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データから企業と消費者の“絆Story” を演出する

中野学氏

2015年4月21日に開催された「マーケティング×統計分析活用セミナー」において、株式会社メンバーズの中野 学氏のトークセッションを行いました。そこで今回はトークセッション前に行われた中野さまのプレゼン「マーケティング現場におけるデータ活用とは? 〜 01データから企業と消費者の“絆Story” を演出していく作業〜」をご紹介いたします。

まず「Why?」をしっかりと考える

皆さんこんにちは。株式会社メンバーズでアナリスト兼プランナーとして働いております、中野と申します。私はマーケティング業界に8年くらいおりまして、最近「数字を200%使いこなす Webアクセス解析&レポート作成術」という本を出版させていただきました。本日は私がマーケティング現場において、どのようにデータを活用しているのかをお話しできればと考えております。

今日お伝えしたいことは3つあります。まずは「顧客をしっかりと理解すること」。次に「データを観察すること」、そして「それを何に使うか?をしっかり考える」ということです。そのあたりを意識しながら聞いていただければと思います。

中野学氏

余談ですが、2015年というのは映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』の舞台です。製作された1989年に“未来”だった世界が今なんです。作品中には既にタブレットや液晶テレビ、眼鏡型デバイスのようなものが登場しています。ストーリーを構成していくために、妄想や空想は非常に重要です。現在起きている事象から未来と過去を想像し妄想を繰り返すことは、データを活用する中でも同じように重要だと思っています。

マーケティングをしていくうえで、「消費者って誰ですか?」という問いから、顧客を見える化し、インサイトを導くことは大切です。そして、その顧客に紐付いたデータをさまざまな角度から観察していくなかで、仮説、分析、検証というPDCAサイクルを繰り返すということは大事だと思います。しかし、そこを導き出しても「じゃあそれを何のために使うの?」が抜けていたら意味がありません。

私はよく、データを“ニンジン”に例えて説明しています。ニンジンを見つけました。しかし、ニンジンだけを使ってもまったく意味がなくて、そのニンジンをカレーライスにするのかシチューにするのか…何を作るためにその“ニンジン”を使うのかをしっかり考えないといけないんです。誰が何のためにどうしたいのかを考え、そのためのストーリーを作成します。そして、それを戦略化することで顧客を見える化することができ、さまざまな視点からストーリー作っていくことができます。まず「Why?」をしっかりと考えることが必要なんです。

これからのマーケティングは、顧客とのエンゲージメントを紡ぐこと

最近は、マーケティングの概念が変わってきているように感じます。従来型のマーケティングは、売れる仕組みを作ることでした。しかし、これからのマーケティングは、企業と顧客の関係性を絆を構築し、いかに社会の利益を出しながら自社の利益も出していくというような「顧客とのエンゲージメントを紡ぐ」という考え方に変わりつつあります。そこで、データを活用することは非常に有効な手段だと思っています。

デジタルマーケティングには、「顧客の顔が見えない」という根本的な弱点があります。インターネット上に消費者はいます。しかし、その消費者がどんな姿をしていて、どんなことを考えているのかは、デジタルからは分かりません。そこで、分からないな部分からどのように具体的な顧客の姿を描いていくかを考えないといけません。

例えば、カラーコンタクトの市場なんかは、消費者ひとりひとりのイメージや目標とする女性像が異なるので、イメージモデルをいっぱい作っています。単一的に商品を売るのではなく、「こういう女性になれますよ」とまったく違う消費者インサイトにアプローチしています。そこから、どのモデルの広告がよくクリックされているのか、どのくらいの売上が変わるのかを追っていくことで、消費者を理解していくという方法で効果を検証しています。そこからアナログマインドを可視化していく。データを活用して仮説検証をすることで、顧客の顔や感情を数値化することができるのがデジタルマーケティングの強みですね。

最近は、そのような消費者のデータを活用する動きが活発になってきました。例えば、ポイントカードなどから取得できる消費者データと企業の持つライフスタイルデータを紐付けて新しいアクションを起こさせるような施策や、広告閲覧履歴を相互に提供しながら購買履歴から広告を変えたりもしています。他にも視聴率データも活用されていると新聞で紹介されていました。

アナログから出力できるデータをデジタルに変換することができるようになったので、広告を出稿する側はアプローチしたいお客様に適切な情報を届けられますが、逆に消費者目線で考えると、あらゆるデータが取られているのは非常に気持ちが悪いですよね。その関係性は常識の範囲内でやっていかないと、「誰のためのマーケティングですか?」という問いに誠実ではなくなります。「顧客とのエンゲージメントを紡ぐ」ためのデータ活用というところは絶対に逸脱しちゃいけないですよね。

データからストーリーを語る

ビッグデータ時代と言われていますが、今は本当にさまざまなデータを取得することができます。そのなかからインサイトをどう導いていくのか。そこは、やはり自分自身で考えないといけないと思います。

顧客はどんな人なのか? 今までは「ウェブサイトに来ていて、ジュースを飲みたいと思っている」という情報しか分かりませんでした。しかし、今ではDMP(データマネージメントプラットホーム)を活用することで、年齢や性別、趣味、居住地域、年収などさまざまな情報を取得できるようになっています。この結果、顧客ひとりひとりのニーズに合ったマーケティングができるようになりました。

先ほど『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』の話の際に、映画製作とデータ活用は同じようなものだと話しました。データ活用とは、無機質に蓄積されたデータから消費者がどう利用しているかという仮説と事実を積み重ねていく作業だと思います。ウェブサイトに訪問してくれた出演者という顧客と、その際にに「どんな服着て、どんな行動をしてたのか」という場面をイメージします。コンバージョンからどんどんデータを紐解いていく“逆再生の動画”のようなものをイメージしながら作り上げていく作業に近いのかなと思っています。このイメージは、具体的にできればできるほど大きな仮説が作れますし、逆再生の動画のコマがどんどん細かくなっていくので、より詳細なインサイトを見つけることができます。データ活用は、未だ完成していない未来に続く仮説を、より具体的にカラー化していく作業だと思います。

そのためにもデータからストーリーを語ることが大事です。顧客インサイトを発見しながら絡まり合ったインサイトを紐解いていきます。それを整理し、さまざまな観点から観察することで、最終的に成果をビジュアル化いきます。ストーリーを作成し、そこからマーケティング戦略を作っていくというところが一番大切になってくると思っています。

中野学氏

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