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データ分析を経営の武器に。ADVA Analysis部始動

これまでサイカは、100社以上のエンタープライズ企業のデータ分析を行ってきました。蓄積されたナレッジを社会に還元する目的で、2021年4月に発足したのが「ADVA Analysis部」です。

ADVA Analysis部は、MAGELLAN(マゼラン)課、テレビCMの分析に特化したIES課、ナレッジの体系化と研究を行う研究課の3つの組織で構成されています。

「データ分析は課題解決の手段」と話すのは、ADVA Analysis部部長の西津平と、ADVA Analysis部研究課課長兼MAGELLAN課課長代理・高木基伸。元々大学院や研究所で研究職を担い、ビジネスの世界に入った2人に、そもそもデータ分析とは何なのか、これからお客様にどんな価値を提供していくのか、話を聞きました。

(写真右)ADVA Analysis部部長 西津平(Shimpei Nishi)

九州大学大学院工学府修了。大学院時代、原子力発電に関わる実験を通してデータ分析と統計学を学び、新卒から3年間、遊技機メーカーにて市場動向のデータ分析業務に従事。業界にとらわれずもっと広い範囲でデータ分析ができる環境を求め、2018年10月、サイカ入社。現在ADVA Analysis部の部長を務める。

(写真左)ADVA Analysis部研究課課長 兼 ADVA Analysis部MAGELLAN課課長代理
高木基伸(Motonobu Takaki)

東京大学大学院理学系研究科修了。その後、東京大学原子核科学研究センターにて研究業務に従事。キャリアの幅を広げるため、2019年4月にサイカ入社。現在ADVA Analysis部 研究課課長とMAGELLAN課課長代理を兼務。

能動的な分析組織へ

──まず、ADVA Analysis部の役割を教えてください。

西 ADVA Analysis部は、「分析」「研究」「ノウハウ構築」の3つの役割をもつデータアナリスト集団です。お客様のデータを分析する分析機能だけでなく、新しい分析技術を創りだす研究機能、データ分析にまつわるノウハウを構築し、お客様のビジネスに還元していくコンサルティング機能をもちます。

高木 これまでサイカは、100社以上のエンタープライズ企業のデータを分析してきました。ADVA Analysis部は、その経験から得た暗黙知を形にし、再現性あるノウハウを構築していきます。お客様の課題に、より的確にスピーディーに応えられる組織をめざしています。

──2020年4月にADVA Analysis部が発足する前と比較し、チームはどう変化しましたか。

西 これまで私たちは、お客様が求める分析結果をいかに満足度高くお返しするかという質の高さを重視していました。ある種受け身の姿勢だったともいえます。

もちろんこれからも専門性の高い分析を行うことに変わりはありませんが、専門性だけでなく、「この分析をしたらさらに価値が高まるのでやってみませんか?」と提案までできる、専門性高く能動的に動ける分析組織になろう、とチームの方向性を変化させました。

──方向性が変わったきっかけや背景を教えてください。

高木 お客様の、データ分析にまつわるお悩みの過半数を占めるのが、「そもそもデータ分析って何をどうやったらいいんですか?」というものです。だからこそ、自社の分析結果だけでなく、分析会社としての知見や、統計のプロとして統計の原理原則を教えてほしいというご要望が実は多いんです。

西 ありがたいことに、私たちにはそれに応えられる豊富な分析実績があります。でも、この貴重な資産を活かしきれていなかったのも事実です。

なので、データ分析のやり方や、業界ごとの傾向、媒体ごとの特徴など、これまで形になっていなかったナレッジを形にし、ご提案やツールの改善をとおして、お客様にノウハウをお伝えしていこうと考えました。これにより、お客様には、データリテラシーの向上や分析精度の向上といった面でこれまでになかった価値を提供することができます。

武器になるデータ分析

──ADVA Analysis部のデータ分析は、自社開発の分析ツール『マゼラン』を活用して行っています。マゼランをお客様自身が活用できるツールにすることもADVA Analysis部のミッションのひとつですね。お客様自身がデータ分析できるようになるメリットを教えてください。

西 お客様自身がデータを扱えるようになることのメリットは2つあります。仮説設計が強くなることと、分析スピードが速くなることです。

データ分析でいちばん重要なのは仮説設計です。そして、データ分析の理想形は、強い仮説を設計できる人が、スピード感をもって分析する形です。

自社の実態をよく分かっていて強い仮説を立てられるのはやはりお客様ですし、我々がやるよりもお客様自身がやったほうが、データのやりとりが発生しない分、速く分析できます。

──データ分析の経験がないお客様が、仮説を立てたり分析したりする難しさはないのですか。

西 前提として、「私たちはお客様のスタンスに合わせて柔軟に関わり方を変えていく」という考え方をもっています。自社で分析までできるようになりたいというお客様に対しては自走できるようにサポートしますが、データ分析は私たちのような専門の組織に任せるというスタンスであれば、データ分析を丸投げしたりはしません。

