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「面白いことやりたいし、事業やるなら大勝ちしたい」CTOからエンジニアへの転身とその理由

リクルートで複数プロダクトの開発責任者、『Geppo』を提供するサイバーエージェントとのジョイントベンチャーで開発マネージャー、CTOを歴任し、2021年1月、サイカのソフトウェアエンジニアへと転身した鹿島隆雄(かしま たかお)さん。CTOのポジションを離れ、いちエンジニアとして新たなスタートを切った、その理由を聞きました。

30歳、知識を切り売りする仕事でいいのか

「傭兵みたいな働き方で知識を切り売りしていると、お金は得られてもお金以外のものが得られないと思ったんです。エンジニアとして事業に貢献している実感もほしかった。自分は何をやりたいのか、何度も問い直しました。事業に貢献できて、自分と会社が一緒に大きくなっていく。そういう会社に入りたかった。」

——そう話す鹿島さんは、「面白いことをやりたい」と思うと、自然と開発が遅れている案件やカオス状態のプロジェクトに入ることが多かったといいます。

鹿島:そうこうしているうちに、自分は開発プロセスや制度を整えたり、チームの生産性を上げたり、状況を整理して進行をスムーズにすることが得意なんだと気がつきました。そして、そういうのが得意な人はエンジニア業界全体で足りていないんです。なので、転職先を探しているときもそういう役割で参画を求められることが多かったです。

——そういったポジションでの転職は考えなかったのですか?

今まで得た知識や経験を少しずつ切り売りして仕事する。30歳でそういう働き方をしていたら、この先、先細りじゃないかと思ったんです。

面白いことを追いかけ、事業で勝つ難しさを知る

鹿島:小さい頃は発明家になりたいと思っていました。新しいものをぽんって生み出すのに憧れてたんですよね。

大学、大学院では電子工学の研究をしていたので、周りは研究職に進む人が多かったんです。でも、自分は研究職はちょっと違うかもと思って、大学院を出たあと大手新聞社に入社しました。

——なぜ新聞社へ?

当時、現状にとても危機感を感じている人たちだと思ったんです。

報道としてのジャーナリズムを守らなきゃいけないし、テクノロジーも活用しないといけない。ピンチをチャンスに、って感じで面白いことができるんじゃないかと思って入社しました。

IT系インフラを整えたり、社内版Gitを導入して社内研修をしたり、新規事業を立ち上げたり、与えられた環境の中でなるべく面白いことをしようとチャレンジしていました。

——その後、リクルートにご転職されるんですね。

2社目のリクルートは事業をつくるのが上手い会社なので、事業を成功させるために、どうプロダクトをつくっているんだろう、というところを知りたくて行きました。

リクルートでは語りきれないくらいの学びがあったんですけど、いちばんの学びは、事業をつくるのはめちゃむずいってことでした。

事業づくりが上手い会社のサービスだから全部成功する、みたいなことはなくて、みんな苦労して頭ひねって、頑張って作ってるんですよね。自分もその中で、難しいこと考えたりチャレンジしたり、上手くいかないこともたくさんあったけど、愚直にちょっとずつ進んでいく感じ。

ポジティブで競争心の強い人が多い会社だし、そういう環境も刺激があってすごく面白かったです。

サイカ入社の決め手は、いちエンジニアとして再挑戦できたこと

——リクルートを出て、サイカにジョインした決め手は何でしたか。

今までの経験があると、開発マネージャーやCTOのオファーは来るんですけど、サイカは、ソフトウェアエンジニアって言ってて、それがよかったです。

「よしなに開発組織が回るようにしてくれ」みたいにお願いされるポジションが多いなか、サイカは、一兵卒として、いちエンジニアとしてまた挑戦させてくれた。それが入社の決め手でした。

——自分の手を動かして何か作りたいっていう気持ちが強かったんですか。

それもあるんですけど、CTOをやっていたときも開発マネージャーをやっていたときも、事業を成功に導けている実感があまりなかったんですよね。自分がやったことでめっちゃ成功した、もっと言うと「これ自分が作りました」って言えるプロダクトがない。たぶん、自分が開発に携わったプロダクトについて、「これ自分が作りました」って言える人は、自分以外に100人くらいいる。

自分が事業に貢献した実感を得るのって難しいと思うんです。時流もあるし、自分以外のメンバーもモチベーション高くて、全員スーパーマンみたいなところに入らないと、事業で大成功するってあんまりない。でもやっぱり、事業やるなら大勝ちしたいじゃないですか。

最初にお話した「今まで得た知識や経験を切り売りして仕事する」ことへの違和感にも繋がるのですが、市場で求められてることを上手くこなすようなポジションに収まるよりは、もう一度一兵卒の気持ちでエンジニアとしてプロダクト開発にコミットして、事業を成功に導きたいな、と。

——「海外に行きたい」と仰っていましたが、それはリクルート時代から考えていたんですか?

