
広告が消費者と広告主にもたらす効果の検証
Yao,Mela(2011)は、広告が消費者の効用(すなわち個々人の満足度)、および広告主(企業)の利潤に影響を与え、消費者と広告主の相互関係にどのような影響を与えるのかを理論的および統計的に分析しています。 分析に使用しているデータは、Music management softwareでのサーチで、音楽をダウンロードするか否かを指標としたものです。ここでは、(経済学の基本的な概念である)効用に基づいたミクロレベルなモデルとなっており、音楽を頻繁にダウンロードする消費者と、そうではない消費者にセグメント分けをした上でモデルを形成しています。主な分析結果
本研究から得られる主な分析結果として、- 広告主にとって、スポンサー先にクリックするタイプの広告がもたらす価値(すなわち価格のマークアップ)は27セントである。
- 音楽を頻繁にダウンロードする消費者にとって、専門家などのランキングよりもスポンサーの広告リンクにより重きを置いて見る。
- 音楽を頻繁にダウンロードしない消費者にとって、専門家などのランキングを参考にする。 という3点を明らかしています。
- サーチエンジンは個々の商品などの情報を収集しやすくすることで、広告主の収入を11%、消費者の満足度を2.9%高める。
- オークション理論と整合的である(すなわち、ファーストプライスオークション* からセカンドプライスオークションへの変更により、広告主の収入が増加しているという結果になっている)。
- 消費者のサーチツールはプラットフォームの売上を3.7%、消費者余剰を5.6%増加させるが、広告を見る機会が少なくなることで広告主の利益を4.1%減少する。 という結果が得られました。