失敗しないBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの選び方

まだあなたの会社がビジネスインテリジェンスツール(以下、BIツール)を導入していないとしたら、それは大きなリスクです。BIツールは多くの大企業で当然のように導入されており、自社を取り巻くデータの活用が現代企業の成功要件のひとつであることは明らかです。

一方で、あなたの会社の営業組織(営業部)が営業効率/生産性向上のためのBIツールを導入していないとしても、それは珍しいことではありません。既存のBIツール(含SFA)には、営業に関するデータを可視化する機能が備わっています。ただ、BIツールは経営層のために導入されるケースが多く、営業組織の効率/生産性向上に特化したものではありません。また、営業はどうしても属人的にならざるを得ない部分が他の職種より大きいため、全体の効率/生産性向上のためのシステム投資は後回しになりがちです。つまり、営業組織の効率/生産性向上に特化したツールが導入されていないとしても、不思議ではありません。

昨今、データ分析の必要性が大きく問われていますので、営業効率/生産性向上のためにBIツールの導入を検討する方もいらっしゃると思います。そんな方向けに、失敗しないBIツールの導入方法を紹介します。

BIツールの比較から始めると失敗の可能性が高まります。

BIツールはあくまで手段であって目的にはなり得ません。いかに活用するかが鍵になりますので、導入の目的を明らかにしておく必要があります。BIツールの比較はそのあとでも遅くはありません。まずは営業効率/生産性の向上に寄与するであろうKPI(Key Performance Indicater)を5つ程度に絞ってください。

そして、絞ったKPIがそれぞれ

  • 数値データとして計測可能であること
  • 1~2週に1度以上の頻度で安定的に発生し、定期的に計測できること
  • そのKPIが成果に対して明確に影響していること

を確認してください。

上記を満たしている例としては

  • 新規訪問件数
  • 決済者に提案した回数
  • 決済者との商談時間
  • 見込み顧客との商談時間

などが考えられます。

満たしていない(可能性が高い)例としては、

  • 営業個々人の読書時間(読了書数)
  • 提案書の作成本数

などでしょうか。読書時間や読了書数は長期的には営業個人の生産性向上に寄与するとは思いますが、短期的に、組織全体の生産性に寄与する部分は非常に小さいと予想されます。また、提案書の作成本数は定期的に発生するものではなく、案件ベースで発生するものであることが多いため、2を満たしません。

BIツールはデータを集計し、可視化することで、そのKPIを組織的に追いかけることを可能にするものです。これが決まっていなければ、高価なBIツールは単なるグラフ表示ソフトに成り下がりますので、注意が必要です。

可視化されてしまうものを洗い出し、その是非を事前に検討しましょう。

BIツールを導入すれば、それ以前と比較して、可視化されるものが圧倒的に増加します。つまり、今まで見えていなかった様々なものが明らかになります。その中には営業効率/生産性の向上に大きく寄与するものもありますが、一方、複雑で、にわかに解決しがたい問題も含まれている可能性があります。

その問題により影響を受けるのは誰でしょうか?あなたかもしれませんし、あなたの上長かもしれませんし、異なる部署の責任者かもしれません。

例えば、会議費や接待交際費などは、その規模が過大でなければ問題視されるものではありませんが、経営判断をする層にとって「思いの外、大きな金額(あるいは割合)」であるとすれば、会議費や接待交際費を削減するルールが新たにできるかもしれません。また、経営判断をする層にとってそれは「明るみに出ないでほしい事実」かもしれません。

あるいは、入金と出金のタイミングに会社として不利な部分があるとすれば、それを是正すべくプロジェクトが発足するかもしれません。それが営業部だけでどうにかできる内容でなければ、他の部署も巻き込んで解決することになりますし、そうなれば新しく(そして厄介な)仕事が他部署に発生してしまいます。

見えない問題が可視化され、解決に向かうのは好ましいことではありますが、それによって恩恵を受けていた人がいたとすれば「BIツール導入のせいで・・・」ということになりかねませんし、ツールそのものやツールの導入、場合によっては、ツールの導入を主導した人に対して正当な評価がなされない可能性が生じます。

導入後にそのようなことが発生しないよう、「可視化されてしまうもの」が何かについても事前に検討し、必要であれば、影響を受ける可能性がある人と直接話をしておく方がよいでしょう。

営業現場に受け入れられるものか検討してください。

ここまで完了してはじめて、営業組織向けのBIツールの比較・検討に移ります。結論から言うと、

  • 計測するKPI
  • 計測する先行指標

を集計/算出すること「以外」の機能は必要ありません。正確には「それ以外の機能はないほうが好ましい」です。

BIツール導入後、運用の場面で失敗する理由として、

  • 営業の現場で使ってくれない(正確なデータを入力してくれない)
  • BIツールで得られた示唆を現場が営業活動に活用してくれない/活用できない

というものはよく耳に入ってきます。

入力するデータが増えれば増えるほど、営業現場では正しく使われなくなります。また、結果を行動に移す方法がわからないものであれば、営業マンとしては労力を払って入力する意味が薄れます。

まとめ

営業組織向けのBIツール導入を検討する場合は

  1. KPIを定める
  2. 先行指標を定める
  3. 必要最小限の機能を持ったBIツールを探す

ことが失敗する可能性を最小限にする手順です。

もちろん、これを踏襲したからといって「成功する」とは限りません。定めたKPIが間違っている可能性もありますし、先行指標が的外れであることもあります。

もし、統計的な手続きを踏んでKPIや先行指標の有効性を確認できていれば、BIツールの成功確率はグンと上がります。最終的にどこかの企業に導入を発注するのであれば、その有効性を確認させてくれるところにすることをお勧めします!