トレンド分析とは?トレンド分析の概要やメリット・分析ツールを解説

コラム
データ分析

マーケティングでは、市場環境や消費者の動向を予測したうえで施策を決定することが重要です。ある要素の変化に注目して、その傾向を分析する手法は「トレンド分析」と呼ばれ、マーケティング戦略を練るうえでのキーポイントとなります。

今回はマーケティング初心者向けにトレンド分析の概要を紹介したうえで、メリットやトレンド分析の対象、分析ツールや方法も解説します。

トレンド分析とは?

トレンド分析とは、SNSやWebサイトなどで得られた情報をもとに、ある要素の過去から現在までの変化を分析して将来を予測することです。そもそもマーケティングには、「費用対効果がわかりにくい」「市場の変化が急激である」「顧客ニーズが多様化して需要を予測しづらい」といった課題があります。

トレンド分析で市場を予測できれば、これらの課題を解消できるのです。例えば、市場の変化を知りたい場合、自社が提供する商品・サービスの分野における「流行」を、トレンド分析でいち早くキャッチできます。

生産量や広告展開などの戦略を立てる際に活用すれば、コストを最小限に抑えることも可能でしょう。

トレンド分析のメリット

次に、トレンド分析をするメリットを2つ紹介します。

競合他社や市場動向が分析できる

正しいマーケティング施策を立案するには、あらゆる情報を正確に把握・分析しなければなりません。トレンド分析を行うことで、マーケティングで必要な「競合他社や市場動向に関する情報」の把握・分析ができます。

また、トレンド分析の過程で、競合他社と自社が提供する商品・サービスの違いや、マーケティングの違いを把握しやすくなります。このような情報を収集すれば、今後の事業展開で確立すべき自社の方向性を探りやすくなるうえ、新商品の開発につながる市場の動向予測も可能となるでしょう。

消費者のニーズを把握できる

商品・サービスに対する印象や評価は、企業担当者と消費者で異なるケースがあります。しかし、トレンド分析の際にアンケート調査を実施することで、消費者の本音を引き出せるため、より効果的なマーケティング戦略の策定へ活かせるでしょう。

また、収集したデータでペルソナを作成すれば、ユーザーに最適化した施策を立てられます。年齢や性別、職業、趣味、情報源などペルソナの設定を詳細に詰めるほど、顧客に対する理解が深まり、実際のユーザーが求めているニーズを把握しやすくなる利点もあります。

これらのデータを自社内で共有することで、部門間をまたいでイメージを共有でき、マーケティングにおける認識ズレの解消も可能です。

トレンド分析の対象は?

トレンド分析を行うおもな対象には、以下4つが挙げられます。

分析対象特徴
SNS・インターネット上で個人同士が交流できるサービスで、ユーザー属性は多種多様・自社が求めている情報を分析する軸を、あらかじめ決めておくことがポイント・主要なサービスとしてはTwitterやTikTok、Instagramなどが挙げられる
レビューサイト・実際に使った商品・サービスに対して、ユーザーが感想や評価を載せるメディア・一般的な価値観に基づいたレビューを確認することで、自社の商品・サービスがトレンドに沿っているかの確認が可能・レビューサイトによっては、ユーザーの属性もチェックできる
ニュースサイト・国内外の複数ジャンルのニュースが配信されている・ランキングを確認すれば現在注目を集めているトピックを把握できる
ブログ・個人の日記や持論が載せられているメディア・美容やグルメ、ファッションなどジャンルも多く、自社が扱う分野に沿った内容を確認することでユーザーを分析できる

上表のなかでも、特に近年はTwitterやInstagramをはじめとしたSNSの公式アカウントを運営して、マーケティングに注力する企業が増加傾向にあります。ユーザーの投稿を閲覧することはもちろん、競合が運営するアカウントの投稿内容を確認することでも、トレンド分析へとつながるでしょう。

トレンドを調査できる分析ツールや方法

トレンドは常に移り変わっていきますが、ツールを使えば最新トレンドを網羅しながら分析が可能です。多くの情報を効率的に分析でき、結果を共有しやすいメリットもあります。

ここではトレンドを調査できるツールや方法について見ていきましょう。

(1)Google トレンドを利用する

Googleが提供する無料ツールに「Google トレンド」があります。総務省の「情報通信白書 令和4年版」によれば、2022年の世界における検索エンジンのシェア率はGoogleが85.6%です。

Google トレンドを利用すれば、世界でもシェア率の高いGoogleで検索されている人気ワードの動向や、急上昇ワードをチェックできます。例を挙げると、急上昇ワードから需要を予測することはもちろん、指定ワードの検索数の増減を確認することで、市場の拡大もしくは縮小を把握することも可能です。

