
データマーケティングを実現しようとする組織や人材の再現性に価値がある。
─── 早速ですが、マーケティング領域においてデータ分析は活用できるのでしょうか?活用できないといけないんでしょうね。逆に言うと、活用できるかどうかなんて、それを疑問視してもなにも始まりません。属人的なスキルをどのように再現するかが重要で、データマーケティングを実現するために、スキルやビジネスロジックを組み立て直す必要があります。データによってマーケティングできるということを信じるしかないんですよね。組織や人材の再現性には絶対に価値がありますし、そのプロセスで得られるものは今までと全く違ってくるはずです。それを信じないのは全くナンセンスで、疑ったとところでなんの価値にもならないと思います。 ─── データを活用しないことで起こりうる問題は?一番の問題は、経験と勘だけでもうまくいってる感じがすることです。きっとその感覚は間違っていなくて、そんなに外れてもいないんです。でも100%当たっているわけではない。そのズレは小さいので、感覚的には分かりません。その小さなズレを繰り返してると、どんどん外れていき、いずれは自分がどこにいるの分からなくなってしまいます。例えば、目を瞑ってジャンプし続けたとします。自分では真っすぐ飛んでいるつもりでも、気づいたら部屋の隅にいることありますよね。あれと似たようなことです。感覚だけでやっているので、それは計器を持たないでフライトするようなもの。 一番最初の方向性を決める時点では経験や勘が必要ですし、そのスキルはとても大切です。正しいかどうかも分からないデータを取り出してきても、確からしいポジショニングはできません。でも、そこが本当に芯に当たっているかどうかは常にデータを取らないと分かりません。データを見れば自分の感覚と現実の差を見ることができます。 ─── たまたま1回のフライトはうまくいくかもしれないけど、何回も成功するのは無理。マーケティング領域でも言えることでしょうか?そういう感覚で捉えていますよね、昔を知ってるだけに。 昔は意外と断続的な成果を上げることができればいい時代でした。でも情報が溢れている今は、2〜3年にひとつ当たればいいということはあり得ません。当たった直後はいいけれど、その減衰たるや著しい。ものすごく大きな成果は得られなくても良くて、どのくらい長く継続させることができるかが大切になってきました。それには今どこを飛んでいて、どこに向かっているのかを知らないといけません。 自分がどっちに行くかを決めるためにデータはあります。そのためにも、考え方やスキル、組織としての在り方を変えることが重要で、もしかしたらデータで成果がどこまで出るかというのは、そんなに重要ではないのかもしれません。連続的な飛行をするために、体制や考え方を変えるというところにデータは絶対に必要ですから。 ─── マーケティングが断続的なものから連続的なものに変わってきていたのは、なぜでしょうか?消費者の意識が変わってきたのが一番だと思います。昔に比べて、圧倒的に情報量が違います。その結果、“琴線に触れる何か”が多様性を帯びてきているので、そこを観測しないでマーケティング活動を行うのはできなくなってきていると思います。だからこそ、連続したマーケティングをしないと、最終的に効果が生まれなくなってしまいます。