世界のお気にいり(17)

[タイのマーケティング]屋台メシの配達はLINEで。スタバに行列ができる日とは?

消費者視点を切り口に、海外のライフスタイルレポートをお届けする「世界のお気にいり」。タイ人に支持されているユニークな企業やサービスについて、ご紹介します。

屋台メシのデリバリーもOK!LINE MAN

「LINE MAN」はチャットアプリ「LINE」とタイのNo.1飲食店紹介サイト「Wongnai」が共同開発したフードデリバリーサービス。専用のアプリからレストランを選び、料理を注文すると、「LINE MAN」と呼ばれる配達人がバイクで料理を自宅まで届けてくれます。LINEの通話やメッセージ機能を介して注文の確認や配達状況をやり取りでき、GPSでLINE MANの居場所をタイムリーに把握することができます。

主に料理の出前目的で使われている「LINE MAN」ですが、料理以外にも郵送物の配達やコンビニで売られている商品まで、幅広いアイテムを届けてくれます。そして、何と言ってもLINE MAN最大の特徴は、店舗型の飲食店以外に、屋台の料理も配達してくれる点。

タイには、世界20ヶ国で展開している「Food Panda」や最近日本でも話題の「Uber Eats」といったフードデリバリーサービスが進出しているのですが、どちらも提携しているのは有名なレストランだけで、屋台の食事は対象外です。

飲食店や屋台が数多くあり、外食文化が根付いているタイでは、自宅にキッチンが付いていないことも当たり前。屋台メシは安く手軽にタイ料理が食べられる、まさに台所のような存在なのです。例えば、グリーンカレーやカオマンガイ(チキンライス)は、屋台だと1食50バーツ程度で食べられますが、レストランで注文すると、150バーツ以上はかかるでしょう。

LINE MANの配送料は1オーダーあたり45バーツほどかかりますが、それでもレストランでの食事に比べたら圧倒的にお得。

レストランしか対象にしていないFood PandaやUber Eatsに比べ、LINE MANはタイ人の生活スタイルに根ざしたサービスといえます。

LINE MANのアプリ内画面とレストラン詳細画面。フードデリバリーサービスの他に、宅配サービスやコンビニアイテムの配送まで幅広く対応しており、手頃な価格の屋台メシも注文できる。
LINE MANのアプリ内画面とレストラン詳細画面。フードデリバリーサービスの他に、宅配サービスやコンビニアイテムの配送まで幅広く対応しており、手頃な価格の屋台メシも注文できる。

ユニークな宣伝方法が話題に!11street

ある日突然、駅に現れた赤い広告。電車の外装・内装、改札、エスカレーター、階段にいたるまで、駅周辺のあらゆるものが赤一色で彩られ、話題になりました。

駅名標にまで広告が!
駅名標にまで広告が!

クリエーティブの内容は、主に「11st」のロゴとサイトのURL、男女の写真のみで、何のサイトであるのかは説明していません。思わず、「11stって何だろう?」と気になり検索してみたところ、タイに新しく進出した韓国系のECショッピングサイト「11street」とのことでした。
気づかない人は誰もいないのでは?と感じるくらい、あらゆる場所に「11st」の文字があったので、私と同じように思わず検索してしまった人は少なくないのではないでしょうか。

日本でもこのような「駅ジャック広告」と呼ばれる手法はよく用いられていますが、ここまで徹底して一つの駅を広告一色にした事例はあまり見たことがありません。今回の11streetのケースは、駅名標や改札など、細部にいたるまで広告が徹底して貼られていて、とにかく目立ったのと、その上で、あえて広告上でサイトの詳細な説明を避けることで、消費者の関心を誘った好例といえます。

タイ人のプロモーション好きを反映?スターバックス

日本では季節の変わり目や新年によくセールを行っていますが、タイでは、ほぼ一年中気温が暑い、ということもあり、年がら年中セール(タイでは、一般的にプロモーションと呼ばれます)を行っています。もはや、プロモーションと書かないと売れないのでは?と思うくらい、衣服から電化製品、化粧品、クリニック、コンドミニアムまで、あらゆるものが常時割引して売られています。

それは、世界的なコーヒーショップ、スターバックスも例外ではありません。
タイのスターバックスの代表的なプロモーションの一つに、「Buy 1 Get 1 Free」が挙げられます。ドリンク購入すると、その場でもう一品無料で注文できるこの制度。タイでは頻繁に実施されていて、例えば2017年の1〜2月は、時間が指定されていたものの、2ヶ月間で合計14日もプロモーションの日がありました。

タイのスターバックスは、アメリカーノが100バーツ、カフェラテが110バーツ(どちらもトールサイズ)と、50バーツ程度でごはん1食分が食べられるタイの物価からすると、かなり割高な印象。誰もがやすやすと毎日通える価格帯ではありません。

しかし、普段スターバックスに行かない人でも、「Buy 1 Get 1 Free」の日はきちんと把握していて、その日になると、友人から一緒に行こうよ、とよく声がかかります(笑)実際プロモーション中のスターバックスは大行列で、店員さんも普段の日より増員して対応しています。

「Buy 1 Get 1 Free」以外にも、ドリンクとフードを一緒に注文したら20%オフといった割引や、デザインが古くなったマグカップやタンブラーなどのグッズを40%オフで販売していたり、日本との違いに驚きました。

このように定期的にお得感を演出することで、プロモーション好きなタイの人々に、スターバックスの居心地の良さやドリンクの美味しさ、ブランド観を気軽に体感してもらう意味合いがあるのかもしれません。

タイのスターバックスの店舗
タイのスターバックスの店舗

いかがでしたでしょうか。タイで効果的なマーケティングを実施している企業は、一方的な押し付けではなく、タイ人の気質や国民性、感情をよく理解していると感じます。タイでマーケティング活動をする際には、日本のやり方をそのまま転用するのではなく、環境や文化を踏まえた上で、地域に根ざした施策を実行することが重要と言えます。