この1年くらいのデータにまつわるキーワードの傾向
この1年くらい、Googleアラートを使って次の言葉に関する最新情報を引っ掛けています。- 「ビッグデータ」
- 「データサイエンティスト」
- 「統計分析」
- 「データ分析」
- 「ビッグデータ」は相変わらず多く使われている。全体として、世の中の議論が「ビッグデータからどのような価値を生み出すのか」というまっとうな点に移るという良い傾向があるような気がする。(ただし、何でもかんでもビッグデータと言っているので、言葉の定義があやふやになっている)
- 「データサイエンティスト」は使われる機会が減っている。アラートで引っかかっるのは、採用ページで使われている表現か、特定の企業・団体・媒体などに偏ってきている
- 「統計分析」は、やや前よりも露出が減っている。「統計学が最強の学問である」が流行り、その後ブームが加熱したことが少しトーンダウンした
- 「データ分析」は特に変わらない(というかアラートだと競馬とかのノイズが多くてあまり良くわからない)
Googleトレンドで確認すると意外な傾向が
検索トレンドとしてはどうなのかということも、Googleトレンドも使って確認してみました。- 「ビッグデータ」 → 引き続き多い
- 「データサイエンティスト」 → ピークを打って、その後下がっている(予想通りに…)
- 「統計分析」 → 徐々に下がっている
- 「データ分析」 → 徐々に上がっている
ものすごく安直に読み解くならば、「統計分析」という手段を使うかどうかよりも、「とにかくデータをちゃんと活用したい」 ということへの機運が高まっているというようなことでしょうか?
「データを活用していないのはヤバイ」という危機感?
この機運は、サイカで仕事をしている中で肌で感じることと近いところがあります。様々な方とお話をしている中で、「今は全然データを使えてないんだけど、データをちゃんと使えば、もっと何かが良くなるはず」ということを感じている方は、どんな領域であっても感じている方が少なからず居るように思います。 一例として挙げるならば、「採用学プロジェクト」という取り組み。「日本企業の採用活動(および就職活動)上の課題に対して、科学的なアプローチによる解決を目指す」ことを目指されています。これも、捉え方としては、「人事(特に採用)というデータによる解釈が進んでいなかった領域でも、データによって科学したいという欲求が高まっている」ことの表れと言えそうです。
このような取り組みは、テクノロジーの進化と相まって、様々な領域で今後も進んでいくはずです。
次に大事になることは?
では、その際になにが大事になっていくのか?前提として、「ビッグデータ」を扱うことと「組織全体のデータ活用」は文脈を分けて考える必要があります。ビッグデータはビッグデータで、それじゃなければ出来ないことで価値を発揮していきます。(例えば「幸せは加速度センサで測れる 」というこちらの記事の内容などはその際たる例ではないでしょうか) そうではなく、先述の「データを活用しないとヤバイ」に該当する「組織全体のデータ活用」については、個人的には以下の点が大事になってくると想定しています。
- 「組織全体としてデータを活用する」ということについて、戦略的な位置付けとゴール設定をはっきりさせてデータ活用に取り組むこと、というのは当たり前だけど大事
- 現場の文脈・言葉で、データを活用することの意義を明確にすること
- かつ、それを現場に近いレベルでコミュニケーションを図れる人が居ること
- 小さいマイルストーンを置きながら、成功体験を積み重ねて活動を前進させること
「データを活用する」という理念の浸透
こうやって個別のポイントを上げていくと、構造としては、前職でお手伝いをしていた「経営理念浸透」のプロジェクトにすごく似ています。言い換えるならば、データ活用という「思想の浸透」に向けた全体デザインができること、と言えます。 理念浸透で言えば、- 言葉だけで暗誦するのではなく、それが成立している「背景、文脈」を理解すること
- 理念が体現されている「物語」を共有すること
- 理念を自分の言葉で語る「場」を定期的に持つこと
- これらを総合しながら、組織のメンバーひとりひとりが「自らの判断基準」として経営理念を自分の中に取り入れられること
このプロセスにおいては、もちろん様々な障害が発生します。分かりやすくは、
- そもそもなんで「理念」なんて必要なの?という反発に合う
- 自分事として捉えられず、ただの「お題目」にしか見えない
- 目の前の「損得」の判断と長い目で見た「理念の体現」が相反することが繰り返されると、余計に理念が使えないものに見えてくる
どれも一足飛びに解決しませんが、全体のプロセスのデザイン、場の設定、関係者の巻き込みなどを1つずつ進めながら、組織全体が目指す方向へと動いていく支援を進めていくことになります。
「組織全体のデータの活用」という長いプロジェクトを進めていく上で、こういった違った領域の専門性がより発揮されることが求められていくのではないでしょうか。