オフライン広告は、広告認知の広がりや訴求している内容の理解度が上がれば目的は達せられているだろうという前提のもと、一定の予算を持って広告宣伝活動をやってきました。

一方で、多額の投資をすることにはなりますので、社内では定性面だけではなく、定量面にも目を向けて広告効果を評価していくべきだろうという声が高まっていました。

私自身、限られた予算の中で、例えばキャンペーンとしてお客様に還元すべきなのか、広告宣伝に投資をしていくべきなのかを同じ土俵で評価するべきだと考えていました。そうすることにより、より精度が高い予算配分ができるのではないかと感じていました。

Q. 定性面での評価のみでは不十分な理由を教えて下さい

「お客様の弊社サービスへの認知度・理解度が上がれば、必ず契約数が伸びます」と断言してしまって良いのかという懸念を持っていました。また、広告宣伝の結果として、当然成果を求められますので、やはり定量的に見ることは大事だと思っています。

弊社では、認知度・理解度だけでなく検討意向なども評価項目としていましたので、定性面での評価だけでも信頼性はあったと考えていますが、定性面の評価と契約数などを紐付けることは難しいですし、その関係性を証明することも困難です。

Q. そうした課題がある中で、テレビCMにおける社内評価はいかがでしたでしょうか?

一度やめてみて広告効果を検証しても良いのではないか、という声がありました。非常にありがたいことではありますが、関西における「eo光」のブランド認知は90%を超えており、たとえテレビCMを出稿しなかったとしても、ある程度お客様の検討候補に入り続けることはできると考えたからです。

一方で、広告は目先の契約獲得のためだけに実施するものではないと思っています。お客様に私共が大事にしているブランド(お客様起点をベースにていねい親身、プロフェショナル、半歩先を読む)としての価値を認知いただいて、ファンになっていただいて、長くご利用いただけるようになる、そういう意味合いもあると考えています。

今まで十数年にわたって関西で一定量のテレビCMを出稿してきたという歴史がある中で、テレビCMの出稿量を減らすことにより、弊社サービスやブランド、そして企業としての認知率が低下するという悪影響も考えられます。

広告の効果をフラットに、同じ土俵で見たかった

Q. MAGELLAN(マゼラン)を導入された理由を教えて下さい

広告の効果を定量的に評価し、その広告を今やるべきなのかを判断したいためです。特に、一番投資しているテレビCMが、1契約あたりどの程度のコストになっているのかをフラットに見てみたいと考えていました。

Q. 実際に分析結果をご覧になられて、どういう感想をお持ちになられましたか?

ある程度私が予想していた通りの結果でした。テレビCMの効果はゼロではないものの、獲得単価は高く見えるだろうと思っていました。ただ、予想通りだったからがっかりしたということではなく、定量化できたということ自体が私共にとって非常に有意義でした。今後新しい広告計画を検討していくにあたって、これくらいの費用対効果を確保しなければならない、という定量的な指標ができたと捉えています。

費用対効果の基準をつくり、それをもとに広告の比較検証を実施していく

Q. 実際にその評価を見た上で、実施したアクションについて教えて下さい

テレビCMの打ち方を変更しました。先に申し上げたとおり、テレビCMの投資効率が良くないからといってやめてしまうことのリスクもありますので、これまでのように年間通じてテレビCMを打ち続けるのではなく、定性・定量評価で得た知見をもとに打たない期間を設けるなどメリハリをつけて出稿しています。

同時に、電車内の窓枠ステッカーなどの交通広告にも一定の効果があることがわかったので、その予算を増やしました。動画広告も同様です。比較軸ができたことで、今までやっていなかった広告媒体への出稿を試行し、費用対効果が高いものを継続的に実施していくようにしています。

Q. 交通広告に一定の効果があるという結果は想定通りでしたでしょうか?

少し意外でした。もちろん、効果を期待して出稿しているのですが、交通広告はお客様の心の中に印象を残しておくという目的で制作しているため、短期的な成果は限定的だと思っていました。実は、まだ疑問符が消えているわけではないのですが、今後続けていく中で、本当に効果があるのか、効果があるとすればその理由は何なのか、というように深堀りしていきたいと思っています。

