データドリブンな意思決定を支援する、サイカのコンサルタントの役割とは
「コンサルティング」「実行支援」「テクノロジー」という3つのケイパビリティをかけ合わせ、データサイエンスをビジネスに実装していくサイカ。その中で「コンサルティング」領域を司るのが、サイカのコンサルタントだ。
サイカのコンサルティング部で副部長を務め、マネージャーとして組織運営を担いつつ、自身も複数プロジェクトのオーナーを受け持つ南勇作に、コンサルタントの仕事について聞いた。
南 勇作 Yusaku Minami
株式会社サイカ Consulting部 副部長
東京理科大学卒業後、マッキャンエリクソンに入社し、アカウントディレクターとして様々なクライアントのマーケティングコミュニケーション活動における戦略・企画・実行の支援に携わる。2021年9月、サイカに参画。コンサルタント/ マネージャーとして、マーケティング領域における戦略策定から戦術立案、施策評価基盤の構築まで、データサイエンスを起点としたソリューションで、国内大手クライアントのマーケティング活動を支援。
## クリエイティブドリブン“ではない”マーケティングへの挑戦
── 南さんはサイカが初めての転職とお聞きしました。
南:はい。新卒で外資系広告代理店に入社し、コミュニケーション戦略立案から施策設計、マス・デジタル・アクティベーションなどの幅広いエグゼキューション領域を経験させてもらいました。関わらせていただいたクライアントの業界は様々です。約13年在籍していたこともあり、エージェンシーで経験できることはある程度経験できた感覚がありました。
── 転職のきっかけは何だったのでしょうか?
きっかけは2020年の新型コロナウイルスの流行です。その少し前からぼんやりと環境の変化の必要性を感じていましたが、時代の転換期に突入するムードのなか、自身の今後についても本気で考える機会になったと思います。新たなチャレンジの場を模索していたなかで、サイカに出会いました。
── 決め手は何でしたか?
これまでとはまったく別の視点でマーケティングやブランディングを見つめ直すとどんな景色が見えてくるのかに興味を持ったからです。
前職では、クリエイティビティを起点に設計・企画するアプローチが中心でしたが、サイカはデータサイエンスを武器に進むべき方向性を科学的に解きにいくという、これまでとはまったく別アプローチでクライアントのマーケティング活動を支援していました。
次のチャレンジとして、そういうレンズからマーケティングを考えてみるのは面白そうだと思い、入社を決めました。
## 「勝ち続ける組織」へのアップデートを目指して
── 今、南さんはどのようなお仕事をされていますか?
今は、サイカのコンサルティング部で副部長を務めていて、役割は大きく2つです。
一つは、マネージャーとしてチームの目線を合わせて動けるように組織を運営すること。
もう一つが、プレイヤーとしてプロジェクトを推進することです。サイカの場合、クライアントの業種ごとに担当を分けていないので、さまざまな業種のクライアントに関わっています。
── 具体的にはどのようなプロジェクトがありますか?
クライアントの課題に応じて様々なプロジェクトがありますが、大きく分けると3つ程度に区分できると思います。
一つが、徹底的に顧客のインサイトを探るタイプのプロジェクトです。
自社ブランドの顧客がそもそもどんなニーズを持っているのかといった顧客ニーズの探索だったり、ロイヤル顧客がブランドの何に価値を感じて購買してくれているのかを解き明かしていったりします。顧客の興味関心や市場全体のトレンドなどを、大規模言語モデル(LLM)を活用して探索していくようなプロジェクトもあります。
2つ目が、ビジネスの勝ち筋を探るタイプのプロジェクトです。
代表的なものとして、最近ローンチした「XICA COMPASS」がありますが、ブランドがターゲット顧客に選ばれるために、マーケティング投資を通じて高めていくべき要素は何か、その取捨選択に悩まれている企業様も少なくありません。そのような課題感に対して、ブランドの強みや勝ち筋と考えられる仮説要素の中から成果に最も影響し得るものが何なのかを検証、解明していくのがこのプロジェクトです。
3つ目は、マーケティング活動の効果を可視化し成果やパフォーマンスの向上の支援をするプロジェクトです。サイカのMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)ソリューション「XICA MAGELLAN」を活用し、どんなマーケティング施策が成果に効いているのかを横並びで可視化します。また、そこからより良い投資配分を導き、マーケティングのPDCAを回していけるように伴走していきます。
いずれもサイカの強みである「データ分析」を軸にしながらも、顧客・ビジネス・競合など、常に多角的な視野が求められるマーケティングに関わる人にとっては刺激的な仕事です。
── クライアントの課題に応じて柔軟にプロジェクトを推進しているんですね。その中で、コンサルタントが担う役割はどのようなものですか?