高木  なので関わり方としては、分析そのものは私たちが行う場合と、分析もお客様自身が行う場合の2パターンがあります。

前者の場合は、私たちがお客様の考える仮説をヒアリングし、その中から仮説として強いものを取り出し、分析、結果の解釈へと進めていきます。この一連の流れを一緒にやっていくと、まったく分析経験がなかったお客様でも、1年あれば仮説設計と分析結果の解釈を自社で行っていただけるようになっています。

分析までやっていただくとなると、正直かなりハードルが高いです。統計学とデータリテラシーを学び、最後にツールの使い方を学んでいただくという3つのハードルがあります。

西  データを活用したいと思った時に、データ分析まで自分の手でできるようになる必要はないんです。正しい仮説を立てられること、出てきた結果を正しく解釈して経営判断に活かせることが大事で、この部分をお客様自身でできるようになれば、データが意味あるものになります。

高木  データ分析を武器にできる会社になっていただきたい。我々がもっているのはその思いですね。

使える分析=課題を解決できる分析

──ADVA Analysis部の強みを教えてください。

西  1つは、アクションを意識した提案ができることです。お客様が知りたいのは「結局私たちは何をすればいいのか」。なので、そこに届くような分析をしています。

高木  もう1つは、やはり分析実績の数と質です。これまで分析してきた100社以上のエンタープライズ企業は、いい意味で偏りがありません。全業界を網羅できているからこそ、業界ごとの傾向が分かるし、業界の中でお客様はどうか、という分析もできます。

西  あとは分析スピードですね。ADVA Analysis部が掲げる「高速PDCA」はデータとビジネスをつなげる意味でとても重要な要素です。

──「高速PDCA」だと、分析スピードはどのくらい短縮できるのですか。

高木  通常、半年〜1年かけて行う分析を、サイカは1ヶ月ほどで行います。

「ほかのデータ分析会社さんに頼んだとき、良い分析はできたけれど、2019年の分析が2020年の年末に出てきたので、“そういえばこういうことやってたね”で終わってしまった」といったお話は、お客様からたくさん聞いてきました。

西  マーケティングはトレンドにものすごく左右されます。なので我々は、お客様のアクションの決定や経営判断のタイミングで、本当に使える分析結果を出すことを強く意識しています。高速PDCAを回しているからこそ、直近の媒体や最近の広告の傾向がどんどん貯まっていき、トレンドを含めた分析結果までお伝えできるんです。

高木   たとえば、コロナウイルスの影響と一言で言っても、影響の受け方は業界によってまったく違います。コロナウイルスの序盤に大きな影響を受ける企業もいれば、緊急事態宣言中に大打撃を受ける企業も、給付金が配られたタイミングで売上が変動する企業もあります。

いろんな業界の分析をしているからこそ、業界ごとの傾向が予測できるので、予想される社会情勢の変化によって「売上がこう変わりそうですよ」「このマーケティング施策に力を入れたほうが良いです」といったご提案ができます。この分析結果を来年出されても、アクションにはつながらないですよね。

西 やっぱり分析速度がビジネスの速度に合っていないと、経営の役に立つデータにはならないんです。データ分析を、お客様の「課題解決の手段」として活用するというのは、我々の根底にある考え方ですね。

軸を守り、革新する

──その分析スピードを維持できる理由を教えてください。

西 まず、『マゼラン』という分析ツールを自社でもっていることがいちばん大きな理由です。マーケティング分析に特化したツールを開発しているので、分析に必要な機能が全部そろっています。

高木 もう一つは、データを見ただけで、傾向、分析結果、アクションがある程度想像できるナレッジと、成果に影響を与えた外部要因と広告のトレンドを瞬時に把握できるノウハウが社内に蓄積されていることですね。

西 スタンスとしては、会社として大事にしていることの一つが「最速を求める」なんです。「100点を1つよりも、70点を5つ出す」という行動指針のもと会社が動いているので、時間をかけて間違いのない分析をやるのではなく、アクションの方向性は守りつつ、スピード感をいちばん大事にしようという意識をもっています。

──ADVA Analysis部は、いまサイカでもっとも大きな組織になっています。100名弱のベンチャーで、データ分析専門の研究組織を立ち上げることはなかなか無いと思います。今後どんな組織に成長させていきたいですか。

高木  「広告×統計」のプロフェッショナルとしての信頼をますます強くしていきたいと思っています。「サイカに広告の分析をまかせれば、効果を正しく可視化でき、アクションの判断材料になる分析結果が出てくる」と実感していただきたいし、そうなるようにレベルアップしていきたいです。

西 データ分析は、サイカの創業からのルーツであり強みです。「お客様の課題解決につながる分析をする」というぶれない軸を守りつつ、革新的な分析技術を生み出す研究もスピーディーに進めていきたいですね。

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※インタビュイーの所属・役職は取材当時のものです。