Q. MAGELLANをご導入いただいてから1年以上が経過していますが、MAGELLANに対する印象を教えて下さい

MAGELLANは使い続けていく方が良いと思っています。様々な施策を同じ土俵で評価できることで、費用対効果の基準が見えてきますし、その基準値をもとに実績を分析し、新施策を評価し、既存施策の現在と過去を比較して検証していく、というのがあるべき姿だと思っています。

より正確に言うと、MAGELLANというツールを使い続けるというより、サイカのカスタマーサクセス部の皆さんのサポートも含めた “サービスとしてのMAGELLAN” を使い続けていくという判断をしています。ツールを渡して終わりではなく、分析自体や分析における精度調整、アウトプットの示唆についてもサポートしてもらえているというのは大変ありがたいです。

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

活用範囲を広げていきたいと思っています。現在は新規契約数に対する効果分析を主軸に活用しているのですが、既存のお客様の他サービスの追加契約や解約への影響についても分析対象にできればと思っています。

人間の気持ちを大事にしたマーケティングを続けていきたい

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

定性面・定量面を総合して自分たちの広告計画や実績を評価し、次により有効な広告を出稿するために議論した上で広告出稿したいと思っています。定量面が重要なのは言うまでもないのですが、定性面も大事にしていきたいです。例えば、自分自身が他社様の広告を見て「この広告好きだな」「このサービスおもしろいな」と思う瞬間はたくさんあります。そういった人間の気持ちが、販売やマーケティングには非常に重要な要素として関わってくるものだと考えています。広告を受け取る、感じるのが人間である以上、そういう気持ちをベースに、今後もMAGELLANとともにオフライン広告の企画や制作、出稿計画策定をしていきたいと考えています。

株式会社QTnet

会社としてもマーケターとしても、強くなるためには広告効果の可視化が必須だった

Q. 担当業務を教えて下さい

営業企画部 広報・宣伝グループでは、コーポレート及び各サービスのブランディング、認知及び顧客獲得への貢献を目的として、広告の企画・制作及び出稿調整を行っています。私はその中でも「QTモバイル」の広告をメインに担当しています。

Q. 市場の特徴や貴社の状況を教えて下さい

格安スマホは市場への浸透が進んできているものの、格安スマホへの乗換えを踏み切れていない層はまだまだ多く、その層に対して「いつ、どこで、どのように」接点を見出し、行動を促していくかがポイントとなってきます。マーケティングに関するヒト、モノ、カネのリソースは、大手の競合他社が圧倒的に有利です。競合他社に対抗できるよう、限られたリソースの中で広告効果を最大化するために創意工夫を重ねています。その1つが今回のMAGELLAN(マゼラン)導入でした。

Q. マーケティングにおいて、これまで抱えていた課題を教えて下さい

当社が期待する広告効果を得られる予算配分案の作成、プロモーション計画を検討していくにあたり、現在実施している各広告施策がそれぞれどのくらい実績へ、ひいては会社の売上へ貢献しているのかを明確にすることが重要です。つまり、広告効果の可視化が大きな課題の1つでした。

Q. まさに課題の裏返しでMAGELLANを導入されたということですが、同じようなソリューション提案は他社からありましたか?

広告代理店から提案を受けたことはありますが、広告施策単体における分析ツールが多く、予算のアロケーションや各施策の広告効果の可視化までは難しいところがありました。また、広告効果の可視化だけでなく、その後のアクションに活かすというところまで考えると、やはりMAGELLANが最適でした。

MAGELLANはツールとしてだけでなく、カスタマーサクセスからの定例報告会で毎回いただくフィードバックにも満足しています。今までと違う角度から今後の参考になるようなフィードバックが多いため、具体的なアクションにつながっています。

