いまさら聞けないマーケティング用語

ゲーミフィケーション

ゲーミフィケーション(英:gamification)とは、ゲームの『人を思わず夢中にさせる』ノウハウを他分野に応用させることです。用語としては比較的新しく、2010年代に生まれました。

ゲーミフィケーションが重要な理由

あらゆる製品やサービス、ブランドは一人の顧客に長く使ってもらうことでビジネス上の価値が高まっていきます。特に、ゲームアプリやWebサービスにおいては、獲得したユーザーにいかにサービスを使ってもらえるか、使い続けてもらえるかが重要になるため、そのための仕組みとしてゲーミフィケーションが注目されてきました。

例えば、あるキャンペーンでポイント制、順位の可視化、バッジ、ミッション、レベルシステムといったゲーム要素を含んだ企画を盛り込む際には、ゲーミフィケーション理論を応用することで、長く使ってもらえるようにユーザーを動機づけできる可能性が高まります。

ゲーミフィケーションを取り入れる際に重要なポイント

もう少し広義にゲーミフィケーションを捉えると、問題の解決や顧客ロイヤリティの向上(ファンづくり)に、ゲームデザインの技術やメカニズム(ゲームに熱中させる・続けさせる技法)を活用する活動全般がゲーミフィケーションであるとも言えます。一般的に、ゲームのように「面白い」「熱中できる」わけではない活動に、ゲームのようにプレイヤーを惹きつけ継続して遊ばせる要素を取り入れることで、その活動自体を魅力的にしようということです。

ゲーミフィケーションで重要とされるポイントは3つあります。

  1. 課題を与える(クエスト、ミッション、ランキングなど)
  2. 報酬がもらえる(バッジ、経験値、レベル、クーポン、ポイントなど)
  3. 交流できる(チャット、対戦、アバター、アンケート、SNS連携など)

それぞれのバランスが重要です。この3つのポイントを、短い期間でまわしていくことがよいとされていますが、課題が難しいとユーザーは取り組むことをすぐあきらめてしまいますし、簡単すぎるようなら飽きてしまいます。ターゲットとなるユーザーの特性によっても変わってきますので、課題と報酬のバランスが適切か注意が必要です。

「マズローの欲求段階説」とゲーミフィケーション

ゲーミフィケーションは「マズローの欲求段階説」とも結びつきの強い用語です。ご存知の方も多いとは思いますが、マズローの欲求5段階説では下記の五段階の欲求が定義されています。

  1. 生理的欲求(physiological need)
  2. 安全の欲求(safety need)
  3. 所属と愛の欲求(social need/love and belonging)
  4. 承認(尊重)の欲求(esteem)
  5. 自己実現の欲求(self-actualization)

この五段階のうち「生理的欲求」と「安全の欲求」は物理的な欲求、「所属と愛の欲求」と「承認(尊重)の欲求」は精神的な欲求です。ゲーミフィケーションは、その三段階目である「所属と愛の欲求」以上の精神的な欲求を満たす商品・サービスへの活用が進んでいます。

自社の製品、サービスがどの欲求段階を満たすものかは、マーケッターであれば認識されているとは思いますが、特に三段階目以上の欲求を満たす製品やサービスを提供されているのであれば、ゲーミフィケーションによりユーザー行動をよい方向に導くことができるかもしれません。

「ツァイガルニック効果」とゲーミフィケーション

ゲーミフィケーションを取り入れる上で、有用な概念として「ツァイガルニク効果」というものがあります。

ツァイガルニック効果とは、未完了課題に関する記憶は、完了課題に関する記憶と比較して想起されやすい、という認知心理学における効果を意味し、中断効果ともいわれます。課題を達成しなければならない(=未完了)という場面において、人は緊張状態になります。課題が達成されることで、その緊張が解消されてしまうと、課題に関する記憶は失われやすくなります。反対に、課題解決が未完了のまま中断されたり、課題を達成できなかったりすると、緊張状態が持続してしまうことになるため、未完了の課題に関する記憶は強く残ることになります。

こうした緊張状態の持続と解消は、テレビの「続きはCMの後で」といった手法に応用されています。CM中に他の番組に変えられないように、情報を完結させないことで視聴者の興味を継続させています。単純で古典的ではあるものの使いやすい手法です。

ゲーミフィケーションの活用事例

実際に企業で取り組まれているゲーミフィケーションの活用事例を紹介します。

家計簿アプリ「zaim」

家計簿アプリZaimは、家計簿を簡単につけることができ、しかも更新し続けやすいと評判です。

家計のグラフ化をはじめ、自分の家計簿を全国の統計情報と比較もできます。家族でデータを共有でき、みんなが何にどれくらいお金を使っているか分かるので、競争心などで自然と節約につながるというわけですね。

入力後に到達度を示すバッチがもらえ、自然と継続したくなる仕掛けが詰まっています。

Nike+(ナイキプラス)

スポーツ用品メーカーのNikeが提供している「Nike+(ナイキプラス)」を紹介します。

自分が1週間で走る距離や、減らしたいカロリーなどの目標設定ができます。自分で目標設定することで毎日の行動を促し、それを自然と記録することができて、フェイスブックなどとも連携し成果を友達とシェアできます。

アプリ「Nike+ Running」はGPS機能で距離や消費カロリーを計測。また「Nike+ Training Club」というアプリは、トレーニングを指導してくれます。センサー付きのシューズや時計、リストバンドなどの関連商品も発売中です。

まとめ

ゲーミフィケーションの解説をしてきましたがいかがでしたでしょうか。

ゲーミフィケーション導入の成功ポイントは「嫌なこと」を「楽しい事」に転換しているという点にあります。事例として紹介した、家計簿やダイエットだけでなく、多くの分野に応用が可能な概念です。

ゲーミフィケーションによって、多くの人にとって面倒なことや続けるのが大変なことを楽しいことに変換できれば、続けられる可能性が高まります。子供の頃、ゲームに熱中しすぎた経験がある方もいらっしゃると思いますが、まさにそうした行動心理をビジネスに転用したのが、ゲーミフィケーションといえます。

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