スペシャルインタビュー

[サイボウズ式編集部に聞く]チームを大切にする組織は何をしているのか?

統合プロモーションについて考えるとき、関わる組織が複数に分かれているため分析が進まないというケースが数多くあります。チーム間でのコミュニケーションが大事と分かってはいるものの、目的も立場も違うと具体的にどうしたら?と思いますよね。
そこで、「新しい価値を生み出すチーム」をテーマとするオウンドメディア・サイボウズ式の編集部に組織のコミュニケーションについてインタビューをしました。お話を聞いたのは、編集長の藤村能光さんとチームメンバーである編集部の明石悠佳さん。2人は上司と部下の関係です。

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話ができる雰囲気を作るのは、リーダーやマネジメントの仕事です

サイカ:

オウンドメディアの作り方(※1)では、オウンドメディアを作るときのKPIについてお話をうかがいました。KPIをはじめとしてチームや個人ごとに目標が違うと、コミュニケーションをとることが難しいと感じるときがあります。こういった場合、どのような対策が取れるでしょうか。


※1:そもそもオウンドメディアってなんだろう?オウンドメディアとKPIをサイボウズ式と一緒に考える

藤村:

チームで企画を作る際に基本として考えているのは、リーダーやマネージャーが、チーム内で自発的にコミュニケーションが起こるように雰囲気を作っていくことです。マネージャーの指示をメンバーが実行する、つまり指示系統が上意下達になっている「ピラミッド型」のチームの場合、現場ではなかなか自由に話したりディスカッションをしたりできなくなります。コミュニケーションを阻害する壁を取り払ってあげることが重要ではないかなと思っています。

サイカ:

藤村さんは、サイボウズ式の編集長としてどんなことをされていますか。

藤村:

サイボウズ式の編集部で意識しているのは、編集会議でのふるまい方です。編集長が決める会議というよりは、「みんなで自由に意見を出し合った結果、いつの間にかみんなで作ったいい感じの企画だよね」という風になればいいなと思っていて、そのために編集会議をファシリテーションしているという感覚です。

サイボウズ式編集部では「記事や企画を作る人が一番価値を生み出していて、かっこいい」し、「編集長はその下支え」という感じになるといいなと思っています。さきほどの話で言うと「逆ピラミッド型」を意識していて、編集部のみんながしっかり企画を出せるように、編集会議でのコミュニケーションの敷居を下げるようにしています。

明石:

本当に、その通りだと思います。

サイカ:

チームメンバーとして、印象深いことがあったんですね。

サイボウズ式編集部は大学生インターンも参加しています。
サイボウズ式編集部は大学生インターンも参加しています。

明石:

コミュニケーションの敷居を下げるという点で、「否定しない文化」がチームの中に浸透していると思います。もちろん詰めが甘い部分などは指摘されますが、チームで話し合うことでより良いものを生み出そうという雰囲気がとても好きですね。チーム内でなんでも言っていいんだということを感じます。また、藤村はとにかく「聞き上手」。会議ではいつも聞き役に徹していて、編集部のメンバー自身が気づいていなかった思いを、うまく引き出す天才だなと思います。

藤村:

言い過ぎです(笑)。企画を出す人が「言いたいことが言えなかったな」「私が言っても否定されるんだろうな」といった印象を一度でも持ってしまうと、次から良質なアイデアや意見は出てこなくなりますから。

サイカ:

経験があります。もういいや、言われることだけやっていようという諦めに近いものが生まれてしまいますね。

藤村:

そうなんですよね。ですので、ファシリテーションでは、「まずはしっかりと意見を聞くこと。その上で、さらなるアイデアを引き出すこと」を意識しています。

これはインタビュアーとしてのスキルの訓練にもなるんですよ。取材におけるインタビュアーの役目は、インタビューを受けていただく方に質問を投げかけることで、「まだ言語化できていなかったこと、考えもつかなかったようなこと」を引き出すことだと思っているからです。

