消費者視点を切り口に、海外のライフスタイルレポートをお届けする「世界のお気にいり」。タイの現地レポート後半は、タイの国民性を表した広告クリエイティブについてご紹介します。
タイの食文化からみる広告クリエイティブ
タイ人はあまり牛肉を食べません。牛は観音様の父親の生まれ変わりとして信じられている、という宗教的な理由や、牛は農作業を手伝ってくれる動物なので、食べるのは良くない、といった風潮など様々な理由があるそうです。家族が食べないから自分も食べたことがない、というタイ人も多く、ビーフ=美味しいというイメージが元々根付いていません。最近は諸外国からの食文化の流入もあり、牛肉を食べる若者は少しずつ増え、「Wagyu」という単語もだいぶ浸透してきましたが、ビーフを扱っているハンバーガーチェーンやローカル向けの焼肉店であっても、未だに広告ではチキンやポークをメインに押し出している企業が多いです。


サバーイ・サヌーク・マイペンライ! タイの国民性を表す広告たち
タイの国民性を表す際に、よくサバーイ(気持ちいい、心地良い)、サヌーク(楽しい)、マイペンライ(気にしない)という表現がありますが、広告にも、その特徴がよく現れていると感じます。世界的にも高く評価されているタイのクリエイティブですが、実際に普段目にする広告は驚くほどシンプルでわかりやすい、楽しい雰囲気のものが多いです。また、文字数が少ないのも特徴的で、日本の車内広告でよく見かけるような文字がびっしり詰まった説明的な広告はあまり見かけません。

外国製は良いモノ? 外国イメージの強い広告
他のアジア諸国でも共通して言えることですが、タイ人の間でも「欧米諸国の商品はクール」「日本の食料品は安心で美味しい」「韓国の化粧品は安くて質が良い」といった外国ブランドや商品に対してポジティブなイメージを持っています。そのため、タイ系企業の商品であっても、広告のビジュアルはあえてタイ語を用いず英語のみにしたり、日本語や韓国語を一部取り入れることが少なくありません。タイ人は言葉の意味までを完全に理解しているわけではないのですが、広告に外国語を取り入れることで、まるで外国製であるかのような印象を与えています。


