消費者視点を切り口に、海外のライフスタイルレポートをお届けする「世界のお気にいり」。もうすぐ年末と新年を迎えますが、ビルマ暦であるミャンマーの新年は4月です。ミャンマーのお祭りについてレポートしました。
ミャンマーは月の満ち欠けを基準として独特のビルマ暦をもちいており、新年は4月。そのため、西暦の1月1日は祭日でさえありません。クリスマスは、国民の5%ほどを占めるキリスト教徒に配慮して祝日ですが、教会および一部の外国人向け施設を除けば、これもあまり盛り上がりません。 それに対し、ミャンマー人が1年で最もテンションが上がるのは、4月の満月前に1週間ほど開催する水かけ祭りと、秋に行う2つの仏教祭事、10月のタディンジュと11月のダザウンダインです。1年の不幸を洗い流して新しい年を迎えるための水かけ祭り
日本人にとっての年末年始にあたる水かけ祭りは、ふだん穏やかなミャンマー人が熱狂的に盛り上がる期間。ほとんどの職場が長期休みに入り、地方出身従業員が多い大衆食堂などでは、1ヶ月近く休むところもあるほどです。 長期の休みを利用して郷里に帰る人が多いのはもちろんですが、通常10日近くある休暇のうちの前半で祭りを祝い、後半を家族や友人との旅行にあてる人も多く、行楽地はどこも大混雑になります。

1年の不運を洗い流し新しい年を迎えるための水かけ祭り
水かけ祭りが済んでしばらくたった7月の満月の日から、ワーゾー(※日本の「雨安居/うあんご」に相当。うあんごとは、夏の時期に僧が一定期間一か所にこもって修行すること)が始まります。悟りを開いたばかりのお釈迦様が直弟子たちに初めての説教をした時期に由来し、3ヶ月近くの間、お釈迦様は天界へ戻られます。 仏教徒たちも通常よりもより宗教的な生活に努め、結婚や引越しは控え、月4回ある持戒日の学校は休校。托鉢への食事の提供を増やし、僧院やパゴダへの寄進にも積極的になります。 ※ 参考:コトバンク「安居」より

お釈迦様が帰還するタディンジュはクリスマス電飾がトレンド
10月の満月の日であるタディンジュをもって、ワーゾーは終了を迎えます。タディンジュの夜は家の前やベランダにロウソクや灯明をともし、地上に戻るお釈迦様の足元を照らすのです。最近は、電気提灯やLEDを使ったクリスマス用電飾が人気で、9月に入ると、そういったイルミネーション用品コーナーがスーパーに出現するようになります。
僧院への「寄進ツリー」が並ぶダザウンダイン
タディンジュの次の満月の日はダザウンダインと呼ばれ、僧院に大々的な寄進をします。そのため、タディンジュが過ぎると街角には高さ2mほどの、木を模した「カテインの木」が並び、寄進の品々を飾り付けていきます。