少し上段の話からしていきたいんですが、まず、サイカという会社は「データドリブンな意思決定を支援するデータサイエンス・プロフェッショナルカンパニー」です。
勘・経験・度胸(KKD)と言われてきたこれまでの意思決定方法から脱し、データドリブンな意思決定サイクルを実装していくことで、クライアント企業の持続的な成長を狙って最大化させます。これは、MAGELLANのようなSaaSプロダクトだけ、あるいはデータ分析だけでは実現できません。
そこでサイカのコンサルタントが必要になってきます。
コンサルタントは、クライアントのマーケティング課題を理解し、保有するデータや組織の状態、マーケティング運営状況を把握します。そして、データドリブンな意思決定を行うために取り組むべき課題や打ち手をご提示し、課題解決にむけて伴走します。
こうやって、クライアントの事業を「持続的に勝ち続けられる」状態にアップデートすべく共創するのが、我々コンサルタントが担うミッションです。
▲ サイカのコンサルタントが担うミッション
サイカのクライアントのほとんどは、広告宣伝費に多くのお金を投資しているエンタープライズ企業です。その中で、先方のカウンターパートとしてプロジェクトをリードしていただくのは課長クラスの方、決裁者は部長以上の方になることが多いですね。なので、そういったレイヤーの方々と同じ目線に立ってコミュニケーションすることが求められます。
── サイカでは、コンサルタント含め部署横断でプロジェクトを進めていると思います。チーム体制はどうなっているんでしょうか?
コンサルタントは、プロジェクト設計とプロジェクトリードを担当し、ストラテジックプランナーが、リサーチ設計や分析結果の解釈、戦略策定等を担います。分析アプローチ設計やデータ設計、分析を行うのがアナリストとデータサイエンティストです。また、MMMツール「MAGELLAN」を活用するプロジェクトの際は、クライアントへのMMM活用支援の中心的役割としてMAGELLANコンサルタントもチームにアサインされます。
また、社内外でのイベントなどを通じたクライアントとのコミュニケーション機会の創出の取り組み等で、マーケティング部門とも協働しますし、事業計画とビジネス状況の擦り合わせのため事業企画部とも日々連携しています。
事業本部内だけではなく、管理本部や人事本部はもちろんのこと、クライアントニーズをプロダクトに反映させるために開発本部とも連携を取るので、会社全体で事業を推進しているんです。
▲ サイカの組織構造。全社オールで事業を推進
── クライアントの課題解決のために、コンサルタントのみなさんはどんなことを重視していますか?
プロジェクトとしては分析が主体になるものが多いですが、実は分析の前工程が非常に重要です。サイカでデータ分析の基本と考えている8つのステップがあるのですが、そのうちのStep1〜Step3にあたる、目的・課題・仮説の部分です。
さらにその前には、「Step0」があると思っています。それは、クライアントのマーケティング全体の現状(As Is)を理解し、今後どういう理想状態を目指すべきかというTo Beを共創することです。
その共通理解をつくった上で、今回のプロジェクトで捉えるべき問題・課題が何かを解像度高く把握し、出口として何に活用するのか……と、レンズの焦点を絞っていくイメージです。ここの設定がゆるいと、途中で何のためにやっているんだっけ? となってしまう可能性もあるので、分析の前段階でこれらをすり合わせるのが重要なポイントだと思いますね。
── そのために具体的にやっていることは?
