「変わり続ける」が前提 総額12.1億円の資金調達がいままでと違った2つのこと
2020年9月9日、当社はシリーズD(12.1億円)の資金調達を発表しました。
今回の資金調達では、いままでと違うことが2つありました。
ひとつは、コロナ禍真っ只中での資金調達だったこと。もうひとつは、国内では調達のステージが変わった時継続的に投資するファンドが少ない中、既存のファンド4社中3社が引き続き投資をしてくれたことです。
資金調達をリードした代表取締役CEOの平尾 喜昭(ひらお よしあき)さんに詳しくお話を伺います。
── 平尾さんが資金調達のため動いていた2020年5月頃、世の中はコロナウイルス感染拡大の真っ只中でした。企業は働き方の変革も迫られていたと思います。その中での資金調達は大変だったのではないですか?
もちろん一定程度の大変さや不安はありましたが、振り返ってみるとむしろ良かったことのほうが多かったかもしれません。
当初は非対面でちゃんと伝わるのかという懸念もありました。でも打ち合わせがオンラインになったことで、対面で話すよりも圧倒的にスピーディーなやり取りができるようになったんです。オフィスに伺わなくてもパソコンを繋げばいつでも話せる。
コミュニケーション量と密度、スピードが格段に上がりましたね。
── 投資家の皆様とのコミュニケーション内容にも変化がありましたか?
投資家の皆様から2つの問いを必ず聞かれるようになりました。
「この事業はコロナに強いのか?」
「今後自分たちの市場はどうなっていくと予測しているか?」
コロナウイルスをきっかけに、「世の中は変わり続ける」前提ができたんですよね。ファンド側も、企業が変化への耐性をもっているかどうかをより重視するようになったのだと思います。
── 「世の中は変わり続ける」が前提となり、企業のレジリエンスが重視されるようになった。こういった意識の変化は今回の資金調達結果にも影響を与えていますか?
そう思います。
コロナ禍で、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」や「ROIの適正評価」のニーズが高まりを見せています。
私たちは、8年前の創業時から、データ分析領域のDX化に取り組んできました。8年前は「データ分析」も「DX」も非常にニッチな領域でしたが、今回の社会の変化をきっかけに急速に注目を集めるようになりました。
さらに、コロナ影響で経済状況が不透明さを増す中、企業は自社の広告費のROI(投資対効果)をあらためて見直すようになりました。
毎日あたりまえにやっていることは、きっかけがないとなかなか課題感を持てないものです。ライフスタイルや働き方もそうですが、コロナウイルスは、いままであたりまえに思ってきたことや目を向けてこなかったものに対して「本当にこれで良いんだっけ?」と疑問を投げかけるきっかけになったと思います。
私たちはこれらのニーズに応えるサービスを提供しているので、投資家の皆様も今後の市場拡大や事業成長を見越して、サイカの今後に期待を寄せてくださったのではないかと思っています。
── 今回出資してくださった4社のうち、DNX Ventures様、株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ様、Salesforce Ventures様の3社が引き続き投資を決定してくださいました。既存投資家による資金調達は日本国内では珍しい事例だそうですね。
一般的には、ファンドによって投資するステージを限定していたり、そのほかファンドごとにルールがあったり、リスク分散の面でも既存投資家が同じ企業に続けて投資するというのは国内では多くない印象です。
── なぜ今回、継続して投資いただけることになったのでしょう?
これまでサイカの成長を見守り一緒に走ってきてくれた皆様が引き続きご支援くださること、とても嬉しいです。資金調達にあたって、リード投資家のDNX Ventures・倉林陽様からいただいたコメントをご紹介します。
▼DNX Ventures Managing Partner 倉林陽 氏より
XICAはマーケティング・ミックス・モデリングを用いて広告効果を正しく測り、最適な広告予算配分を算出するソリューション「マゼラン」を大手広告主向けに提供し、業界のマーケティングのデジタル化を推進し大きな成長を遂げてきました。今回の大型調達で獲得した資金を活用し、今後も新たな機能、新規事業を展開し、XICAは益々進化していきます。日本のマーケティングのデジタル化を牽引し、更なる革新をしてくれることを期待しております。
引き続き投資していただけた理由としてあえてまとめるなら、私たちのデータ分析技術や、これまでのマゼランでの実績を評価してくださり、私たちのデータサイエンススキルを活用したマーケティング領域のDX化、マーケティング技術のベースアップに期待を寄せてくださったのだと思います。皆さんの期待に応えていきたいですね。
▶︎資金調達リリースの全文はこちら
── 最後に、調達資金をどのように活用していくのか教えてください。
先月新サービス「ADVA(アドバ)」をリリースしたこともあり、まずはサービスの強化です。
「XICA MAGELLAN(サイカ マゼラン)」の機能を強化した「ADVA MAGELLAN(アドバ マゼラン)」を、マーケティング業界のデファクトスタンダードにすること。そしてADVA MAGELLAを含むADVAシリーズの完備に力を入れていきます。
サービスを強化するためにはそれを支える開発と事業本部の人員強化が必須です。ソリューションはシステム×人だと考えているので、そのための採用にもますます力を入れていきたいですね。
▶︎ADVAが提供する4つのサービスについてはこちらをご覧ください。
── 平尾さん、ありがとうございました!
※インタビュイーの所属・役職は取材当時のものです。