世界のお気にいり(16)

ミャンマー文化と信仰・語りつがれる物語をキャラクターで見る

消費者視点を切り口に、海外のライフスタイルレポートをお届けする「世界のお気にいり」。篤く仏教を信仰するミャンマーの生活の中には、人々から愛される”存在”を数多く見ることができます。

ミャンマー人に最も有名な物語は仏陀の生涯のストーリーで、“トップスター”は仏陀であり、シッタールダです。けれども仏教に馴染んでいる私たちだけに気を配らなければならないのは、ミャンマー人がそれはそれは篤く仏教を信仰し、仏陀を心の底から崇拝していることです。

ミャンマー政府は、仏陀の姿を商業目的に利用することを固く禁じており、外国人といえども、仏教を侮辱する行為には宗教侮辱罪を適用。仏陀の刺青を足に入れている外国人の入国を拒否したといったニュースが、たびたび聞こえてくるほどです。
2014年には、ヘッドフォンを装着した仏陀のイラストを広告としてFacebookにあげたニュージーランド人バー経営者が逮捕され、懲役2年6ヶ月の刑に処されています。(2016年1月に恩赦で釈放)

ミャンマー人の心の拠り所シュエダゴン・パゴダ
ミャンマー人の心の拠り所シュエダゴン・パゴダ

パゴダの写真やイラストにも注意しなければなりません。ミャンマー随一の聖地であるシュエダゴンパゴダの図像の商業利用は厳禁。その他のパゴダに関しても、仏塔部分に文字がかからないようデザインするなどの心遣いが求められます。
いずれにせよ、仏教やそれに関するものを“コンテンツ”ととらえるのは危険であることを、十分認識しておく必要があります。

人気No.1のキャラクターはミャンマー版だるま

ミャンマーには、仏教が普及する前から信仰を集めていた精霊や、伝説に登場する聖人を崇める習慣もあり、こうした霊的存在もコンテンツ利用は避けた方が無難です。しかし、例外が3つあります。ミャンマー版だるま「ピッタインダウン」と錬金術師「ゾージー」、天女「ダジャーミン」です。

土産物店に並ぶピッタインダウンとゾージーの人形。杖を持つほうがゾージー。
土産物店に並ぶピッタインダウンとゾージーの人形。杖を持つほうがゾージー。

ピッタインダウンは直訳すると「投げるたびに立つ」という意味で、ミャンマー人は縁起物ととらえており、まさに日本の達磨です。門の上に据えたり、店の看板や商標、商品パッケージにあしらうなどして利用しています。
2体1組で登場することが多いですが、単体でも問題ありません。土産物キャラとしても、ミャンマー人・外国人ともに人気があり、人形やTシャツ、クッキーなどになっています。

こちらはちょっと“美人”仕様のピッタインダウン
こちらはちょっと“美人”仕様のピッタインダウン

お菓子のパッケージにも登場
お菓子のパッケージにも登場

呪術的な力を象徴するゾージー

ピッタインダウンと並んで人気がある“キャラ”がゾージーです。昔話や神話にたびたび登場。空を飛び回り、地中を高速移動するほか、石を金に変えたり、死んだ人を生き返らせたりといった不思議な力を発揮します。

パゴダの門前を守るゾージー(右)。真ん中はダジャーミン
パゴダの門前を守るゾージー(右)。真ん中はダジャーミン

ピッタインダウン同様、魔除けとして門にあしらったり、薬などの商品のマークに利用したりします。操り人形劇や伝統舞踊などでも、魔術的な激しい動きで人気演目になっています。

テラスのフェンスにもゾージー。泥棒除け?
テラスのフェンスにもゾージー。泥棒除け?
激しい動きが人気のゾージーの舞踊
激しい動きが人気のゾージーの舞踊

ピッタインダウンやゾージーに比べると、天女ダジャーミンは若干影が薄いですが、袈裟やロウソクなどの仏具メーカーをはじめ、さまざまな商品の商標によく使います。ロンジー(ミャンマーの伝統的な民族衣装)などの女性が対象となる商品でも、マークに取り入れているのをよくみかけます。

水曜日が午前生まれと午後生まれにわかれる・8曜日

ミャンマーらしいコンテンツとして忘れてはならないのが、8曜日です。通常の7つの曜日に加え、水曜日が午前生まれと午後生まれで分かれます。ミャンマーではこの8つの生まれ曜日が生涯重要で、たとえばパゴダに参拝するにも曜日によって参拝場所が異なり、使う数珠やお供えの種類も違うのです。

パゴダ内に8柱立つ、曜日の祠に熱心に祈る人びと
パゴダ内に8柱立つ、曜日の祠に熱心に祈る人びと

また、生まれ曜日によってシンボルとなる動物や色、方角、数字、宝石などさまざまなラッキーアイテムがあり、占いをしてもらう場合も、まず、生まれ曜日を聞かれます。
ミャンマーを訪れる観光客にはこの慣習がひじょうに受けており、みやげ物にも8曜日を扱ったものが目立ちます。ただし、地元の人たちは、8曜日グッズにはあまり関心がありません。とくに、すべての曜日のアイテムをまとめて印刷したグッズには、意味を見出せないようです。

8曜日の象徴動物を散りばめたTシャツ
8曜日の象徴動物を散りばめたTシャツ

敬虔な仏教徒としての生活の中にかいま見える土着の精霊や超自然的存在、生まれ曜日をめぐる様々な慣習。こうした雑多なものがいく層にも重なっているのが、ミャンマー文化の面白さなのです。

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