(2)Yahoo!リアルタイム検索を利用する

Yahoo!リアルタイム検索は、Yahoo!JAPANが提供している無料ツールで、Twitterのトレンドをリアルタイムで確認できることが特徴です。

また、Yahoo!リアルタイム検索には感情を分析できる機能として「感情の割合」が円グラフで表示されるため、投稿内容がネガティブなのかポジティブなのかも把握できます。仮に、自社の広告マーケティングに対する意見がネガティブな投稿に傾いている場合は、それらの内容を踏まえた改善活動が行えるでしょう。

なお、自社名や提供している商品・サービスの名称をTwitterで検索すれば、いわゆる「エゴサーチ」が可能となり、忖度のないリアルタイムの本音もチェックできます。

(3)各SNSの特徴を活かしてトレンドの収集・分析を行う

トレンド分析でSNSを利用する際は、それぞれのSNSが持つ特徴を活かすことが大切です。以下では、主要なSNSごとに意識すべきポイントをまとめました。

・Instagramの場合:トレンドの商品・サービスがどのような場面で使われているかを分析する

・Twitterの場合:トレンドの商品・サービスに対してどのような感想が上がっているかを分析する

・YouTubeの場合:ほかの企業ではどのようなマーケティング施策が採られているかを分析する

また、ユーザーが使用しているSNSは、年代によって利用率が異なる点に留意しておきましょう。総務省の発表した資料によると、年代別のSNS利用率は以下のとおりです。

SNSの種類10代20代30代40代50代60代
Twitter67.4%78.6%57.9%44.8%34.3%14.1%
Instagram72.3%78.6%57.1%50.3%38.7%13.4%
YouTube97.2%97.7%96.8%93.2%82.5%67.0%
TikTok62.4%46.5%23.5%18.8%15.2%8.7%

※参考:総務省「令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」

上表によれば、すべての年代で過半数を占める利用率があるのはYouTubeのみで、その他のSNSは10代もしくは20代をピークに利用率が減少傾向にあります。特に、TikTokに関しては、10代の利用率が62.4%であるのに対し、40代以降の年代の利用率は50ポイント前後も下がっています。

SNSを活用してトレンドの収集・分析を行う際は、このような年代別の利用率も考慮しておくことが大切です。

トレンド分析のポイント

ここからは、トレンド分析のポイントを4つ解説します。

分析目的を明確化する

分析の目的が明確になっていなければ、どのような情報を集め、どのように分析すべきかが不明瞭となります。トレンド分析を活用するのは、あくまで現状抱えている問題や課題を解決することが大前提であるため、情報収集の前に目的を把握することが重要です。

例を挙げると、「来期の売上を20%向上させる」「3ヵ月でユーザー登録者数を2万人増やす」のように、具体的な期間と数字を設定しておきましょう。期間と数字をあらかじめ決めておかないと、定量的な把握が困難となり、トレンド分析の効果を十分に得られません。

正確なデータを収集する

収集したデータが誤っていたり、偏っていたりすると正しい結果が得られないため、正確なデータ収集を行うこともポイントです。手間を惜しまず、正確かつ客観的なデータを収集するように注意しましょう。

また、データの鮮度も気を付けておきたい要素の一つです。古いデータをもとに施策を設計すると、効率性が落ちるため、なるべく最新のデータを活用しなければなりません。

継続して分析する

分析は一度だけ行うのではなく、期間を空けながら何度も行うことが大切です。なぜならデータを何度も分析することで、分析の精度が上がり、新たな改善点を見出しやすくなるためです。

もしも分析結果に課題があれば、集計期間を変更するなどして解決を図りましょう。集計期間のおもな単位としては、1日単位・週単位・月単位があります。

例えば、1日単位で集計する場合、自社の商品・サービスがSNSで広まった際の一時的な動きを確認できます。また、月単位で集計する場合は、市場環境の変化や季節変動などによる変化を把握しやすくなり、商品・サービスにおける大きな方向性を決める際に活用できるでしょう。

分析はチームで行う

分析には統計に関する知見が必要となるため、専門的な知識・スキルを持っている人員を複数確保したうえで、ツールを使って分析に取り組みましょう。継続して専門性の高い分析を行うには、チームでの対応が不可欠です。

仮に、人員が不足している場合は、外部への委託も検討するとよいでしょう。社内で不足しているリソースを外注で調達できるので、人的コストの削減も見込めます。

なお、収集したデータをチームや社内で共有することも重要です。異なる立場からデータを見ることで、新しい知見が得られる可能性があります。

まとめ

トレンド分析を行うことで競合他社や消費者の分析が可能となり、自社として提供すべき商品・サービスの方向性や、マーケティング戦略を決めやすくなります。ただし、「継続して分析する」「チームで分析する」などのポイントを守らなければ、トレンド分析の効果を最大化できません。

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