リクルートにいたときに、Googleのカンファレンスに行けることになり、Googleのサンフランシスコオフィスとマウンテンビューのオフィスに行きました。向こうのエンジニアやプロダクトマネージャーと話して、いいなあ、と思いましたね。

その前からなんとなく海外に行きたいとは思ってたんですが、何か行動に移すことはなく。サンフランシスコに行って、現地の空気を肌で感じて思いは強まったけれど、そのあとも行動はしなかった。

「海外に行きたい」って言ってたら、いつか誰かが連れてってくれるんじゃないかと思ってたんですよね。でも当然、そんな風に受身でいても来ないわけです。

自分にとって何かチャレンジと言えるものがほしいと思って、自発的に心を入れ替え、「サイカで海外に行く」を強い目標に置きました。

経験豊かなCTOに学び、もう一度CTOをやりたい

——サイカCTO・是澤さんのことは知っていたんですか?

ある勉強会に出たときに、当時メルカリのVPoEだった是澤さんの話を聞いたことがあったんです。ちょうど、自分がリクルートで、『Geppo』のCTOとして頑張ろうとしていたときでした。

その是澤さんがサイカに行ったと聞いて、面白そうだと思いましたね。やっぱり自分も、いつかもう一度CTOをやってみたいっていう気持ちがあって、多くを経験してきたCTOがどういう風に仕事を進めるのか、間近で見てみたかったです。

ー是澤さんと働いてみてどうですか?

いい加減にしない。あやふやにしないを突き詰めていく人だな、と思いました。反面、自分が今までやってたこともある程度合ってたな、と思う部分があったり。

ー答えあわせをしつつ学んでいる感じですか?

そうですね。是澤さんもそうだし、CEOの平尾さんも、COOの彌野さんも、経営陣がやっぱり魅力的ですよね。行動力すごいって思うし、ちゃんとやり切るところ、いい加減にしないところがすごく好きです。

人って、面倒くさいところは手をつけなかったり先延ばしにしたりする習性があると思うんです。でも、細かいところ、見逃してもあんまり変わらないだろうと思うところも放っておかない。ちゃんと拾って、愚直に対応していく。実は難しいことなのにちゃんとやり切っていてすごいなって思います。

人材に感じた本気度

——いま鹿島さんは、マゼランのリアーキテクチャを担当しているんですよね。

はい。リアーキテクチャのテックリードをやっています。

リアーキテクチャって、エンジニア的に結構面白い題材なんです。3年もの、5年もののシステムを持っているベンチャー企業は、だいたいどこもコードがぐちゃぐちゃになっていて、「うちも作り直したい!作り直せる人募集!」みたいな求人が結構あるんですよ。

サイカがそれらの会社と違うのは、ちゃんとやるための人を揃えているところです。まず、ベースの技術力が高いですよね。あとはバランス感覚、コミュニケーションスキルが高いです。技術的な会話、ビジネス会話、日常会話でも、ストレスなく会話できる人たちです。そういう意味でも、ちゃんとした人材を集めていると思いました。

開発と経営の連携が取れていないと、開発の中だけで「作り直したい」モチベーションが高まってしまうという課題がよく生まれます。そうすると、採用が中途半端になります。開発内容も地下に潜っていくような印象のプロジェクトだから、社内の他部署の人たちはリアーキテクチャにいっさい関心がない、みたいな状況って結構あるんですよ。

サイカはここが違いましたね。人材の質がちゃんと高いんですよね。そして、リアーキテクチャに対して会社全体で取り組んでいる。本気度を感じました。

——会社の事業領域(マーケティング領域)への興味はあったんですか。

最初、事業領域にはそこまで興味がなかったんです。はじめのうちは、組織体制や人材のほうに魅力を感じていて、選考が進むにつれてちょっとずつ事業領域にも魅力を感じていった感じ。

最終的には平尾さんとの面接で将来の構想を聞かされて、「めちゃくちゃでかいことを本気でやろうとしている」と気概を感じたんですよね。そのチャレンジ面白そうだしやってみますか! と。

——鹿島さんが考える強い開発組織の定義を教えてください。

自律型っていうんですかね。各人が自分なりに考えて、自分のベストはこうだと思えて、意思決定して進められる。そういう組織は強いと思います。

——自律型と個人主義は紙一重ではないでしょうか?

サイカに来ていちばん思うのは、個人が競い合う会社じゃないってことです。成果主義だけど、協力してやっていこうぜ、という雰囲気がありますね。

事業を進めることをみんなが目標にしていて、個々人の成果だけに執着していない。競争心むき出しではなく、仲良くやっていく感じです。

入社して4か月経ち、すでにマゼランのリアーキテクチャを任されている鹿島さん。8月頃には開発が終わり、年内にはリアーキテクチャが完了する予定だそう。

最後にこれまでの感想を聞くと、「大変でした。まだまだ頑張ります。楽しいっすよ。」
そう話してくれました。

※インタビュイーの所属・役職は取材当時のものです。