7年のミュージシャン活動を経て、開発組織のマネージャーへ ──サイカのシニアエンジニアリングマネージャーが追い求める最高のチームとは
今回お話をうかがうのは、2020年3月、サイカに入社した越湖亮太(こしこ りょうた)さん。現在はシニアエンジニアリングマネージャー(開発部門採用責任者)として開発チームの組織づくりを担っています。
越湖さんは高校卒業後、音楽の専門学校に進学し、在学中から7年間ミュージシャンとして活動していました。その後エンジニアに転身。未経験からエンジニアリングを学び、フリーランス、エンジニア組織の立ち上げを経てサイカに入社します。
フリーランスの経験を通して「チームでモノづくりをしたい」と考えるようになった越湖さん。今回はそんな越湖さんに、理想のチームのあり方をうかがいます。
音楽はモノづくりの完成形
── プロのミュージシャンからエンジニアへ。異色の経歴とも言われる越湖さんですが、まず、音楽の道に進むことになったきっかけを教えてください。
叔父がギターを弾くのがとても上手だったんです。近所に住んでいたので小さい頃からよく遊びに行っていました。両親も洋楽が好きで、常に音楽が流れる環境で育ったので自然と興味を持つようになりました。
子供の頃は、ピアノを習いたかったんです。でも地元が北海道のウインタースポーツが盛んな地域で、両親も私に運動をやらせたかったらしく、小さい頃はスピードスケートや水泳、野球を習っていました。
楽器を始めたのは中学生になってからです。小さい頃聴いていた叔父のギターをもらったのがきっかけでした。楽譜を読めるようになりたくて、貯めていたお金で念願のピアノも習い始めました。中学時代は時間さえあればずっと楽器を練習していましたね。バンドを組んでライブもするようになり、いろんな人との交流も生まれていきました。
── 中学から音楽にのめり込み、高校卒業後は音楽の専門学校に進学されたんですよね。
大学に進学するか音楽の道に進むか、とても悩みました。
長いこと悩むうちに、形のないものを創造する音楽はモノづくりの完成形だと思うようになったんです。
当時は音楽に没頭していて、同じ志を持つ人の中で力を試したい、もっと成長したいという気持ちも後押しして、音楽の専門学校への進学を決めました。
── 専門学校に入ってみていかがでしたか?
ギターだけで1学年200人もいるんです。その中でレベルテストが行われ、1位から最後まではっきりと順位がつきます。講師陣も音楽業界で活躍している方ばかりで、良い刺激をたくさん受けました。1年生の時に受けたオーディションで選ばれ、在学中からアーティストの後ろでギターを弾くスタジオミュージシャンの仕事を始めました。充実していましたね。
── 専門学校在学中から7年間、音楽業界にいらっしゃったんですね。音楽の仕事はどうでしたか?
7年間ずっと成長を求めていました。
仕事とは別にバンドを組んでいて、バンドで成功したかったんです。
でもバンド活動にはお金が必要です。アルバイトをしながらプロを目指す人も多くいました。でも僕は、音楽で稼いで音楽をやりたい。お金を稼ぐ手段も音楽でありたい。そう思ってスタジオミュージシャンの仕事を続けていました。
ほかの仕事をしてしまったらその分成長の機会が失われるという危機感があったんです。
いまもずっと考えている「成長」というキーワードは、この時期に植え付けられたものだと思います。
求めていたのは、チーム一丸となってのモノづくり
── そのあと音楽から離れてエンジニアとしてのキャリアを歩み始めるんですね。当時エンジニアリングの知識はお持ちだったのですか?
バンドが続けられなくなってしまい、バンドに対する熱量が高かった分、仕事とのバランスが取れなくなっていったんです。その結果、音楽の仕事を離れることにしました。
バンド活動の一環で、ホームページを作ったり楽曲を配信したりしていたので、なんとなくのWeb知識は持っていたんですが、エンジニアリングの知識はまったくありませんでした。
でも、つくることそのものが好きでしたね。ホームページや楽曲配信も音楽と同じモノづくりなので夢中になれたのかもしれません。
── Web業界に飛び込み、1社目の会社ではカスタマーサポートと企画の仕事をされていたんですね。
オークションサービスを運営する会社で、お客様から受けたお問い合わせ内容を企画に反映させる仕事をしていました。
エンジニアリングの知識がなかった僕は、お客様からの意見をエンジニアにどう伝えればよいか分かりませんでした。エンジニアとのコミュニケーションを取るため、カスタマーサポート業務の傍らエンジニアリングの基礎知識を学びました。
エンジニア部門に通い詰める間に、当時同じ会社だった、現サイカCTOの是澤さんとよく飲みに行くようになったんです。業界に入りたてで知識もない僕を可愛がっていただき、エンジニアチームとカスタマーサポートを兼務させてもらうことになりました。
この時、是澤さんと出会えたことが本当に大きかったです。
すごく厳しいんですけど、成長意欲を持っている人に対してしっかりとフィードバックをくれて、道を示してくれるんです。よく怒られていたけど、エンジニアとして確実にスキルアップした期間でした。
── 是澤さんとの出会いはこの時だったのですね。その後、フリーランスとして働き始めたのはなぜですか?
