
昔は数打てば当たった。いまは継続的な視点が大事。
─── 横山さんはマス広告も経験されていますが、昔と今ではどんな違いがあると思いますか?私は広告代理店である商品のマス広告を担当していたことがあるのですが、当時は「敵が300発打ってきたらこっちは500発だ!」みたいな感じのシェア合戦でした。昔は誰も何発当たったか分からないので、量の戦争で、打つしかなかったんです。量で勝てばシェアをとれていた時代ですから、その時点ではそれが真実でした。マーケティングを科学しても実践で使えなかった時代だったんですね。 それがだんだんクライアント側も「打った砲弾の数は分かるんだけど、実際に何発当たったか分かんないの?」となってきて、それをどう実証するかを考える時代になってきました。そのなかでもCookieでユーザーの反応が分かるというのは画期的なことで、そこから効果を見ていきましょうというのが定着してきました。マスの世界に、デジタルでユーザーの反応が分かることを利用し、マスの活動を改善してみようと考えたのはここ3~4年のことです。 ですから、まさに重回帰分析というやり方はトータルでモノを見ようということが、ようやく融合ができてきた感じがあります。そうすることで、データの活用の幅はすごく広がります。ベースラインを落さないように最適化していく。
─── マスとデジタルと組み合わせることで生まれる利点というのはどんなことでしょうか?マスとデジタルを組み合わせることで一番効果的なのは、広告の最適化です。今まではデータで取れないものが多かったので、改善できる余地がほとんどありませんでした。しかし、今はデジタルの指標を取れるようになり、データに基づいた改善ができるようになりました。 データ分析をすると、ベースラインが数値化して分かりますよね。それは、その商品のブランド力や企業の総合力になってくる。その今まで可視化できなかったものがデータ分析することで見えてきているので、そのベースラインを落さないようにマーケティングを最適化していくという考えができてきました。 ※ベースラインとは、広告効果とは直接関係ない、“なにもしなくても売上がある”部分のことを指しています。(例:下図)
