MROI(マーケティングROI)を最大化する5つの主要指標と測定方法

更新日: コラム
マーケティング

企業の売上を向上させるためには、マーケティングへの投資が不可欠です。
しかし、マーケティング活動による投資収益率(MROI “Marketing Return On Investment”)を最大化するためには、正確な指標によって各施策の効果を測定することが重要です。

有効な施策を正しく把握することで、戦略を再調整し、売上向上に繋がる最適な施策に予算を投資できるようになります。

しかし、売上に対するマーケティング施策の効果を把握することは簡単ではありません。そのため、「マーケティング効果の正確な評価」は、多くのマーケターが抱える共通の課題です。

では、マーケティング施策の効果はどのようにすれば正しく把握することができるのでしょうか?
以下、マーケティング施策の効果を測定するための、5つの主要指標を紹介していきます。

MROI(マーケティングROI)とは?ROASとの違い

MROIとは、マーケティング活動に対する投資収益率を示す指標です。マーケティングに投じた費用に対して、どれだけの利益(あるいは売上)を生み出したかを測ります。

一般的な計算式は以下の通りです。

MROI = (マーケティング施策によって得られた利益 - マーケティング投資額) ÷ マーケティング投資額 × 100(%)

ここで多くのマーケターが混同しがちなのが「ROAS(広告費用対効果)」との違いです。ROASは「特定の広告キャンペーンがいくらの売上を作ったか」という短期的な点の評価に優れています。一方でMROIは、広告費だけでなく、コンテンツ制作費、ツール導入費、さらには長期的なブランド構築の価値も含めた総合的かつ中長期的な面の評価を行うための指標です。

企業のCFOや経営陣が求めているのは、部分的なROASの改善ではなく、事業成長に直結するこの「マーケティングROI指標」の最大化に他なりません。

MROIを最大化するための5つの主要マーケティング指標

以下、マーケティング施策の効果を測定するための、5つの主要指標を紹介していきます。各指標は、顧客の購買ファネルにおける「量」「質」「長期価値」のどの側面を測るものかを意識することが重要です。

測定の目的主要指標算出方法の概要
見込み顧客の「量」見込み顧客の獲得単価コスト ÷ 見込み顧客の増加数
見込み顧客の「質」コンバージョン率・購買率アクション数 ÷ 訪問者数
顧客獲得の「効率」顧客の獲得単価(CAC)コスト ÷ 新規顧客数
短期的な「売上」平均受注額(AOV)受注総額 ÷ 受注数
中長期的な「収益」顧客の生涯価値(LTV/CLV)購買頻度 × 平均受注額 × 継続期間

見込み顧客の獲得単価

Webサイトへのアクセスや店舗への来店客数などのいわゆる見込み顧客の増加には、企業の販促・プロモーションなどのマーケティング活動が一定の影響を与えています。

これらのマーケティング施策を一定期間実施し、Webサイトや店舗への訪問者が増加すれば、施策として有効であることの示唆が得られたことになります。

そこで、マーケティング施策によって増加した見込み顧客の獲得単価を計算することで、施策を評価することができます。

見込み顧客の獲得単価 = マーケティング施策のコスト ÷ 見込み顧客(訪問者)の増加数

しかし、ほとんどの場合は一つの施策のみを実行することはなく、複数施策を同時に実行することが多いため、この方法では個々の施策を正しく評価することはできません。

コンバージョン率・購買率(CVR)

Webサイトや店舗への訪問者数が増えるのは良いですが、それが購買につながらなければ売上は上がりません。つまり、見込み顧客の量だけでなく、その質も重要なのです。

コンバージョン率、つまり訪問者が購入・申し込みを行った比率は下記の計算方法で求められます。

コンバージョン率 = コンバージョン数(求めているアクション) ÷ 見込み顧客数(訪問者) 

マーケティング施策の実施に伴って、コンバージョン率が上がれば、施策が有効であることの示唆になります。
しかし、この評価方法も、複数施策のうちどの施策が有効なのかまでは正確に特定することができません。

顧客の獲得単価(CAC)

顧客の獲得単価は、マーケティングの費用対効果測定において最も広く使用されている指標です。下記の計算方法で求められます。

顧客の獲得単価 = マーケティング施策のコスト ÷ 新規顧客数

獲得単価が、商品やサービス利益よりも高くなる場合は、マーケティング施策の効率が悪いという判断になり、予算の調整や施策の中止を検討する必要があります。

この評価方法もやはり、個々のマーケティング施策の効果を正確に把握することは困難です。

平均受注額(AOV)