子供が生まれるタイミングで生活を見直そうと思ったんです。
フリーランスになって時間の融通が効くようになり、子育てにも積極的に参加できました。
子育てが落ち着いてきて、仕事のことを考える余裕が出てきた頃、やっぱり自分はチームでモノづくりがしたいと気付きました。フリーランスは案件が終わったらすぐ解散。チーム一丸となってモノづくりをしている感覚が得られなかったんです。
── この時の転職で越湖さんが大事にしていた軸を教えてください。
技術や開発組織に対する考え方が自分とフィットしているか。その会社の開発組織がどれだけチャレンジングなことをしているか、の2点を重視していました。
最終的に転職を決めた会社はとても良いチームでした。組織が急成長していてスピード感も半端なかったです。
ただ、自分が目指すキャリアとは違うかもしれない。
そんなことを考え始めた頃、前職の上司となる方に出会ったんです。新しいチームをつくろうとしていてエンジニアが必要だから一緒にやらないかと声をかけていただきました。
挑戦を求めていた自分にとって、チームの立ち上げができるのは大きな決め手でした。
しかも、「3年で24個のプロダクトをつくる」がミッションなんです。
もっと大きいモノづくりがしたい、ひとつのチームをつくりたい。
そう思っていたので、ここでなら目指すキャリアを追えると思いました。
── そこでは最終的にマネージャーの役割を担っていらっしゃったんですよね。
立ち上げ時は3人のチームで、テックリードとしてジョインしました。
チームメンバーが1年半で40人まで増え、チームの拡大に伴い最終的にマネージャーになりました。
みんなのフォローに回ってチームを良い方向に持っていくのは昔から好きでしたし、チームの成長を強く意識し、生産性の高い組織づくりをするマネージャーの仕事はやりがいがありましたね。
チームが大きくなり、そろそろ次のステージに行こうと思っていたところ、先にサイカに入社していた是澤さんからお声がけいただきました。僕が目指す成長とこれからのサイカがマッチするんじゃないかと。
エンジニアへの道を開いてくれた是澤さんに恩返ししたい、また一緒に成長を追いかけたい。そんな気持ちもあり、サイカへの転職を考え始めました。
明確に見えた、入社後の未来
── サイカへの入社を決断した決め手は何でしたか?
CTO是澤さんのビジョンと、CEO平尾さんのビジョンにブレがないのが最大の決め手でした。
ビジネスサイドと開発部門で意識が統一されているこの組織だったらもっと大きな挑戦ができる、成長できる。未来が明確に見えたので入社を決めました。
── サイカに入社して感じたギャップがあれば教えてください。
サイカに入社する前は「固い会社」のイメージがありました。でもそんなことはなく、むしろ柔軟なコミュニケーションが取れる組織だと思います。
Slackのやり取りやオフラインでのコミュニケーションを見ていると、みんなオンオフの切り替えが上手で、役員を含めかなりフラット。良い意味で社員同士の距離が近いです。
── 越湖さんがいま担当している業務を教えてください。
開発チームのメンバーの育成と成長支援が主な役割です。
具体的には、対話を通してキャリアビジョン、志向性、得意不得意を深堀りしていきます。その上で何をやってもらうか、チャレンジとして何に挑戦してもらうか、一人ひとりのキャリアを考えていきます。
組織としては、エンジニアが働きやすい環境づくりやチームとしての技術力の底上げ、役職や職種を越えて相互理解を深め、チームの一体感を高めていくのも僕の役割ですね。
また、目下の目標は成長意欲の高いエンジニアの採用です。
採用において、いまできるかどうかは正直あまり気にしていません。それよりも、これから何ができるようになるのかをイメージできる人を採用したいです。技術で世の中をどうしていきたいのか、そのためにどういう成長イメージを持ち、どういうアクションを取っているのか。面接ではその人の考え方を聞いています。
── 越湖さんが目指す理想のチーム像、一緒に働きたい人とは?
成長意欲の高い人が集まるチームですね。
成果と成長に向かって自走できる人が集まっているチームがベストだと思います。
今後一緒に働きたいのは、成長に向かって足を止めない人。自分で限界をつくらない人。あとは、周りの言葉をしっかり聞く謙虚さを持っている人は成長が早いと思いますね。
── 最後に、越湖さんの今後の展望をお聞かせください。
チームの基盤ができたら、次のステップとしてメンバーの成長に力を入れていきたいです。
全員がソフトウェアエンジニアとして成長できる組織の仕組みを作るのが目標ですね。
サイカはエンジニアの職種を細分化せず「ソフトウェアエンジニア」として募集しています。なぜかというと「ひとつのことだけができる人」が集まる世界をあまり目指していないからなんですね。
インフラを知っているからこそバックエンドが作れる。バックエンドを知っているからこそフロントエンドが作れる。逆もまた然りで、それがエンジニアとしての強さだと思います。
みんなで知識と考え方を共有し、深い議論ができるチームこそ、良いモノづくりができるチームだと思いますね。
── 常に自身の成長を求め、メンバーに寄り添いながら大きな挑戦を続ける越湖さんのお話が聞けました。越湖さん、今日はありがとうございました!
※インタビュイーの所属・役職は取材当時のものです。