プロジェクトがスタートする前のヒアリングです。先方の事業状態や現状の戦略を伺い、理想はクライアントと同じくらいの解像度まで理解を深めていくことです。
── 最初から赤裸々に話していただけない場合もあるのでは……?
ありますね。なので、初回のヒアリングですべてを理解しようというよりも、プロジェクトを進めながらパートナーとしての信頼を構築していくことが重要です。そうすることで、これまで話してくれなかったやんわりしたお悩みも何気なく話してくださるようになり、そこから新たなプロジェクトが生まれてくる事も珍しくありません。
型化されたプロセスをなぞってアウトプットを出すことが目的になってしまうと、信頼関係の構築には繋がりません。クライアントが解きたい問題・課題を同じ目線で見据え、自分たちの強みを発揮しながら認めてもらい、同じゴールを目指して伴走することが信頼構築への近道だと思います。
── 南さんがこれまで関わった中で、印象的だったプロジェクトはありますか?
最初は短期の小規模なプロジェクトからスタートしたお客様の話です。
当然ですが、初めのうちはなかなか先方内の情報を頂けませんでした。ですが、プロジェクト規模に関わらず、「どうすればクライアントへの価値を高められるか」にチームで真摯に向き合っていった結果、約2年間のうちにご支援させていただく領域が徐々に拡がっていきました。
今では、日々先方内の情報や次なる課題感をご共有いただき、同じ目的地に向かって一緒に解決策を模索していけるような関係性を築けてきているのではないかと思います。こうやってクライアントと二人三脚で目標の実現のために創意工夫を共に積み上げていけることに非常にやりがいを感じています。
## クライアントにとっての価値を考え続ける
── 2021年9月に入社されて約3年経ったところだと思いますが、南さんが思う、サイカで働く魅力を教えてください。
いちばんの魅力は、部署の垣根を越えた連携ができるところだと思います。分析領域のプロフェッショナルであるデータサイエンティストやアナリストと、とても近い距離で会話ができます。
それぞれの領域を守るために全体最適を捨てるような戦いがないんです。クライアントに価値を届けようという想いで、お互いの専門知識をかけ合わせながらプロジェクトを進めていける点がサイカの良いところだと思いますね。
── 専門知識という話がありましたが、コンサルタントとしてパフォーマンスを発揮するために欠かせないものは何でしょうか?
コンサルタントとして求められるベーススキルを挙げるなら、クライアントの課題を捉える洞察力、信頼関係を構築していくコミュニケーションスキル、物事を構造的・体系的に捉えてプロジェクトの道筋を描く課題解決スキル、QCD(品質・コスト・納期)を担保しながら社内のコントロールタワーとして着地まで推進していくプロジェクトマネジメントスキルがあると思います。あとは、お客様と想いを同じくして、共にTo Beを描いていく構想力も必要ですね。
分析のノウハウやスキルは、あれば嬉しいですがマストではありません。先ほどお話しした通り、社内のデータ分析のプロフェッショナルと一緒にプロジェクトを進める中で学んでいけるものだと思います。
と言いつつ、知識やスキルの前に、道なき道をゆく泥臭さ、そしてそのチャレンジを愉しめる姿勢が大事なんだと思います。サイカは決まった商品を売っているわけではありません。クライアント企業ごとにカスタマイズしてプロジェクトを立ち上げ、動かしていきます。
なので、クライアントにとっての価値が何かを第一に考えて、社内リソースをフルに活用し柔軟にプロジェクトを設計し、動かしていく。そういうマインドセットが、コンサルタントにいちばんに求められるものなのかもしれません。
▼ 以下の記事で、南さんが関わったプロジェクトの事例もご紹介しています
株式会社丸亀製麺 | マーケティング成功事例 | 株式会社サイカ
https://xica.net/client-interview/marugame-seimen/