ウェブルーミングとは?なぜ行うのか?ショールーミングとの違い

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ウェブルーミングとは商品についてあらかじめインターネットで情報収集を行い、最終的に実店舗に行って、直接商品を購入する消費者行動の事を指します。

ウェブルーミングとショールーミング

ウェブルーミングと対になる消費者行動としてショールーミングという概念がありますが、こちらの用語の方が比較的有名です。ショールーミングとは実店舗で商品の実物確認など情報収集を行い、最終的にインターネット通販などで商品を購入する消費者行動の事を指します。ショールーミングの対象となりやすい商品が家電で、かさばるので簡単には持ち帰れず、型番で検索すれば価格比較がインターネットで容易にでき、通販の方が価格が安い事が多いことからショールーミング経験率が高いと言われています。

このようなショールーミングに対して各事業者は対策を行った結果、最近ではショールーミングと逆にインターネットで商品を調べて、実店舗で商品を購入するウェブルーミングという消費者行動が注目を集めるようになりました。

なぜ、ウェブルーミングを行うのか

では、なぜ消費者は自宅に居ながらネット通販で商品を購入できるのに、わざわざ実店舗に商品を買いに行くのでしょうか。確かに購入の容易さなどネット通販の方が利便性の高い点もあります。しかし、通販で購入すると商品到着まで時間がかかるのですぐに商品が手に入る実店舗に行く、ネット通販で購入すると送料の分だけ割高になるので実店舗に行って購入するというように実店舗の利便性に価値を感じる消費者も多いのです。

このようにネット通販での購入、実店舗での購入にはそれぞれ一長一短があるので、消費者が目的に合わせて購入方法を選択します。

よって、一昔前に言われていたようにショールーミングによって実店舗の小売業が駆逐されてしまうという事はなく、ウェブルーミングは一部のユーザーに見られる例外的な現象だというわけでもありません。

ウェブルーミングの影響力について

では、ウェブルーミングはどの位の影響力があるのでしょうか。例えば、2014年にネット広告代理店の株式会社オプトが行った「オムニチャネル」化する生活者の消費行動調査によると、「店舗で実物を見たり説明を聞いたりして、後日、ショッピングサイトでその商品を購入」するという消費者は37.9%とされています。

一方で、同じ家電製品のカテゴリーでのユーザーの消費行動について「店舗に行く前に、売っている商品をホームページで確認してから行く」が42.9%、「インターネットで各ブランドの商品を比較し、どの商品を買うか決めて店舗に行った」という答えが49.2%となっています。このような調査からショールーミングを行うのと同等かそれ以上に消費者はウェブルーミングを行っている事がわかります。(オプト、「オムニチャネル」化する生活者の消費行動調査を実施)

ウェブルーミング対策の事例

では、ウェブルーミングという消費者行動に対してどのような対策が考えられるのでしょうか。 例えばネット通販専業で事業を行って来た企業が実店舗で購入したい客層を取り込むために実店舗を出店するパターンが考えられます。ネット専業から実店舗を出店した事例としては駿河屋が挙げられます。同人誌やフィギュアなどの通販を行っている駿河屋は元々ネット販売のみでしたが、2015年に高槻に出店したのを皮切りに、秋葉原、日本橋を始め日本全国に実店舗を積極的に展開しています。

また、インターネットでの情報収集の過程から、実店舗の購入の段階でユーザーを取りこぼさないようにするケースも考えられます。ネット、リアルに関係なくユーザーの利便性を追求し、顧客の囲い込みを行っている事例としてはヨドバシカメラが挙げられます。ヨドバシカメラではネット通販で商品を購入し希望店舗ですぐに受け取れるサービスを行っていますし、通販も実店舗も同じポイントカードを使用しているので、どちらで購入してもポイント還元を受ける事ができるようにする事によって顧客が購入する段階で他の店舗に流出する事を防止しています。

消費者行動とオムニチャネル

このようなウェブルーミングの対策を行う事は小売業にとって重要ですが、ウェブルーミング対策もショールーミング対策も、「オムニチャネル」というキーワードで説明する事ができます。

オムニチャネルとは、実店舗、ネット通販、SNS、テレビ、ダイレクトメールなどネット、リアルに関わらず様々な販売経路を確保してひとつに統合しようという戦略の事を指します。類似した概念としてマルチチャネルがありますが、マルチチャネルは販売経路を確保する事のみを指し、オムニチャネルでは各販売経路の連携が重要となります。

例えば、あるユーザーが実店舗に商品を購入しに行ったけれども在庫が無かったので、支払いは店舗で済ませて後日通販サイトから商品を送られてきたり、インターネットで注文したけれどもすぐに使いたいので店舗で受け取れたりと、販売経路毎の違いに消費者がストレスを感じる事無くサービスが利用できる状態がオムニチャネルな状態であると言えます。

ウェブルーミング対策もショールーミング対策もネットとリアルの連携を強化して消費者が不便なくサービスを利用できるようにするという点では、オムニチャネル化の為の一部であると言う事ができます。

まとめ

小売店の売上不振や通販会社の躍進により、ショールーミングが注目を集める傾向がありますが、ネットを使ってどう実店舗に誘導するのかというウェブルーミング対策も事業者にとって重要な課題だと言えます。また、ウェブルーミング対策もショールーミング対策も本質的にはネットもリアルの違いによるストレスを感じさせないオムニチャネル化の一部だと言えます。

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