広告効果の可視化により、プロモーションの方向性の正しさを示すことができた

Q. 広告効果の可視化によって解決できたことはありますか?

まずは、広告予算に応じた予算配分の最適化が図れるようになってきています。効果を確認しながら、成果に結びつく広告施策を展開することができています。

また、最適な広告予算の配分以外に大きなテーマになっていたのが「クリエイティブの方向性」でした。MAGELLANによる分析結果によって、私たちが考えていたクリエイティブの方向性が正しいかどうかが見えてきました。

「QTモバイル」の申込み窓口は、大きく分けてショップとWebの2つです。当社が格安スマホ競合他社との差別化を図れる強みの1つとして、事業の特性上配置が難しいショップを九州全県に展開していることが挙げられます。その強みを最大限活かすために、オフラインの各広告施策のクリエイティブはショップへの来店誘導を目的としたものに基本的に統一しています。

MAGELLANで広告効果を調べた結果、各広告施策を通じてショップに行かれるお客さまが予想していたより多いということが見えてきました。想定はしていたものの、私たちのプロモーションの方向性が間違ってなかったことが確認でき、納得感を持って施策を継続することができるようになりました。

営業部門から信頼されるマーケティングを目指す

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

QTモバイルの認知及び顧客獲得への貢献を目的とした最適なメディアミックスを図るために必要な広告予算配分案、プロモーション案をしっかりと検討の上、実行し、成果につなげていくこと。また、一貫したプロモーションを行うために、販売のオペレーションを行う営業部門からも理解を得た上で進めていくことが大切だと感じています。当部が考えるプロモーションの方針に関して意思疎通の場を定期的に設けながら、共感を得た上で施策を進めていく姿が理想です。

例えば、これまではテレビCMを流す場合、商品となるメガネをどのくらい生産すれば良いかはっきりとした指標がなく、経験値をもとに判断していました。しかし、今ではテレビCMの規模から逆算して、商品の最適な製造本数を導き出すことができます。プロモーションの観点だけでなく、全社的に活用できる指標を作ることができました。

MAGELLANによって可視化された数値を共通言語として社内で会話できるようになり、目指す姿に着々と近づいてきていると感じています。

KDDI株式会社

メディア横断でのコミュニケーションプラン・予算アロケーションが課題

Q. 担当業務を教えて下さい

宣伝部では、全社のブランドマネジメント及び広告制作・出稿やスポーツ協賛などを担当しています。以前は、オフラインメディアとオンラインメディアの宣伝担当がそれぞれクリエイティブ制作からメディアバイイングを行う体制でしたが、2020年4月に組織体制を変更し、チームを統合して横断型コミュニケーションができる体制へ切り替えました。

Q. 今年度は「au PAY」事業で「MAGELLAN(マゼラン)」をご活用いただいています。キャッシュレス市場の特徴を教えて下さい

近年、キャッシュレス市場は飛躍的に伸張しています。調査によると、「au PAY」などのコード決済市場においては、2019年の店舗利用件数で昨年対比15.7倍の伸びを示しています。現在もコロナ禍による変化で、キャッシュレスの需要は拡大しています。

その中で、弊社の「au PAY」はauブランドで培ってきたお客様とのつながりを活かしながら、事業を拡大させています。

※2020年9月現在

Q. これまで抱えていた課題を教えてください

組織における課題とプロモーションにおける課題がありました。

まず、組織における課題としては3つありました。 1つ目は、メディア横断でのコミュニケーションプランの設計や予算アロケーションができないという点です。メディアごとでの担当割という組織体制だったので、メディア単位での効果最大化を目指してしまい、全体での最適プランを見出せない構造となっていました。

2つ目は、業務縦割りのため、担当者の考え方や視野が狭くなってしまうという点です。総合的な思考になりにくい状態でした。

そして3つ目が、広告宣伝の事業貢献度合いの可視化ができないという点です。大きな費用を使っている広告宣伝が、事業にどこまで貢献できているのかが、見えにくい状況でした。

また、プロモ―ションにおける課題としては、au以外のユーザーへの認知拡大・利用促進の勝ちパターンがわからないということです。弊社の強みとしては、通信事業で培ってきたauユーザーとのつながりがあり、「au PAY」事業においてもこのつながりを活かして認知拡大・利用促進を図ってきました。一方で、au以外のユーザーに対するアプローチのノウハウは十分ではありませんでした。クリエイティブとメディアをどのように組み合わせ、予算配分をすることがベストなアプローチなのかわからないことが課題となっていました。