平均受注額(AOV ”Average Order Value”)は、一定期間に行われたすべての受注の平均額を測定する指標です。計算方法は下記になります。

平均受注額 受注総額 ÷ 受注数

販促・プロモーション施策の実施が、期間内の平均受注額に与える影響も、顧客獲得の他に見ておくべき指標です。マーケティング施策によって平均受注額を上げることができれば、ROIを向上させることができます。

期間内に実施したマーケティング施策が限られている場合は、その施策の効果として評価することが可能ですが、複数施策を同時に実施している場合は、個々の施策を正しく把握することは困難です。

顧客の生涯価値(LTV・CLV)

顧客の生涯価値(LTV ”LifeTime Value” あるいは CLV “Customer Lifetime Value” )は、最初の受注後、お客様がどれだけ長くそのブランドのお客様であり続け、長期的にどれだけの収益を上げられるかを示す指標になります。

顧客の生涯価値 = 受注頻度(一定期間内でお客様の購入頻度) × 平均受注額 × 平均顧客の生涯(1 ÷ チャーン率)

マーケティング施策を顧客獲得単価と平均受注額だけで評価した場合は、短期的な利益に対する評価しかできませんが、顧客の生涯価値を確認することにより、中長期的な利益を踏まえた適正な評価が可能となります。

個々のマーケティング施策別にLTV / CLVが分かれば理想ですが、そこまで分析ができている企業は多くありません。

複雑化する時代でのマーケティングROIの測定方法

ここまで5つの主要指標をご紹介しました。しかし、前述の通り、複数の媒体で広告施策やプロモーション施策を同時に実施する場合、個々の施策を正しく把握することは困難です。

では、顧客の購買行動が複雑化した現代において、具体的にどのような測定方法でマーケティングROIを可視化すべきでしょうか。代表的なアプローチには以下のようなものがあります。

  • アトリビューション分析(MTA) デジタル上の顧客接点を追跡し、コンバージョンに至るまでの各タッチポイントの貢献度を評価する手法。
  • A/Bテスト: 特定の施策を実施した群と実施しなかった群を比較し、純粋な「リフト効果(増分)」を測る手法。
  • マーケティング・ミックス・モデリング(MMM) 統計分析を用いて、オンオフ問わないあらゆるマーケティング施策や、季節性・競合の動きなどの外部要因が事業成果にもたらす影響を統合的に分析し、定量化する手法 。

    デジタル施策の短期的な刈り取りだけでなく、テレビCMなどの認知施策や外部要因も含めた中長期的なMROIを測るには、データサイエンスの原則に基づいたMMMのようなアプローチが不可欠です。

    より具体的なマーケティングROIの測定方法のフレームワークや、ROIを最大化するための実践的な改善ステップについて深く知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。

    詳細記事:マーケティングROIの分析・改善方法

    まとめ:数値的根拠に基づいたROI最大化に向けて

    本記事では、マーケティング施策の効果を測定するための5つの主要指標をご紹介しました。これらの指標は、マーケティング投資の効率を測る上での重要な基礎となります。

    一方で、現代の顧客行動は複雑化しています。複数の媒体での広告展開(Web動画広告、リスティング広告、テレビCMなど)に加え、値引きや店頭販促といったプロモーションを並行して実施する環境下では、単一の指標だけで各施策の真のROIを明確に測定することは非常に困難です。

    経営陣が求める「事業成長に直結するマーケティング投資」を実現するためには、より高度なアプローチが求められます。個別の指標による短期的な評価だけでなく、統計分析を用いたマーケティング・ミックス・モデリング(MMM)などを活用し、外部要因(気温や祝日など)も含めた統合的な分析を行うことが、これからの意思決定における強力な武器となるでしょう。

    客観的で数値的な根拠に基づき、有効な施策へ投資を強化し、効率の悪い施策を見直すこと 。このサイクルを回し続けることこそが、MROIを最大化し、中長期的な事業成長を生み出す確実なステップなのです。

    高度な測定手法や、データサイエンスに基づいた意思決定にさらにご興味をお持ちの方は、ぜひ以下のリソースをご活用ください。

    分析手法をより深く知る
    マーケティングにおける統計や重回帰分析の基本(Excelでできる重回帰分析ガイドはこちら)、またあらゆる施策を定量化するMMMの仕組みについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

    ROI最大化に向けた環境を構築する
    統合的な分析をご自身の組織に導入したいとお考えの方は、MMM分析基盤「MAGELLAN(マゼラン)」の詳細をご覧ください。マーケティング施策の効果を正確に測定し、施策全体の最適化に向けてどのように改善すべきか、ぜひサイカにご相談ください 。

    この記事を読んだ方におすすめの記事