マーケと統計

テレビCMの効果測定を成果に対して行う方法と選び方

テレビCMの効果を測定するにあたって、現状で多くとられている方法は、認知度や好意度などの成果に関係していそうな中間指標の変化をとらえるというものです。テレビCMを打つ前後で消費者にアンケート調査を行い、認知度等がどのていど向上したかを計測し、認知度を1%向上させるのにアクチュアルGRPをどのていど要したか、かかった単価はいくらか、でCMの良し悪しを評価します。これは、伝統的に実施されてきた手法であり、一定の信頼性もあります。

一方で、売り上げや利益などの最終的な成果に対して、どの程度影響があったかはブラックボックスであり、そこを明らかにしたいよね、というニーズは強く存在しています。

本稿では、そのニーズに答える手法として、最近採用が進んでいるテレビCMの効果測定手法を紹介していきます。

最終的な成果に対するテレビCMの効果測定

テレビCMの効果測定は大まかに分けると2つの方法があります。

ひとつは、個人を徹底的に追いかける方法。もうひとつは、全体を大きくとらえて、成果がどの程度変化したかを計測する方法です。

個人を徹底的に追いかける方法

テレビCMを視聴した人の、感情の変化やその後の消費行動を追いかけることにより、その効果を評価していきます。

消費者全体を調査することは物理的に不可能ですから、消費者全体の一部をランダムに抽出し、抽出された人たちの行動がこうだったから、全体もそうに違いないと考えていく手法です。木を見て森を見ずという格言がありますが、この調査は徹底的に細かく複数の木を見ることにより、森全体にどういう変化が起こったかを推定していきます。

この手法はシングルソース調査と呼ばれ、広告主ではなく、調査会社が抱えている消費者に対して実施されることがほとんどです。代表的なサービス提供事業者は株式会社インテージや株式会社野村総合研究所などの調査会社です。

全体を大きくとらえる方法

シングルソース調査とは異なり、こちらは、データとデータの関係性を追いかけることにより、テレビCMの効果を評価していきます。
実際に実施されている手法はおおまかに3種類あります。

テレビCMの出稿前後の変化を見る

ひとつめは、テレビCMの出稿前後で、最終的な成果がどの程度変化したかを計測し「その変化はすべてテレビCMによって引き起こされたものだ」と考える手法です。

たとえば、関東地域に店舗展開している小売り業者を考えてみます。その企業にとっては来店数が非常に重要なKPIですので、テレビCMによっていかに来店数が延びたかは非常に気になるところです。

仮に、この企業が2018年2月にテレビCMを出稿したとします。このとき、2018年1月以前はテレビCMを実施していませんでしたので、過去のデータを平均化して、「テレビCMを打たなかったら、大体このくらいの来店数に着地したはずだ」という数値はわかります。そして、その「テレビCMを打たなかったときの想定来店数」と、テレビCMを打った2018年2月の実来店数を比べて、1万人伸びていたら、テレビCMには1万人の来店数増加効果がありました、と評価します。

この手法のいいところは、非常にシンプルで、効果測定が簡単に行えるところです。想定来客数は前年同月、つまり、2017年2月のデータをそのまま採用することである程度の妥当性は担保できますので、2018年2月の実データさえあれば、すぐに評価することができます。

問題点としては、来客数の向上に対して、テレビcM以外の要因が及ぼしている効果を加味できないこと、そして、ネクストアクションをとりにくいことが挙げられます。

1年間の間に、店舗自体や消費者も多かれ少なかれ変化していますし、天候や競合の出店状況などの影響を加味することができないため、正確性については議論の余地が永遠に残ります。また、テレビCMのどこがよかったから来店数が向上したのかを判断することもできないため、次のテレビCMをどうよくしていくかについて示唆を得ることができません。

特定地域でのみテレビCMを実施して、未実施エリアの成果との差分を計測する

全国展開している企業においては、たとえば、福岡県だけでテレビCMを実施し、テレビCM実施地域と、未実施地域の成果の差分を計測しにいく方法もあります。

先の手法によるメリット(簡便性)は維持しつつ、テレビCM以外の要因が及ぼしている影響を最小限に抑えにいっていますので、先の手法よりは正確性が高いと言えます。

一方で、根本的な問題(比較対象の妥当性やネクストアクションへの示唆)が解決されたわけではありませんので、これだけに頼るのは危険かもしれません。

統計的な手法を使って関係性を確かめる

統計的にテレビCMの効果測定を行うこともでき、これが最近流行りの手法です。

具体的な分析手法は様々なのですが、大まかに言うと、

  1. 各広告施策の時系列データ(毎日のデータ)を集める
  2. 各広告施策と成果の関係性(直接効果)を推計する
  3. 各広告施策と他の広告施策の関係性(間接効果)を推計する

という手順になります。推計の仕方にいくつか方法論があり、それぞれの方法論にも長所と短所があります。

テレビCMの効果測定を行うにはどれを選べばよいのか?

結論から言うと、最も望ましいのは複数の手段を用いて評価を行うことです。その前提として、現場のマーケッターが分析結果をアクションに落とせるものである必要があります。

サイカでは「統計的な手法を使って関係性を推計する」ことをツールで実現しようとしています。特に、統計学やデータサイエンスにおける専門知識のないマーケッターでも使えるようなツールにしているため、アクションに落とせるということを重要視しています。

実際に、統計的な分析を行うツールを試した、ソフトバンクの藤平様からもブラックボックスな分析をすることのデメリットを語っていただいています。

まとめ

テレビCMが最終的な成果に及ぼしている影響を分析する手法についてはイメージしていただけましたでしょうか?2016年頃から、この分野も盛り上がりを見せつつあり、テレビCMを打っている企業のマーケッターにとっては必須の知識と言っても過言ではないかと思います。

是非、自社のマーケティング、プロモーションにおいて、テレビCMの効果測定を行えているか、また、本稿で紹介したどの手法が望ましいか、思いを巡らしてみてください!

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