世界のお気にいり(11)

おしゃべり好きなイタリアのマンマが支えてる?イタリア・デジタル事情

消費者視点を切り口に、海外のライフスタイルレポートをお届けする「世界のお気にいり」。スローライフなイメージが強いイタリアですが、携帯電話の普及率はヨーロッパの中でも高くなっています。その理由はイタリアのマンマにあり?

携帯電話が大好きなイタリア人、現在はスマホ王国へ進化中

結論から言うと、イタリアはご多分にもデジタル王国とはとはいえないかもしれません。
例えばイタリア発で世界的に有名なアプリというものも聞いたことがありませんし、AmazonやKindleが入ってきたのも比較的遅かったと言えます。Wi-Fi事情も、ミラノのような大都市でさえきちんと機能するホットスポットは少ないですし(ホテルやレストランの状況はだいぶましになりましたが)、地方に行くと電波が入らないなど接続状況そのものが悪いところも多く、インターネットの使用自体が困難なところもあるほどです。

ミラノ市内のWi-Fiエリアを示す看板。だが、実際は接続が悪くて使用はほぼ不可能
ミラノ市内のWi-Fiエリアを示す看板。だが、実際は接続が悪くて使用はほぼ不可能

携帯電話の普及率はヨーロッパ上位!イタリア人はおしゃべりが大好き

とはいえ、携帯電話普及率に関しては、イタリアはヨーロッパで最も高い国で、その割合は150%以上。それに追従してスマホ普及率も着実に伸びています。
おしゃべり好きなイタリア人にとって携帯電話はなくてはならないもの。日本では電車など公共の場では携帯電話での通話NGという常識があるせいか、会話をしている人は少ないように思えます。が、イタリアにはそういう公共マナーがほとんどないというせいもあって、至る所で携帯電話を片手に話をしている人が見られます。

売り出し中の携帯電話が掲載された電化製品ショップのチラシ広告
売り出し中の携帯電話が掲載された電化製品ショップのチラシ広告

子どもがいい年になっても「今どこにいるの?」、「今日はうちで晩御飯食べる?」と、“気軽に”電話をするイタリアのマンマたちもイタリアの携帯電話使用率に大きく貢献しているのかも。通信市場は勢いがあって、イタリアの主な通信サービス会社であるTIM(テレコムイタリア)やVodafoneなどの会社の宣伝には高予算がつぎ込まれているという話を初回のコラムに書きましたが、それもこれもおしゃべり好きという国民性の恩恵かもしれません。

イタリア最大手の通信サービス会社のひとつ、Vodafoneのショップ
イタリア最大手の通信サービス会社のひとつ、Vodafoneのショップ

イタリアで勢いがあるのは音楽アプリ。レストランデリバリーも人気

デジタルの話から少し外れてしまいましたが、もちろんイタリア人だって、通話以外にもスマホをきちんと使いこなしています。文頭で触れたイタリア発の世界的アプリがないのは、イタリアでは起業の際たくさんの面倒な許可が必要で、若者たちがベンチャー企業を興すのは困難だという別の事情もあってのこと。アプリ自体は実にさまざまなものが利用されています。

ちなみにイタリアで多く使われているスマホは値段の安いSAMSUNGやHUAWEI、LGなど。かつてはNOKIAも多かったのですが、最近は下火傾向の様子。iPhoneは高額のため一般の人はモデル落ちのものを使っていることが多いようです。また昔からの名残や、タッチスクリーンが苦手だといって、BlackBerryにこだわる人もいます。
一方、アプリで人気なのは、InstagramやFacebook、また最近ではSnapchatやPintarest派も増加している様子です。これはイタリア人がナルシストで、かなりセルフィ―好きな国民であることにも関係しているかもしれません。自分大好きなので、SNOWのような加工アプリにはあまり興味はないようです。そのせいもあってか、文がメインのtwitterはイマイチ伸びなかったような感じがします。

またイタリアではLINEは日本ほど普及しておらず、WhatsAppが主流で90%を超えるシェアだそうです。これらの使い方が簡単なコミュニケーションアプリは若者だけでなく、熟年層にも広がっています。
またゲームアプリも人気が高く、App Storeの無料アプリランキングでは、Super Mario RunやClash Royaleなどが上位に入っていました。が、世界的に人気の高いこれらのゲームに交じって、サッカーゲームFIFAの人気が高いのはイタリアらしいところかもしれません。

出前サービスブームを象徴して人気のアプリJUST EAT
出前サービスブームを象徴して人気のアプリJUST EAT

ゲーム以外で最近のイタリアを象徴する人気アプリといえば、前出App Storeランキングの上位に入っているJUST EAT。このところミラノなどの大都市では、レストランからのデリバリー(自転車の出前専用業者が自宅まで料理を届けてくれるというもの)が大ブームですが、このアプリはここからレストランにオーダーを入れられるというもの。

または、App Storeの2016ダウンロードランキングにおいて音楽ストリーミングアプリのPandoraやSpotifyなどが入っている点。イタリアでの音楽アプリの市場はヨーロッパにおいても特に勢いがあると言われていて、これ以外にも曲やアーティストを探してくれるShazamなどもよく使われています。

個人的には、人間味あふれたスローライフを謳歌しているイメージのあるイタリア人とスピーディなデジタル文化はイマイチ似合わないような気もしますが、これも時代の流れなのかもしれません。

イタリアのお気にいりレポートまとめ

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