「MAGELLAN」×「Datorama」の相乗効果により広告効果分析の一本化・自動化を実現

Q. 課題に対して、どのような対策を講じられたのでしょうか?

これらの課題を解決すべく立ち上げたのが「広告宣伝効果分析プロジェクト」でした。オフラインメディアとオンラインメディアのチームを統合し、すべてのメディアを一気通貫して1つの部署、1つのプラットフォームで管理することにしました。すべてのメディアの効果検証を統合して行うことで、貢献度の高いメディアへ適正に予算配分することができると考えました。

そこで取り組んだのが、すべてのデータを統合し、集約したデータを「MAGELLAN」で分析することです。データの統合は「Datorama」を活用しました。「Datorama」に統合したのは、オンラインメディアへの出稿実績やブランドサイトのPV数だけでなく、オフラインメディアであるテレビCMのGRPデータや、第三者調査機関による調査データ、「au PAY」の決済データなど多岐に渡ります。それらのデータを「MAGELLAN」にエクスポートし、分析しています。分析結果も「Datorama」の画面で一括管理できるよう連携しました。

マーケティング施策効果把握の全体像

Q. かなり思い切った改革だったと思うのですが、どのような点が大変でしたか?

社内の意識統一が大変でした。この取り組みの意義を各担当者や経営陣に対して丁寧に説明していくよう努めました。短期的な工数やコストの削減だけでなく、中長期的な目線で広告宣伝による事業の最大化を目指しているということを、理解してもらうことが重要でした。

Q. メディア横断での分析が可能となり、組織に変化はありましたか?

大きく2つの変化がありました。 まず1つ目は、広告効果分析の一本化・自動化により、工数削減ができたということです。これまで気づかなかったのですが、実は組織を統合してみると、異なるチームで全く同じ作業をしていることがわかりました。こうした重複作業の発生を防ぐことで、格段に作業効率が上がりました。

そして2つ目は、分析を短期間で実行できたことにより、空いた時間を次の予算のアロケーションという本質的な業務にあてることができるようになったことです。メンバーの視野も、通年や数年といった中長期な目線で考えるように広がりつつあります。各自が一段高い視点で分析ができるようになっていって欲しいと考えています。

Q. 「au PAY」の分析において、新発見はありましたか?

課題だったau以外のユーザーに対する適切な広告宣伝予算のアロケーションがわかりました。auユーザーとau以外のユーザーとでメディア評価を比較すると、明らかに結果が違いました。最適化したアロケーションで施策を実施したところ、計画予算よりも低コストで、成果が増加した結果となりました。

また、このPDCAをかなり短期間で実行できたことも驚きでした。「MAGELLAN」と「Datorama」による統合分析を開始したのはこの4月からなのですが、わずか2カ月後の6月のメディアバイイングから予算配分案を実行に移すことができました。短期間でPDCAを回すことが可能なので、より高頻度で分析を実行し、アロケーションの精度を上げることができると期待しています。

最小予算で効果を最大化し、事業に貢献することがミッション

Q. MAGELLANの今後の活用方針を教えて下さい

現在の「MAGELLAN」の活用は最注力のコミュニケーションである「認知」の分析に留まっていますが、今後はファネル中間のKPIを分析に追加し、コミュニケーションを一気通貫で分析できるようにしていきたいと考えています。これまでは、一気通貫で見られる指標がなかったため、この指標を作ることで各施策の全体最適を図ることができると期待しています。

コミュニケーションファネルにおける分析スコープ

Q. 最後に、マーケティングにおいて目指す姿について教えて下さい

広告宣伝は、最小予算で効果を最大化し、事業に貢献することがミッションです。一方でメディアの変化や消費者の生活スタイルによっても、モデルは変化していきます。今回の取り組みから世の中の変化も捉えながら、過去の成功にとらわれることなく、効果最大化を目指していきたいと思います。