マーケティングと重回帰分析−その5

t値とp値の違いを教えて|マーケティングと重回帰分析-その5

マーケターの必須スキル・プロモーションの分析に、重回帰分析を使ってみましょう。しめくくりの第5回目は、t値とp値の違いについてです。

第4回では、エクセルのLINEST関数を使って重回帰分析を行いました。

エクセルで重回帰分析をやろう|マーケティングと重回帰分析-その4

エクセルを使った分析は、アドインで分析ツールを登録し利用する方法もあります。(参考:アドインについて
アドインを使った回帰分析では、LINEST関数よりも多くの分析結果データが出力されます。その中でも、疑問になりやすいt値とp値の違いについて考えていきましょう。

p値とは?

目的変数に対して、ある説明変数がまったく効果がない場合。
分析結果で表示される係数は、「0」だろうと推定しませんか?

ところが、(重)回帰分析を行ったときに出る係数には、確率的な揺らぎがあります(サンプリング対象の偏りや測定誤差などによる)。そのため、「90%の確率で1から5の値をとる」といったように幅を持っているのです。
よって、分析結果に係数が0ではない値が出ることはありえます。

では、どうしたらよいのでしょう?

ここで、p値が重要になります。
p値とは、(重)回帰分析で求められたある変数の係数の値がAだった場合、「本当はまったく効果がない場合(係数が0)に、実際に分析して出る係数の値がA以上になる確率」を表しています。

「どのくらいp値が小さければ、効果がないという仮説を否定してよいか」の基準は、通常0.05となっています(あくまで有意水準ですがマーケティングデータの分析では一般的に有意水準は0.05に設定されます)。つまり、p値が0.05未満であれば「その説明変数が目的変数の予測に本当に有効」といえます。

  • 分析結果の読み取りでは、p値が0.05未満かどうかをチェックしましょう

p値の読み取り方

では、p値の読み取り方を見てみましょう。
事例として、指名検索のインプレッション数(成果)には、どの施策が関係しているのかを分析しました。決定係数は0.91となり、分析の精度に問題はないものとします。

TVCM(GRP)の係数は0.40であり、p値が0.62だった

  • 「本当はまったく効果がない場合でも、このくらいの係数が出る可能性が62%もある」ので、効果がないという仮説が否定できません
  • 「確率的な揺らぎでたまたま有効なように見えているだけ」という可能性を否定できないので、効果があると主張できません

リスティング広告の係数は0.013であり、p値が0.00004だった

  • 「本当はまったく効果がない場合に、このくらいの係数が出る可能性が0.004%しかない」。つまり、「効果がないという仮説がとても低い」と読み取ります。
  • 「その説明変数が目的変数の予測に本当に有効」と主張してよいと考えます。

よって、指名検索のインプレッション数にはリスティング広告が影響していると考えることができます。

t値は分析結果の有意性をサポートする

t値とp値は両方出力される場合が多いのですが、p値はt値と「自由度」(サンプルサイズと、分析に使う説明変数の数から求められる数字)から求めることができます。さらに、p値と自由度からt値を復元することもできるため、両者をあまり区別する必要はなく、通常はp値だけ見れば問題ありません。

「じゃあ、t値って何に使うの?」と疑問が浮かびますね。t値は、分析の有位性をサポートする数値と言ってもいいかもしれません。

じつは、「t値が大きいほどp値が小さい」という関係があります。t値が大きいほど「その説明変数が目的変数の予測に本当に有効」と主張できる可能性が高まります。
また、「係数が大きいほど」「(重)回帰分析での目的変数の予測値と実際の値の差(誤差)が小さいほど」、t値が大きくなるという関係もあります。

つまり、係数が大きい(効果が大きいと推定される)、誤差が小さい(正確に目的変数を予測できている)ほど予測に有効であると言える確率が高まるのです。


エクセルで重回帰分析シリーズ、いかがでしたか。
重回帰分析の基礎は、押さえていただけたかと思います。分析は難しいというイメージがありますが、身近なデータに置き換えて考えると理解もしやすくなりますよね。

アドインを使ったエクセルでの重回帰分析の方法は、サイカ主催のセミナーでもご説明しています。もっと重回帰分析を知りたい、マーケターとして数字に強くなりたい!という方は、ぜひお申し込みください。

マーケティングと重回帰分析これまでのまとめ

5回にわたって、マーケティングと重回帰分析の基本をご紹介しました。これまでのおさらいを簡単にまとめます。

図で学ぶとわかりやすいんです!|マーケティングと重回帰分析-その1
マーケティング分野に重回帰分析がピッタリな理由や、重回帰分析を図を使ってわかりやすく紹介しています。

7つの統計用語を知りましょう|マーケティングと重回帰分析-その2
統計にはたくさんの用語が登場しますね。その中でも、これだけ押さえればOKの統計用語7つを集めました。

読めば納得。重回帰分析で失敗しがちな事例10|マーケティングと重回帰分析−その3
こんなとき、どうする?の解決方法も合わせて、重回帰分析で失敗しがちな事例が10パターン。

エクセルで重回帰分析をやろう|マーケティングと重回帰分析-その4
エクセルで重回帰分析をやってみましょう。家賃のデータをもとに、簡単な分析を行います。うまくサンプル通りに表示されると、感動モノ!

マーケティングと重回帰分析シリーズは、マーケターにとって必要な統計の知識をシンプルにまとめています。
もっと知りたい、勉強したいという方にオススメの書籍もあります。統計力を、よりパワーアップさせてくださいね。

<統計学を独学で学ぶための書籍まとめ>

来年こそ、統計を勉強したい!統計学の独学にオススメ。はじめての統計学をしっかり学べる3冊
今年こそ、統計を勉強したい!統計学の独学にオススメ!学問としての統計学を基本からしっかり学ぶ5冊
統計学の独学にオススメ!統計的な分析をビジネスで活用する6冊
統計学の独学にオススメ!統計学の考え方や哲学・歴史を知る6冊

実践で活かせる統計分析セミナーを開催中!

サイカでは、エクセルでできる、数式いらずの統計分析セミナーを定期的に開催しています。今年こそ、統計がわかるデジタルマーケターになりませんか?