いまさら聞けないマーケティング用語

カスタマーディライト

カスタマーディライトとは、「顧客感動」と言い換えることができます。以前はカスタマーサティスファクション(顧客満足)が重視されていたのですが、今では顧客に満足されるレベルのものが増えたため、顧客に感動を与えられるもので差別化する必要が出てきました。

しかし、カスタマーディライトを実現させるのは、簡単なことではありません。どのようなことを意識しておかなければならないのかも含めて、解説します。

カスタマーサティスファクションからカスタマーディライトへ

顧客は、商品やサービスに対して、ある程度の期待値をもって購入をします。

マーケティング論の大家であるコトラーは、その期待値と商品・サービスのパフォーマンスの関係について、次のように分類しています。

  • 期待を下回るパフォーマンスであれば、不満を感じる
  • 期待通りのパフォーマンスであれば、満足する
  • 期待を上回るパフォーマンスであれば、感動する

会社は、商品やサービスを提供する以上、「顧客に満足してもらいたい」と思うのは当然です。そのため、顧客が不満に思っていることを解消しようとするために、「カスタマーサティスファクション」が重要視されていました。

しかし、今の時代では、さまざまな技術の発展で、生活の中で不便だと感じることが少なくなっています。

つまり、顧客が「こんなものがあったらいいのに」と感じるものがほとんどないため、「顧客の期待に応えるもの」を提供することではなく、「顧客が想像もしていない新しい価値」を提供しなければ差別化は難しい状況なのです。

想像もしていなかった素晴らしい商品やサービスとであると、顧客は感動を覚えるため、そういった状態を「カスタマーディライト」と呼ぶのです。

カスタマーディライトを実現させるためには

カスタマーディライトを実現するためには、前述の通り、顧客の期待を上回るパフォーマンスでなくてはなりません。具体的には以下に説明する3つのステップが必要となります。

ステップ① 顧客の期待値を知る

顧客の期待を上回るためには、期待されているレベルを把握することが不可欠です。

顧客が求める商品・サービスを、トラブルなくスムーズに提供することは当然です。

それだけではなく、より詳細に分析して、期待値を探りましょう。これまでの顧客からの声やアンケート結果から、「顧客が喜んでいること」や「顧客が不満に感じたこと」までを整理し、「何を期待して購入しているのか」を考えてみましょう。

ステップ② 顧客感動を与えられる環境を整える

顧客の期待を把握することができれば、次は、顧客に感動を与えられるような環境を整える段階です。ただ、商品・サービスの機能そのもので顧客に感動を与えることは簡単ではありません。多くの場合、顧客に感動を与えられるのは、商品・サービスに付随する顧客対応などでしょう。また、感動を覚えるかどうかは、それぞれの顧客によって基準が異なります。

つまり、マニュアル的な対応だけでは、カスタマーディライトの実現は難しいのです。

そこで、社内の各担当者に、それぞれの裁量でサービス提供できる環境を整えることが重要です。とはいえ、顧客に感動を与えるためなら何をしてもいいというわけにはいかないので、金額や時間などの単位で、どこまでなら自身の裁量でサービス提供をしてもかまわないという基準を作っておくのがよいでしょう。

ステップ③ 顧客のさまざまな情報を共有する

顧客の期待値を知り、顧客感動を与えられるような環境を整えたとしても、まだ不充分です。この段階では、社内の個人レベルでしかカスタマーディライトを実現できていないためです。

本当の意味でカスタマーディライトを実現するためには、社内のすべての人材が顧客に感動を与えられる水準まで成長しなければなりません。そのためにも、顧客の声や顧客に感動を与えられた事例などを蓄積し、社内で共有するようにしましょう。

多くの事例に触れることで、それぞれの顧客によって感動するポイントが違うこと、優れたサービスを提供できる人材が何を考えて行動しているのかといったことを知ることができます。そんな疑似体験を通して、会社がどのような感動を与えようと考えているのかという理念や、顧客に感動を与えられる喜びをも共有することができ、すべての人材がカスタマーディライトの実現に向けて行動できるようになります。

継続できれば圧倒的な顧客ロイヤリティーが手に入る

ここまで、カスタマーディライトを実現する方法を3ステップで解説してきましたが、一旦、カスタマーディライトを実現できればそれで充分なのでしょうか。顧客に感動を与えるのは、会社の商品・サービスをより多くの人に利用してもらうためであり、究極の目標は、自社のファンになってもらうことにあります。そこで忘れてはならないのが、「カスタマーディライトを提供し続ける」ことなのです。

最初は顧客に感動を与えられた優れたサービスであっても、同じことを繰り返されているだけでは「当たり前のサービス」になってしまいます。ハードルが上がっていく顧客の期待値を超えられるよう、顧客対応の履歴を蓄積し、サービスレベルを少しずつでも進化させられるように努力し続けなければなりません。

まとめ

カスタマーディライトは、顧客の期待値を知り、期待に応えられるサービスを提供できる環境を整え、社内で共有し継続することで実現可能となります。しかし、一朝一夕で実現できるものではなく、維持し続けることも並大抵の努力ではできません。

だからこそ、カスタマーディライトを実現できる会社は、顧客からの絶大な支持を集め、圧倒的な顧客ロイヤリティーを手にすることができるのです。

< 前の記事へ 次の記事へ >
XICA magellanXICA magellan