データを“上手く活用する”ってなんだろう

COOの山田です。
初回の平尾に引き続き、サイカメンバーのブログの第2回を仰せつかりました。
サイカは、2012年2月20日に登記しているので、明日で丸2年になります。私自身は、設立準備期間を含めると、2年半ほど関わってきました。その当時は、まさか自分が入社するとは夢にも思ってなかったですが(笑)

紆余曲折を経ながら統計分析ツールadelieというサービスにたどり着き、「より多くの人に、データを活用する手段を提供する」というビジネスの大きな目標感を持つようになりました。
その過程で、「データを”上手く活用する”」とは要はどういう状態なのだろう、ということをよく考えます。
この問いには色んな角度からいろんなことが考えられるのは百も承知で、今回は、私なりの着眼点で考えていることを整理してみたいと思います。

「論理を超えるもの、直感を支えるもの」

最近読んだ、元サッカー日本代表監督の岡田武史さんと棋士の羽生善治さんの対談書籍「勝負哲学(サンマーク出版)」のなかに出てくる話で、私がぼんやり感じていたことが端的に表現されていました。
「論理を超えるもの、直感を支えるもの」という表現も同書からの引用です。

「データは自分の感覚を裏付ける情報でしかない」「一定水準まではデータ重視で勝てる。しかし、確率論では勝ちきれないレベルが必ずやってくる。そうして、ほんとうの勝負はそこからだ」(岡田武史氏)

「データ分析はもはや勝負の前提条件になっていて、それなしではそもそも勝負の土俵に立てない」「理詰めでは勝てない時が必ず来る、ほんとうの勝負が始まるのはロジックの限界点から」(羽生善治氏)

おふたりが共通して語っていることをざっくりとまとめると、データの積み重ねによる「土台」がなければそもそも戦えないが、本当の勝負はさらにその先の「直感」によって決まる ということでしょうか。
どれほどビッグなデータをどれほど高度に分析しても、データが「絶対に正しい答え」を勝手に教えてくれることは「絶対に」ありません。データの望ましい活用の仕方は、

(1)分析できるところまではデータで調べ、最後は人が意思決定をする。
(2)分析する人がデータについて読み解ける十分な知恵・経験を持っていなければ、価値のある示唆は非常に導きづらい。
この2点が上げられます。

「スポーツ」と「企業活動」の性質の違い?

しかし、ビジネスの現場で「データを活用する」ことを具体的に考えると、これだけではカバーされないことが多くあるように感じます。
「スポーツ」と「企業活動」の違いをあえて言葉にすれば、次の3つの側面がありそうです。

1つ目は、サッカーや将棋などは「ゲームの構造やルールが不変」であるのに対して、ビジネスは「ゲームのルールは常に変わる、むしろ自分から作りに行く」ものであること。
ゲームの勝ちの定義や制約条件が変われば、意思決定をするためには当然それまでと違うデータを見ることが必要になります。

2つ目は、検証の対象となる範囲が広く、定義すらできない ということ。
サッカーであればピッチ内、将棋であれば盤面の上がデータを取る範囲になりますが、企業の活動はどこのデータを取るのか?という問いに答えること自体が極めて難しい。

3つ目は、やや重なりますが、関わる人間が多い こと。
ひとつの企業のなかでも、時間が経つごとに関わる人/部署/役割分担は確実に増え、企業の外の「顧客」「仕入れ先」「ビジネスパートナー」「競合」などの関係者もめまぐるしく変わり続ける。この際限のない人の流動性も違いとして上げられます。

説明→プロセスの共有→経験値の蓄積

そのような違いを考慮し、日常的にさまざまな企業様のお話をうかがっているなかで感じていることを改めて整理すると、企業におけるデータの活用は大きく3つの切り口に分けて考えられるのでは、というのが今の仮説です。(下にいくほど難易度が上がります)

(1)説明すること

当然といえば当然ですが、ビジネス現場では「説明」の比重が大きくなります。
ポジティブな意味合いでいえば、多くの人を説得し動かすこと。
ディフェンシブな意味合いでいえば、リスクヘッジ的に「説明責任を果たすこと」(後者が多かったりもしますが)。

いずれの場合であっても、信頼できるデータを根拠に明確なロジックを組み立てることで、多くの人に納得してもらう ことがゴールになります。

(2)思考のプロセスを共有すること

上記の「説明する」という行為において、「結果」だけではなく「プロセス」も見える化することが次に期待されます。
KPI(Key Performance Indicator)の考え方そのものですが、最終的な結果だけでなく、そこまでの過程もモニタリングしようという発想です。

ここで大事なのは、KPIを定義すること自体が極めて難易度が高い、ということ。
漫然と過程を数値化しても「管理のための管理」にしかなりません。
実効性のあるKPIを設定するには、どうすれば一番成果が出そうか、という「勝ちパターンの仮説」に裏打ちされている必要があります。
ほとんどの場合、それは 「誰かの過去の成功体験」というプロセスを見える化して共有すること を意味します。

(3)経験値を蓄積すること

さらにその先にあるデータの活用というのは、「経験値の蓄積」にあるのではないか、と考えています。この「経験値」とは、先ほど上げた「勝ちパターンの仮説」のことです。
成功体験に裏打ちされて得られた「勝ちパターン」は、それが自分の経験でも他人の経験でも、将来「再利用」がしやすくなります。

もちろん、「全く同じ状況」に「全く同じ勝ちパターン」を使って「同じ成功体験」を得ることはほぼあり得ないでしょう。
しかし、自分と他人の実体験に基づく「豊富な経験値=たくさんの仮説」を持っていれば、想定外の状況に対してもより良い意思決定ができる確率が高まる のではないでしょうか。

サイカがこれから目指す(かもしれない)こと

こう考えると、サイカが今後の目指していく事業展開は、この3つを満たすことなのかなと漠然と考えています。
特に、「勝ちパターンの仮説をアーカイブできること」 は、どういう形なのかさっぱり分かりませんが、個人的に大きな可能性を感じています。

ひょっとすると、巡り巡って、先ほど紹介した「勝負哲学」という書籍の話に通じるのかもしれません。
ビジネスは変化が多く、データの範囲が広く、関わる人が多い。
だからこそ、なるべく効率よく「土台となる勝ちパターン」を集められることで、結果的に最後の「直感的な意思決定」の質を企業全体で高めて行くことにつながる。そんな世界が描けるのかもしれません。

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