世界のお気にいり(9)

イタリアのクリスマス商戦!伝統菓子パネトーネが新バージョンで勝負

マーケター必見!消費者視点を切り口に、海外のライフスタイルレポートをお届けする「世界のお気にいり」。イタリアのクリスマスを盛り上げるのは、伝統菓子のパネトーネです。食にはコンサバなイタリア人。長く愛されるヒミツをレポートしました。

ミラノのクリスマス風景
ミラノのクリスマス風景
イタリアはカソリックの総本山・ヴァチカンのある国(正確に言うとヴァチカンだけでひとつの国ですが)ゆえに、敬虔なカソリックの国として知られています。実際のところ最近(とくに北部)では、それほど信心深くもない人も多いのですが、それでもやはり宗教的行事は重要で、その最高峰は否が応でもクリスマス。イタリアではよく「クリスマスは家族と、イースターは誰でも好きな人と」といわれますが、クリスマスは日本の正月、正月は日本のクリスマスのようなもの…という感じでしょうか。

テレビCMもお店にも!パネトーネが街中にあふれる

そんなクリスマスと切っても切れないのが「パネトーネ」というお菓子。これは干しブドウを始めとした干しフルーツが入ったスポンジケーキのようなもので、発祥はミラノですが、全国的にクリスマスの代表的なお菓子として知られています。11月の半ばにはテレビでもパネトーネのCMが流れ始め、お菓子屋さんのウインドーにはパネトーネが鎮座し、スーパーでは一番目立つコーナーにパネトーネが置かれ…。こんなパネトーネ商戦が始まると人々はクリスマスが近づいたのを感じるのです。
クリスマスシーズンのお菓子屋さんのウインドーはパネトーネが定番
クリスマスシーズンのお菓子屋さんのウインドーはパネトーネが定番
ちなみにパネトーネの由来は諸説ありますが、有名なのはミラノ公ルドヴィカ・スフォルツァのクリスマスのディナーで、お菓子を焦がしてしまった料理人トニーが、ありあわせの物で作りなおしたものが好評で、「パン・ディ・トニー(トニーのパン)」が“パネトーネ”という名前になったという説。もうひとつはお菓子屋さんの令嬢とそこで雇われている貧しいお菓子職人が恋に落ち、店のオーナーである娘の父に認めてもらうために開発したクリスマスのお菓子がパネトーネ(大きなパン、パン・デ・トンと呼ばれていたところから)で、これが大ヒットしたおかげで二人は結ばれたというもの。
スーパーや菓子店にも大量のパネトーネが並ぶ
スーパーや菓子店にも大量のパネトーネが並ぶ
ただ、このような伝統的な干しブドウや干しフルーツ入りは苦手な人(特に子供)も多いので、最近では新バージョンが年々激化中。チョコレートチップバージョンから、リモンチェッロ味、ティラミス味やズッパイングレーゼ風味、マロングラッセやピスタッチオが入ったものなど、様々な新バージョンが次々登場し、もはや別のお菓子のよう。
最近のトレンドは変わりパネトーネ。こちらはリモンチェッロ風味
最近のトレンドは変わりパネトーネ。こちらはリモンチェッロ風味
モダンな新バージョンは子供や若者の心とらえて、パネトーネ人気を再び盛り上げている様子。メーカーも様々な想像力を駆使して、年々新しいバージョンを開拓しています。食にはコンサバなイタリア人には、例えば外国のクリスマス菓子などがいきなりブームになったりすることはほぼあり得ないので、その分伝統的なもののモディファイがキーワードになりそうです。また、パネトーネは直径25~30cmの大きなお菓子なので、ほぼ食べきりサイズのミニバージョンなど、大きさでのバリエーションもどんどん豊富になっています。

イタリアのお歳暮?お仕事関係のご挨拶にも伝統お菓子を贈る

ちなみにもうひとつ、ヴェローナ発祥の「パンドーロ」という星形の何も入っていないスポンジケーキのようなお菓子(食べる前にパウダーシュガーをかけて食べます)もあります。こちらは“パン・ディ・オーロ(金のパン)”に名前が由来していると言われますが、それはやはり貴族たちがクリスマスのような特別な機会に食べていたからだそうです。これもパネトーネ同様、クリスマス商戦の大事な主役を果たしており、宣伝に関してはパネトーネと同じ時期がピーク。またパネトーネとセットで売り出されることも多いです。
右がミラノ名物パネトーネ、左がヴェローナの名物パンドーロ
右がミラノ名物パネトーネ、左がヴェローナの名物パンドーロ
話は少々変わりますが、イタリアにもお歳暮のようなものはあり、日本のように個人的にも贈り合う習慣はあまりありませんが、仕事関係のご挨拶としてお世話になったクライアントに籠盛りのようなものを届けます。伝統的にはオリーブオイル、ワイン、パスタ、リキュール、オイル付け製品などイタリアのティピカルな食材を籠や木箱などに入れて贈るのですが、ここにも必ずといってよいほどパネトーネが入っています。
お歳暮的な存在のクリスマス贈答品セット
お歳暮的な存在のクリスマス贈答品セット

イタリア人にとってクリスマスを最も意識させてくれる品であり、クリスマスのテーブルになくてはならないパネトーネ(またはパンドーロ)。今後もクリスマス商戦の目玉であり続ける事でしょう。 (撮影/ライター・田中美貴)
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