チームマネジメントでも同じやり方ができると思っています。まずは相手の話を聞き、引き出すことで、その人が新しい考えに気づく。その延長で新しい企画ができていくといいですよね。一度その体験をした人は、ほかの人の話を聞いていくと思います。それがチームでうまく回ると、成果が出て、自分のスキルも上がると理解できます。その流れが、うまくグッドスパイラルで回るといいですね。

サイカ:

現場で働いている立場ですと、会社が掲げるものと個人がやりたいことが一致しないという悩みが出てくることがあります。サイボウズでは、組織と個人の思いのずれにはどのように対応しているのですか。

藤村:

みんなで、回数を重ねて話し合うことしかないですね。サイボウズはチームの会社で、コミュニケーションが多いです。前提として、ひとりで何かをやるというよりは、チームで新しい価値を生み出そうというスタンスがあります。さらにグループウェアの会社なので、自社の情報共有のツールを使いこなしています。

編集会議はオフライン(対面)で行いますが、編集会議の前段階で、サイボウズのグループウェア上でどんどんコミュニケーションを取ります。ちょっとした思いつきやアイデアをグループウェアに投稿すると、チーム内の誰かから反応があり、その反応によってさらなるアイデアが重なっていく。そういうやりとりを続けていくうちに、僕たちがサイボウズ式としてやるべきことはこれだよねと、伝わっていくのです。

サイカ:

明石さんは、その実感がありましたか?

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明石:

はい、ありました。サイボウズ式の業務を始めたばかりの頃は、「これはサイボウズ式で企画にしたらおもしろいのかな?」と、感覚が全然つかめずに悩んでいたことがありました。でも最近は、編集会議やグループウェア上でメンバーと話し合いを重ねることで、少しずつその感覚がわかってきたような気がします。
「あっ。これはサイボウズ式にあっているな」というコンテクスト(※2)の部分をつかむには、チーム内でたくさん話し合うことが大事なのではないかなと思いますね。


※2:サイボウズ式で企画を考えるときのポイントのひとつ。その企画をなぜサイボウズ式でやる必要があるのかということ。

コミュニケーションをしないことは、機会損失である

サイカ:

相談できる、お話がしやすい文化が社内にあるのかなと感じました。

藤村:

サイボウズ自体が、しっかり「質問責任」と「説明責任」を果たそうと掲げています。質問責任とは、わからないことがあるなら質問をしないと、あなたの責任ですよということ。対して説明責任は、質問を受けた人はしっかり説明をしないといけないということです。すなわち、コミュニケーションをしないのはよくないことだよねという価値観が明示的にあるのです。

この質問責任と説明責任が、オンライン(グループウェア上)でもオフライン(打ち合わせや会議)でも分け隔てなく実施されていることが大きいです。分からないならば質問をしないといけないし、質問を受けたらしっかりと答えないといけない。これは、一見すると非効率なコミュニケーションかもしれません。でも違いがある様々な人が集まって、違う意見を出し合うということで新しい価値が生まれていく。イノベーションの成立条件といわれるものに近いことをやっているのかもしれません。

サイカ:

オウンドメディアであるサイボウズ式は「新しい価値を生み出すチーム」をテーマとしており、それに共感された方が求人に応募されているという話もうかがいました。組織を作る個人の価値観が同じ方向を向いているというのも、コミュニケーションをスムーズにしているのではないでしょうか。

藤村:

サイボウズの理念は「チームワークあふれる社会を創る」ことです。その理念に共感し、一緒に向かっていく覚悟がある人たちが事業や経営をしているので、価値観のずれというのは少ないかなと思います。

僕がサイボウズに入社してからずっと、社長の青野(代表取締役社長・青野慶久さん)は毎月の全社員向けのミーティングで、同じことを言っていますからね。「世界中にチームワークを」というビジョンは、ずっとぶれていないですよ。

  • コミュニケーションがしづらいという課題を、簡単に解決できる方法はないのかもしれません。しかし、話しかけづらい・忙しそうだからという個人レベルでの問題にせず、マネジメントの課題として向き合い考えることは可能です。ビジネスの成長は、チームマネジメントにかかっていると実感しました。
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