いまさら聞けないフリークエンシーの意味と計算方法
フリークエンシーとは、一定期間内における広告への接触回数を意味します。
テレビCMのみならず、Web広告でも頻出の単語ですので、多くの方がその意味を理解されていると思います。一方で、フリークエンシーの算出方法はよくわかっていないよ、という方も多いのではないでしょうか? 実は、フリークエンシーの算出方法はいくつか存在しています。
Web広告であれば、個々人の広告への接触回数を高い精度で補足することが可能ですから、算出方法はいくつもあるわけではないのですが、テレビCMのように、個々人の広告への接触回数を補足できないものについては「推計」をするしかありません。 本記事では、フリークエンシーの意味を改めて説明し、その重要性と、算出方法の一部を紹介します。
フリークエンシーとは
テレビCMにおけるフリークエンシーとは、一定期間内におけるテレビCMへの平均接触回数を意味します。テレビCMがどの程度視聴されたかという指標のひとつにGRPがありますが、GRPは(特定地域における)延べ世帯視聴率のため、調査地域の何%の世帯で視聴されたかを意味していません。
延べ世帯視聴率は「一度でもそのCMを見た世帯の割合 × 各世帯における平均視聴回数」を意味しています。この掛け算における「各視聴世帯における平均視聴回数」がフリークエンシーですね。 Web広告とは異なり、テレビCMの視聴率自体が視聴世帯割合を「推計したもの」です。
全ての世帯の全てのテレビが調査対象ではありませんので、一部の世帯における一部(あるいは全て)のテレビを調査対象にし、そこから全体の世帯における視聴率を推計しているわけです。当然、テレビCMにおけるフリークエンシーも「推計したもの」になります。
リーチとは
ちなみに、上記の掛け算における「一度でもそのCMを見た世帯の割合」のことをリーチと言います。
より正確には、リーチとは「広告到達率」あるいは単に「到達率」と呼ばれ、特定のテレビCMを見た世帯(あるいは人)の割合を意味します。
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フリークエンシーの重要性
フリークエンシーを知ることはふたつの意味で非常に重要です。 まず、フリークエンシーを知ることができれば、想定しているターゲットがどの程度CMを視聴したかを明らかにできます。
10%の世帯で10回見られた場合も、、20%の世帯で5回みられた場合も、GRPは100%です。
ただ、前者は調査世帯の10%にCMが届いており、後者は調査世帯の20%にCMが届いています。CMを打っても視聴されなければ意味がありませんので、そもそも何世帯で見られたの?何人くらいに見られたの?ということがわからなければ、効果を検証することも、次回の反省に活かすこともできません。
次に、フリークエンシーを知ることができれば、「最適フリークエンシー」に対する示唆を得られる可能性があります。最適フリークエンシーとは、CMの効果が最大になる接触回数(視聴回数)を意味しています。古くからの言い伝えでは3回だとされていたり、3~5回だと言われていたり、何回接触すればいいかは諸説あります。何回の接触が最適かは、テレビCMのクリエイティブや、商品・サービスの性質やターゲット等にも依存してきます。
最適フリークエンシーを明らかにするには、実際にテレビCMを打ってみて、フリークエンシーを推計しつつ、検証していくしか道はありません。 余談ですが、テレビCMを一度見ただけで、その商品・サービスを認知して購入に至るなんてことはあまりありません。
テレビから流れてくるCMを何度も見たり聞いたりする中で、はじめてその商品・サービスを認知されます。つまり、テレビCMの効果が出始めるには、ターゲットに何度か見てもらう必要があると言われているのですが、効果が出始める回数を「最低有効フリークエンシー」、効果が落ち始める(視聴者に嫌われはじめる)回数を「最高有効フリークエンシー」、その間の回数を有効フリークエンシー」といいます。
フリークエンシーの算出方法
前述の通り、あくまで推計することしかできませんが、フリークエンシーの算出方法はいくつもあります。その一部を紹介します。
BBD(ベータ2項分布)モデル
業界標準の推計方法だそうです。広告マネジメント(2004)という書籍に詳細の解説がありますが、マニアックなので詳細は割愛します。興味がある人は、購入して読んでみてください。 簡単に言うと、
- 個々人が特定のテレビCMを見る確率は様々だが、個々人の総体(つまり皆)がそのテレビCMを見る確率は○○%と言えるよね。
- 皆が、○○%の確率で、そのテレビCMを見るとしたら、その「皆」を個々人だと考えてもいいよね。
- ある個人が○○%の確率でそのテレビCMを見るとしたら、そのテレビCMを●●回放送したときに、何回見られるかも計算できるよね。
という話です。正しく理解するには、高校レベルの数学と初歩的な統計学の知識が必須ですが、なるべく簡単に書くと上記のような感じかなと思います。わかりにくいでしょうか・・・
リーチから、間接的にフリークエンシーを割り出す
これはもっと簡単な話です。GRPが「リーチ × フリークエンシー」だと説明しましたが、フリークエンシーを知りたければ、GRPとリーチを知れば良い、という考えに基づいて、先にリーチを計算してしまおうという試みです。 ピープルメータ(PM)システムという調査方法では、調査世帯の個々人が特定のテレビCMを視聴したかどうかはわかります。広告主側にその詳細データまでは出てきませんが、調査会社は調査世帯におけるリーチを計算し、それをもとに調査地域におけるリーチを推計しています。GRPと推計されたリーチのデータを取得すれば、あとは GRP ÷ リーチ = フリークエンシー ですから、簡単に算出できますね。
まとめ
本記事ではテレビCMにおけるフリークエンシーの意味や重要性、算出方法について触れてきました。フリークエンシーは概念自体は簡単ですが、その推計方法は割りとマニアックですし、最適フリークエンシーまで考え出すと相当深い知識が必要になります。テレビCMで成果をあげるためには、推計部分に深い知識が必要だとは思いませんし、ツールで代替できる部分も多分にあります。基本的な概念はしっかり抑えて、あとは専門家に任せるのがよいでしょう。
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